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映画「ブエノスアイレス」…また、やってしまった(泣).でも.


映画「ブエノスアイレス」-1
原題:春光乍洩 Happy Together 製作年:1997年
製作国:香港  上映時間:96分


「WKW 4K」と名打ってウォン・カーァイ監督の名作を4Kレストアデジタル画像で
楽しむ特集を柏キネマ旬報シアターで開催中.主要作品の内、本作だけ観落として
いると思い込み、朝一番の劇場に駆け込んだ.本年度累積245本目の鑑賞.
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「欲望の翼」のウォン・カーウァイ監督のもと、レスリー・チャンとトニー・レオンが
恋人役を演じ、アルゼンチンを舞台に繰り広げられる男同士の切ない恋愛や
人間模様を描いたラブストーリー.

激しく愛し合いながらも別れを繰り返してきたウィンとファイは関係を修復する
ためイグアスの滝へ向かうが、途中で道に迷って言い争い、そのままケンカ別れ
してしまう.

その後、ブエノスアイレスのタンゴバーでドアマンとして働いていたファイの
アパートに、傷ついたウィンが転がり込んでくる.仕方なくウィンを居候させる
ファイだったが、ケガから回復したウィンはファイの留守中に出歩くように.

そんな中、転職して中華料理店で働きはじめたファイは、同僚の青年チャン
と親しくなる.

第50回カンヌ国際映画祭で最優秀監督賞を受賞した.1997年に劇場公開.
18年2月、カーウァイ監督の「欲望の翼」デジタルリマスター版の公開にあわせて、Bunkamuraル・シネマで特別上映.

2022年には4Kレストア版が「WKW4K ウォン・カーウァイ4K」(22年8月19日
~シネマート新宿、グランドシネマサンシャイン、シネマシティほか)で上映.

以上は《映画.COM》から転載.
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出だしは名曲「Happy Together」で始まるが、トニー・レオンがバーの
ドアマンをする辺りから慨視感が….あぁやってしまった.これは観ている.
5年前のキネマ旬報シアターのカーウァイ監督特集の時に観ていた.

もう情けないやら、哀しいやら….でも新たな発見もあり、それなりに楽しん
でしまった(苦笑).2度目の鑑賞ならではの新?視点での感想を以下に.

「グランドマスター」を観てトニー・レオンの男の色気を感じたと書いたが、
本作では、別種の色気を感じた.「グランドマスター」の15年も前の作品
なのに、トニー・レオンは妖しい男の色気を演じ切っている.

レスリー・チャンと同性愛のカップルを演じるのだが、レオンは立ち役、
すなわち男側の役を演じる.男性なのだが、同性の男に愛を感ずる役
なのだけど、不思議な両性の魅力を持ち備えている.

別れようと思っても、レスリー・チャンの“もう一度やりなおそう”の言葉に
ほだされ、またズルズルと関係を続けてしまう.レスリー・チャンも他の男
にうつつを抜かしたり、男妾をして稼ぐなど、やりたい放題なのだが、
なにか傷つくとがあると、レオンの元に戻ってくる….

香港からアルゼンチンに渡り、イグアスの滝に始まり、ブエノスアイレス
での痴話喧嘩の模様が描かれる.カーウァイ監督の音楽の使い方には
毎回ほとほと感心させられるのだが、トニー・レオンにレスリー・チャンが
タンゴを教えるシーンでの、ビアソラのアコーデイオンの使い方ったら
心に染みつくような響きあのだ.これにはノックアウトされる.


映画「ブエノスアイレス」-2


2度目の鑑賞で新しい発見というのは、本作の第3の男チャンを演ずる
チャン・チェン.後の作品「グランドマスター」でカミソリ役を演じた男だ.
レビューでは一切カミソリのことを書かなかったが、凄い印象的な役柄
だった.その彼が15年前の本作でも重要な役柄を演じていた.これは
書かずにいられない.


映画「ブエノスアイレス」-3


見ての通り、鼻筋通った美青年である.後半トニー・レオンが働く中華
料理屋での同僚役だ.レスリー・チャンから段々と心が離れていくトニー
が惹かれていく若い男の役柄.チャン・チェンもトニーに心ならずも
惹かれていくさまが描かれる.「グランドマスター」では切れ切れの
カンフーアクションをニヒルに演ずる様とは180度方向転換の演技
なのだ.チャン・チェンは遙南方の島を目指して旅立つのを未練たっぷり
に見送るトニー・レオンはアルゼンチンを旅立つ決心をする.

が、彼が戻ったのは香港ではなく、チャン・チェンの生まれ故郷台湾だった.
チャンの実家を見つけて、会いたければ会える、と希望を見出すトニー.
最後はモノレールに乗って、夜の街の灯りに照らされて、心の再出発が
暗示される….

チャン・チェンの魅力に気付かされたのは大収穫だった.


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