原題:THE HUNGER GAMES 製作年度:2012年 製作国:アメリカ 上映時間:143分
父親が風邪を引き、長引いている.悪化もしないが咳が止まらない.
そんな状況で、父と夕食をしたが食欲もまああるようで一落着状態.
その夕食後のレイトショーで鑑賞したのは全米で空前の大ヒットを記録した
ティーンズ・サバイバル・アクション.本年117本目.
全米の若者から熱狂的に支持されたスーザン・コリンズの同名ベストセラーシリーズの映画化第1弾.
はるか未来の独裁国家を舞台に、テレビ中継の下で最後の一人になるまで殺し合いを繰り広げる
サバイバル・ゲームに、妹の身代わりとなって参加したヒロインの過酷な運命をスリリングに描く.
主演は「ウィンターズ・ボーン」のジェニファー・ローレンス、共演にジョシュ・ハッチャー ソン、
リアム・ヘムズワース.ウディ・ハレルソン、ドナルド・サザーランド、レニー・クラヴィッツ.
監督は「シービスケット」のゲイリー・ロス.
富裕層によって支配され、パネムという名の独裁国家と化したアメリカ.
そこで民衆の絶大な支持と人気を集めているのが、各地区から選出された12歳から18歳までの男女が
森の中で殺し合い、生き残った者に巨額の賞金が渡されるという殺人サバイバル
「ハンガー・ゲーム」だった.
まだ幼い妹がプレイヤーに選 ばれてしまったカットニス(ジェニファー・ローレンス)は、
彼女の代わりにゲームに出場することを決意.家族を養うための狩猟で鍛えた弓矢の腕と
持って生まれた鋭い勘を生かし、強豪プレイヤーを打ち倒していくが…….
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うーん、一言で言うなら「雑」な印象.
原作も雑なら、脚本も雑、演出も、音楽も、そして役者の演技も….
これが全米大ヒットとは、日本「海猿」の大ヒットと同現象であろう.
大衆からならずしも正ならず.ヒット作必ずしも良作に非ず.
「ウィンターズ・ボーン」で見せたジェンファー・ローレンスの素朴な一途さみたいなものは
本作でも発揮されているような気がする.次作も次々作もあるそうだから、
これから彼女の成長の姿を描いていくのであろう.
よくよく思えば、これは近未来SFなんだと思いつく.
ヴァーチャルな戦闘場環境や、CADデザインで実体化される怪物等々の
科学技術の進化は描かれている.が、それを統治する政治レベルの進歩はまるで無い.
むしろ退化の様相さえも見え隠れしていて、心傷む限り.
未来だろうと過去だろうと、変わらないのは人間の闘争心.24人の殺し合いに向けて、
刻々と飼育されていく参加者達の浅ましくも哀しい人間性が描かれていく.
主人公だって、同じレベルでストーリーは進んでいく.
意味も無い主催者側の思惑とゲーム自体への干渉が不愉快極まりない.
山火事を起こしたり、火球をぶつけたり….極めつけは主人公が怪我をすると
支持するスポンサーからパラシュートでたちまちに直る魔法の薬が到着したりするのを
見ると、唖然とするより、こけおどし的なストーリー仕立てに笑ってしまう.
次作は被支配者たる12地域の一斉蜂起でも描くのだろうか?
また、このせせこましいゲームのレベルに維持されるのなら、
次作はDVD鑑賞…にも値しないかもしれない.
ラストシーンの大統領(ドナルド・サザーランドだ!)の不遜な表情からいくと
せせこましいゲームが繰り返されそうな嫌な予感が…(苦笑).
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