fc2ブログ

午前0時のフィルム映写会“ウデイ・アレン特集”@神楽坂ギンレイホール




昨年辺りから、ギンレイホールが月一でオールナイト上映を始めた.
監督を絞って3,4作を金曜23時から土曜朝05時まで上映してくれる.
ギンレイ好きの高校同級生が勧めてくれた.
「パスポートで入れるし、楽しいぞ!」だって.

今週は、金曜と土曜と2日続けて上映するよう.
22時に館へ行ったなら、中で待っていてくれとな.
開演20分前になったら一度館外へ出された.そこには大群の待ち人が….



整理券の順番毎に呼ばれて、パスポートや入場券や整理券を見せて順番に館内へ.
副長は整理券114番、けっこう嬉しい席が取れた♪
館内はほぼ98%の混み具合.約200名強だね.



今宵はデジタルでなくて全てフィルム上映.
キネマ大森からの上映技師の応援出張も….



それなりに、関係者の挨拶.アレン作品の紹介等々….



体力勝負もあるからね、若い人も多い.
23時きっちりに上映開始….

好きなウディ・アレン作品3本、本年107、108、109本目の鑑賞記をを以下に.

----------------------------------------------------

映画「誘惑のアフロディーテ」


原題:MIGHTY APHRODITE

制作年:1995年 制作国:アメリカ 上映時間:95分

監督はウディ・アレン、主演は監督自身、ヘレナ・ボナム=カーター、
ミラ・ソヴィノ、マイケル・ラバポート.

生まれたばかりのベビーを養子に迎えたワインリブ夫妻.ルックス、IQ、性格の
三拍子揃った息子マックスの成長ぶりに夫のレニーは鼻高々だったが、
一方で 彼らの夫婦仲は崩壊寸前.

その反動から、レニーは息子の実の母親探しに熱中し始めるが…….
養子縁組をきっかけに巡り合った男と女の奇妙な関係を軸に、愛に迷い、
理想を追い、ままならぬ現実と格闘するニューヨーカーたちの姿を、
ウイットに富むエピソードを満載にして描いたW・アレン監督作品.

親子・夫婦の絆に不信を抱いて迷走する主人公たちを辛辣な目で見つめる
オブザーバーといった存在で登場するコロス、どこかギリシア悲劇を連想させる
様な子供の出生の秘密を軸に構成されたストーリー、ハッピーエンドながら
明らかに悲劇のポテンシャルが秘められている結末とそれをホロ苦いユーモアに仕上げた演出等、随所にアレン特有の語り口が見受けられる秀作喜劇.

ちなみに題名にあるアフロディーテとは、その美しさに魅せられた神々が皆彼女
を妻に選んだというギリシア神話に登場する愛と美の女神のこと.

以上は<allcinema>から転載.
――――――――――――――――


まずは、アレン得意の悲喜劇.スポーツ記者役のアレンは全ての決定権を妻に
押さえられている.子供は作りたくないとの妻のワガママから養子を受けたり、
妻の仕事の都合で引っ越したりと振り回されるやわさを演じさせるとアレンは
名役者.とにかく情けない(笑).

その反動か、養子の母親探しに血道を上げてしまい、挙げ句の果てその母親
の結婚斡旋まで手を付けてしまうことから、破綻の道まっしぐら.

その母親が娼婦を生業とするため、下ネタワードも連発でいかにもアレン風.
一気に破綻するかと思いきや、アレンらしく予定調和の結末へ.
それぞれが元の鞘に収まるような雰囲気の中にも、あやしげな余韻も残すのも
やはりアレン風.

ギリシャ神話の語り部:コロスがいたる所に表れ、解説や主人公へアドバイス
したりするのだが、演出手法とは判っていても…うざいと感ずるところ多し.

いかにアレンらしい結末に終わる喜劇.
最近はこういう路線では無いだけに久々に堪能.







映画「世界中がアイ・ラヴ・ユー」


原題:EVERYONE SAYS I LOVE YOU
制作年:1996年 制作国:アメリカ 上映時間:102分

ニュー ヨーク派の雄、ウッディ・アレンが長年の夢であったミュージカルに初挑戦した
野心作.複雑な家庭に育った少女を主人公に、その一家の恋模様を陽気な歌と
ダ ンスで彩ってゆく.

