映画「傲慢と善良」…題名にそぐわぬ純愛ドラマ.
製作年;2024年 制作国:日本 上映時間:119分
奈緒ってあまり好みではなかったのだが、この所の
TVドラマを観たりして、面白い女優だなと.
異色な題名にも釣られて、柏キネマ旬報シアターで
本年度累積245本目に.コロナ発症前に観賞.
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直木賞作家・辻村深月が現代に生きる人々の
リアルな恋愛観と価値観を描いた同名ベストセラー
小説を、藤ヶ谷太輔と奈緒の共演で映画化した恋愛
ミステリー.
これまで仕事も恋愛も順調だった西澤架は、
長年交際していた恋人にフラれたことをきっかけに、
マッチングアプリで婚活を始める.
そこで出会った控えめで気の利く坂庭真実と付き
合い始めたものの、1年経っても結婚に踏み切れず
にいた.ある日、真実がストーカーに狙われている
ことを知った架は、彼女を守るためようやく婚約を
決意するが、真実は突然姿を消してしまう.
真実の行方を求めて彼女の両親や友人、同僚、
過去の恋人を訪ね歩くうちに、架は知りたく
なかった彼女の過去と嘘を知る.
婚活で交際を始めるも1年も将来を決めない
“傲慢”な架を藤ヶ谷、親の敷いたレールの上で
“善良”に生きてきた真実を奈緒が演じ、倉悠貴、
桜庭ななみ、菊池亜希子、前田美波里が共演.
実写映画「ブルーピリオド」の萩原健太郎監督が
メガホンをとり、「ホテルローヤル」の清水友佳子
が脚本を手がけた.
以上は《映画.COM》から転載.
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題名は深遠で、濃い目の恋愛ミステリーかと思いきや
ただの恋愛ストーリーに終始してしまうのは少しがっかり.
ただ、今時ゆえマッチングアプリを通した結婚相手探し
という時代の波に乗った感の有る作品.
マッチングンアプリは単なる道具、手段でしかないから、
好い悪いは無いと思うし.それらを活用して効率よく、
自らに合う相手を探し出せるのは好いことと思っている.
仲買ばばあに写真と経歴書渡して、取捨選択してもらう
よりもよほど理にかなったシステムと言える.
「婚活は就活に似ている」という言葉がある.お互いが
雇用者かつ就活生の目線で相手を見定める.
このひとは本当に信頼できる人なのか、欠陥がないか
を探している.相手を品定めするような傲慢さを持ち
ながら、表面上は善良な人物を繕う.
まさにタイトルどおりのことが起こっているのが今の
婚活市場であると本作は言っている. ネットを通じて
不特定多数の人と交流ができるようになった今、
結婚という人生の一大イベントにおいて、多数の人
の中から自分に合う人を探し出すのに労力を使う
ことは自然で、広く浅く知り合うためには善良を
演じなければいけないし、相手が自分の理想に
反した場合はすぐに切り捨てていく傲慢さも必要
になってしまう。.
さて、主人公西澤架:藤ヶ谷太輔は小さいながら
もブリュワリー会社の社長として働く.
婚活アプリでは、“ハイ・スペック”.
婚活アプリで知り合った完璧な彼女真美:奈緒と
付き合い始める.
しかし、彼女にはストーカーがつきまとい、結婚を
目前に控えたところで突然行方不明に.
何が起こったのかを探る主人公が、まるで探偵
小説の主人公のように聞き込みを進めていく
展開が、面白い.
その原因となるのが、西澤架の周囲に取り巻く
女友達、美奈子:桜庭ななみと梓:小池樹里香
も2人.架に選ればれなかった怨みと妬みを持つ
こんな女友達と堂々と付き合ったり飲んだりする
ことが既に大間違いな気がする.
結婚相手に求める素養がまったく無い女性に
真に相手と決めた真美を合わせようとするのが
次の大きな間違い.他意が合ってか、無くてか、
言葉の罠で、真美を追い込んでいく.
そして真美は失踪する.彼女が突如として家出
してしまうところから、ストーリーが動いていく.
高スペックがゆえに、女友達も多く、彼女たちは
よからぬ嫉妬や噂話を広めてしまう.
それを心配する彼女と主人公自身も引く手
あまたがゆえに、この彼女と結婚してしまって
本当に良いのだろうかと揺れ動く.
真美は何もかも捨てて、能登半島救護の
ボランテイアとして活きていく.
後片付けやどぶさらい、地場産業の援助、
特にみかん山の復興も2年越しで行う.
そこに地元のブリュワリーに招かれて東京の
ファクトリービールメーカーの社長西澤架が
能登を訪ねて、2人は遭遇してしまう.
話し合う二人.自分たちが抱えていた傲慢
について.自分の考える善良とは.
そしてこの2年間で得た考え方….
色々あって、最終的にはお互いが思っている
「こういう自分でありたい」と相手が「好いて
くれる自分」にはギャップがありましたという.
さて二人はどうする?で作品は終わる.
映画は現代の婚活事情をリアルに反映して
おり、アプリで多くの人に出会い、条件を
設定してパートナーを選ぶ過程には、
婚活の闇が感じられたものの、所詮道具だ、
使う側の気持ち一つでいかようにも…だ.
奈緒には相応しい役柄だったかもしれない.
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