映画「LUCY/ルーシー」…人間の脳は10%しか機能していない.
原題:LUCY 制作年:2014 製作国:フランス 上映時間:89分
日曜のお昼、川崎のシネコンで溜まったポイントでただ観賞.本年104本目
「レオン」「ニキータ」のリュック・ベッソン監督がスカーレット・ヨハンソンを主演
に迎えて贈るヒロイン・アクション.新種ドラッグの影響で脳機能が驚異的に覚醒し、
超人的な能力を発揮し始めたヒロインの暴走の行方を描く.
共演はモーガン・フリーマン、チェ・ミンシク、アムール・ワケド.
訪れた台北のホテルでマフィアの闇取引に巻き込まれてしまったごく平凡な女性ルーシー.
体内に新種の麻薬が入った袋を埋め込まれ、運び屋として利用されてしまう.
ところが、袋が破れて謎の物質が体内にあふれ出し、彼女の脳に異変が生じてしまう.
通常の人間は脳の潜在能力の10%しか活用できないが、ルー シーの脳はそれを
遥かに越えて覚醒を始めたのだ.
マフィアの追手を易々とかわし、脳科学の権威ノーマン博士とコンタクトを取るべく
パリへと向かう.その間にも、脳の覚醒は留まるところを知らず、いつしか自分でも
制御できなくなっていくルーシーだったが….
以上は<allcinema>から転載.
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ある意味でリュック・ベンソンらしくて、リュック・ベンソンらしくない作品.
余計な説明のない、テンポの良さやスピード感あふれるカーアクション、
暴力的とも言えるアクション表現は従来のリュック節だ.気持ちが良い.
が、主人公の無機質な扱いや深遠っぽいテーマの扱い方には戸惑いを
おぼえる.なにか違和感がつきまとうのだ.
最初は取り乱しっぱなしで感情的なルーシーが脳の覚醒度に比して、
無感情、無表情、クールになっていく.これはこれでヨハンソンの演技力の見せ所であろう.
テーマとしての見せ所は、ノーマン博士(モーガン・フリーマン)とルーシーの
面会、対話のシーンなのではないかと思う.
覚醒が進むにつれ、知識の増大に戸惑いさえも覚え、残された寿命の
行き先を思いあぐねているルーシーと、今まで自分が立てた仮説だけの
脳の覚醒論を目前でその実践を目の当たりにして戸惑うノーマン博士.
どうすればいい、と問うルーシーに対してノーマン博士は細胞が二つに分かれ、
生物として成長する時から、種の保存としてあるのは“残すこと、伝えること”と説く.
現世代は前世代の遺産を上積みし次世代に引き継がなければならないと.
ここに本作品というか脚本のキモがあると見た.
脳が100%覚醒したら、生物としての実体は恐らく消散すると予想される.
その時、ルーシーがとった行動は….
ある意味で帰結的なエンディングで納得させられる.
私はこれで好いと思った.
音楽はエリック・セラ.「グラン・ブルー」や「ニキータ」、「レオン」…を担当の名人.
ポップで粋なオーケストレ-ションで嬉しくなるBGMばかり♪.
粋なスカヨハの姿態と演技、深遠なSFテーマの片鱗、でそれなりに楽しんだ作品.
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