映画「ブルーピリオド」…眞榮田郷敦が好演っ!
製作年:2024年 制作国:日本 上映時間:115分
今はもう付き合いが無くなってしまったが、昔のブロ友で芸大出身の
美術家と親交があった.当時から芸大の話しをよく聞かされた.
そんな事を思い起こさせる作品と遭遇.公開初日にTOHOおおたかの森
で観賞したのは、本年度累積180本目.
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「マンガ大賞2020」を受賞した山口つばさによる人気漫画を実写映画化し、
空虚な毎日を送っていた男子高校生が情熱だけを武器に美術の世界に
本気で挑む姿を描いた青春ドラマ.
高校生の矢口八虎は成績優秀で周囲からの人望も厚いが、空気を読んで
生きる毎日に物足りなさを感じていた.苦手な美術の授業で「私の好きな風景」
という課題を出された彼は、悩んだ末に、一番好きな「明け方の青い渋谷」を
描いてみる.
絵を通じて初めて本当の自分をさらけ出せたような気がした八虎は、
美術に興味を抱くようになり、またたく間にのめりこんでいく.
そして、国内最難関の美術大学への受験を決意するが…….
眞栄田郷敦が矢口八虎役で主演を務め、同級生のユカちゃんこと鮎川龍二
を高橋文哉、八虎のライバルとなる天才高校生・高橋世田介を板垣李光人、
美術部の先輩・森まるを桜田ひよりが演じる.
「サヨナラまでの30分」「東京喰種 トーキョーグール」の萩原健太郎が監督
を務め、脚本を2021年に放送されたテレビアニメ版「ブルーピリオド」も
手がけた吉田玲子が担当.
以上は《映画.COM》から転載.
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自分のやりたいことを仕事にしている人は、果たしてどれくらいいるのだろうか?
自分は、やりたいことしかやりたくないという人もいるだろうし、一方で根強く、
趣味は仕事にしないほうがいいという意見も存在する.
多感で悩み多き高校生という時期に、まずこの映画の主人公のように、
自分のやりたいことを素直にやりたいと声に出せた人は、シンプルにカッコいいし、
幸せで羨ましいと思ってしまう.
“普通に”職業に就ける大学を選んで欲しいと願う母親:石田ひかりに対して、
高校の美術教師佐伯:薬師丸ひろ子は 「好きなことをする努力家は最強なんです」
と心のまま突き進むことを薦める…. 芸術とは才能なのか、天才とは誰なのか.
生きている実感が持てなかった青年八虎:眞栄田郷敦が、自分にとって本当に
価値のあるものとは何なのかを追求していく姿が描かれる.
仲間たちと夜明かしした早朝の渋谷の街の風景が、八虎には青く見え、自分に
しか見えない世界を、授業の課題で絵に描いてみたことで、それまでの自分
から解き放たれ、早朝の渋谷の街に浮遊している感覚になるシーンは秀逸.
画にとり向かうきっかけをつくる先輩森に桜田ひより、同窓で女装趣味の
ユカに高橋文哉、美術予備校でのライバル高橋世田介に板垣季光人と
脇は若いが芸達者が揃っている.それより母親役の石田ひかりや教師役の
薬師丸ひろ子、予備校の講師大葉も江口のり子らのベテラン勢がしっかり
した演技を見せてくれるのが構成全体をしっかりしたものにさせている.
そんな、友人、ライバルそして支援してくれる人たちに囲まれて、描いて
描きまくる努力を続け、成長していく姿の眞榮田郷敦を見ていると、
芸大にはおぼつかないけど、高校帰りに美術予備校に通い、
デッサンや課題画を描きまくっていた娘の姿を思いだしてしまった.
全体の雰囲気としては2022年の横浜流星の「僕は、線を描く」という
水墨画を題材にした映画を少し彷彿とさせるものがあったが、
芸大受験成功で終わってしまうのはなにかもったいない感が残ってしまう.
良く出来ているけど、喰い足りない感もある作品.
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