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映画「私がやりました」…フレンチ・コメディの粋を感ずる.


映画「私がやりました」-1
原題:Madeleine 製作年:2023年
製作国:フランス 上映時間:103分


映画ブロ友じゃむまるさんのレビューで知った作品.オゾン監督は好きなので
ぜひとも観ようと思ったら、東京しか演ってない.しかたなく日比谷まで遠征.
本年度累積271本目に観たのは、オゾン監督のフレンチ・ポップ的な作品.
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「8人の女たち」のフランソワ・オゾン監督が、映画プロデューサー殺人事件の
“犯人の座”をめぐって3人の女たちが繰り広げる騒動をユーモアたっぷりに
描いたクライムミステリー.

パリの大豪邸で有名映画プロデューサーが殺害され、新人女優マドレーヌが
容疑者として連行された.マドレーヌはプロデューサーに襲われて自分の身を
守るために撃ったと供述し、親友である弁護士ポーリーヌとともに法廷に立つ.

正当防衛を訴える鮮やかな弁論と感動的なスピーチは裁判官や大衆の心を
つかみ、マドレーヌは無罪を勝ち取ったのみならず、悲劇のヒロインとして
スターの座を手に入れる.

そんな彼女たちの前にかつての大女優オデットが現れ、プロデューサー殺し
の真犯人は自分だと主張する.

「悪なき殺人」のナディア・テレスキウィッツがマドレーヌ、「シモーヌ フランスに
最も愛された政治家」のレベッカ・マルデールがポーリーヌ、「エル ELLE」の
イザベル・ユペールがオデットを演じた.

以上は《映画.COM》から転載.
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日比谷シャンテの平日お昼時の上映なのに小屋は8割方の観客.9割方は女性.
両隣は老齢の女性陣.特に右側女性は二人連れで予告上映中でも大声で
話しする迷惑客.本編直前に黙ってくれたのは救い…(笑).

そんな彼女だが、上映終了して明るくなった瞬間「あの青い車、素敵だったわぁ.」
「外観もだけど、内装のあのドアの辺りの細工が美しいの…」と.私も全く同意見
だったので、思わず手を握りしめたくなってなってしまった(やってませんが).
そのモノを観る目の確かさに驚いた女性でした.

さて、戯れ言は置いといて.映画について.
1932年のフランスを舞台にした懐かしテイストのコメディ作品.
その昔、ハリウッドでもフレンチでも、こういうテイストのコメディ作品の存在を思い出す.

設定が1930年代とのことでシーン毎の様々なものが面白く、おしゃれ.先の出てくる車
の調度も素晴らしく、ブガティとかボアザンが完璧な姿を見せてくれるし、マドレーヌと
ポーリーヌのヒロインたちが会話する車内の調度の素晴らしさったら見とれるよう.

サスペンスの形を取りながらも心臓がキューッ!ともしないしハラハラ、ドキドキも無い.
物語の底辺に流れているのは殺人事件なんだけど、中心はヒロインのロマンスとか
夢とか、そういうのが主題になっているのが如何にもフレンチテイスト.


映画「私がやりました」-2


主演の2人がキュートで素敵だった.上昇志向の若手女優マドレーヌにナディア・
テレスキウィッツ、敏腕の弁護士ポーリーヌ役にレベッカ・マルデール.
男を頼るようで、手玉に取りながら自らのキャリアに利用し、のし上がっていく様が
前半に描かれる.

有名な演劇プロデューサーが殺されて、直前に「俺の女になれよ」と言い寄られてた
女優マドレーヌが疑われる.「これは売名のチャンス」と女優は同居人の弁護士ポリーヌ
と組んで、裁判で正当防衛を勝ち取っていく.法定シーンでは、ジェンダーの問題を
キッチリ訴えてみたりして、ポリーヌの書いた筋書きをマドレーヌが情感たっぷりに
演じてみせるのには感動さえしてしまう.


映画「私がやりました」-3


弱い立場の女性が、どんどん名声で輝いていく様が痛快で気持ちいいのだが、
ここまできても、第三の女:イザベル・ユペールは登場せずはて?の気分になる.
そして、マドレーヌの絶頂期を迎えてからやっとかつての大女優オデット・ショーメ
を演じるイザベル・ユベールの登場.

本当に「かつて」の無声映画時代の大女優感があふれ出てたし、トーキーに
なってからの落ちぶれ感も持ち合わせていて、違和感が無い役柄.
髪型、衣装も含めてユペールの怪演がすごい!!

こんな最後の方で現れて、「私がやりました」というのはユペールでなければ
演れない役柄.ヒロインたちに30万フランも要求するのも、厚かましいというか
ロジック的にもおかしい気もするのだが、とにかく押し通す(笑).

ここで二人のヒロインたちとユペールの智恵の見せ所、騙されて貢ぐのは
男たち.本作では女性はあくまでも賢く、ずるく、男性はお馬鹿で、情けない存在
に描かれる.オゾン監督の常套手段だね.


映画「私がやりました」-4


荒唐無稽な筋なのだけど、嘘っぽくみえないのところが脚本の良さというか妙と感じる.
ストーリ自体が軽くてファンタジーっぽい味付けもあって、不条理劇とギリギリの線狙い
の感がひしひし感じる.こんな脚本を書けるフランソワ・オゾンはやはり名人だなぁ.

そしてエンドロールでは、登場人物のその後がテロップで出てくる.
主役の女性三人以外は、みんな落ち目になってるのにはまたまた笑わせてもらった.

出演者たちのコメディな演技に、にゃッとしたり、クスッとなったりと、
見終わって少し幸せな気持ちになったと思える映画.

コメント

非公開コメント

No title

私も横浜で見ましたよ。
楽しい映画でしたね。
11.23は休日だったせいか8割の込み具合。

Re: No title

ヒロイン二人が綺麗でしたね.
やはりフランス映画は面白いです.

こちらのブログは1週間遅れのコピー記載です.
本家は以下です.

https://ameblo.jp/chakotay17275