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映画「こちらあみ子」(DVD観賞)…これは辛い問題作.


映画「こちらあみ子」(DVD観賞)-4
製作年:2022年 製作国:日本 上映時間:104分



昨年の公開時は上映が少なく見送った作品.2番館にも来たが
興味を持てなく意識的に観落とした作品.DVD化されたので
レンタル屋から借りだして観た.本年度累積91本目の鑑賞.
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芥川賞作家・今村夏子が2010年に発表したデビュー小説を映画化.

広島で暮らす小学5年生のあみ子.少し風変わりな彼女は、家族を
優しく見守る父と、書道教室の先生でお腹に赤ちゃんがいる母、
一緒に登下校してくれる兄、憧れの存在である同級生の男の子
のり君ら、多くの人たちに囲まれて元気に過ごしていた.

そんな彼女のあまりにも純粋で素直な行動は、周囲の人たちを
否応なく変えていく.

大森立嗣監督作などで助監督を務めてきた森井勇佑が長編監督
デビューを果たし、あみ子の無垢な視線から見える世界を
オリジナルシーンを盛り込みながら鮮やかに描き出す.

主人公・あみ子役にはオーディションで選ばれた新星・大沢一菜
が抜てきされ、井浦新と尾野真千子があみ子の両親を演じる.

以上は《映画.COM》から転載.
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芥川賞受賞作家の原作、2022年新藤兼人賞受賞、
2022年キネマ旬報ベストテン第4位…といわく付きの本作.
別にキネ旬信奉者じゃないから、そんな権威なんか、これっぽち
も感じないし、尊重もしないのだ.
要は通好みの作品と言うことであろう.

あらすじ紹介では“少し風変わりな…”と形容されているが、
主人公あみ子:大沢一菜 は発達障害のある女の子である.
もちろん本作内でもそんな表現は微塵も無い.

だが、物語が始まると早々にあみ子に障がいがあるのがわかる.
あらゆる場所でズレた発言行動をする.不潔、拘り、多動と周囲に
理解されない行動が描かれる.

悪気は全く無いのだが、人への気遣いがない.ひたすらに自由.
未来への不安がない.ただ刹那の事実に生きている.
それでも、優しい父母に見守られ普通の小学校、中学校へ
通学している.


映画「こちらあみ子」(DVD観賞)-3


当然のように差別されるシーンもあり、中々普通の子どもと
同様にいかない様子の描写は観ていても辛い.
本当の名前も知らないのに、執拗に絡んでしまった“のりくん”には
ぶん殴られ鼻を折られてしまう.あみ子を囲む世界は果てしなく厳しい.
そんな模様をドライに描ききる監督の表現は非情にも見える.


映画「こちらあみ子」(DVD観賞)-1


障がいに幻聴、幻視まで出てくるあみ子を観ているとこの作品が
ますます重くなってくる.映像化してお化けに扮した人物があみ子
について来始めると厳しいものがある.

母:尾野真知子は死産してしまう.あみ子は弟の死は、
「生まれてきたもん.生まれてきたけど死んどった」と母の前でも
無神経な発言を繰り返す.実際は弟ではなく妹だったのだが、
あみ子の思い込みは激しい….


映画「こちらあみ子」(DVD観賞)-2


その後、母親は心の病になり、兄は不良になり、両親は離婚へ.
あみ子も不登校に.優しかった父:井浦新は家族を放棄して、
あみ子は祖母に引き取られ田舎へ連れて行かれる.

あみ子を演ずる大沢一菜は好演と思う.上手く最適な素人を
探し出したものと感心する.父親の井浦新はいつものシュアな
演技だし、母親役の尾野真知子も病む演技を上手く演じていた.

そんな役者たちの好演は良いのだが、全く感情移入出来ない
作品だ.あみ子は障害児と明らかには表現せず、私たちと同じ
世界の範疇に居る子として描かれている.これは明らかな監督の
狙いなのであろう.

同じ範疇の人間同士でその事情や環境を理解しようとするなら、
問題自体の極小化になるような気がする.相手は自分と同じ人間で
あっても、全く別の人間である.このことは、健常者同士であっても
常に認識していなければならないこと.病気や障害においてはなおの
ことだと思う.何故ならその大変さの中には、周囲や社会の理解が
進むことで改善される部分が沢山あるから.

病気や障害をもった人だけが大変だと言いたいわけではなく、
誰にとっても生きることがそれなりの困難を伴う中で、自分の
感じている大変さと発達障害やその家族が抱えている大変さを
同様のものとして捉えてしまうと、寄り添うつもりが相手を傷つける
ことにもなりかねないと思うのである.

作り手、受け手、ともに誰もあみ子ではない.
むしろあみ子を排除する側の人間であるという認識が無いならば
こういった映画は当事者(本当にあみ子である人間、そしてその家族)
にとってはとても辛い映画であろうと思う.

残酷な映画だと思うのである.そんな作品を作り上げた監督は
その手腕は新藤兼人賞受賞に値するのだろうが、私はその手法を
支持は出来ない.

壊れたトランシーバーに『応答せよ…こちらあみ子』
あみ子が応答せよと言えば言うほどに人は離れていく .

私も離れた所から見ていた.
そんな疎外感を味合わせてくれた作品.



今週のランチ事情(2023年第16週)




もうゴールデン・ウィークに突入.
その直前の、今週のランチ模様を.

今週も土曜からの記録.

日月水木は内食、土火金は外食.

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土曜は出先で外食.

神奈川の娘宅に向かう途中、
首都高速6号の八郷PA内の
「リンガー食堂」にて.


リンガー食堂外観


“ちゃんぽんと一口餃子3ヶ”


ランチ20230422


徐々にメニュウが進化しているね.
美味しかったうどん類は朝食メニュウに.
丼物メニュウの充実が嬉しい.

