原題:SOURCE CODE 製作年度:2011年 製作国:アメリカ 上映時間:93分
どうしても観たくて仕方なかった作品を初演の金曜の仕事後のレイト・ショーで.
本年124本目の鑑賞は、副長が愛して止まない「月に囚われた男」の
ダンカン・ジョーンズ監督の第2作目.
デビュー作「月に囚われた男」で注目を集めたダンカン・ジョーンズ監督の
ハリウッド進出第1作となるSFサスペンス.列車爆破事件の犯人を見つけるべく、
特殊な装置で爆発8分前の乗客の意識に入り込み、事件の真相に迫っていく姿を描く.
主演は「ド ニー・ダーコ」「ブロークバック・マウンテン」のジェイク・ギレンホール.
共演にミシェル・モナハン、ヴェラ・ファーミガ、ジェフリー・ライト.
列車の中で目を覚ましたコルター・スティーヴンス(ジェイク・ギレンホール)は、
見知らぬ女性(ミシェル・モナハン)から親しげに話しかけられ当惑する.
ほどなく列車内で大爆発が起きる.
再び意識を取り戻すと、そこは軍の研究室の中.彼が体験したのは乗客全員が
死亡したシカゴ郊外での列車爆破事件直前8分間の犠牲者の意識の世界だった.
それは、次なる犯行予告の時間が迫る中、軍の特殊プログラムによって死亡した
乗客の意識に入り込み、列車内を捜索して犯人を特定しようとする極秘ミッションだった.
大役を任されたコルターだったが、列車内にとどまれるのはわずか8分.
そのため何度も意識を8分前に戻しては爆破の恐怖に耐えながら、
徐々に犯人へと迫っていく.
出だしはシカゴ郊外の風景から始る.高速道路、ビル街、そして走る列車.
俯瞰した映像が素晴らしい.湖に飛ぶ鴨を眺めながら、脇を走る列車のアップへ.
列車は2階建ての大振りで無骨な車両.いかにもアメリカ大陸風.
日本人のセンスからは考えられない程、不細工(笑).
その列車の中の乗客の意識へいきなり侵入し、
主人公が覚醒して、あわてふためる処からこのループストーリーが始る.
そして…、その8分後に列車は大爆発を起こし乗客全員が死んでしまう.
主人公は軍のカプセル状装置に戻ってきて、混乱する意識の中で
オペレ―ターのグッドウィン大尉(ヴェラ・ファーミガ)と対話する.
このヴェラ・ファミーガが実に好感のもてる女将校、魅力的.
外観は単なるバツイチのおばはん.
爆発する列車とこのカプセルの間を何度も行き来する主人公に
“この世”で接触するのは彼女と計画の主宰者ラトレッジ博士(ジェフリー・ライト)だけ.
彼女は主人公のサポーター役を勤める.しかもラストで重要な鍵を握るキーウーマン.
極めてテンポよく、現実“この世”と列車の中の“あの世”の往復を繰り返しながら、
主人公の履歴や、抱き持つ父親への悩み、そしてこの“SOURCE CODE”という
このミッションの概要が徐々に見えてくる.
典型的な、SFのパラレルワールドのループもの.
ダンカン監督は前作「月に囚われた男」で古典的なSFに挑戦し
見事、拍手喝采を浴びてこのハリウッド進出を果たした人.
今回も、見事に古典的SFテーマに挑んでくれている.
徐々に明らかになる事実の明かし方も前作に似ている.
最後に、「あぁ、そうか」と思わせ、最後の最後に
このタイムループをちょいとねじれさせる.
そこに絡ませる、人間の感情の表現にまた感動.
8分間、繰り返し合う事で目覚める恋愛感情、
気持ちを伝えられなかった父親への悔いの感情、
そして、ミッションの中で信頼し合う感情….
上手いっ、副長久々にうなってしまった.
暗闇の小屋の中で、エンドスクロール中に両手が上がってしまった.“お手上げ”.
完敗だった.上手過ぎるこの造り、脚本、配役そして映像.
まぎれなく、今年の副長のベスト・フェイヴァリット作品♪
音楽はクリス・ベーコン.
妙に心をざわめかせる旋律と穏やかなKbdsとストリングスの混成.
ダンカン監督はなにせデビット・ボウイの息子だ、音楽にも手を抜かない.
邦公開元が準備したキャッチコピー、
“警告:このラスト、映画通ほどダマされる。”はホントに情けない.
題名もしかり.原題“SOURCE CODE”はこのミッションの呼び名.
この原題のままが味わいあると思うが….
ダンカン監督の第3作が楽しみ….
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