ゴッホのカレンダー(2022年11月)
Vincent Van Gogh《Vase a Coquelicot》1886年
Wadsworth Atheneum,Hartford 蔵
今月のゴッホの花の画は《赤いヒナゲシのある花瓶》.
ワズワース・アセニウム美術館(コネチカット州ハートフォード)所蔵品.
原画はこんな調子.
1886年の作品.この時期ゴッホはパリで暮らしていた.
ゴッホはパリ時代、たくさんの花の静物画を描いた.
色彩を研究するためであった.
街路を彩るライラックや野に咲くヒナゲシ…
パリ時代の花の絵は、とても美しいものが多い.
ゴッホは33歳のとき、オランダからパリに出てきた.
本格的に絵の勉強をするため.
当時のゴッホは、弟テオを頼っての生活で、
十分な資金はなく、モデルなど雇えない.
花であれば、手頃な価格で手に入り、色彩も豊富.
色彩を研究したいゴッホにとって、
花は絶好のモチーフだった.
そしてゴッホは、たくさんの花の静物画を描いた.
この作品は《赤いヒナゲシのある花瓶》.
こっくりした赤が印象的な一枚.
ヒナゲシは野に咲く春の花.ポピーの仲間.
春風に吹かれると、薄い花びらがふわふわ
揺れる姿が魅力の愛らしい花.
日本では「虞美人草」とも呼ばれるヒナゲシ.
フランス語では“コクリコ”と呼ばれる.
《ネットより借用》
一輪でも可愛いコクリコだが、群生すると見事.
広い野原一面に咲くコクリコは、フランスの大地を
染めるかのよう.
ゴッホもこんな光景を見たのだろうか??
そして《赤いヒナゲシのある花瓶》には、
たくさんの蕾も描かれている.
花開いたコクリコと、これから開花を
迎えようとするコクリコ.
両方のバランスを見ながら、花瓶に
挿していったのだろうか?
花瓶の前で思案するゴッホが思ってしまう.
そんなことを考えながらこのの画を見ると、
なんだか蕾が多いと感じる.
もしかすると、これから開花しようとする
自分と蕾を、重ね合わせていたのかもしれない.
パリ時代を経て、ゴッホはアルルへと向かう.
名作「ひまわり」シリーズ誕生まであと少し.
パリ時代は、ゴッホが着々と階段をのぼった
貴重な日々であったと思いたい.
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