映画「RUBIKON ルビコン」(DVD観賞…想定外の上質なSF作品.
原題:Rubikon 製作年:2022年
製作国:オーストリア 上映時間:110分
レンタル屋の新作棚にあったSFもの.珍しいオーストリア製の2022年製.
本年度累積222本目の鑑賞.
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『アベンジャーズ(2012年)』のVFXのスタッフが集結して作製した
スペースムービー.
2056年毒性を帯びた霧で覆われた地球を舞台に、降下中のロケットが
汚染され仲間を失い.たった3人宇宙ステーション:ルビコンに残された
クルーたちの行動を描きだす.
地球には避難所に300名が生き残っており、宇宙ステーションで活用中の
藻を使用した空気浄化装置を切望され、究極の選択を強いられる.
出演は、ユリア・フランツ・ リヒタ、ジョージ・ブラグデン、マーク・イバニール.
監督はマグダレナ・ラウリッチ.
以上は〈Firmarks〉から転載.
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いつも多用している《映画.COM》では、オーストラリア製となっている.
同サイトはメージャー指向でマイナーにはほんと冷たい仕打ち.
あてにならない.マイナーものは〈Firmarks〉に尽きるね(笑).
2056年 地球は生存するのに難しい状況になっている.金持ちだけは
“エアドーム”に移住しているらしい.国とか政府は消滅、巨大企業が
全世界を統治している.宇宙への移住は失敗.
ナイブラ社は宇宙ステーションで環境改善を研究.その宇宙ステーションに
ワグナー司令官:ユリア・フランツ・ リヒタ、アボット博士:マーク・イバニール
が到着する所から物語は始まる.
アボット博士はナイブラ社のCEOの息子、ワグナーは宇宙ステーション
の藻システムを地球に運び込むという秘密指令を帯びている.
が、始まってそうそうに、地球が毒性を帯びた霧に襲われ通信が途絶えて
しまう.宇宙ステーションから調査に向かったグループも全滅してしまう.
ステーションに残されたのは藻の開発者クルイロフ博士:ジョージ・
ブラグデンとアボットとワグナーの3人だけになってしまう.
地球に生き残ったのは3人だけの状況に精神的に追いつまられる3人.
そこへ地球から300人が生き残っているというコロニーからレーザー通信
が入る.空気を清浄化する藻を送って欲しいという依頼だった.
300名の命を救うという大義を巡って、3人の間に論議が起きる.
地球からの誘導無しで手動で連絡船を操縦する危険をクルイロフ博士
は説く.ワグナーは元々の藻を持ち帰る使命を携えている.アボットは
ステーションで命を長らえることに嫌気がさしている.
3人の論争は熾烈を極めるが、大義の下の正論を説く2人にクルイロフ
博士は押し切られる.が、3人が乗り込んだ連絡船は冷却システムの不調
で暴走、爆発してしまう.藻の送付の手段を無くした3人は、また虚しい
状況に陥るが….
特殊な藻の育成、培養で空気も作れて、食物にもなり、かつ酒も作れる
という優れものな設定が面白い.ステーション内に張り巡らされた藻の
システムは緑色で独特な雰囲気を作る.宇宙空間やステーションの内部
の調度も含めて、映像の質は高い.
が、実質的にはステーション内での3人の精神論的討論が主で、華やかさ
は微塵も無い.3人の関係は自己崩壊していくのだが、それ以前にワグナー
が妊娠していることが大きなテーマに肥大していく.
ショッキング的なラストシーンと、それからの行く先を観客に想像させる
手法は上手い終わり方だ.
かなり質の高いB級作品の感あり.
観て良かった….
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