映画「ルノワール 陽だまりの裸婦」…明るい光の中で….
原題:RENOIR 製作年度:2012年 製作国:フランス 上映時間:111分
火曜の夜、TOHO系はお安く観賞できるのを利用して、日比谷シャンテで本年139本目.
印象派の巨匠を描いたフランス映画.
印象派の巨匠オーギュスト・ルノワールの晩年を「黒衣の花嫁」「トト・ザ・ヒーロー」
のミシェル・ブーケ主演で映画化した伝記ドラマ.
彼のひ孫ジャック・ ルノワールの原作を基に、病に苦しむルノワールが苦境の中で
描き上げた最晩年の傑作“浴女たち”の誕生に秘められた物語を、
彼の最後のミューズとなった女性アンドレとの関係を軸に描き出す.
ヒロイン、アンドレ役はフランス期待の若手クリスタ・テレ.
監督は「メッセージ そして、愛が残る」のジル・ブルドス.
1915年、コート・ダジュール.晩年を迎え、病に冒され絵筆を持つことも困難になった
ルノワール(ミシェル・ブーケ).最愛の妻に先立たれ、そのうえ次男のジャンも戦地で
負傷したとの知らせまで舞い込む始末.
そんな失意のルノワールの前に、モデル志願の若い娘アンドレ…通称デデ(クリスタ・テレ)
が現われる.その美しさに思いがけず創作意欲をかき立てられたルノワールは、
彼女をモデルにした新たな裸婦像の製作に乗り出す….
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予想されたような、印象派の光の中の映像美.
郊外で老いたルノワールが絵を描く姿が光に包まれる….
その対象としてのデデの美しさは….
クリスタ・テレは一見細身でもボリューミィーな姿態.
その豊かな胸をおしげもなく画面にさらしてくれる.
けっきょく最後はルノワールの元を去ってしまうのだけど、
ルノワールは、「あのまろやかで豊かな胸が…」と惜しみまくる.
おいおい、胸だけかよ…(笑).
妻に逝かれたルノワールの家には女中や食事係やらで女だらけ.
若い女中はデデと供に絵のモデルになったりもする.
この女世界の狭さがデデを苦しめ、追い込んでいく….
彼女らの職業観においても、ただ裸になって体をさらすだけのモデルは
蔑んだものとされるらしい.そんな旧習の中でデデは戦う.
リュウマチで苦しむルノワールも印象的に描かれる.
歩くことはもちろん、絵筆も持ちづらくまでの病魔に苦しむ.
のちに腕に絵筆を縛って描いた事も有名だ.
作中でも、医師に歩く練習を迫れるが、歩くくらいなら絵をもっと描きたいと
主張するが、医師からは絵筆も持てなくなるぞと脅される.
脅されたルノワールはチ○ポに筆を縛って描くと言い切る(笑).
あくまでもの絵への執念を示すエピソード.
後に有名な映画監督となる、ルノワールの次男ジャンも登場.
戦地で負傷し帰郷するうちにも、中古屋で映画フィルムを購入したりして
その映画への傾倒を暗示する.
これという話しの破綻もなく、淡々と進んでいく脚本は
予定調和というか、穏やかな色合いの映像にふさわしい.
名画家の最期の状況を良く知ることの出来る作品.
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