映画「最後の忠臣蔵」…予想外の好作品に感激!
製作年度: 2010年 上映時間: 133分
父親との年末のお約束映画.日曜鑑賞の今年125本目は時代劇.
「四十七人の刺客」の池宮彰一郎が忠臣蔵の後日譚を描いた
同名時代小説を役所広司と佐藤浩市の主演で映画化.
赤穂浪士の中にあって名誉の死を果たせなかっ た2人の男を主人公に、
忠義を貫き私心を捨てて自らに課された使命を全うするべく
生き抜いたその後の過酷な人生を明らかにしていく.
共演は桜庭ななみ、安田成美、片岡仁左衛門.
監督はTV「北の国から 」シリーズの杉田成道.
忠臣蔵として有名な赤穂浪士の吉良邸討ち入りでは46人が主君に殉じ切腹するが、
二人の男が生き残った.討ち入り前日に逃亡した瀬尾孫左衛門(役所広司)と、
討ち入りを後世に伝えるため逃がされた寺坂吉右衛門(佐藤浩市).
正反対の運命を背負う二人が16年ぶりに再会する.
瀬尾はなぜ討ち入りから逃げたのか、 寺坂は元同志が抱えてきた秘密を知る.
同じ役所広司が出ている時代劇「十三人の刺客」とは全く趣の違う作品.
ドンパチ、血しぶきも飛ばないので暖かい館内の暖房過剰も手伝って
83歳の父親は寝るは寝るは…、寝言もまで発するしまつ.
肘が届かない程、副長と離れた方に傾いているので
しかたなく、足を伸ばし、膝をぶつけたりしてしきりに起こす….
まったくのんびり観賞どころじゃない所業(苦笑).
さて、本題に入りこの作品.父親の付き合いで選んだだけど、
意外と(失礼な)好印象、好い出来でびっくり.
孫左衛門役の役所広司がメークだけではなく、痩せてやつれた姿で好演.
これでCMで「メイサ、メイサ…」と言わなきゃもっといい役者なのに(笑).
好きな役者、佐藤浩市と共に死ねなかった討ち入り浪士の友情を切なく演ずる.
朝明け方の不意な討ち入りで、多勢無勢で吉良独りを死に至らしめた
武士達よりも、より武士の生き様を感ずるこの二人の運命をうまく描く.
大石内蔵助(片岡仁左衛門)の隠し子・可音を演ずる桜庭ななみの演技は
とても痛々しい.名優達に囲まれ孤軍奮闘、だいぶ指導されたのだろうが、
やはり演技的には見苦しいかも.ただ、顔立ち立ち居振る舞いは役に妙に
合っており、これが役者上手の端正な美人女優であったら、不似合いかも知れぬ.
カメラの良さも実感.竹林、ススキ、川面、…どれも端正で耽美的な映像.
日本映画ならではの表現と思う.撮影監督は「沈まぬ太陽」、
「武士の一分」、「たそがれ清兵衛」の長沼六男、名人芸だ.
一見、忠臣蔵の後日談、武士道を描くかと思いきや、実は孫左衛門(役所)と
可音(桜庭ななみ)との屈折した愛情をもからませる.
育ての親といえる男と主君の落とし娘との禁じられた愛の行く末を
可音が舞台鑑賞する人形浄瑠璃「曾根崎心中」のシーンを絡めて表現する.
少しくどい気もするが、そのどろどろした心中劇と感情を潜めた人形の顔付き
とが言い得も知れぬ二人(役所と桜庭)の愛を語る….うーん見事だ.
音楽は加古隆.シンプルで控えめな出しゃばらないBGMは好感がもてる.
最後の20分間はさすがの眠り殿さまの父も起きて観ていた.
気づかれぬようにそっと頬の涙をぬぐった副長であります.
帰りの車中での父の言葉.
「おい、知ってるか~!」
「役所広司は俳優の前は市役所で工事関係の仕事してたんだ」
「だから仲代達也の無名塾に入った時、芸名を役所広司にしたんだぜ」
つまらん事を知ってる老人に開いた口がふさがらなかった….
