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写真展「夜明け前/やなぎみわ“マイ・グランド・マザーズ”」@東京都写真美術館



                       
雨の土曜の夕方は神楽坂から恵比寿へ、写真展の鑑賞.


一つは「夜明け前 ~知られざる日本写真開拓史2~」.

日本全国の美術館、博物館、資料館が所蔵する
幕末~明治中期の写真・資料のシリーズ展のパート2.


幕末の日本にもたらされた写真は、
まさに開国とともに訪れた近代的西洋文明の象徴.


横浜や長崎などが開港、訪日した外国人写真師との関わりから、
日本人の写真師が各地に現れる.彼らの幕末~明治の近代化へ
向かう日本と日本人を活写した作品やその道具の展覧会.

明治天皇/皇后の肖像をはじめとする、現在では貴重な作品ばかり.
肖像写真も面白いのだが、風景写真もまた興味深い.
明治初期の、姫路城、北野天満宮、京都清水寺…と
およそ140年前の“日本の姿”がモノクロだが
そのまま残っているのだ.これは驚異というか感動もの.
隅に写る人物の姿ももちろん当時の着物姿で有る.

貴重な歴史物と言うよりも芸術性も感じられる作品も多かった.

パート3も楽しみ…かも.



もう一つの写真展は

「やなぎみわ“マイ・グランドマザーズ”」


一言で云うなら、怖いバーちゃんのオンパレード(笑)

芸者、経営者、パイロット、ダンサー、演奏家、…

よく見ると、造られた被写体、映像と気づく.
今、現時点で20~30代の女性達の50年後の姿を
仮想した、近未来写真映像.

その刻まれた皺の奥底に潜む人生のあやと垢….
たるんだ筋肉と皮膚が物語るのは、苦と快楽の証し.

あぁ、げにおそろしきは女のなれの果て…なり?

冗談はさておき、
妖艶なおばあちゃん達の姿にただただ圧倒されたのも事実.

なかでも一番の印象作は、その題も”Misako”.

中華料理屋の店内をバックに
青のチャイナドレスを着た老婆が
中国楽器の「ニ楜」を弾いている.

くぼんだ目睚に刻まれた深い皺.
深い悲しみをたたえた目の色.
うすく開けた口の妖艶さ。
右に流した薄めの髪の美しさ….

 「君が胸に 抱かれて聴いた
  あの唄 今宵も流しつつ
  幾夜こえれば 淋しさの
  果てるとしるか おぼろ月」

写真の脇に記された詩.
画と文の合わせ技に…まいった.


コメント

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No title

今住んでる所の昔の街を見てみたい
きっと ここは山の中だったかも
生まれ育った街の昔の風景って
アルバムの中にも無いもの 人間が主役でしか写ってないから

No title

もうじゅうぶんおばあちゃんなんだろうけど、もっとおばあちゃんになったら、どんなだろう?^^;恐ろしい気がするけど、ペットの上じゃなく、元気でいたいな!

No title

島崎藤村かと思いました。
夜明け前かぁ~
良い事が始まる堺の時でしょうか?

No title

野良さん.
昔の風景…思わず見入ってしまいますねぇ.なんだか自分の体がフッとその中にいるような錯覚に襲われる気がしました.なんだか不思議な世界でしたよ.

No title

Yunさん.
そんな元気なおばあちゃんの写真展でした.老いていても、なお妖艶な色気をまとう…、なんと魅惑的、ある意味で魔女的な人たち….
女性のならではの視点だからこそ撮れる写真だと…納得でした.

No title

Reiさん.
どうでしょう?不安と期待の入り交じる一瞬…夜が明けるひと時のその様々の思いが表現されているような気もしました.