原題:A STREET CAT NAMED BOB
制作年:2016年 制作国:イギリス 上映時間:103分
火曜の父の介護を終えてチョイ買い物に寄った柏の葉SCのシネコンで見かけた猫映画.
これは観なきゃね(笑).本年累積123本目の鑑賞はイギリス作品.
どん底のストリート・ミュージシャンと一匹の野良猫の驚きと感動の実話を綴った
世界的ベストセラーを映画化したハートウォーミング・ストーリー.
主演は「タイタンの戦い」のルーク・トレッダウェイ.
共演にルタ・ゲドミンタス、ジョアンヌ・フロガット、アンソニー・ヘッド.
また猫のボブ役にはボブ本人が起用され、映画初出演とは思えない見事な演技を披露している.
監督は「007/トゥモロー・ネバー・ダイ」「シックス・デイ」の
ロジャー・スポティスウッド.
イギリス、ロンドン.プロのミュージシャンを目指すも、夢破れてホームレスとなった青年
ジェームズ.薬物依存からも抜け出せず、父親にも見放されて、その日の食事にも事欠く
どん底の日々を送っていた.
そんなある日、茶トラの野良猫と出会ったジェームズ.ケガをしていたその猫を、
なけなしの金をはたいて助けてあげると、すっかり懐いてジェームズから離れようとしない.
野良猫はボブと名付けられ、ジェームズの肩に乗ってどこへでもついていくようになる.
すると、これまでストリートで演奏しても誰も立ち止まってくれなかったジェームズの周りに
人だかりが出来るようになる.
そんな一匹の猫とストリート・ミュージシャンのコンビは、たちまち世間の注目を
集めるようになるのだったが….
以上は<allcinema>から転載.
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原作は本国イギリスではハリポに匹敵するほどのベストセラーだそう.
日本でも続編含めて発売されている.もちろん未読だ.
本作観ればその内容はほぼ把握できる.
ヤク中の青年と野良猫の成り上がり物語、と言ってしまうとそれで終わっちゃう(笑).
もう少し書かないとね.猫好きが猫もの映画を観るとついつい辛口になっちゃう.
実際を知るから厳しい目で観てしまうのだよね.
本作は突っ込みどころはほぼ無い.主演ボブの容姿と演技?の
良さに救われて、口うるさい猫好きにも心地よい鑑賞が出来る.
ボブと名付けられた縞の野良猫、本作中では“Ginger Cat”なんて
呼ばれていたから、イギリスでは縞猫をそう呼ぶのかな?
本物のボブは12歳らしく、貫録の演技を見せてくれる.
エンドクレジットでは他に5匹の役者猫名がクレジットされていた.
出会いの頃と行方不明から戻ってきた時の縞模様が違うのには
さすがの副長も気が付いた.ちょっとずさんな演出かなと感じた.
けっきょく文句つけてるね(笑).
要は“肩乗り猫”なのである.日本でもうけ狙いでよく人通りの多い
場所にこれ見よがしに現れる輩がいるが、本作はそれを売りにして
ストリート・シンガーしちゃう話.なんだか上野辺りにも居るような…(笑).
バスで移動中でも、主人公ジェームズが歌っている時でも、
常に肩に乗っている特技は貴重かも.
街頭で歌っている最中に、犬連れの陰険な男が犬に足元におしっこさせたり、
ボブに犬をけしかけたり…犬飼いに対する偏見いっぱいのシーンがある.
猫好きに特有の犬嫌いの原作者の表現なんだろうけど、これは実話だからね、
実際にそういう事件があったのだろう.まぁわからんでもないが…(苦笑).
エピソードで面白いのは、ジェームズの住み家でのネズミとの共生.
もちろん、ボブはこのネズミを捉えようとするのだが、なかなか
すばしっこいこのネズミとボブの関係はまるで「トムとジェリー」のよう(笑).
飼われているようで主従は無いというのが猫飼いの真骨頂と副長は思い込んでいる.
主人公もボブの存在に励まされ、自立の道を歩み始めるし、
ヤク中毒からも脱しようと決意する.
ことここに描かれるイギリスのヤク中毒状況とその救済機関の活動には驚かされる.
機関の担当者ヴァル:ジョアンヌ・フロガットの尽力にも頭が下がる.
廃屋だけど住み家を斡旋したり、職探しを手伝ったり、ヘロインよりも軽い麻薬:メタドンを
毎日無償で提供したり….この処置には疑問がある.
ヘロインより依存性が高く、止めるには相当の努力が要るというこの麻薬メタドンを
ヘロインより有害性が少ないという理由だけで毎日投与するこの処置は如何と
思うのだが.
いずれにしても、ジェームズの友人たちがヘロイン中毒でコロコロ死んでいく状況は
イギリスというか欧州の暗い闇の部分であることは間違いない.
猫飼いの短視眼に加えて、父親に対する見方も甘いのがこの原作者の特徴.
幼い頃オーストラリアで両親は離婚して主人公は父子二人の生活になるのだが、
そこからどうヤク中に落ちていくかは語られない.
が父との不仲の関係はおおよそ推測は出来ようというもの.イギリスに戻ってからも
父は息子の近所に住んで様子を伺っている?父の想い、立場を良く理解しないこの主人公は
最後には父の告白により、その想いの一端を知ることとなる.親には親の立場、
子には子の持ち分がある…という事を今更ながら描く脚本はちとくどい?
主人公が話すのを聞いて友人はすぐにオーストラリア在住だったことに気付く.
副長は英語の耳が出来てないからその聞き分けが出来ない.
やっぱりオーストラリア訛りはそんなに凄い?そんなエピも記憶の片隅に残ったしだい.
邦題には余計な副題が付いていて邪魔なことこの上ない.
なんというセンスなのだろう.手のひらを差し出せば、そこに前足を合わせるのは自然の理.
それを“ハイタッチ”と騒ぐのはいかがなものか?
原作のおぼつかなさを脚本で補完したような印象の作品.
心に残るのはやはりボブの演技かな?
[副長日誌補足]
本作品鑑賞前の予告編たちに衝撃を受けた.
先週あれほど苦労して?渋谷まで観に行った
スペインSF映画「スターシップ9」が9月から
大々的に松竹系で公開と言うではないか….
ちょっと待てば好かったんだね(苦笑).
こんな調子でロシア製SF「アトラクション制圧」も
公開して欲しいぞっ!(笑).
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