制作年:2015年 制作国:日本 上映時間:114分
父の年金の処理や確定申告の準備で市役所や銀行に行く仕事に追われている.
やっと、あとは確定申告へ税務署へ行くだけ…、ほっとした気持ちで柏のキネ旬報
シネマで観たのはベトナムを舞台にした邦画.本年通算25本目の鑑賞.
ハノイ在住の日本語教師・小松みゆきのエッセイ『越後のBaちゃんベトナムへ行く』を
松坂慶子と草村礼子の主演で映画化した日本・ベトナム合作映画.
共演は松金よね子、柄本明、奥田瑛二、吉川晃司.
監督は「津軽百年食堂」の大森一 樹.
ベトナムのハノイで日本語教師として働く佐生みさお.父の訃報を受け、故郷の新潟に
戻った彼女だったが、驚いたことに、母シズエは認知症を患い、夫の死さえ理解できて
いなかった.
後妻として家に入ったシズエの血縁者は自分一人だけ.そこでみさおは、シズエを
ベトナムに連れて行き、一緒に暮らす決意をする.
やがてみさおは様々なトラブルに苦労しながらも、親身になって支えてくれるベトナムの
人々のあたたかさを実感していく.
以上は<allcinema>から転載.
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いきなりのハノイ市内シーン、車からの撮影はなんだか素人のビデオ撮影みたいな
出来で、観るのも恥ずかしい.撮ったのはベトナム・カメラ・スタッフなのだろうが、
大森一樹、使うなよ、こんなショット!
どのシーンも平板的で、なんの新味もない.ついでに音楽もありきたりで、
けっこう酷い….ベトナム自体の魅力はそれなりに表現はされているのだけど、
名物の“フォー”をベトナムうどんと表現しちゃうセンスには、ちょっと引いてしまう.
還暦も越えた松坂慶子がヒロイン.認知症の母親の面倒をみるシーンでは
ついつい、男手ではあるが、自分の身に当てはめてしまう.
父の葬儀において、誰が死んだかも判らぬような認知症の母親を気合いだけで
自らが暮らすベトナムに連れて行くという無茶ぶりに驚く.
事故で母が全身麻酔の手術を受け、その後の介抱ぶり、介護ぶりには身につまされる
ものがある.介護おむつを嫌がり、“便所に行きたいっ!”と数時間毎に泣き叫ぶ母親.
思わず、松坂は首を絞めてしまうのではないだろうかと恐怖におののき観てしまう….
けっきょくは、ベットにヒモで縛り付けただけど、幽鬼せまる松坂の演技には
やりきれない悲衰感と身につまされる緊迫感が漂う.観るのが辛いのだ.
同じく認知症を患うベトナムの代表的な大女優のエピソードなども披露はされる
のだけれども、美談過ぎて付いていけない.
第2次大戦後の残留日本兵と引き裂かれたベトナム母子のエピソードも
とってつけたような位置付けで、何を訴えるでも無い脚本にはがっかり.
友情出演だという吉川晃司の出演シーンはいったい何なだろう?
空港に降りたって、ハノイ市内へのタクシー風景とホテル内のシーンだけ.
むろんセリフは一切ない…意味なしのシーンと思う.
救いは、助演;草村礼子の枯れた痴呆症の演技、その感情を越えた笑みの魅力は
値千金、素晴らしいものが在る.言葉の通じないベトナム人も魅了するその笑顔は
すばらしい演技だ.
なんだか、スカスカの内容でみせられた感が残る.
大森一樹、こんな手抜きの監督だったけ??
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