映画「若い女」 (DVD観賞)
原題:Jeune femme
制作年:2017年 制作国:フランス 上映時間:97分
当地の映画館、開くことは開いたが、新作が上映されない.
しばらくはまだDVD観賞が続きそうな予感がする(泣).
本作は2番館回しにしようとわざと見落とした一品.
あきらめてDVD観賞.
フランスの若手女性監督レオノール・セライユがフランス国立映画学校の
卒業制作として書いた脚本をもとにメガホンをとり、2017年・第70回カンヌ
国際映画祭で新人監督賞にあたるカメラドールを受賞した人間ドラマ.
パリで暮らす31歳の女性ポーラは、10年付き合った恋人に捨てられてしまう.
お金も家も仕事もない彼女は途方に暮れ、恋人の飼い猫ムチャチャを盗み出す.
猫を連れてきたことで居候先の友人宅からも安宿からも追い出され、
実家に戻ろうとしても母親から拒絶されてしまうポーラ.
やがて住み込みのベビーシッターのバイトを見つけた彼女は、ショッピングモール
の下着店でも働きはじめ、ようやく自分の居場所を見つけたかに思えたが…….
主演のレティシア・ドッシュが何者にも媚びない新たなヒロイン像を体当たりで演じ、
リュミエール賞最有望女優賞を受賞した.
以上は《映画.COM》から転載.
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ヒロイン、レティシア・ドッシュのキャラクターでこそ成立する作品の感がある.
トップ写真は、下着屋さんの採用面接時のシーンで、着飾って、盛った姿.
一見綺麗に見えるが、普段はそうではない(笑).フランスの何処にでも
転がっているような31歳の女性.
ただ独特な設定なのは、オッドアイ.白猫に多いのだけど、左右の眼の色が違う.
トップ写真で判るだろうか? 右目はブラウンで、左目はブルーなのである.
フランスではある比率存在するのだろうか? その特徴で人違いされるシーンが
あった. 演技上はカラーコンタクトなのだろうが、印象的な設定だ.
さて、大学生の頃見そめた中年のカメラマンの恋人として暮らした10年間を
経て、お互いの言動、行動に飽き飽きして別れるところから物語は始まる.
連れてきた白猫ムチャチャと一緒にパリを彷徨う.友人や母親からは、宿泊を
断固として断られる.過去10年間の好き放題の行動のツケであろう.
学生と偽って、住み込みベビーシッターの職にありつく.
その後のシットする女子(小学生だ)との生活や、収入源としての下着屋勤め
の姿が淡々と描かれる.表現は淡々なのだけど、ポーラの内面の変化が
そこはかとなく伝わってくる.
“Jeune femme”若い女、から“femme adulte”大人の女への脱皮とでも
言おうか、わがままだけでない、相手の気持ちを考える人間への成長が
言動、行動の端々に見える様な気がする.観る側の思い入れのせいか?
後半、カメラマンの元彼がよりを戻したく、言い寄って来る.
男は未練で生きる動物だからね….元の生活に戻るかと思いきや、
ポーラは断固として拒否する.お腹には彼の子種を宿しているのに….
ラスト、ちょっとしたいきさつでベビーシッターを首になり、部屋を出て行く
シーンで終わる.
さて、“大人の女”に変わったポーラの行く末は…?
想像をかき立てられる上手いシーンだ.
これまたフランスの一面を良く魅せる小作品.
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