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映画「女子高生に殺されたい」…想定外の佳作.


映画「女子高生に殺されたい」-1
製作年:2022年 製作国:日本 上映時間:110分



今週は洋画がからっきしつまらない…、よって邦画に逃げちゃう.
かなり変態チックな題名だけど、飛びついてしまった邦画.
Movix柏の葉にて、本年度累積89本目の観賞.

「ライチ☆光クラブ」「帝一の國」などの鬼才・古屋兎丸による同名コミックを、
「アルプススタンドのはしの方」の城定秀夫監督が田中圭主演で実写映画化.
城定監督自ら脚本を手がけて原作を大胆にアレンジし、「女子高生に殺されたい」
という欲望を抱える高校教師が企てた「自分殺害計画」の行方を描き出す.

女子高生に殺されたいという理由で高校教師になった東山春人は、人気教師と
して日常生活を送りながらも、「完全犯罪であること」「全力で殺されること」が
条件の理想的な殺され方を実現するため、9年間にわたって完璧な計画を
練り上げてきた.平和な学園内で、着実に計画を進めていく東山だったが…….

生徒役を「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」の南沙良、「サマーフィルムに
のって」の河合優実ら若手俳優たちが演じ、春人の過去を知る元恋人役で
大島優子が共演.

以上は《映画.COM》から転載.
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田中圭は嫌いでは無い役者.主人公の教師東山を演ずる.
東山は”誰か殺されたい願望を持つ"というかなり変わった性癖を持つ.
「オートアサシノフィリア」と作中では精神病の一種とされていた.

ちなみに、この東山はこのオートアサシノフィリアを持った理由の一つに
「母親から愛されなかった」、「胎児の時にへその緒が首に絡まって死にかけた」
という理由付けがされていた….

「11月8日文化祭当日、僕はキャサリンに殺される.」が冒頭から繰り返される.
歴史教師として赴任した東山春人が立てた自分殺害計画.9年間綿密に立てた
この計画は完全犯罪でなくてはならない.が、誰がキャサリンなのか最初は皆目
判らない.


映画「女子高生に殺されたい」-2


静かで優しい真帆:南沙良、真帆の親友で内気なあおい:河合優美、演劇部で
明るい京子:莉子、柔道部でクールな愛佳:芽島みずきの4人が主となる.
本作の見所は東山にターゲットにされたこの女子高生達若手女優の名演にある.

多重人格に未来予知能力、男子顔負けのフィジカル少女…とキャラクター付けが
秀逸すぎる.この中では真帆:南沙良が断トツに面白い.最初はあまり目立たず
普通の演技をしていながら、後半に行くにつれてその存在感を増していく.
多重人格者で三つの人格、真帆・かおり.キャサリンを的確に演じ分ける.

田中圭も心理学研究者から高校教師に身を転じて、前任者を蹴落としてまで、
目的の高校に就職し、その心理学知識を悪用して女子高生達を徐々に落として
行くところの巧みさとか、持ち前の色気が存分に発揮されていて素晴らしい.

演技の中に宿した淀みとか鬱積した部分が巧みで、こんな複雑なサイコの役を
最後まで演じ切ってみせる.なかなかこういう役者は居ないと思うのだ.


映画「女子高生に殺されたい」-3


途中から登場する元カノで、カウンセリング教師の五月:大島優子との演技の
息もピッタリあっていた.このところ大島優子の伸びも著しい….

アブノーマルな作風が故に好き嫌いが別れるであろうが、
心理描写に重きを置いた脚本と演者たちの熱演が功を奏している.
城定秀夫監督の手腕であろう.

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