映画「ドリーム・シナリオ」…ニコ・ケイの演技を堪能.
原題:Dream Scenario 製作年:2023年
制作国:アメリカ 上映時間:102分
たまには洋画も観なきゃね.刺激的な作品
を連発するスタジオ24からのリリース.
面白い視点のストーリーに惹かれた作品.
本年度累積235本目の観賞.
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ニコラス・ケイジが主演を務め、平凡な
大学教授がなぜか大勢の人々の夢に
現れたことから思わぬ事態に陥っていく
姿を描いたスリラー映画.
大学教授のポール・マシューズは、
ごく普通の生活を送っていた.
ある日、何百万人もの夢の中にポール
が一斉に現れたことから、彼は一躍
有名人となる.
メディアからも注目を集め、夢だった
本の出版まで持ちかけられて有頂天
のポールだったが、ある日を境に夢の
中のポールがさまざまな悪事を働く
ようになり、現実世界のポールまで
大炎上してしまう.
自分自身は何もしていないのに
人気絶頂を迎えたかと思えば、
一転して嫌われ者になったポール
だったが…….
共演は「アイ,トーニャ 史上最大の
スキャンダル」のジュリアンヌ・ニコルソン、
「スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ
軍団」のマイケル・セラ.
「ミッドサマー」のアリ・アスターが製作
に名を連ね、「シック・オブ・マイセルフ」
のクリストファー・ボルグリが監督・脚本
を手がけた.
以上は《映画.COM》から転載.
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ある中年男性、大学教授ポール:ニコラス・ケイジが
突如として不特定多数の人物の夢に登場し、夢を
見た人々に翻弄させられる物語.
冒頭の娘の夢に登場する場面.夢の中で娘が危機
的状況であるにも関わらずポールは何もしない、
ただ立ちすくんでいるだけ….
トリッキーな設定は、家族にとどまらず、生徒たち
友人たちにとどまらず不特定多数の人々の夢の中
に登場し始める. さらにはSNSを通じて世間一般
にまで「夢に登場する人物」としてバズっていいく.
ところが、ある時点から夢の中の彼は、ただ居る
だけではなく、夢の中で悪事をはたらきだす.
いい夢に出てくればいい奴、悪い夢に出てくれば
悪者扱いされ、主人公にはどうすることもできない.
夢に影響されているのが、若者ばかりなところも
気になる.現代の過剰なSNSの印象操作を端的
に示している気もしてしまう.
主人公が大学の講義で語るシマウマの生態に
ついてのエピソードが、この作品の基本理念を
象徴している.
群れの中にいることで、努めて目立たず、
我が身の安全を確保したいが、自分がいる
クラスタの中では認められたい、モテたい.
しかし評価されるに足るものはというと、
まだ一文字も書いていない論文だったりする.
そんな主人公を演じるニコラス・ケイジの
ショボさが本作にぴったりなのだ.
決して無垢で善良な市民という訳でなく、
ずるさやセコさもある小市民的味わいが
絶妙な演技を観客に味あわせてくれる.
ニコラス・ケイジはこの10年近くは酷い
B級映画にばかり出演しておたが、
この2~3年、漸く骨のある映画に出演
するようになってきた.
最近の「The PIG」や「マッシヴ・タレント」は
落ちぶれたニコ・ケイを逆手にとるような演技
の作品であった.
脚本や演出が良いのか、ニコ・ケイが巧いのか、
彼が我が身を顧みずとことんかっこ悪く不運な
役柄を演じる時、そこにはなんとも言えない
味わいが現れる.彼のバランスの効いた飾らない
存在感が脚本の面白さをより際立たせると
言っても好いかもしれない.
ニコ・ケイが作品、脚本を自ら選んでいるの
だったら、、自らをよくわきまえた脚本選びの
センスは素晴らしいと思う.
彼の脚本選びの才覚が最も花開いた出色作品.
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