初公開時期:2010年10月 上映時間:133分
いつも書いていることだけど日本の映画料金は高過ぎると思っている.
昨日はシニアの父と会員のポイントを使って2人とも千円で観た.
今日もブロ友:めーちゃん。とオーバー百歳特典で千円鑑賞した本年103本目.
江戸時代の山あいの村を舞台に、ある事件が原因で深い山の中で
野性的に育てられた奔放な少女と将軍の血を引く孤独な青年が
繰り広げる身分を越えた純愛とその顛末を描く.
宇江佐真理の同名時代小説を映画化.岡田将生と蒼井優主演で、
共演に小出恵介、柄本明、時任三郎、宮崎美子、板東美津五郎.
監督は「余命1ヶ 月の花嫁」の廣木隆一.
将軍家に生まれ重い宿命を背負いながらも心に病を抱えて生きる孤独な若い殿様、
清水斉道(岡田将生).家臣・瀬田助次郎(小出恵介)が語る“故 郷の瀬田村には
天狗がいる”という話に興味を持ち、静養のため瀬田村へと向かう.
道中“天狗の棲む山”にさしかかると、家臣の制止を振り切り、ひとり山 へと
馬を走らせる斉道.そこで出会ったのは雷(蒼井優)という山育ちの若い娘だった.
天狗の正体が雷と知り、そのことを助次郎に話したところ、助次郎は
乳飲み子の頃に藩の政争に巻き込まれ掠われた妹の遊に違いないと確信する.
晴れて村に戻り斉道と再会する雷.身分がどういうものかも分からないことで
殿様相手にも心の赴くままに接していく雷だったが….
日本版ロミオとジュリエットと言ってしまうとそれで終わってしまうが、
身分違いの恋以外にも、育ての親の愛、生みの親の深い愛、
そして家臣がつくす殿様への奉仕の精神…と様々な日本人らしい
細かい心の表現が描かれていて感心する脚本.
タイトルである“雷桜”…雷を受けた桜の上に芽吹いた銀杏との合体した巨木、の姿や
空撮を多用した自然の風景や馬で走る姿が美しい.まだ日本にこんなロケが出来る場所が
残っているんですな…山梨県というクレジットがでていたけど.
意外と(失礼)、熱演の岡田将生に加えて、ほとんどスッピン仕様の蒼井優の演技はさすが.
別れのシーンではそれこそ鼻水まで出した(ように見えた)泣きざまにもらい泣き.
昨日の「桜田門外…」のハセキョウ、子供店長の嘘泣きを見たばかりに、その違いに
演技力の差をまざまざと実感.上手い役者は涙だってしょっぱく見せる.
このところ、映画もDVDも時代劇ばかり観ているので割腹シーンは
いやと言うほど見てきたのだけど、今回の柄本明にはその意外性も手伝って
素晴らしい腹のかっさばき方に感嘆.顔の演技…血液がみなぎって目が血走り
鬼気まさる表情に『よっ、柄本屋っ~!!』と大向こうから声をかけたくなる.
どうしたらああいう演技ができるのだろう.一生忘れないかも.
ラストシーンの雷桜の空撮シーンも見事(といっても桜はCGだろう)で、
エンドの曲、「心」舞花唄でしんみりと終わる.
予想以上の出来で(あまり期待していなかった?)、大満足の作品.
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