映画「トスカーナの幸せレシピ」…何ごともほどほどに.
原題:QUANTO BASTA
制作年:2018年 制作国:イタリア 上映時間:94分
日曜の午前中は東京都美術館に寄る用事があり、久しぶりに
恵比寿ガーデンシネマを訪れる.
前回はつぶれる前だったから 随分と久しぶり.
その後、ユナイテッド・シネマに買収され復活した同館、 相変わらず素敵な
調度の待合スペースやカフェが維持されていた.
そんな小屋で観たのはイタリア製のシェフ物語、本年177本目の鑑賞.
短気で暴力的な元三ツ星シェフが絶対味覚を持つアスペルガー症候群の
青年と出会い、彼のコンテスト出場をサポートする中で、友情を育み互いに
成長していく姿を描いたハートフル・ストーリー.
主演はヴィニーチョ・マルキオーニとルイジ・フェデーレ、
共演にヴァレリア・ソラリーノ.
料理の腕は一流ながら短気な性格が災いし、暴力事件を起こして地位も名誉も
失った元一流シェフのアルトゥーロ. 社会奉仕活動を命じられ、自立支援施設で
アスペルガー症候群の若者たちに料理を教えることに.
彼はそこで、食材やスパイスを完璧に言い当てる“絶対味覚”の青年グイドと出会う.
そしてひょんな成り行きから、彼が出場する“若手料理人コンテスト”に指導役と
して同行するハメに.
こうして渋々ながらも大会が開かれるトスカーナへ向けグイドと一緒に
旅に出るアルトゥーロだったが….
以上は<allcinema>から転載.
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暴力事件で星のあるレストランを追われ、職を探す超一流のシェフというと
この日曜から始まったTVドラマ「グランメゾン東京」のキムタクを連想しちゃう.
そこに一口食べただけで食材から調味料まで全て言い当てるという
“絶対味覚”の持ち主まで現れるというのは全くの符号か真似だろうか?
もっとも、TVドラマの絶対味覚の持ち主は鈴木京香であるが、本作では
アスペルガー症候群の青年という絶対的な違いはあるのだが.
さて、自閉症の一種であるアスペルガーをもつ子供は、言われたことを
額面どおり真に受けることが多いそう. これは「言葉の名称」や
「意味する表現方法」を知らない場合に多かったり、言われた言葉と
同じ言い方で聞き返す癖があることや、 抽象的な言われ方では納得の
出来ない性格などが原因だそう. (ウィキペデイアより引用)
原題の“QUANTO BASTA”はイタリア語で「ほどほどに、十分に…」
といった意味.料理の調味料の使い方によく使われるので、この青年 グイドは
主人公:アルトゥーロに何度も聞き直す.
説明に業を煮やしたアルトゥーロは「適当にだっ!自分の舌を信じろ!」 と
言い放ってしまう.この“QUANTO BASTA”のセリフが最期にも出てきて、
思わずニヤリとさせられるのだが、つくづくも今回も邦題は情けない…(泣)
ピザやパスタじゃないイタリア料理、しかもトスカーナ地方独特の料理が
出てきて、食欲をそそる(笑).地元産の食材を使ってというのがまたミソ.
イタリア料理もまたその奥深い部分を垣間見せてくれる.
欧米の映画を観ると、暴力事件位だと禁固刑ではなく、勤労奉仕の
処遇をよく見る.初犯だったり諸事情を鑑みて再発の危険が無いような
人物なら、そういう処遇も良いのではないかと思った次第.
本作の主人公アルトゥーロのケースを見ても、更生という意味だけでなく、
生涯の友人と恋人を得ることが出来たのだから….貴重な出会いだ.
94分とこれくらいの尺が一番快適と感じる本作であった.
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