映画「グリーンランド」
原題：Greenland
制作年：2020年 制作国：アメリカ 上映時間：119分
木曜は出勤日、溜まったメールの処理も含めけっこうな仕事のボリュームに
ヘトヘト．仕事終わりにTOHOシネマズ柏に寄って1本アメリカ作品を．
本年度149本目はディザースターもの．
突如現れた彗星による世界崩壊までの48時間を、普通の一家の目線で
描いたディザスタームービー．突如現れた彗星の破片が隕石となり地球に衝突した．
さらなる巨大隕石による世界崩壊まで残り48時間に迫る中、政府に選ばれた
人々の避難が始まる．建築技師の能力を見込まれたジョン・ギャリティ、そして
妻のアリソンと息子のネイサンも避難所を目指して輸送機に駆けつけた．
しかし、ネイサンの持病により受け入れを拒否され、家族は離れ離れになってしまう．
人々がパニックに陥り、無法地帯と化していく中、生き残る道を探すギャリティ一家が
目にしたのは、非常事態下での人間の善と悪だった．
「エンド・オブ・ホワイトハウス」シリーズのジェラルド・バトラー、「デッドプール」
シリーズのモリーナ・バッカリン、「ドクター・スリープ」のロジャー・デイル・フロイドが
ギャリティ一家を演じる．
監督は「エンド・オブ・ステイツ」でバトラーとタッグを組んだリック・ローマン・ウォー．
以上は《映画.COM》から転載．
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災害パニックものかと先入観をもって観始めたら、案に反して人間社会の闇、
差別とか妬み嫉妬、そしてあくなき生への欲求といったものが印象的な作品
であった．極めて後味が悪い…．
「巨大隕石が衝突するまでの二日間人類はどのような行動をとるのか」がテーマ．
超能力者も居なければ、卓越した科学者や強大な軍事力で隕石を排除するわけ
ではなく、人々がただ逃げ惑うだけの描写に尽きる．
先ず最初に危機を察知した時、国家が国民を選別することから、もう嫌気がさして
しまった．いわゆる上級国民にだけ情報が与えられ、脱出の機会が与えられるという
差別社会の構造が提示される．
主役のジェラルド・バトラー一家はくしくもリッチな建築技師がゆえか、
その上級国民に選ばれる．その事を知った周囲の人間の反応はさまざま．
妬み、そなみ、供に救済を懇願…と人間社会の縮図が始まる．
が、向かった先の米軍基地のゲートで息子が糖尿病であることから、救援機への
搭乗拒否をされてしまう．ここに新たな差別が出現する．基礎疾患を持っていても
同じ人間であることに変わりはないだろうに…．
安全な巨大シェルターはグリーンランドに設置されていることを知り、なんとか
家族で、ＮＹからカナダそしてグリーンランドへ渡ろうとする主人公一家の
苦闘の旅が描かれる．
怖いのは隕石よりも人間．道中で出逢うのは、殺人、窃盗、誘拐といった
理不尽や犯罪のオンパレードで、恐怖と他者に対する不信感体験の連続．
地球が消滅すると知った人類は理性と秩序が機能しなくなる光景を堪能．
唯一ホッとさせられるのは主人公の義父：スコット・グレンの存在と態度．
やっとたどり着いたケンタッキーの義父宅で久々の再会を果たすが、
グリーンランドへの同行は拒否する． 今は亡き妻と供にこの地に残り
最期を迎えると潔い決断を示す．
娘夫婦と孫に、満タンで頑丈なピックアップトラックを指しだし、これで行け
と送り出す姿は尊く人間の威厳に満ちていた．こうありたいと思った．
さて、数々の試練をくぐり抜け主人公一家はグリーンランドへたどり着けるのか？
そしてその後の世界はどうなるのか？？
未曽有の災害を前にした人間社会の闇をたんと味わった作品．
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