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映画「キャデラック・レコード 音楽でアメリカを変えた人々の物語」 (Blu-Ray観賞)


映画キャデラック・レコード-01
原題:CADILLAC RECORDS
制作年:2008年 制作国:アメリカ 上映時間:108分



会社の先輩が「お前、これ観ろやっ!」と貸してくれたBlu-Ray Disc.
音楽好きの先輩ならではのチョイス.歌姫 ビヨンセ主演で製作総指揮
という作品.アメリカ音楽史上、最も刺激的だった夢のような時代を描く.
本年自宅観賞39本目.

1947年のシカゴ、バーを営むポーランド系移民のレナード・チェスは、
ギタリストのマディ・ウォーターズとハーモニカ奏者のリトル・ウォルターを雇い、
彼らのブルースで客を魅了していた.

その流れでレコード・ビジネスへ参入したチェスは、チャック・ベリーや
エタ・ジェイムズなど数々のスターを生み出すが…….

「戦場のピアニスト」のエイドリアン・ブロディ、「バスキア」のジェフリー・ライト、
「ドリームガールズ」のビヨンセ・ノウルズら豪華俳優が、シカゴ・ブルース全盛期
の時代に生きた人々を熱演.

以上は≪映画.COM≫から転載.
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時は1941年から始まる.ポーランド移民、黒人農民の主人公たちが始めた
音楽がその後シカゴ・ブルースになり、アメリカ国内を圧巻し、その後ブラック・
ミュージックとして世界を駆け巡る姿を描く.事実仕立ての脚本は破綻なく シュアだ.

ナイトクラブを経営するレナード・チェス:エイドリアン・ブロディは、急成長の
レコード産業に目をつけ、「チェス・レコード」を設立.才能豊かな黒人
ミュージシャンと契約し、音楽チャートを駆け上がっていく.

専属スターは成功の証しに“キャデラック”を贈られ、彼らは一時代を築いていく.
キャデラックはGM(ゼネラル・モーターズ)の高級車ブランド、歴代大統領の
乗車でもあり、金持ち、著名家のシンボル的存在の車.
よって表題の“CADILLAC RECORDS”に繋がる.

1950年代から60年にかけてのヒットチャートを駆け抜けるように、
マディ・ ウォーターズ、リトル・ウォルター.そしてチャック・ベリー、
エタ・ジェイムズなど 数々のスターが出てきて、主にそのレコーディング風景と
供に歌うシーンが 描かれる.

今回Blu-RayDiscだったのだけど、音も良かったなぁ….

50年代のライブ会場は白人と黒人に分割されていた.が彼らの情熱的な
演奏の下、白人も黒人も入り乱れてのダンス大会と化してしまい、
「音楽は人種差別さえも克服した」なんてセリフが飛び交う威勢の良さが
描かれる.

が、その後の白人ミュージシャンの台頭も描かれる.ビーチボーイズやエルビス
の曲にチャート・トップを奪われ危機を感じるシーンも.加えてビーチボーイズの
チャックベリー作の盗作問題も明らかになり、裁判沙汰になる処も描かれる.

確かに音楽とスポーツの面では黒人パワーは席巻し、いわゆる“差別”は
表面上は見えなくなったのだろうが、白人VS黒人の構図は依然存在するわけで、
本作に於いても警官による差別、暴力も描かれている.

キャデラックのドアを取り払い縦横無尽な運転をするリトル・ウォルターを捕まえ
キャデラックのボンネットに打ち付ける非道な有り様が描かれる.

今、話題のNetflixのドキュメンタリー「13th -憲法修正第13条-」でも
謳われているのだが、「合衆国憲法修正第13条」は合衆国人民の隷属から
の自由を謳った憲法.

が、その中にある「ただし犯罪者(criminal)はその限りにあらず」という 例外規定が、
黒人の抑圧を正当化するキーになっているという主張が、 この
「13th -憲法修正第13条-」で繰り広げられている.

要は犯罪人のレッテルを張り付ければ、白人は黒人に何をやっても良いと
いう詭弁が成り立ってしまう.話がそれてしまったが、そんな抗議の意味合いも
含めているのは、本作が黒人による制作だから.

映画キャデラック・レコード-02

本作に戻る.ビヨンセ演ずるところのエタ・ジョーンズが発掘される頃から、
本作に花が咲くように華やかになる.その圧倒的な歌唱力とパフォーマンス 、
ビヨンセの魅力爆発の感があるが、その演ずるエタ・ジョーンズには花もあれば、
影もある.

その影とは、酒とクスリと男のセットものだから厄介だ.酒とクスリにおぼれ、
スケージュールを吹っ飛ばしまくる.ついつい同情的になってしまうチェスは
男と女の関係の深みにはまってしまう…、妻子も居るのに.

泥沼に入ってしまうかと思いきや、唐突にエンディングを迎え、
その後の状況が ナレーションで語られるだけというのは少し寂しい.
事実基調だから致し方なし?

エンディングを除けば、歌と熱気のある力強い作品.





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