アラン・アルダ、ドリュー・バリモア、ナタリー・ポートマン、ジュリア・ロバーツほか
豪華共演陣にも注目.

ニューヨーク、マンハッタンに暮らすボブ&ステフィ夫妻と子供達.一見何不自由ない
生活を送る彼らも、それぞれが少しずつ恋の悩みを抱えていた.

そんなリッチな一家とその友人たちを めぐる恋愛ゲームは、やがて意外な結末を
迎えてゆく….

以上は<allcinema>から転載.
―――――――――――――――――

アレン演ずる作家のボブは離婚して独りパリで暮らす.別れた妻は再婚して
子供たちとNYで暮らすが、ボブは失恋する度にこの元妻宅へ来ては慰めて
もらっているというトホホな状態.

そのボブの新しい恋を含めて、娘たちの恋を交えながら歌とダンスで描いていく.
なかでもうら若きジュリア・ロバーツまで歌っちゃうんだから凄いっ.
豪華な出演陣も魅力的.

ストーリー的にはやはり元サヤに戻るという黄金的予定調和路線なのだけど、
味付けがミュージカルというのが、この作品のキモだろうか.
とにかく、ダンスシーンも含めて楽しいシーンの連続だ.

音楽はディック・ハイマン、JAZZスタンダードを軽く味付けして軽快に
取り回している.歌の上手い下手を感じさせない曲作りは秀逸と思う.

エピソードで一番大笑いしたのは、頑固な共和党右翼支持者の息子が
酸素欠乏症で、手術で直ったら強烈なリベラル派に転向してしまったという件.
結局共和党支持者はビョーキということか(笑).いかにもいかにもアレン主張.

最後のセーヌ川畔での元夫婦のダンスシーンはワイヤー・アクションも決まって
美しい出来、素晴らしかった.








映画「マッチポイント」


原題:MATCH POINT
制作年:2005年 制作国:イギリス/アメリカ/ルクセンブルク 上映時間:124分

ウディ・アレン監督がホームタウンのニューヨークを離れ、初めてロンドンで撮影を
行なったラブ・サスペンス.イギリスの上流社会を舞台に、欲望や愛憎渦巻く人間関係
の中、“運”に翻弄される人々の姿を濃密かつスリリングに描く.

主演は「ベルベット・ゴールドマイン」「M: i :Ⅲ」のジョナサン・リース・マイヤーズ.
共演には、圧倒的な存在感でウディ・アレンの新たなミューズとして次回作への出演
も決定したスカーレット・ヨハンソン.
 
イギリス、ロンドン.元プロテニス・プレイヤーのアイルランド人青年クリスは会員制
テニスクラブのコーチとして働き始める.英国の上流階級に憧れる彼は、やがて実業家
の息子トムと親しくなり、その妹クロエと付き合い始める.

ところがそんなある日、クリスは女優を目指すアメリカ人女性ノラと出会い、
彼女の官能的な魅力に溺れていくのだが….

以上は<allcinema>から転載.
――――――――――――――――――


冒頭のネット上に引っかかるテニスボールの映像と、
“この世界は偶然で成り立っている”というナレーションが印象的.この主題が
その後も貫かれる.

この日観た前2作よりも10年後の作品.しかも英国へ渡ってのBBC作品.
もう予定調和のアレン調は影を潜めて、かなりブラックな調子で話しは進む.

実業家の娘に近づき、結婚するも、奔放な米女優予備軍の娘にちょっかいを出す.
この米娘役にスカーレット・ヨハンソン、まだ若くてピチピチして眩しいほどだ.

そうして作った愛人には子供が出来てしまい、本妻とは求められるものの子供が
出来ないという逆境に主人公のあたふたする様をみて、結末を予想するのだが、
従来のアレン調とは全く異なる結末に唖然.

おいおい、こんな結末ありっ?といぶかしながらも、そうか世の中は偶然で成り立って
いるんだっけねと自分を納得させる.

最近のブラックなアレン調の始まりの作品だったのだね.






