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老化を遅らせるための3法則


元気な老人イラスト-02




またも日経のインタビュー記事からの受け売り.
話すは今井眞一郎さん.ワシントン大学医学部発生生物学部門・
医学部門教授/神戸医療産業都市推進機構先端医療研究センター・
老化機構研究部特任部長の役職.

専門は、哺乳類の老化・寿命の制御のメカニズムの解明および科学的
基盤に基づいた抗老化方法論の確立.
世界的に注目される抗老化研究の第一人者だそう.

かいつまんで、以下にその3法則をご紹介.

第1法則 …運動

すぐに始めてほしいことの一つが、運動です.運動が老化を遅らせることは、
複数の研究で科学的にも証明されている間違いのない事実です.

アスリートのような非常に激しい運動をする必要はなく、ウォーキング、 ジョギング、
自転車こぎ、水泳などの軽~中程度の有酸素運動、 筋トレが効果的です.

運動をすると筋肉中のNAMPT(ニコチンアミド・ホスホリボシルトランス フェラーゼ)
の量が上昇して、エネルギーの産生とサーチュイン(老化や 寿命をコントロール
する酵素)の活性化に不可欠なNAD(ニコチン アミドアデニンジヌクレオチド)の
量が増えます.NAMPTというのは、 体の中でNADを合成するために必要な酵素です.


第2法則 …朝食

もう一つ、NADを増やすために重要なのが、生体リズムを整えることです.
私たちの体の中のNADの量は、サーカディアンリズム(概日リズム)と
呼ばれる生体リズムに従って増えたり減ったりしています.

マウスは夜行性 なので、NADの量が昼間の明るいときに減り、夜は多くなります.
人間は逆で昼にNADの量が増え、夜には減るようになっています. 要するに、
NADはエネルギーを生み出すうえで必須の物質なので、 活動期に増えるように
なっているのです.

NADの値を昼間にしっかり高めて サーチュインを活性化させるためには、
人間が本来持っている生体リズムを 保ち、午前中にNADをしっかり増やす
ことが大切なのです.

そのために有効なのが、1日の始まりのエネルギー源となる朝食を最も
カロリーの高い食事にすることです.実は、私もかつては、夜遅く帰って
デザートまでたっぷり食べ、その2時間後には寝るような生活をしていました.

2014年に生体リズムに関する学会に呼ばれて講演したときに、栄養が
生体リズムに与える影響についての最新の知見を聞き、家内と相談して、
それまで夜に食べていたような食事を朝にとるようになりました.

朝に良質のタンパク質をしっかりとることが重要なので百数十グラムの
ステーキや大きな魚を食べ、ポリフェノールが豊富なカカオ90%のチョコレート
などのデザートも楽しみます.

昼は普通に食べ、夜は軽くワイン1~2杯と チーズやハム、フルーツをとるくらいで、
20時以降は何も食べないように しています.

血糖値が下がるのには食後4時間くらいかかるので、ベッドに入るときには
血糖値が下がっている状態にすることが大切です.また、ブルーライトは
生体リズムを乱しますので、就寝前にスマートフォンなどデジタル機器を
使わないようにしてください.


第3法則 …「小太り」

ヒトでのカロリー制限についての報告では、ある程度、老化を遅らせる効果
があるということになっています.ただ、カロリー制限をしたマウスやサルを
ウイルスに感染させるとあっという間に死んでしまいます.

体の代謝が良くなるのは間違いないのですが、病原体に対する抵抗性が
相当落ちることには注意が必要です. 特に、ダイエット志向の強い日本の女性に
知っておいていただきたいのは、 BMIが20未満になるようなダイエットは危険だ
ということです.

BMI20未満の人は特に高齢になると肺炎や感染症、心臓病などでの死亡率が
上がります.日本人を対象にした疫学調査では最も死亡率が低いBMIは女性が
23.0~ 24.9、男性25.0~26.9で、ちょっと小太りの人のほうが長生きできる
可能性が高いのです.

世界的に見てもBMIは女性で22~23程度、男性25~26くらいが最も
死亡率が低くなります.BMIが30を超えるような太り過ぎはメタボリック
シンドロームのリスクを上げるので良くありませんが、臨床医の間では、
少し小太りの人のほうが手術後の合併症の発症リスクが低く、透析での
予後が良好であるなど、ある程度脂肪があったほうがいいのはよく知られた
事実です.

太り過ぎはもちろんよくありませんが、脂肪の組織から老化・寿命のコントロール
センターである視床下部に非常に重要な酵素が送り込まれているわけですから、
老化を遅らせるためには、ある程度、最適な量の脂肪を蓄えておくことが
必要なのです.

運動をすることや脂肪を蓄えることはある程度実現できるとしても、朝食を
メインディッシュに変え、夕食を少しにして20時以降は何も食べないように
するのは、残業が多い日本のビジネスパーソンには難しいように思います.

市民公開講座などで朝食を最もカロリーの高い食事にし、20時以降は
食べないという話をすると、よく「日本では無理ですよ」と言われます.
日本人が、それほど太らなくても糖尿病などの老化関連疾患になりやすい
のは、残業が多くて夜たくさん食べて朝食を抜くような生活をしている人が
多いからなのかもしれません.

前日からある程度準備をする必要はありますが、これまで夕食に食べていた
ようなものを朝食に回すようにしてみる価値はあります.私自身、もう6年間
そういう生活を続けていますが、体調もいいですし、夜は熟睡できます.

ドイツと中国には、「朝食は皇帝のように、昼食は王様のように、夕食は
物乞いのように食べろ」という意味のことわざがあるそうです.

私が最先端の科学の成果を実践しようとした末にたどり着きつつあるのは、
先人の知恵に学べ、ということです. 結局は、日の出と共に起きて体を動かして働き、
夕食を軽めに食べて 日が暮れると共に寝る、太陽の周期と共に動く生活が
生体リズムを整え、 老化を遅らせる方向にも働くわけです.

皆さんもぜひ、3つの法則を実践して老化を遅らせ、死ぬ直前まで
自分の人生をフルに楽しみつつ社会貢献もするプロダクティブ・エイジングを
実現していただきたいと思います.

---------------以上が今井さんのお話----------------


権威と科学的根拠に弱い副長は、こういう説には一も二も無く従っちゃう.
どれもそこそこ実践しているけど、とりあえず、「夕食は物乞いのように食べ」、
20時以降は食べない…を実践していこうかなぁ.




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