それでも、
ピリ辛でもない、野菜たっぷりでもない、
普通のノーマルなちゃんぽんを選んだ.

久々のノーマルなスープの味を堪能.
麺も野菜の具も丁度の量だ ♪

一口餃子もちょい甘だけど美味しい.
ちゃんと醤油+辣油+七味のタレが
作れた ♪

合わせて約900KCal、840円也.

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日曜は自宅で内食.

冷凍しておいたスープカレーを解凍した.

“スープカレーと9品目サラダ”


ランチ20230423-1


レンコンが入っているのが愛嬌の
スープカレー.段々とジャガイモが
溶けてきている…(汗).

ラッキョと炭酸水は欠かさない.

9目サラダにはKALDI 旨辛ドレッシングで.

デザートは、無印商品の
アップル・パウンド・ケーキ.


ランチ20230423-2


しっかりした甘さをガテマラ珈琲で
緩和する.

合わせて約850KCal、材料費370円也.

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月曜も自宅で内食.

袋麺を茹でた.


ランチ20230424-1


“旭川醤油ラーメン”


ランチ20230424-2


スープの美味さが印象的.
やっぱりラーメンは北海道に限るね.
スーパーの“北海道展”で大量に
仕入れてくるのだ.

麺は定番の藤原製麺製で旨味抜群.
コシもしっかりしている.

具は野菜パック100gに鰺さつま揚げ
を加えて塩胡椒で炒めたものと、
桃屋のシナチク、市販のチャーシュー、
そして作り置きの煮卵で.

デザートは無印商品の
“桜のクリームサンドクッキー”


ランチ20230424-3


桜の葉を練り込んだクリームを
桜の花をトッピングしたクッキー
でサンドしたもの.

結構な桜の香りに包まれる…♪

合わせて870KCal、材料費450円也.

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火曜は出先で外食.

JR柏駅南口の「大戸屋」にて.

大戸屋柏南口店内観


“鰹の梅挟み揚げ定食”


ランチ20230425


パリッと揚がった梅としそで
挟んだ鰹は季節の味 ♪

塩で食べたり、和風出汁のつゆに
大根おろしたっぷりに漬けていただく.

かつおの身が締まっていて美味しい!

ご飯は五穀米の100g、20円引き.
味噌汁、漬け物付き.

700KCal、1270円也.

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水曜は自宅で内食.

冷凍庫の余り挽肉で
麻婆茄子を作ってみた.

“麻婆茄子と蓮根きんぴら”


ランチ20230426-1


最近はまっている蓮根きんぴらも
唐辛子を効かせて ♪

ご飯はあさり炊き込みご飯で.

麻婆茄子もニンジン、ピーマンも
豊富でピリ辛感満載っ!!
ご飯がすすむなぁ.

味噌汁はフリーズドライの豚汁.

合わせて約820KCal、材料費350円也.

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木曜は出先で外食.


いつもの柏の「Teshi」にて.


“野菜炒め定食”


ランチ20230427-1



シンプルに野菜炒めが食べたかった.
この日は濃い目のオイスター味.
ご飯がすすむのだ.

でもご飯は小盛、100gだね.50円引きだ.
中華スープとお新香付き.

ランチ時はドリンクが付く.
食後のホット珈琲はプライスレス.


ランチ20230427-2


一息珈琲を飲んで、さあ映画館へ.

約780KCal、850円也.

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金曜も出先で外食.

定期的な循環器検診のはらいせに
近所のチェーン系「かつ屋」にて.

“タレカツとうま煮丼”


ランチ20230428


期間限定品.
ささみのタレカツと五目うま煮の
合い盛り丼、過激だねぇ(笑).

意外とささみなのでカツはあっさり.
キャベツ多めは嬉しい.
うま煮の味は少し甘めの出来具合.

一回食べれば充分かも…(汗).

約870Kcal、100円引きチケット使用で590円也

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今週もバラエティに富んだランチ.

体重は横ばい.

来週も頑張るぞぉ!!

今週もご馳走様.





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映画「デッド×リミット絶体絶命」(DVD観賞)…この結末はバッド・エンドだ.


映画「デッド×リミット絶体絶命」-1
原題:Pilote  製作年:2022年
製作国:フランス 上映時間:79分


借りたDVDの新作予告の中で邦題は酷いが、中味はまともそうに
見えたので、借りてきて観た.
なんとフランス製のドローン・パイロットの物語.
本年度累積90本目の鑑賞.
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アフリカ・マリ共和国.フランスはテロ組織のリーダーを抹殺するため
2つのドローンチームによる襲撃作戦を立てるが、チームリーダーの
妻子がホテルで人質に取られてしまい首謀者を逃がすよう脅迫される.

監督はポール・デゥセ.
主演はヒューゴ・ベッカー、アイ・アダラ、カヒナ・カリーナ

以上は〈Firmarks〉からの転載.
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無人ドローン攻撃機MQ-9 リーパーを主役にした映画というと、
ヘレン・ミレンが出ていた「アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場」
とか、イーサン・ホーク主演の「ドローン・オブ・ウォー」が思い浮かぶ.

いずれも、安全な場所からリモート・コントロールのドローンで戦争する
非情な様を描いたものであった.本作はNATO参加国のフランスで
やはりMQ-9 リーパーを使用した物語.

本来なら安全な場所からの操縦、攻撃可能な職場なのに、家族が
人質に捕らわれることで、危険な綱渡りの職場と化す様子を緊迫感
ある映像で綴る.

ドローンの映像とか人質になった妻子の様子、軍本部とのやり取りなど、
すべてがパソコン画面上で行われるため、78分でコンパクトにまとめた
つい最近観た「サーチ」と同じ印象をも受けてしまう.

元来、離れた土地からの遠隔操作が基本だろうに、過去の同種作品に
おいても、中東やアフガニスタンが戦場でも、操縦していたのはアメリカ
のアリゾナやテキサスであったのも記憶にある.

