映画「サマーウォーズ」…何度観てもぶれない感動の作品.
製作年:2009年 製作国:日本 上映時間:114分
ほんとに、ほんとに、劇場で観たい映画が無い!
夏の定番上映というと、塚本監督の「野火」か、細田監督の「サマーウォーズ」.
前者は暗い気持ちになるので、明るさを求めて、「サマー…」の劇場へ.
実はこれで、4回目の観賞かも.
Movixつくばで、本年度累積175本目は永遠の名作アニメ.
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「時をかける少女」の細田守監督が、同作に続いて脚本・奥寺佐渡子、
キャラクターデザイン・貞本義行とともに描くオリジナル長編アニメーション.
数学が得意だが気弱な高校2年生の健二は、憧れの先輩・夏希に頼まれ、
夏休みの間、彼女の実家で夏希のフィアンセとして過ごすことに.
そんな時、健二はネット上の仮想空間OZで起きた事件に巻き込まれ、
その影響が現実世界にも波及.
夏希の一家ともども、世界の危機に立ち向かう.
以上は《映画.COM》から転載.
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2009年公開時に劇場で1回、リバイバル上映で2回目、TV地上波で3回目.
今回が4回目の鑑賞となる. 数学の得意な高校生のひと夏の経験を描く.
当時としては先見性のあるネットにおけるアカウント奪取とかAIによる支配が
描かれているのも特徴的.
そんなデジタル世界の戦いが、信州上田の田舎を中心に、老婆を中心とした
親類縁者一同が結束して、そして世界中のネット民たちが力を合わせて、
暴走AIと戦うという流れが、微笑ましく、緊迫した映像で楽しませてくれる.
初公開から15年経っても色あせない内容とリアルなVR世界、そして上田の
田舎と人情世界…細田ワールドの会心作と言っても過言でないと思う.
数学の得意な健二の声に神木隆之介、うぶな役柄を上手くこなしてみせる.
鼻血を流しながらの最後のキー入力での「よろしくお願いしまーす」は名セリフだ.
桜庭ななみが声を演じる夏希がとても魅力的なのだ.果敢にネットを牛耳る
AI:ラヴマシーンに、なんと花札の“こいこい”で挑んだりする.
ネットに依存した日本中のインフラが崩壊、挙句の果ては暴走AIが衛星を日本の
どこかに墜落させようとする.隕石衝突なんぞより現実味のある、イデオロギーなき
悪戯のような最終テロに立ち向かうのは、老婆を中心とする親戚縁者の結束力だ.
老婆:栄の声を担当するは名優:富司純子、「いけないのは独りでいることと、
お腹をすかせていること.」はけだし名言だ.昔の旧家のつてを使って、日本の
政治の中枢部に発破をかけて、事態収拾させるのは見事だが、あえなく心臓発作
で倒れ、混乱のせいで救急車も来なかった為に、誕生日だったのに逝ってしまう.
残された大家族とその一族が、弔い合戦の如く、大切な人だけでなく世界の人
を守るために一致団結し、個々がそれぞれ得意分野で活躍するという気持ち
いいぐらいの王道ストーリーを超田舎の世界とデジタル世界を行ったり来たり
しながら奮闘する.
もはや仮想と呼ぶには現実的すぎるデジタル・ネットワークと、生々しい人的
ネットワークの対比が鮮やかな本作は、2つの世界を行き来することで得た世代
ならではの能力こそが、世界を救うという楽天性が心地よいのだ.
リアルでデジタル的な電脳世界のセンスと、正反対にアナログ的な田舎の
のどかな風景など、デザイン、作画から美術、感動の音楽まで極上の品質だ.
ちなみにラストチューンは山下達郎….
何回観てもその感動の質がぶれない傑作.
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