原題:THE MAIN BATTLEGROUND OF THE COMFORT WOMEN ISSUE
制作年:2018年 制作国:アメリカ 上映時間:122分
キネマ旬報シネマでの2本目は、ブロ友:じゃむまるさんのお勧め作品.
本年累積104本目の鑑賞は硬派?のドキュメンタリー.
これが長編デビューとなる日系アメリカ人のドキュメンタリー作家ミキ・デザキ
監督が、日本ではイデオロギー的な対立となってしまっている従軍慰安婦を
めぐる論争に真正面から切り込んだドキュメンタリー.
アメリカ各地で慰安婦像設置の動きが活発化し、慰安婦問題をめぐる論争が
アメリカをも巻き込み加熱していく中、ミキ・デザキ監督はこの終わりなき論争に
終止符を打つべく、日・米・韓における論争の中心人物たちを訪ね、互いに
対立するそれぞれの主張を丁寧に聞くとともに、一つひとつの論点について
客観的な検証を重ねていく.
以上は<allcinema>から転載.
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極々最近、本作の監督が何人かの出演者に名誉棄損で訴えられたと聞く.
単なるインタビューに答えた映像を、映画にまでされて心外だそう.
プロの論者たるもの、どんな場であってもその発言には責任をもつべきだろう
と思うのは私だけではないと思うが.
さて、日韓最大の難問とも言える「慰安婦問題」について、おびただしい
ニュース映像と記事の検証と、そして関係者?のインタビューの切り取り
(これは肝心だ)を交えてのドキュメンタリー.
多くの日本人は「もう蒸し返して欲しくない」とお考えだろう.私もそうだった.
これを観るまでは.本作を観て少し気持ちが変わった. 蒸し返すしかないし、
終われないし、まだ始まったばかり…のような気が しているのだ.
慰安婦たちは「性奴隷」だったのか?
本当に20万人も居たのか?
「強制連行」はあったのか?
何故元慰安婦たちの証言はぶれるのか?
日本政府の謝罪と法的責任とは?
これらの疑問に対して、ジャーナリスト、歴史学者、弁護士、衆議院議員、
政治学者、社会学者、元新聞記者…たちが丁々発止と持論を繰り広げる.
何が正しくて何が間違っているかは、本作の制作者は意図をもって編集して
いるがゆえ、見えてくるようになる.それを信ずるか信じないかはまた観客に
ゆだねられている.
幾つか考えた事を以下に.
・公文書だからといって全てを表すわけでは無い.これまた個人が書いた
記録でしかありえないののだから.
・根拠の無い、弱い数字は使わない.こけおどしにしかならない.
・何を言っているかより、誰が言っているかが重要.
・人は立場でものを言う.立場がそう言わせる.
本作で大事と思ったのは、戦後教育の修正論者の異常性.
現自民党政権と神道の結びつきで極右をはる日本議会の
存在とその異常性を指摘していることは評価できる.
主戦場とは良く名付けたものだ.慰安婦像を米国に建てる論議が
かまびすしいのだけど、米国内への飛び火や本作がアメリカ製であることに
違和感がある.
主戦場は日本であるべきなのだろう.
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