が、本作ではマリ共和国内での操縦だし、なにより隊長の家族がマリ共和国
へのこのこ訪ねてくるという間抜けな設定がテロ集団の人質になってしまう
というお馬鹿な展開に繫がってしまう.

テロ指導者を襲撃しようとしていたドローン攻撃隊の隊長に、家族を殺され
たくなければ次の作戦内容を教えろという脅迫電話がかかってくる.
それからは、家族を救いたい隊長と作戦を実行しなければならない軍務の
板挟みという葛藤を描く.

作戦を実行しながらも、スマホでテロ集団と交信したり、友人に助けを
求めたりと、懸命の行為が描かれるのだが、フランス映画らしくノアール
な結末にアッと驚かされる.

或る意味でこの最悪の結末で印象に残ってしまった作品.

映画「アナザープラネット」(DVD観賞)…これは上質な人間ドラマだ.


映画「アナザープラネット」-2
原題:Another Earth  製作年:2011年
製作国:アメリカ 上映時間:93分


レンタル屋のSF作品棚をさらうように見ていたら、見慣れない題名を発見.
パッケージを読んでも覚えが無い….たいていのSFは観ているのにね.
すかさず借りてきて観たのは2011年製のアメリカSFドラマ.
本年度累積89本目の鑑賞.
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2011年サンダンス映画祭で審査員特別賞ほか2部門を受賞した
SFヒューマンドラマ.ある日、宇宙に地球と瓜二つの惑星が出現し、
世間の注目を集める.

17歳でMITに合格し、前途洋洋だった少女ローダは、夜空に浮かぶ惑星
に気を取られ、その不注意が原因で交通事故を起こてしまう.
妊婦と幼い子どもを死なせてしまったローダは刑務所に入り、4年の月日
が流れる.

刑期を終えたローダは謝罪のため被害者家族の男性ジョンを訪れるが、
思わず身元を偽ってしまい、そのままジョンと交流を深めていく.

一方、謎の惑星は現在の地球と同じ人間が住む「もうひとつの地球」
であることが判明.
ローダはその惑星に向かう第一陣のメンバーに選ばれるが…….

監督はマイク・ケイヒル.
脚本はマイク・ケイヒルと主演のブリット・マーリングによる.
共演はウィリアム・メイポーザー.

以上は《映画.COM》から転載.
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サンダンスで受賞とは、或る品質を感じさせる予感で観始めた.
SFの環境設定ではあるが、見事な人生ドラマであった.
人生の哲学を巧みにSF設定に織込んで、引き込まれる設定を
物語のテーマにしている.話はシンプルだが、ヒロイン、ローダの
心理描写が確実だし、SFと贖罪ドラマの融合も見事なのだ.

被害者ジョン:ウィリアム・メイポーザーが元大学の音楽の教授と言う役柄
のせいもあって、音楽も素晴らしく、まるで深層心理に直接問い掛けるような
ノコギリ・ミュージックで大事なシーンを描いており、監督のセンスの好さが
伝わってくる.


映画「アナザープラネット」-1


地球そっくりの惑星が地球から見えるようになって数年.
ローダ:ブリット・マーリングが刑期を終えて出所するころには、世間は
惑星間移動の話題でもちきりとなっていた.なぜか地球と同じ人々が暮らし
ていて、パラレルワールドのようなアナザーアース.
幼い頃から天体に興味を持っていたローダは悩んだ末に一般公募に応募する.

遺族の夫ジョンは次第にローダに好意を持ち、やがて深い関係になる….
それだけローダが魅力的なせいもあるのだが.そして見事に惑星間旅行の
一員に選ばれたことを契機にジョンに自分が加害者だと告白してしまう.

“割れた鏡の世界” という学説によると、天空のアナザープラネットが目視
できるようになってからシンクロしなくなったという.
そのことをローダがジョンに伝え、旅行券をそっとジョンに渡すという展開.

ジョンはアナザープラネットに家族が生きているかもしれないと思い、
殺してやりたいほどのローダの申し出を黙って受け入れ宇宙へと旅発つ.

もう一つの地球にいるもう1人の自分.
それはもう一つの人生があったのかもしれないという、自身の過去への後悔
から逃れる気持ちとの葛藤でもある.

そしてラストシーンは意味深で終わる.
ジョンを送り出して、平凡な日常を送るローダのもとへローダそっくりの人間
が現れてエンド・クレジット.

シンクロしていたら確実に向こうからも旅行者が現れるはずで、それがこの
ラストシーンなのか?  それでもこちらと事情とは違い、向こうでは交通事故
なんてものはなく、予定通り向こうのローダが地球へやってきたのだろうか?

そして、そうなってくると、ジョンは向こうで一緒に妻子と再会出来ている??
観客に想像させる喜びを与えてくれる結末のまとめ方も含め、
余韻を楽しむ、好きな作品.


映画「search#サーチ2」…前作同様の出来に満足.


映画「serch#サーチ2」-1
原題:Missing 製作年:2023年
製作国:アメリカ 上映時間:111分



前作のPC画面上だけで父親が娘を捜索するという意外な設定と
その映像で面白く観られた印象に引きずられて、続作に飛びついてみた.
本年度累積88本目の鑑賞は近所のシネコンにて.
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パソコンの画面上で物語が展開していくという斬新なアイデアと巧みな
ストーリーテリングでスマッシュヒットを記録したサスペンススリラー
「search サーチ」のシリーズ第2弾.

ロサンゼルスから遠く離れた南米・コロンビアを旅行中に突然消息を絶った母.
デジタルネイティブ世代である高校生の娘ジューンは、検索サイトや代行
サービス、SNSなど使い慣れたサイトやアプリを駆使して母の捜索を試みる.