-----------------------------------------------

終わってみれば、意外な事に腰は全然痛くない.幕間は立って体操してたからね.
昼寝の効果か、それほど眠くもならなかった.

集中して観られるメリットはあるのだけど、ウディ・アレンみたいな作家の場合は
似通った内容で、鑑賞後頭の中が多少混乱する.

次回9月はジャック・タチ監督特集、さてどうしたものか…?











コメント

非公開コメント

No title

「ニューヨーク~」は気楽に笑いながら観られ、でもシニカルな部分もあって好きな作品です。セーヌ岸辺のシーンは素敵ですね!
再見したいかも…https://s.yimg.jp/images/socialproducts/blog/img2/emoji/001.png">

No title

幕間は何分くらいあるのですか

やっぱり体力要るわ~~~

No title

おっ、ちょっと出し物が予想してたのと違ってました、、でもこりゃもう完全に”キネマの副長”さんの世界じゃないですか?こんな映画館はずっと続いて欲しい、、。

No title

女性観客もかなりいらっしゃるじゃあありませんか!

アレン映画・・・一時はうざいと感じるものも多かったです。
近年はそういう部分が影を潜めているので見やすくなっていますね(笑)
『マッチポイント』のスカーレット・ヨハンソン強烈な魅力です、さすがアレン、と思いました。

No title

おおっ。思った以上に文章が長くって読めなかった(^▽^;)
あとでゆっくり読みに来ます。
いってきまーす(^O^)/

No title

お疲れ様でした。
オールナイトができたことをまず尊敬します。
しかもウディ・アレン3本!
『マッチ・ポイント』以外は未見ですが、やはり1本ずつ攻めたいかな~(笑)

No title

> アンダンテさん
ミュージカル仕立ての分だけ、シニカルな部分が軽減されてますよね.
最後のセーヌ河畔のダンスはステキでした….
ナイスありがとうございます.

No title

> きみちゃんさん
幕間は15分間とってくれます.トイレ休憩としては十分かも.
前席のおっさん、毎回の幕間にそれぞれ弁当を食べるのにはビックリ.
睡魔に襲われまくってました(笑).首が折れた方が後席の副長は嬉しかった(笑).ナイスありがとうございます.

No title

> guch63さん
“キネマの神様”に出てくる名画座って市ヶ谷で、一つ隣なのだけど、このギンレイホールがモデルだと思ってます.毎回混んではいるけど、パスポート会員も多いので、客単価が低い…収益性に疑問をもってます.
つぶれないで欲しいなぁ、この名画座….
ナイスありがとうございます.

No title

> じゃむとまるこさん
若い男女もかなり多いんですよ.ウディアレン作品というのも人を呼んでいると思います.整理券キャンセル率が非常に低かったそうです.
アレン全作で45作品中35作を上映したそうですが、言われる通りうざいと思って見逃すと痛い目に遭う…とギンレイ支配人の言(笑).
「世界中が…」の件.ジュリア・ロバーツ出番が多くて、BGMも一杯、よくわからなかった….“All My Love”かなぁ…?すんません.

No title

> 小梅ママさん
朝から興奮と印象が残っているうちに一気に書き上げてしまいました.
それでも、三作の内容がゴッチャになっている(笑).これ大問題デス.ナイスありがとうございます.

No title

> まんちさん
ちゃんと味あうという意味では1本ずつですよねぇ.
「世界中がアイ・ラヴ・ユー」が一番お勧めかも?

No title

こんばんは。
昔はウッディ・アレン作品をよく観てました(o^・^o)
深夜の上映会も楽しそうです。ナイス。

No title

> 流浪の民さん
ウディ・アレンは根強いファン層がありますよね.今回でもそれを実感しました.ナイスありがとうございます.

No title

オールナイトの3本立てお疲れ様でした!
私にはとてもとても(^^)
興味深いラインナップがあるんですが、前後の日がダメになるんで、老後の楽しみに取っておきます。k

No title

> atts1964さん
そう、ちゃんと観ようとすると前後が潰れちゃうんですよ(笑).昔みたいに仕事あがりでブラッとオールナイトというわけにはいかなくなってしまいました.この毎日が日曜の1ヶ月間だけに出来ることだったかもしれません.ナイスありがとうございます.