映画「ザ・クリエイター 創造者」…まあまあ、そこそこの出来?
原題:The Creator 製作年:2023年
製作国:アメリカ 上映時間:133分
あのギャレス・エドワーズの脚本・監督となると観ない訳にはいかない.
公開初日に、遠征して LASER-IMAX で観賞したのは本年度累積249本目.
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「ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー」のギャレス・エドワーズが監督・脚本
を手がけた近未来SFアクション.
2075年、人間を守るために開発されたはずのAIが、ロサンゼルスで核爆発を
引き起こした.人類とAIの存亡をかけた戦争が激化する中、元特殊部隊の
ジョシュアは、人類を滅亡させる兵器を創り出した「クリエイター」の潜伏先を
突き止め、暗殺に向かう.
しかしそこにいたのは、超進化型AIの幼い少女アルフィーだった.ジョシュアは
ある理由から、暗殺対象であるはずのアルフィーを守り抜くことを決意するが….
「TENET テネット」のジョン・デビッド・ワシントンが主人公ジョシュアを演じ、
「インセプション」の渡辺謙、「エターナルズ」のジェンマ・チャン、「アイ,トーニャ
史上最大のスキャンダル」のアリソン・ジャネイが共演.
以上は《映画.COM》から転載.
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あの「ローグ・ワン」の感動からハードルを上げすぎて観てしまったが、
まあまあの期待感を満足させる出来ではあったかなと感じた.
AI徹底排除のアメリカ側と民族や言語だけでなくAIをも受け入れている
ニューアジア.モノを言わない機械に自分達のミスを押し付け、AI暴走を
偽装し排除に動く人間のズルさをアメリカ主体で描いた自虐さは面白い.
タイ、インドネシア、カンボジア、東京などごっちゃの一緒くたのニュー
アジアなのだけど、現時点での人工1位と2位のインドと中国は置いて
いかれているのが、かなり不自然に感じた.
ニューアジアでは日本語が共通語みたいに扱われ、施設の各所に日本語
標記が見られる.ギャレス・エドワーズ監督の日本好きは判るのだけど、
いくつかのSFでも表現されているとおり未来の鍵を握っているのは中国
だと思うのだ.好きか嫌いかではなくてだ(笑).
ニューアジアに於いてはそれぞれの地域でAIと共存し、袈裟着てチベット密教
みたいなのを信仰までしているのもおり、人間でもAIであっても生きていく上には
宗教は欠かせないものかと想いが強く迫る.
近未来.A.I.の生産を止めないニューアジアとアメリカは戦闘状態にあり、
アメリカは軌道上から破壊攻撃をする軍事ステーション「ノマド」で戦局を
有利にしていた.
物語はそのノマドに対抗する、ニューアジア側のクリエイター(創造主)が
新たに開発したAI型兵器を排除すべく、元米軍人のジョシュアが敵陣に
潜り込む…だがその究極兵器の正体は、あどけない少女型のシミュラント
(模造人間)だった.
映画はノマドによるA.I.勢力の一掃というタイムリミットを設け、その過程で
A.I.少女誕生の目的と製造の秘密、そしてジョシュアの心変わりを解き明かし
ていく.
シミュラントの造形も特徴的で、それが人間社会に溶け込んだグラフィック
は異様だが、誰も見たことのない驚きに満ちており、本作のオリジナルSFと
してのアドバンテージが感じられる.
シュミラントとしての代表格に渡辺謙演ずるハルン:ニューアジア軍のリーダー
役なのだが、流暢な英語を話すかと思うと、興奮すると日本語が飛び出して
しまうのには、役作りとは言え笑ってしまう.
AIと人間の対立、分かりやすい設定に偽りない真っ直ぐな心の表現.
判りやすい設定とお決まりの結論.
仁智をこえたAIに対して、人間がすることは虐殺だけ.AIは進歩していくが
人間は退行するばかり….
ラストは結局、米飛行基地である、ノマドとその乗員を消滅させてしまうのだけど、
かなり「ローグ・ワン」の最後を連想させるラストシーンにはワンパターン感があり、
苦笑せざるをえない.
「ローグ・ワン」ではその物語の発展として反転攻勢があるのだが、
本作ではノマド破戒という中途半端な結末で、その後の人類とAIがどうなるか
は明確には示されないが、あの少女AI アルフィーの勝ち誇った笑顔を見ると、
ニューアジアの反転攻勢が起きるのだろうか?
争いを好まぬニューアジア、別な形の平和を迎えることが出来るのか?
気になる部分である.
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