「作品と作品の間に…4つの変奏」 目黒区美術館
目黒区美術館のコレクション展.
4つのキーワード「物語」「細部」「美術史」「快楽」に
ちなんだ近代日本作家の所蔵作品を展示.
藤田嗣治の作品が在ると聞きおよび訪ねてみた.
トップ写真の,藤田が渡航に使用したトランクをはじめ
作品は3点展示されていた.
「鶴」は極めて初期の作品で日本画調.珍しい一品.
「動物群」は中期のモノ,犬,猫,ウサギ,キツネ,燕…が
生き生きと走る姿が描かれている.藤田らしい作品.
「裸婦」はあの有名な“キキ・ド・モンパルナス”の裸体を
薄茶のカンバス紙に鉛筆でデッサンした作品.
ほぼ等身大の大きな絵.モノクロなのだが,金髪や唇,乳首の
色が想像できるような鮮やかな表現.さすが藤田だ.
面白いのはトップ写真の,藤田のトランク.
かなり年季の入った木製の大型トランク.
取っ手の部分のみ革製だが,使い尽くされた風情.
今どきの旅行好きのトランクと同じように
色んなシールが貼ってある.
藤田の当時の日本の住所,“百人町”の文字も見える.
初期の渡航は船だったのであろう○△丸と船の名もかすれて見える.
その時代性,渡航の数の多さ,藤田の生活の一端を
見られる貴重な遺品と思う.作品とはまた別な趣が在る.
藤田以外にも,岡田謙三の油彩や清原啓子のエッチングに感心した.
区立の美術館でも素晴らしい小品を持っている.
雨のそぼ降るなか,目黒川の新緑を眺めながら,
次の美術館へ….
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