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“よみがえる浮世絵 ーうるわしき大正新版画” @江戸東京博物館




好みに合わなかった映画鑑賞の口直しに、気になっていた展覧会へ.

両国の江戸東京博物館にて開催中の大正“新版画”展.

新版画とは、江戸時代の浮世絵版画と同様の技法によって制作された
大正から昭和初期に発展した木版画.風前の灯であった伝統的な
木版技術を復興すべく版元、版画家、彫師、摺師らが結集し
さまざまな画題の新版画が作られた.

世界最高峰の新版画コレクション、 ムラー・コレクション30点を 含んだ
国内の優品や館蔵の作品・資料を約250点の展覧会.

新版画のコレクターとして著名であったロバート・ムラー氏( 1911 ~ 2003 )が
この作品に感銘を受けコレクションを開始したという、曰く付きの
川瀬巴水の「清洲橋」がトップ写真.

その構図の新鮮さ、色合いが従来の浮世絵の印象を一掃する.
これぞ“新版画”の真骨頂なのだろう.
夕暮れなのかはたまた夜明けの薄明かりか、その空の表現もまた秀逸.
本作品以外にも川瀬巴水の風景画や橋口五葉の湯上がり女画等々、
いわゆる大正ロマンの一言では片付けられれない素晴らしい作品が観られた.

川瀬巴水の「雪の増上寺」はその原版の展示と供に、その42にも及ぶ
刷り工程のビデオを上映.その複雑さと根気のいる作業に感嘆.
大正期の新版画は作者が全ての工程を担う作家と掘り、刷りをそれぞれの専門家に
任せる作家がいたらしいが、今この現在この手法の使い手の少なさを見ると
その技術の伝承が難しい事を自ずから物語る.

土曜の夕方にもかかわらず、この手の展覧会にしてはかなりの観客が存在.
かなりの人気展のよう、かくいう私もこの新版画にはいたく感動.
今年のなかでも五指に入る素晴らしさ.

期間内にもう一度見ようと思う.
それまでに川瀬巴水の画集(金6000円!!)を買うか十分に迷うこととする.
(この日はとても買う勇気が無かった…(笑)).


コメント

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No title

これ見に行きたいと思っています

No title

他の版画も見てみました、素晴らしいですね、
カレンダーも売っていました、額装にしたら良いかも?

No title

この空の色と海に映る明りがとても綺麗ですね~!
大正新版画、浮世絵ですか。
従来のとは全く違った印象ですね。
関西にも来てくれないかしら。

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杉並おやじさん.
はじめまして.これ予想通り?凄く良かったデス.お勧めします.

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Kanさん.
カレンダー(川瀬巴水)は当然買ってきました(笑).複製画も売っていたのですが、これがなかなか好いお値段で…手が出ませんでした.

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ぴかりんさん.
明治末期大正昭和にかけての町の風景や役者絵、今までの“浮世絵”の感覚とはまたひと味も二味も違う印象でした.この博物館所蔵品とスミソニアン博物館(ムラーコレクション)所蔵品ゆえ旅はしないのでしょうね、残念なことです.

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この色なんだろうとっても惹かれるわ~
橋の後ろの藤色は雲かしら
金曜日 娘の家からの帰り道
山とは反対側海側の雲が 綺麗な藤色で
携帯カメラじゃとても映し出せなくて
残念だったわ~(゚ε゚ )

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良い展覧会を見られて幸せなひと時でしたね。
ポチ!
お便りありがとう。

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野良さん.
雲なのか、夜明けの光のリフレクションなのか、素敵な色合いですよね.私もしばし見とれてしまいました.明け方とか夕暮れ時とか一瞬しか見られない景色ってありますよね.

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Kさん.
ポチありがとうございます.Kさんの画の実物にもいつかお目にかかりたいものです.

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これが版画ですか?
新版画って彫刻刀でセッセコ、板削っていくっていう手法じゃないんでしょ?

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reiさん.
そう、せっせこ彫刻刀で削っていくみたいです.インク浸けて紙載せて、バレンでギュウギュウ圧す…そういう方法みたいデス.原版が飾ってありましたが、あきらかに彫刻刀掘り…でした.驚異的ですよねぇ.

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西洋版画の工房制作方式が日本で確立された時代ですね^^
この時代の作品は秀でたものが多く涎ものです。
それに、ムラーコレクションからの出展だったら見応え十二分ですね。
巴水の水面の表現が素晴らしいなぁ~。

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ぴいしゃん.
巴水の作品には感心させられるモノばかりでした.東京のさりげない風景…築地の魚市場、なんか涙モンでしたぞ♪.

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これは興味深い展覧会ですね。
私も浮世絵を制作する工程をテレビで見ましたがもう本当に細かい!とビックリしました。
でもそんな技術の裏づけがあって初めて傑作が出来ると思うと、絶やさないで欲しいですよね。
6000円・・・、微妙な値段です(笑)

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バレン~、懐かしいわ。
昔の手法なのね。
それは尊敬しちゃいますね。
でもセッセコ削れば、何枚もできるって所が嬉しいですね。

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Olivierさん.
この手法、昭和で途切れたようですが、最近また復興しているとか.後世の残したいモノですねぇ.6000円微妙ですよねぇ…まだ悩んでます.

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reiさん.
あの刷り方を見ていると簡単には何枚も出来るとは思えない程大変な作業でした.なにせ42回も摺り合わせてやっと完成なのですから.大変な手間と集中力ですよね、それに刷る毎に毎回出来は変りますよね、そこがまたいいのでしょうけど.

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版画も楽しみ方がいっぱいありそうですね。

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reiさん.先月は銅版画を観たのですが、今月は木版画、どちらも全く違う味合いですねぇ、面白ーいっ!!