スマホの位置情報や監視カメラ、銀行の出入金記録など、人々の行動・生活
がデジタル上で記録されている現代、母を見つけることは簡単と思われたが、
一向に行方をつかむことができない.

そればかりか、不可解な出来事はすぐさまSNSで拡散され、憶測ばかりが
広がっていく.不確かな情報に翻弄されながらも、真相をつかもうとする
ジューンだったが…….

前作の監督・脚本を手がけたアニーシュ・チャガンティが今作では原案・製作
を務め、前作の編集を担当したウィル・メリックとニック・ジョンソンが共同で
監督を務めた.
ジューン役は「ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結」「透明人間」など
に出演してきたストーム・リード.

以上は《映画.COM》から転載.
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ほぼ全編PC画面上で展開するという仕掛けだけでなく、ミステリーとしても
十分に楽しめる展開になっているのは前作と同じ印象.
散りばめられた伏線、巧みなミスリードによって二転三転するストーリーで
息つく暇もないくらい.次から次へと新たな謎が生まれ、怪しい人物が入れ
替わっていく様に、一瞬たりとも画面から目が離せない.

目が離せないのはもう一つ理由がある.本作品なぜか吹き替え版の方が
上映が多いのだ.なぜかと言うと、PC画面上でのメッセージがやたら多くて
字幕がひきりなしに目まぐるしく出てくるのだ.吹き替え版だとこれが少ない?
のだろうか.私は慣例に従い字幕版を選んでしまった.

ただひたすらにせわしないのだ.終いには英文のメッセージの方に目が
いってしまう(苦笑). 高度なITスキルを駆使して事件を解決するのかと
想像していたが、実際は様々な手掛かりをもとにパスワードを推理したり、
ストリートビューや監視カメラのライブ映像、翻訳ソフト、代行サービスと
いった、わりと誰もが使いこなせるITスキルを使い事件の真相に迫っていく.

脚本上、いくつか疑問に想う部分がある.第一に犯人はなぜあんなに
回りくどい手の込んだ偽装工作を、わざわざする必要があったのか?
復讐の為だけならより簡単な方策があったような気がする.


映画「serch#サーチ2」-3


二つ目は、途中でヒロインのMacーPCを遠隔監視してたのは誰なのだろう?
真犯人のわけは無い.そんなハッカー知識を持つ犯人とは到底思えない.
そこら辺がよくわからなくて、友人か誰かが主人公をストーカーしているのか
と思ってしまった.

誰も操作しないのにカーソルが勝手に動き、ファイルをクリックして開けてしまう.
私事だが、数年前川崎で勤めていた部署に製品のソフトのセキュリティを検討
する部門を抱えていた.要はハッカー集団みたい連中で(笑)、時々仕事上の
自分のPCでカーソルが動き出し…なんて事をデモする奴らがいた.

あのシーンを観て、あぁやってるやってる、リモート・ハッキングだよね…と
懐かしかった.思えばやばい部署にいたもんだ(笑).

いずれにしても、今の時代はハッカーとしての特別な技能がなくても、
ID(メールアドレス)とパスワードさえ分かれば、大抵の情報が入手できて
しまうのは間違いなく、デジタル社会の利便性と脆弱性の現場を目撃する
お話しとなっている.

話としては、確かに面白いし、謎解きだけでなく、DV夫の物語でもあり、
親子の絆の物語にもなっていてそれなりの感動がある.

それにしても、ラストの i-Phone の Siri の使い方にはアッと驚かされた.
こんな使い方も出来るんだね!!


映画「コンパートメントNo.6」…不器用な二人の恋愛模様


映画「コンパートメントNo6」-1
原題:Hytti Nro 6  製作年:2021年 上映時間:107分
製作国:フィンランド・ロシア・エストニア・ドイツ合作  



最近は時勢柄からロシア系の映画はことごとく避けている.
もちろんロシアにも良識ある人がいるのは承知しているが、
国民全体としてあの狂人をトップに座らせる責は頑として存在する.

そんな嫌ロシアなのに、フィンランド製という謳い文句に乗ってしまい、
観てしまった作品.ここには、まぎれもない90年代のロシアの風景、
生活が刻まれていた.芸術上の世界と、不承不承ながらも自分を
騙して、キネ旬シアターで観た本年度累積87本目.
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長編デビュー作「オリ・マキの人生で最も幸せな日」がカンヌ国際
映画祭「ある視点」部門の作品賞に輝いたフィンランドの新鋭
ユホ・クオスマネンが、同国の作家ロサ・リクソムの小説を基に
撮りあげた長編第2作.

1990年代のモスクワ.フィンランドからの留学生ラウラは恋人と
一緒に世界最北端駅ムルマンスクのペトログリフ(岩面彫刻)を
見に行く予定だったが、恋人に突然断られ1人で出発することに.

寝台列車の6号客室に乗り合わせたのはロシア人の炭鉱労働者
リョーハで、ラウラは彼の粗野な言動や失礼な態度にうんざりする.
しかし長い旅を続ける中で、2人は互いの不器用な優しさや魅力に
気づき始める.

2021年・第74回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に
出品され、グランプリを受賞した.

以上は《映画.COM》から転載.
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フィンランドから考古学を勉強するためにモスクワ大学の留学生ラウラ:
セイディ・ハーラは、大学の文学専攻の女性教授のもとに身を寄せている.
周囲からは「下宿人」と揶揄される、いわゆる同性の子飼いの恋人的存在.

そんなラウラは恋人の教授と一緒にロシア最北端・世界最北端の
ムルマンスクにあるペトログリフ(岩面彫刻)を見に行く予定だったが、
恋人の教授が急に多忙を言い出し、ひとりで行くこととなる.

モスクワからムルマンスクまでは2000Kmもある.三日三晩の旅だ.
ラウラが乗り込んだ寝台車のコンパートメント6号の相席となったのは
粗野なロシア人の青年鉱夫リョーハ:ユーリ・ボルソフ.


