映画「エル・クラン」…この“家族”に全世界、震撼.
原題:EL CLAN/THE CLAN
制作年:2015年 制作国アルゼンチン上映時間:110分
制作年:2015年 制作国アルゼンチン上映時間:110分
木曜の夜.仕事を終え、父の介護を済ましてから、TOHOシネマズフリーパス1ヶ月の第2弾、
おおたかの森で本年累積130本目の鑑賞.
一見ごく普通の裕福な一家が、実は家族ぐるみで身代金目的の誘拐を繰り返していた
という衝撃の実話を描き、2015年のヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞(監督賞)に
輝いたアルゼンチン製実録犯罪ドラマ.
主演は「瞳の奥の秘密」のギレルモ・フランセーヤ.
監督は「ハゲ鷹と女医」のパブロ・トラペロ.
軍政から民政への移行期にあった1980年代のアルゼンチン.
裕福でご近所の評判も申し分ないプッチオ家は、父アルキメデスを中心に平和で
幸せな暮らしを送っていた.
しかしマルビナス戦争(フォークランド紛争)の敗戦が引き金となり、軍事政権内で
働いていたアルキメデスは職を失ってしまう.ある日、アルキメデスは長男アレハンドロ
の友人を誘拐し、自宅に特設した専用の部屋に監禁する.
誘拐事件に街がざわつく中、プッチオ家ではいつもと変わらない穏やかな時間が
流れていくのだったが….
以上は<allcinema>から転載.
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アルゼンチンの映画というと最近では「人生スイッチ」が衝撃的だった.
本作も負けず劣らず衝撃的で、しかも実話に基を置くというから驚き.
最初に大統領の独裁軍事政権時の反省演説から始まるのだが、この時期に
端を発する“事件”を描いている.姿は見せないが黒幕風の「大佐」が暗躍
するさまも描かれる.
厳格な父親:ギレルモ・フランセーヤを中心に家族が主役をこなす.
長兄は国外に居るらしく、次男はラグビー界のスター、三男や娘たちも
二人と大家族だ.普段の生活は敬虔なクリスチャンそのもの.
なのだが、その実、「国民戦線」という名のもとに誘拐業を営んでいる.
やり方は南米らしい荒っぽいやり方で、標的は金持ちだけ.
足がつくのを嫌がるが為、最後には人質も殺してしまう.
親戚一同と息子たちと男らがこの家業に精を出しているが、母親も含め
娘たちは関与していないというのが、またこの父親のポリシー.
次男はラグビー界でスーパースターの地位を得て、恋人もでき、この稼業から
足を抜けたがる.事実、長兄もそれが嫌で国外へ逃亡しているし、三男も
ニュージーランド?へ渡り養羊業に従事してしまう.
まっとうな倫理観の持ち主なら誰しも否定的なこの稼業、父は狂信的な信念で
継続する.足抜けしようとする次男を「俺を見捨てるのか」と攻めたてる.
そうした誘拐業もずさんなやり方ゆえ、足がついて警察に追われることとなる.
なんと、父親は秘密警察の肩書を持っていた事が判明.
あぜん、慄然…冒頭の大統領の演説…悪しき振る舞いということが理解できる.
そこで父の元に「大佐」から電話が来る.「もうかばいきれない」と.
そうして迎える最後の結末は….
エンディングスクロールが流れる傍らに主人公たちの“その後”の人生がテロッ
プで流れる.
なんとこの父親は囚役中に司法試験に合格し弁護士になったと.
これまた執念の人であることを実践したのだけど、
84歳で死亡した時誰も看取る者は居なかった…そう.
さもありなん、それも人生…だ.
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