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映画「猫は逃げた」…憎めない好ましさの作品.


映画「猫は逃げた」-3
製作年:2021年 製作国:日本
上映時間:109分  R15+



話題?のタッグいやコラボの“L/R15”の第2作.城定秀夫が脚本を担当、
今泉力哉が監督した作品.柏キネマ旬報シアターでの本年度169本目の
観賞.
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「愛がなんだ」「街の上で」の今泉力哉が監督、「性の劇薬」「アルプススタンド
のはしの方」の城定秀夫が脚本を務め、飼い猫をどちらが引き取るかで揉める
離婚直前の夫婦とそれぞれの恋人、不器用な4人の男女を描いたラブコメディ.

今泉と城定が互いに脚本を提供しあってR15+指定のラブストーリー映画を
製作するコラボレーション企画「L/R15」の1本.

漫画家・町田亜子と週刊誌記者の広重の夫婦.広重は同僚の真実子と浮気中で、
亜子も編集者の松山と体の関係を持っており、夫婦関係は冷え切っていた.

離婚間近の2人は飼い猫のカンタをどちらが引き取るかで揉めていた.
そんな矢先、カンタが家からいなくなってしまう.

亜子役を「追い風」の山本奈衣瑠、広重役を「孤狼の血 LEVEL2」の毎熊克哉、
真実子役を「階段の先には踊り場がある」の手島実優、松山役を「ミュジコフィリア」
の井之脇海が演じるほか、お笑いコンビ「オズワルド」の伊藤俊介、中村久美ら
が脇を固める.

以上は《映画.COM》から転載.
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離婚時にどちらが猫を引き取るかでもめる…我が身の事を先ず思い出してしまった.
私事で恥ずかしいが、離婚を決めた時家庭には3匹の猫が居た.その頃寝起きを
供にしていたシャム猫は、本当の飼い主に戻した.残ったのが美形の雄猫チャルと
病気持ちの黒猫チビであった.もめることなく(笑)、美形を妻が引き取り、私は
黒猫ちび嬢との暮らしに突入したのだった.


映画「猫は逃げた」-1


本作では、「猫をどちらが飼うのか…」不毛な様で大事な議論として扱われる.
離婚寸前の夫婦に巻き起こる、こんがらがった愛の行方.
言い訳のように考えていたはずの猫の引き取りを、気が付けば猫によって
見透かされていく.

そこに滲む滑稽さと人間らしい愛らしさがクセになるほど面白い.
多面的な表情と考えをシーンによって出す顔を変え、それを魅力的に映し出す
今泉力哉監督の手腕に改めて驚かされる.


映画「猫は逃げた」-2


夫婦とそれぞれの不倫相手の計4人が一堂に会し、気まずい雰囲気になったり
言い争ったりするのは、今泉監督が得意とするシチュエーションだろう.
そういう仕掛けの脚本を書いた城定秀夫の今泉へのリスペクトが感じられる.

修羅場であるはずのこの場での行き詰まり感がいつのまにかコメディに変わっていく.
主演の女優さんがめちゃくちゃ自然で伸び伸びした演技が素敵だ.
山本奈衣瑠と手島美優がしゃべくりまくる演技は自然体だ.

「ジェンダーについて発言しちゃいけない場なんてないからっ!」の手島美優のセリフ.
今どきの風潮を捉えた城定脚本が面白くて、演技も良くて印象に残った.

恋、愛、セックスにユーモアを交えつつも真正面から向き合った「愛なのに」に
比べると、本作のほうは飼い猫をめぐる騒動の尺が思いのほか長く、
猫好きにとってはそれもまた魅力になっていた.

「L/R15」の主題でもある、エッチ描写ももちろんきっちり押さえられている.
こっちの方面はやはりポルノ出身の城定秀夫監督の撮り方が上手いのかなぁ
と感心してしまう.そういう面の比較が出来るのもこの企画の面白さの一つだ.

大人が小さな世界で行うダブル不倫、そして猫がらみ…、
なんだか気になる映画だった.
脚本がうまいのか監督の味なのか、好い気持ちで観終わる好作品.




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