映画「コンパートメントNo6」-2


リョーハの粗野で粗暴で失礼な態度に腹を立てうんざりするラウラは、
途中駅で恋人の教授に電話をするが素っ気ない対応ばかり.
このあたりでラウラは自分の恋の行方が見えてくる.馬鹿じゃないね.

気が滅入るほど無作法なロシア人リョーハと相部屋の長旅、無愛想な車掌に
部屋交換を申し出るも、あっけなく断わられる.この女性車掌がまた味のある
演技を見せてくれる.長旅の案内人でもある、情が移るような味わいだ.


映画「コンパートメントNo6」-3


リューハはこれから炭鉱で働くためにムルマンスクを目指すのだという.
2人はまるで水と油であり、旅行好きな人にとってはこういう旅行者と隣り
合わせる不幸で全て台無しになるの事もあるのだろう.

が、共に過ごす時間の長さ、超えていく距離が2人の不理解のギャップを
埋め、本作は移りゆく感情をとても繊細かつ微笑ましく描いていく.

ラウラのロシア語は流暢ではあるが、完璧に意志疎通出来るまでではない.
異国人同士の長旅、多少の言葉の不便さが2人の心を引き寄せあっていく.
相手を理解しようとする姿勢は、男女の恋愛感情だけに留まらず、
異なる風習や文化、そして、異なる言語を持つ相手に対する相互理解へと
繋がっていく….

リョーハがラウラに問う、フィンランド語で“あなたが好き”とは?
ラウラは“くたばれ”=“ハイスタ・ヴィットゥ”という言葉を教えてしまう.
これは最後の最期でグッと来る仕掛けになるのだ.

不便なコンパートメントでの寝起き、入れ替わり座席を占有する侵入者たち.
小道具が、カセットテープ式のウォークマンだったり、ビデオハンディカムだったり
郷愁をおびたものばかりなのも観る者の心を微妙にくすぐる….

ムルマンスクに着き、二人は別れるが、そこからがまた一転面白くなっていく.

交通難とペトログリフを観に行けなくなったラウラは、ホテルから紹介された
別の観光ルートに出たりするのだが、思い断ち難く、結果、ムルマンスクの鉱山
で働く喧嘩相手のリョーハを頼ることになる.



映画「コンパートメントNo6」-4


そこからペトログリフを目指す行程が難儀で困難.途中で沿岸沿いを船で航行
したりもする.困難を供にする男女の仲はまたまた急速に接近していく.
そして、やっとのことでペトログリフに到着するが、これを映してはくれない(笑).
そっけなく、ラウラがつまらなそうに眺める様子だけが描かれる.

その分、苦労して訪ねたペトログリフの海岸で雪投げをしたり、浜に打ち上げ
られた廃船であそんだり、とまたしても小道具で二人の仲の急接近を表現する.

帰途につき、岩盤掘りの施設に戻るリョーハを見送りながら最後にもらった
手紙には、“くたばれ”=“ハイスタ・ヴィットゥ”という言葉が書いてあった….

とても無骨で不器用な二人の恋愛感情を巧みに描きだした佳作.



映画「対峙」…赦しとは、深く探究する傑作.


映画「対峙」-5
原題:Mass 製作年:2021年
製作国:アメリカ 上映時間:111分


柏のキネマ旬報シアターは3つの小屋を持ち、封切り、2番館、名画座の
3つの機能を持ち合わせる極めて便利な映画館.特に2番館の存在が
貴重で、封切り上映終了直後の佳作を必ず拾い上げてくれる.キネマ旬報
だものね(笑).

そんな2番館に待望の作品ばかりがやって来て、毎週忙しいのだ.
本年度累積86本目に観たのは、アメリカの深い闇の一つ銃乱射事件に
まつわる物語.
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高校銃乱射事件の被害者家族と加害者家族による対話を描いたドラマ.

アメリカの高校で、生徒による銃乱射事件が発生.多くの同級生が殺害され、
犯人の少年も校内で自ら命を絶った.事件から6年.息子の死を受け入れられず
にいるペリー夫妻は、セラピストの勧めで、加害者の両親と会って話をすることに.

教会の奥の小さな個室で立会人もなく顔を合わせた4人はぎこちなく挨拶を
交わし、対話を始めるが…….

加害者の両親をドラマ「ハウス・オブ・カード 野望の階段」のリード・バーニー
と「ヘレディタリー 継承」のアン・ダウド、被害者の両親を「ハリー・ポッター」
シリーズのジェイソン・アイザックスと「グーニーズ」のマーサ・プリンプトンが
演じる.

「キャビン」などの俳優フラン・クランツが初監督・初脚本を手がけ、
密室で繰り広げられる4人の会話劇を緊迫感たっぷりに映し出す.

以上は《映画.COM》から転載.
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これは重い内容の作品で打ちのめされた感がいっぱいだった.
密室での4人の対話劇ということでポランスキーの「大人のけんか」との
共通点を指摘されることもあるが、そんな事思いもしなかった.

あれは子供の喧嘩に端を発した2家族の言い分の披露にしか過ぎない.
本作は、方や自分の息子を殺された両親で、その相手は10人も殺した
あげくに自殺してしまった凶悪犯の親たちなのである.

つい最近観た邦画の「赦し」を連想してしまった.女子高生を惨殺した
女子高生とその被害者家族の対峙を描いた作品であった.
直な題名通り、被害者家族が加害者を赦せるかどうかがテーマであった.

本作の原題は“Mass”直訳するなら“ミサ”である.死者を弔い、悼む儀式
の“ミサ”を示すのだと思う.被害者と加害者側で悼む為に集まって、会話
するのだろうか?邦題の「対峙」はその状態を示すだけで、ことさらその中味
を表現はしていない.さて、物語はどう進むのだろうといぶかりながら観始めた.