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父親との年末のお約束映画.日曜鑑賞の今年125本目は時代劇.
「四十七人の刺客」の池宮彰一郎が忠臣蔵の後日譚を描いた
同名時代小説を役所広司と佐藤浩市の主演で映画化.
赤穂浪士の中にあって名誉の死を果たせなかっ た2人の男を主人公に、
忠義を貫き私心を捨てて自らに課された使命を全うするべく
生き抜いたその後の過酷な人生を明らかにしていく.
共演は桜庭ななみ、安田成美、片岡仁左衛門.
監督はTV「北の国から 」シリーズの杉田成道.
忠臣蔵として有名な赤穂浪士の吉良邸討ち入りでは46人が主君に殉じ切腹するが、
二人の男が生き残った.討ち入り前日に逃亡した瀬尾孫左衛門(役所広司)と、
討ち入りを後世に伝えるため逃がされた寺坂吉右衛門(佐藤浩市).
正反対の運命を背負う二人が16年ぶりに再会する.
瀬尾はなぜ討ち入りから逃げたのか、 寺坂は元同志が抱えてきた秘密を知る.
同じ役所広司が出ている時代劇「十三人の刺客」とは全く趣の違う作品.
ドンパチ、血しぶきも飛ばないので暖かい館内の暖房過剰も手伝って
83歳の父親は寝るは寝るは…、寝言もまで発するしまつ.
肘が届かない程、副長と離れた方に傾いているので
しかたなく、足を伸ばし、膝をぶつけたりしてしきりに起こす….
まったくのんびり観賞どころじゃない所業(苦笑).
さて、本題に入りこの作品.父親の付き合いで選んだだけど、
意外と(失礼な)好印象、好い出来でびっくり.
孫左衛門役の役所広司がメークだけではなく、痩せてやつれた姿で好演.
これでCMで「メイサ、メイサ…」と言わなきゃもっといい役者なのに(笑).
好きな役者、佐藤浩市と共に死ねなかった討ち入り浪士の友情を切なく演ずる.
朝明け方の不意な討ち入りで、多勢無勢で吉良独りを死に至らしめた
武士達よりも、より武士の生き様を感ずるこの二人の運命をうまく描く.
大石内蔵助(片岡仁左衛門)の隠し子・可音を演ずる桜庭ななみの演技は
とても痛々しい.名優達に囲まれ孤軍奮闘、だいぶ指導されたのだろうが、
やはり演技的には見苦しいかも.ただ、顔立ち立ち居振る舞いは役に妙に
合っており、これが役者上手の端正な美人女優であったら、不似合いかも知れぬ.
カメラの良さも実感.竹林、ススキ、川面、…どれも端正で耽美的な映像.
日本映画ならではの表現と思う.撮影監督は「沈まぬ太陽」、
「武士の一分」、「たそがれ清兵衛」の長沼六男、名人芸だ.
一見、忠臣蔵の後日談、武士道を描くかと思いきや、実は孫左衛門(役所)と
可音(桜庭ななみ)との屈折した愛情をもからませる.
育ての親といえる男と主君の落とし娘との禁じられた愛の行く末を
可音が舞台鑑賞する人形浄瑠璃「曾根崎心中」のシーンを絡めて表現する.
少しくどい気もするが、そのどろどろした心中劇と感情を潜めた人形の顔付き
とが言い得も知れぬ二人(役所と桜庭)の愛を語る….うーん見事だ.
音楽は加古隆.シンプルで控えめな出しゃばらないBGMは好感がもてる.
最後の20分間はさすがの眠り殿さまの父も起きて観ていた.
気づかれぬようにそっと頬の涙をぬぐった副長であります.
帰りの車中での父の言葉.
「おい、知ってるか~!」
「役所広司は俳優の前は市役所で工事関係の仕事してたんだ」
「だから仲代達也の無名塾に入った時、芸名を役所広司にしたんだぜ」
つまらん事を知ってる老人に開いた口がふさがらなかった….
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