映画「時をかける少女」 (2006細田アニメ版)
制作年:2006年 制作国:日本 上映時間:98分
今上映している新作にまるで興味が持てない.よって名作、いや旧作を
観まくっている.金曜の夕方、柏のキネマ旬報シアターで劇場鑑賞累積
104本目に観たのはアニメの名作、細田守の出世作品.
これまで何度もテレビドラマや映画で映像化されてきた筒井康隆の名作小説を
初アニメ化.ひょんなことから過去へ行くことの出来る力を手に入れた真琴が、
過去を変えてしまったために巻き起こる騒動を描く.
監督は「ONE PIECE THE MOVIE オマツリ男爵と秘密の島」の細田守.
キャラクターデザインを「新世紀エヴァンゲリオン」の貞本義行が手がける.
真琴の叔母、和子の声を演じるのは、声優初挑戦となる原沙知絵.
以上は《映画.COM》から転載.
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何度も地上波で観てはいるのだけど、やはり劇場でちゃんと観たかった.
83年作の大林宣彦の実写版のイメージが強い作品なのだけど、それの
印象を一掃して、ちゃんと細田版になっているのが素晴らしい.
完全にオリジナルや大林版から離脱するでなく、かつてラベンダーの香りで
タイムリープしていた芳山和子は、本作のヒロイン紺野真琴の叔母役で
登場する.真琴がタイムリープ出来ることを告白しても、「年頃の女の子には
よくあることよ」と軽くかわしてしまうところに笑わされる.
この和子役の声優が原沙知絵というのも、うなずけるキャラクター配置.
国立博物館の絵画修復士という職業設定もそれらしくて素晴らしい.
未婚なのだが、未来に現れる人を待ち続けていると言う設定で、これは
エンディングで、真琴も同じ運命に向かうことで、タイムリーパーの恋の
行方は同じという運命(さだめ)を示している.
タイムリープ、三角関係恋愛、そして夏の雲…と青春ぽっさ満載な脚本は
素直に心に迫ってくる強引さをもっている.この世界観って、やはり細田節.
後の彼の作品感に通ずるものがあるし、初作のこの作品が一番味が濃い
気がする.この後の「サマー・ウォーズ」も傑作だが、本作の方が好きだ.
ラスト・チューンは奥華子の、「ガーネット」.本作の為の書き下ろし曲.
詞が本作の内容をずばり表現していて、奥華子に対する見方が一新
されてしまった.素晴らしいエンディング曲だった.
やはり、劇場で一気観して好かった好作品.
SFに基をおくが、中味は純粋な青春恋愛映画だ.
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