舞台はアメリカのどこか郊外らしき土地にある小さな教会.合唱の練習の声が
聞こえる中で、初めて訪れた女性司祭がピリピリした雰囲気を醸しながら
会談場所の部屋を事前にチェックし、椅子の配置などを整える.この神経質な
態度自体が、これから成される対話の重さを表すようで、微妙な表現になって
いる.上手い演出と思った.

やがて一組の中年夫婦が緊張した面持ちで到着し、少し遅れて別の中年夫婦
がやってくる.司祭はほどなく去り、部屋には2組の夫婦が対峙する….


映画「対峙」-1


最初はぎこちない挨拶と日常会話から始まり、だれもが何を話すべきか、
どこから始めればいいのかわからないといった雰囲気の中、
死んだ息子の過去の話となってからは、心を削られるような、魂のぶつかり
合う対話が全編続いていく.

被害者の両親は、なぜこんな事件が起きたのかを知りたいと訴える.
しかし、親だからといって子どもの全てを知っているわけではない.
加害者の両親は、心の闇に気が付けなかったことが悔恨として重く
のしかかっている.それでも息子を愛する気持ちは捨てられない.


映画「対峙」-2


事件後6年を経過しての今回の対話だ、興味本位のSNSや新聞記事で
お互いの息子たちに関する上辺の情報は知りきっている両家族だ.
そんな情報に表れない、心底の事実に向けた対話がなされる.
事件が起こった背景やふたつの家庭環境をめぐっての熾烈な、容赦ない
言葉の応酬に観客は怯え、供に苦しみのどん底でもがくような気持ちを味わう.

加害者の母親リンダ:アン・ダウドが、切羽詰まった末に「私は人殺しを育てた」
と呟く.そして、加害者の父親であるリチャード:リード・バーニーは息子の
抱えていた苦しみや鬱屈を語り出す.

いっぽうで、被害者の父親であるジェイ:ジェイソン・アイザックスは、
「あなた方が罰を受けるべきだと思った」と激しく糾弾し始めるや、
懸命に、それを否定しようとするリチャード.

延々と続く、果てることのない堂々巡りのような苛烈なダイアローグの応酬を
見ていると、この理不尽な事件の本質を理解することなど到底不可ではないか
とも思えるほど収拾がつかない状態へ陥る.

会話の中で感情が破綻してしまった被害者の母ゲイル:マーサ・プリンプトン
が、意外にも収拾の方向性を示す.「あなた達を赦さないと、死んだ息子の魂
も救済されない気がする」と.「あなた達は悪くない、赦しをうけるべき」とも.

この打ちひしがれた被害者の母からの言葉を発端に、この2組の夫婦からも、
いつしか加害者対被害者という構図が薄れていき、「人が人を赦すこと」とは
という根源的な問いかけだけが浮かび上がってくる.

やはり“赦し”に帰着するのであろう.憎しみは永遠には続かない.罪は憎んでも
“人を憎むこと”は永続きはしないのであろう.

回想シーンや再現場面などを一切使わずに、まるで緊迫した感情の吐露を
4人の役者で演じてみせる手腕は、俳優でキャリアを築いてきたフラン・クランツ
監督ならではの仕事の成果と言えるだろう.

赦しとは何かを深く探求した傑作と思う.


映画「コンペティション」…これは毒だ、でも面白い!


映画「コンペティション」 -6
原題:Official Competition 製作年:2021年
製作国:スペイン・アルゼンチン合作 上映時間:114分


観たかった作品がようやく2番館、キネマ旬報シアターに降りてきた.
さっそく観てみた.館内にはいかにも映画好きそうな老若男女たちが.
本年度累85本目はスペイン・アルゼンチン合作の作品.
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ペネロペ・クルスとアントニオ・バンデラスが母国スペインで共演し、
華やかな映画業界の舞台裏で繰り広げられる監督と俳優2人の
三つどもえの戦いを皮肉たっぷりに描いたドラマ.

大富豪の起業家は自身のイメージアップを図るため、一流の映画監督
と俳優を起用した傑作映画を制作しようと思いつく.
そこで変わり者の天才監督ローラと世界的スターのフェリックス、老練な
舞台俳優イバンという3人が集められ、ベストセラー小説の映画化に
挑むことに.

しかし奇想天外な演出論を振りかざす監督と独自の演技法を貫こうと
する俳優たちは激しくぶつかり合い、リハーサルは思わぬ方向へ
展開していく.

映画監督ローラをクルス、スター俳優フェリックスをバンデラス、ベテラン
舞台俳優イバンを「笑う故郷」のオスカル・マルティネスが演じた.
監督は「ル・コルビュジエの家」のガストン・ドゥプラット&マリアノ・コーン.
2021年・第78回ベネチア国際映画祭コンペティション部門出品.

以上は《映画.COM》から転載.
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原題は“コンペティション”にOfficial が付くから、映画祭へのコンペを
競う映画作りの作品かと思いきや、アカデミー賞をコケにするシーンもあり、
その実は、リハーサル時点からから始まる火の点くような2人の俳優と
監督の3人による競い合い…コンペティションであった.

それは演技上の競い合いでもあり、演出との競い合いでもあり、より
上の作品作りを目指す競い合いでもあった.

主役俳優の1人は、世界的な人気を博すが、演技の実力はあまりない
スター俳優フェリックス:アントニオ・バンデラス.もう1人の主役俳優は、
演技の実力はアカデミー賞クラスだが、なにせ華がないベテラン俳優
イバン:オスカル・マルティネス.そして映画監督は、変わり者すぎるが
ゆえに煙たがられるイカれた天才ローラ:ペネロペ・クルス.

