映画「BLUE GIANT」…圧倒的JAZZ世界への誘い

製作年:2023年 製作国:日本 上映時間:120分
コミックが評判だったのは知っていた.が無視して見てなかった.
音が無いコミックの世界でJAZZを描いてどうする、との想いから.
やっと映画化された.実画でなくて良かった.音楽は上原ひろみが
担当しているという.これは本物だと期待した.本年度累積41本目
は日本製のJAZZを描いた作品をTOHOシネマズ柏で観賞.
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2013年から小学館「ビッグコミック」にて連載開始した石塚真一の
人気ジャズ漫画「BLUE GIANT」をアニメ映画化.
仙台に暮らす高校生・宮本大はジャズに魅了され、毎日ひとり
河原でテナーサックスを吹き続けてきた.卒業と同時に上京した彼は、
高校の同級生・玉田俊二のアパートに転がり込む.
ある日、ライブハウスで同世代の凄腕ピアニスト・沢辺雪祈と
出会った大は彼をバンドに誘い、大に感化されてドラムを
始めた玉田も加わり3人組バンド「JASS」を結成.
楽譜も読めずただひたすらに全力で吹いてきた大と、幼い頃
からジャズに全てを捧げてきた雪祈、そして初心者の玉田は、
日本最高のジャズクラブに出演して日本のジャズシーンを
変えることを目標に、必死に活動を続けていく.
主人公・宮本大の声を人気俳優の山田裕貴が担当し、沢辺雪祈
を間宮祥太朗、玉田俊二を岡山天音が演じる.
「名探偵コナンゼロの執行人」の立川譲が監督、原作の担当編集者
でストーリーディレクターも務めるNUMBER 8が脚本を手がけ、
「幼女戦記」シリーズのNUTがアニメーション制作を担当.
世界的ピアニストの上原ひろみが音楽を手がけ、劇中曲の演奏も
担当した.
以上は《映画.COM》から転載.
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原作コミックは現在1部~3部まであるようで、映画は1部(全10巻)
を描いているそう.
どうしてもアニメの短い2時間の中で、あっという間に成功していくから
多少の違和感はあるのだが、内容よりもとにかく演奏シーンが圧巻.
しっかりJAZZしている.その音に圧倒的な感動がある.
音楽にかける主人公宮本大(声:山田裕貴)の情熱、そこから生まれる
友情が熱い.もうそれだけで胸がいっぱいになるほどなのに、そこに
これでもかというほどの熱すぎる演奏が加わるから胸が熱くなる.

とにかく宮本大のJAZZにかける熱量とその真っすぐさが素晴らしい.
それに雪祈(声:間宮祥太朗)や玉田(声:岡山天音)がぐいぐいと
飲み込まれていく.そして、彼らの演奏を聴く観客も、それを劇場で
見る我々も、あっという間に飲み込まれていく.


声優のキャスティングは成功している.上手い下手より勢いが伝わる.
そして肝心の3人のグループ:JASSの演奏、サックスは馬場智章、
ドラムは石若駿、そしてピアノは音楽総監修の上原ひろみが担当.
上原ひろみのCDは初期の数枚は持っている.20年前の鮮烈なデビュー
はついこの前のような気がするが、今や世界を代表するJAZZピアニスト
に成ってしまった.本作ではほぼオリジナルを演奏する.
クールでもない、ビバップでもない、かといってフリージャズでもない、
それでもいかにもJAZZでございますという演奏を聴かせてくれる.
眼前に広がる大スクリーン、整った音響設備、劇場ならではの没入感
のおかげで、本物のライブに勝るとも劣らぬ臨場感を味わえる.
夢の日本一のJAZZ SPOTとして青山“BLUE NOTE”が名を変えて
出てくるが、夢を成してその場で演奏する3人の演奏には、
恥ずかしながら涙が出てしまった.アニメで泣くのは久しぶりだ(苦笑).
過去に十数回通っている“BLUE NOTE”の再現も良く出来ていた.
入口から降りていく階段のシーンや待ち合い場の雰囲気、そして
会場の座席の配置、なんと照明まできちんと表現できていたのには
感心してしまった.またJAZZを聴きに行きたくなってしまった.
本作、脚本と音楽は申し分なかったが、映像的には質が落ちる.
CGの表情や服装などがツルツルしていて質感が異様.演奏パートの
3D−CGも稚拙で抽象的表現に走ってしまうのは残念な部分だ.
それでも有り余る音楽の迫力を味わうのに劇場環境は必須であろう.
ちまちま家で観るもの聴くものでは決して無い.
さて、オーラスで主人公・宮本大が空港で向かうのは…本場NYかと
思いきや、なんとミュンヘン行きではないか!! 次の活躍の場は
ヨーロピアン・ジャズなのだね….
次作に期待、ただし作画にもっと金をかけて欲しい.
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