製作年度:2014年 製作国・地域:日本 上映時間:116分
火曜の夜にたまったポイントでタダ観賞したのは大嫌いな監督の作品.
本年75本目の観賞.
日本を代表する名カメラマン、木村大作が「劔岳 点の記」に続いて撮り上げた監督第2作.
標高3000メートル級の立山連峰を舞台に、父の急死をきっかけに山小屋を継ぐ決心をした
金融マンの青年が、不慣れな山での生活に奮闘する中で、改めて父や家族と向き合う姿を描く.
主演は「ノルウェイの森」の松山ケンイチ、共演に蒼井優、豊川悦司、檀ふみ、小林薫.
原作は笹本稜平の同名小説.実際に立山連峰で延べ60日に及ぶ過酷な山岳ロケを敢行し、
臨場感あふれる演技と美しく雄大な大自然の風景をカメラに収めた.
立山連峰で山小屋“菫小屋”を営む厳格な父・長嶺勇夫に育てられた享は、
社会人になってからはそんな父から距離を置き、東京でトレーダーとして
忙しい毎日を送っていた.
そんなある日、父の突然の訃報が届く.帰郷した享を母の菫や勇夫の山仲間たちが出迎える.
その中に一人の見慣れない女性、高澤愛がいた.彼女は心に深い傷を負い、山で遭難しかけ
たところを勇夫に助けられ、以来、勇夫と菫のもとで働いていた.
勇夫がいなくなった今、誰もが菫小屋の存続を諦めかけていたとき、享が都会生活を捨てて
小屋を引き継ぐと宣言する.こうして愛とともに菫小屋の経営に乗り出した享だったが、
案の定、過酷な山での生活に悪戦苦闘の日々が続く.
そんな彼の前に勇夫の友人だったという頼もしい山男のゴロさんこと多田悟郎が現われ、
享を力強く支えていく.
以上は<Allcinema>から転載.
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なんで木村大作監督が嫌いかというと、撮影者としての質が高いのは良しとしても
発言の汚さとその品格のなさ、監督としての資質の貧しさ.
前作
「劔岳 点の記」でもへきへきとした覚えがある.
松山ケンイチ、蒼井優…といった配役の良さにほだされて観たというのが本音.
演出の稚拙さ、脚本のまずさを役者群の演技でカバーしている感がある.
“山”の画面の美しさはとびきりだ.珍しい貴重な映像も長い時間カメラを回したからこそ
得られたのだろうと推測する.スティルみたいな映し方もこの監督の特徴.
が、惜しむらくは“人”が描けていない.演出が古臭いのとセリフも陳腐なものが多い.
夫を山で失った妻:壇ふみや主人公:松山ケンイチの描き方が通り一遍で深堀り出来ていない.
出番は少ないが、死んでしまう小林薫やその友人の豊川悦治の人生の描き方も薄っぺらだ.
唯一、蒼井優がその演技力で孤立無援の少女愛役を演じきってみせるが孤軍奮闘の感あり.
豊川悦治が山でたばこを吸うシーン、ちゃんとポケット灰皿を出して吸殻をしまう
このエセ小細工シーンがいかにもこの監督らしいと感じた.山は汚しませんよ、ってね.
汚した山の空気はどう償うのだ?
松山ケンイチの幼なじみの家具作りのシーンもしかり.妻の安藤サクラの無表情の演出には
呆れてしまった.活舌の良い女優さんなんだからもっとしゃべらせればいいのに.
その他役者の使い方やこれ見よがしの古い演出、とどめは50年前かと思うくらい古臭い
オーケスレーションの使い方.前時代的でグロいと感じた.
そんな古くさい劇中音楽に代えて、ラストは取って付けたような、
山崎まさよし「心の手紙」.
あざとすぎ、ウケ狙いの極致.全曲山崎まさよしに入れ替えろっ!
じゃあ、結局は“山”の美しさだけかい…と言うことになるのだが、
これが木村大作だからこそと言いきれるのだろうか?
天狗になって居ないか?の疑問符がついてしょうがない.
辛い記事になってしまったけど、観て不愉快になったのも事実.
やはりこの監督の作品は今後絶対見るまいと心に誓った.
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