久々に神楽坂へ進出.お気に入りの“ギンレイホール”にて
本年39本目の鑑賞.昨年見落したフランス映画.
ジャン・ベッケル監督が穏やかな光に包まれた牧歌的な
フランス・カンパーニュを舞台に中年男2人の
友情と人生を詩情豊かに綴るヒューマン・ドラマ.
主演は副長の大好きな作品「ぼくの大切なともだち」の
ダニエル・オートゥイユと「サン・ジャックへの道」の
ジャン・ピエール・ダルッサン.
都会生活に疲れ果て、生まれ故郷カンパーニュの屋敷で
田舎暮らしを始めた中年の画家.何年も放置された庭を
手入れするため庭師を雇うことにした.
その求人広告を見て屋敷にやって来たのは、
なんと彼の小学校時代の同級生だった.
仕事への情熱を失い、妻とも離婚調停真っ只中の画家とは対照的に、
地元に腰を落ち着け、勤めていた国鉄を退職して念願の庭師の仕事を
始めた彼は、愛する家族たちと慎ましくも満ち足りた生活を送っていた.
そんな2人はすぐさま意気投合、昔の思い出やこれまでの人生を
尽きることなく語り合い、いつしか互いにかけがえのない存在
になっていくのだが….その後にドラマが始まる….
華やかなようなフランス人の生活と思いきや、
この作品に出てくる庭師の様な生活が、ごく一般的な
フランス人像の様な気がする.
副長の仏人の友人にもこういうタイプが多い.
淡々と自然に囲まれた生活を送り、毎年同じ場所にバカンスに
訪れ、同じような単調な生活を送る….
かくも単調、でも自然に囲まれた、ある意味で豊かな生活の
一旦に触れながら、考え方や生活スタイルが変化していく主人公.
都会の生活に浸りきった妻とは離婚争議中.(トップ写真の二人)
離婚はしたくない…けど愛人は囲いたい…(笑)、
わがままな主人公の画家.さめきってしまった妻….
転じて、純朴というには痛々しい庭師の生活とその心情.
仏国鉄のS.N.C.Fを組合問題で早期退職
(これもまた、実にフランスらしい).
趣味と実益を兼ねて庭師として余生を送る….
その自然に対する姿勢、夫婦間の微妙な関係、
実にフランス人らしい生活を描ききっている事に感心.
けっしてハッピィエンドでは無いが、ほのぼのとした気持ちに
させられる後味の結末.
気持ちが落ち着くという意味では今年No.1の作品.
とても好きな作品.
小さな小屋:ギンレイホールで観たという事も一因して
いるかもしれないが、とにかく、ほのぼのとした暖かい気持ちで
冷たい雨降る神楽坂に傘もささず、出て行ってしまった….
2本立てで¥1500、
えらく安いお買い得な買い物をした気分.
申し訳ない….
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