2023年03月のカレンダー
奇数月ゆえ、ルノワールと藤田嗣治の二つを紹介.
先ずは、ルノワールの3月のカレンダーから
Pierre-Auguste Renoir《Fleurs》1985年
製作年は判っているが、どこの所蔵かも判らない
マイナーな作品.1985年はルノワール44歳の時.
印象派で名を成し、画も高く売れて、
欧州各地を旅行していた頃だ.
この年に長男:ピエールが生まれている.
80年代中期は、印象派の表現に行き詰まり、
古典主義との折衷を試みていた時期.
印象派展への出展をせずに、サロンへの出展
をしていた年もあった頃.
本作は印象派的技法の一作.
暖色の背景に、白や赤の花が鮮やかに彩る.
アネモネが中心だろうか.
品格のある青の花瓶が優美さをいっそう
引き立てている感がある.
カレンダーではカットされているが、
原画では花瓶の全貌が観られる.
原画はこんな調子
カレンダーのカット具合が極めて
よろしくないと感じる.
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次いで、藤田嗣治の3月のカレンダー
藤田嗣治《ノルマンヂー地方のりんごの花》1935年
雑誌「婦人之友」3月号の表紙.
在仏時代はノルマンディ地方の隣の県に
住んでいたので、良く週末には遊びに行った.
3月になると白いりんごの花が咲き始める.
この地と私たちが住んでいたブルターニュは
フランスなのにブドウが成らない土地柄.
代わりにあるのは、りんごとじゃが芋だけ(笑).
ワインも作れないから、りんごから作る
シードルやカルヴァドスしか名産が無い.
日本の信州や青森のりんごとは違って、
小さい、しわくちゃのりんご種だ.
当然食べるより、発酵させてシードルや
カルヴァドスになってしまう.
食べるりんごは、スペインから安く、美味しい
ものが流れてくる.朝市で売っているのも
そんな産地のものばかりだ.
そんな事を思い出させてくれた作品.
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