こんな3人で映画を製作しようとする. 作品をグイグイとけん引していく
豊かかつ強烈なキャラクターたち.スター俳優、ベテラン俳優、天才監督
の3人が中心となるが、それぞれが我が道を行くきわものたちが
ぶつかり合う様が凄い….

まずスター俳優フェリックスは、人気こそ力であり正義だと考えている.
一方でベテラン俳優イバンは、人気はどうでもよく、すべては芝居の質に
神が宿ると考えている.両者の信念は当然、平行線をたどり、初共演で
アホみたいに仲が悪くなる.この二人が、なんと“兄弟役”で共演する
というから大変だ.


映画「コンペティション」 -3


そして監督も監督で、2人を仲良くさせようなどとは微塵も思っていない.
むしろ、焚きつけてやろうとすら思っている感じがある.
だから芸術的に“泳がせる”わけだが、撮影できないくらい2人が醜く
争い始めるとブチギレたりする.
自分の作品がぶち壊しになるのが我慢ならないからだ.


映画「コンペティション」 -4


アントニオ・バンデラスは自身に近い世界的に知られた俳優役で、
自信過剰な俺様ぶりを嬉々として熱演をみせてくれる.
アルゼンチン出身の名優オスカル・マルティネスは老練で、かつ
少し屈折した舞台俳優を熱く演じて見せる.
彼らは俳優が俳優を演ずるがゆえ、ある意味想定内とも言える.

が、一方のペネロペ・クルスは天才監督ローラに扮し、ぶっとんだ
演技を思う存分演じて魅せてくれる.型破りな演出でフェリックスと
イバンを翻弄していく過程をクールに、時にシュールに体現する.


映画「コンペティション」 -1


緊張感を持たせる為に、巨石をつり下げた真下でリハーサルしたり、
ラップで2人の俳優を包んで身動きを規制した上で、2人が獲得した
映画祭のトロフィーをクラッシャで粉々にくだくとか….2人を精神的に
追いつめていくサディスティックさは、従来監督から受けた仕打ちに
まるで復讐するような錯覚をおぼえる(笑).


映画「コンペティション」 -2


三者三様でぶっ飛んだ彼らなのだけど、共通していることがひとつ.
それは“エゴイスティックなプロであること”.プロの誇りと誇りが
ぶつかり合い、しかし相手への敬意はあまりないため、各々が
各々の誇りをはからずも踏みにじっていき、地獄みたいな空気が
洒落た稽古場に充満していく…でも不思議と不快感は一切なく、
逆にカラッとした爽やかさすらあり、このギャップに腹を抱えて笑える.

映画愛を謳う作品は多いが、これまた別なアプローチであるが、
まぎれもない映画愛を感じさせる快作だ.

最初のフェリックスの合気道の練習風景とか、フェリックスが嘘をつき
癌を装うシーンで、イバンがフェリックスの死後、一人二役で演技する
アイデアを披露するが、これらの伏線が最後に見事に回収されるのも
細やかな構成と演出を感じさせる.ぶっ飛んでいるだけではない、
確実な監督の手腕を感じさせる.

効き目の強い毒を食らいつつも、それがなぜか心地良い.
面白く楽しめた爽快な作品.



今週のランチ事情(2023年第15週)



王様のごとき昼食を目指しながら…、
今週のランチ模様を.

今週も土曜からの記録.

土日火水木は内食、月金は外食.

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土曜は自宅で内食.

久々に袋麺を茹でた.


ランチ20230415-0


“札幌吉山商店焙煎ごまみそらーめん”


ランチ20230415-1


野菜パックに、アジさつま揚げと水菜
を加えて塩胡椒で炒めて投入.

チャーシューは市販品、桃屋のシナチク、
かねてから作っておいた煮卵を乗せて.

スープは2種類の合わせミソ、
コクと切れがあり、甘さが印象的.
麺は藤原製麺製で定番の美味しさ ♪


デザートは“ガトーショコラ”と安ブドウ


ランチ20230415-2


合わせて約900KCal、材料費290円也.

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日曜も自宅で内食.

“ハコネーゼ”のボロネーズを温めた.

“ボロネーズスパと9品目サラダ”


ランチ20230416-1


80gのパスタを指定-2分で茹で、
オリーブオイルを混ぜ合わせ、
ソースをかける.
パルメザン・チーズと三つ葉を
たっぷり掛ける.

肉多めのソースが久々で美味しい.

9目サラダにはニンジンドレッシングで.

デザートは、あり合わせの
ガトーショコラとマーブル・ケーキ、
とちおとめを数粒乗せて.


ランチ20230416-2


イチゴの酸味がちょうど甘さを緩和する.

合わせて約820KCal、材料費270円也.

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月曜は出先で外食.

いつもの柏の「Teshi」にて.

“豚生姜焼きとチキンカツ定食”


ランチ20230417


定番の定食.熱々でいただく.
チキンカツのソースが甘辛で
美味しい.

ご飯は少なめ、100gだね.
中華スープ、漬け物付き.

食後のホット珈琲はプライスレス.

920KCal、1000円也.
ついに定食も千円時代に突入!

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火曜も自宅で内食.

煮物をことこと煮た.

“煮物とグリンピースご飯のワンプレート定食”


ランチ20230418


煮物は、厚揚げ、玉コンニャク、里芋を
忠心に薄味で仕上げた.
唐辛子を利かせたレンコンのきんぴら
が極上の仕上がり、シャキシャキ感が
たまらなく美味しい!!

たまには自分の為の出汁巻きも焼く.
ほんのりの甘めが良く焼けた….

味噌汁はインスタントで.

約750KCal、材料費320円也.

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水曜も自宅で内食.

カツ丼を作ってみた.

“ヒレカツ丼と煮物、蓮根きんぴら”


ランチ20230419


総菜の小さなヒレカツ2枚を
玉ネギと供に出汁で煮て、
玉子でとじてみた.

煮物は二日目であじが浸みてきた ♪
レンコンのきんぴらは最終ロット.

デザートは、柏の葉わいわい広場の
“切り落としマーブル・ケーキ”と
とちおとめ.


ランチ20230418-2


そこそこの甘さに冷たい緑茶が合う.

合わせて約920KCal、材料費250円也.

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木曜も自宅で内食.



レトルトハンバーグを温めた.


“ハンバーグと煮物のワンプレートランチ”


ランチ20230420-1


デミグラスソース一杯で美味しい.

煮物は最終ロット.グリンピースご飯も
最終ロットだ.

デザートは、柏駅構内で購入の
「よもぎ団子」


ランチ20230420-2


よもぎの香り高い一品.
濃い目の緑茶でいただく.


合わせて約870KCal、材料費380円也.



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金曜は出先で外食.

AEONモールつくばフードコート内
中華「楼外楼」にて.

週替わりランチ“豚野菜炒め定食”


ランチ20230421


油たっぷりで炒めた豚肉と野菜は
熱々.火傷しそうになりながらいただく.

プライスレスの“揚げ餃子”は
あってもなくても良い感じ(汗).

ご飯は小盛、されど200g近いなぁ…(汗).
とろりとした中華スープとお新香付き.

約870Kcal、890円也.



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今週もバラエティに富んだランチ.

体重は微減.
ウォーキングを再開したからね.


来週も頑張るぞぉ!!

今週もご馳走様.




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映画「WORTH 命の値段」…人の価値をきめるものは?!


映画「WORTH 命の値段」-1
原題:Worth 製作年:2019年
製作国:アメリカ 上映時間:118分


3月の公開時、なかなか時間が合わずに観はぐった作品.ようやく2番館の
柏キネマ旬報シアターへやってきた.すかさず本年度累積84本目の鑑賞.
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マイケル・キートン主演で、アメリカ同時多発テロ被害者の補償金分配を
束ねた弁護士の実話を映画化した社会派ドラマ.

2001年9月11日に起こったアメリカ同時多発テロを受け、米政府は被害者
と遺族救済を目的とした補償基金プログラムを立ち上げる.
その特別管理人を任された弁護士のケン・ファインバーグは独自の計算式
により、個々人の補償金額を算出する方針を打ち出すが、被害者遺族が
抱えるさまざまな事情と、彼らの喪失感や悲しみに接する中で、いくつもの
矛盾にぶち当たる.

チームが掲げる対象者約7000人の80%の賛同を得る目標に向けた作業
が停滞する一方で、プログラム反対派の活動が勢いづいていく.
期限が迫る中、苦境に立たされたファインバーグはある大きな決断を下す.

キートンのほか、「ラブリーボーン」のスタンリー・トゥッチ、「ゴーン・ベイビー
・ゴーン」のエイミー・ライアンらが顔をそろえる.
監督は「キンダーガーテン・ティーチャー」のサラ・コランジェロ.

以上は《映画.COM》から転載.
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災害補償金という知られざる事実を描いた9・11映画.
このような観点から、1本の映画が造られること自体が驚異だ.

重く切実なテーマを突きつけてくる.人の価値に値段を付けるという行為が課題.
これは米同時多発テロの発生からそれほど年月が経ってない頃の実話だ.
まだ傷が癒えず気持ちの整理のつかない中で基金説明会に足を運んだ人々の、
犠牲者の値段や計算式を突きつけられた胸中はいかに複雑で痛ましいもの
だったことだろうか?

すべての人々を納得させる落とし所がない中、マイケル・キートン演じる主人公
ケンは責任者役として無償で身を捧げる.これは彼にとって疑いようのない正義
であり社会的使命だったはずだが、彼の官僚主義的なやり方は思わぬ猛反感
を浴びることになる.

自分の老後の住み家を計画することを唯一?の楽しみにしながらも、
粉骨して、自らの役目を果たそうとするケンをキートンが実直に演じ、
彼の難しい立場と大きな心境の変化を、観客と等身大の目線で分かち合う.

脇を固める役者たちもまた好ましい演技であった.事務所パートナーのカミール:
エイミー・ライアンは陰に日向にケンを支える.実際に被害者たちに面接をして、
そのやるせない境遇に身を焦がすかの思いをはせる姿の演技は秀逸.


映画「WORTH 命の値段」-4


その事件の翌週からWTCで働くはずだったプリヤ:ジュノリ・ラマナタンは
命拾いしたその人生をケンの事務所で補償基金プログラムに捧げると決意した.
被害者たちとの面接の中でついつい感情的に同情しがちなウェットな役割を
演ずる.


映画「WORTH 命の値段」-3


そしてケンに立ちはがる最大の壁となるのが、遺族でもある弁護士のウルフ:
スタンリー・トゥッチ.プログラム修正を主張するサイト「Fix the Fund(基金を
修正せよ)」を立ち上げる.トゥッチの理知的で感情を押し殺した演技はキートン
とは対照的で、素晴らしき好敵手の役柄だ.

当事者とは向き合わず計算式を追求する前半に比し、後半は大きく反転していく.
パートナーやスタッフの行動、好敵手の意見、そしてなにより自ら被害者たちの
言葉に耳を傾けていくことにより、人を思う気持ちを数字にすること自体に変化を
与えていく.

老齢を迎えるケンがそれなりに変化、いや成長していく様が描かれるのに
観客の気持ちも同調していく.そしてそれは被害者たちにも伝搬していく….

人々の悲しみや痛みに寄り添う”あるべき姿勢”は何かを的確に、フラットに
表現していくサラ・コランジェロ監督の手腕に感心する.素晴らしい女性監督だ.

限られた時間内で人の価値を値踏みする…されどそこに必要とされたのは
人の気持ちを汲み取る姿勢であったことを教えてくれた佳作.