映画「Mank マンク」

原題:Mank 制作年:2020年 制作国:アメリカ 上映時間:132分
勤労感謝の日、勤勉に働いている自らへの褒美に、映画鑑賞をする.
別に褒美は無くても、映画館へは通っちゃうのだけどね(笑).
柏キネマ旬報シネマで観たのは又もNetflix配信もの.
本年度劇場観賞累積156本目.
「ソーシャル・ネットワーク」「ゴーン・ガール」の鬼才デビッド・フィンチャーが
メガホンをとり、「ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男」の
オスカー俳優ゲイリー・オールドマンが、不朽の名作「市民ケーン」の脚本家
ハーマン・J・マンキーウィッツを演じたNetflixオリジナル映画.
1930年代のハリウッド.脚本家マンクはアルコール依存症に苦しみながら、
新たな脚本「市民ケーン」の仕上げに追われていた.同作へのオマージュも
散りばめつつ、機知と風刺に富んだマンクの視点から、名作誕生の壮絶な
舞台裏と、ハリウッド黄金期の光と影を描き出す.
「マンマ・ミーア!」のアマンダ・セイフライド、「白雪姫と鏡の女王」のリリー・
コリンズ、テレビドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」のチャールズ・ダンスら
豪華キャストが個性豊かな登場人物たちを演じる.
Netflixで2020年12月4日から配信.
それに先立つ11月20日から、一部の映画館で劇場公開.
以上は《映画.COM》から転載.
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ハリウッドの脚本家を描いた作品というと、新しいところでは「トランボ ハリウッドに
最も嫌われた男」(2016)においてブライアン・クランストンの熱演が記憶に新しい.
ハリウッドに嫌われたという意味では、このハーマン・J・マンキーウィッツも
負けないキャラクターだったのかもしれない.
全編綺麗なモノクロ画像で進められる.1940年、クレジットに名前を載せない
という契約をオーソンウェルズと交わしたマンクが牧場宿泊施設に缶詰状態になり、
60日間で脚本を仕上げて行くさまを描く.
その間に、やたらと1930年代の回想シーンが入る.時には回想シーンから更に
回想したりもするが、年号がクレジットされるのでややこしくはない.
どうしてマンク がそういう窮地の追い込まれたかの説明となる回想シーン.
その半分は映画会社や関係者、政治家との様々なシチュエーションでのやり取り.
極めて政治性が強く、なかでも1937年の大統領選挙にまつわる生臭いシーン
にはへきへきさせられる.
今と違いハリウッドは民主一辺倒ではなく、共和党の プロパガンダ映画など
作って選挙支援していた.そこに民主支持のマンクの 居場所は無かった….
オーソン・ウェルズ制作作品の脚本書きというシチュエーションなのに、
名作「市民 ケーン」とは結び付かなかった.当時の名女優:アマンダ・セイフライド
の実過去 を書くの書かないでもめるパートはあるのだけど、書きあがるまでは
「市民ケーン」 の名は一切出ない.
市民ケーンは数十年前にTV地上波で観たことあるけど…淀長さんの番組だった?
それほど良く内容を覚えてもいないし、そんな意味では「市民ケーン」で感慨に
ふけるほどの感動も無かった.先述のトランボ氏の作品は「ローマの休日」なんか
があったから、より心揺さぶられたけどね.
それにしても、ゲイリー・オールドマンが良くしゃべる作品.何かの例え話だったり、
遠回しに話したり、能書きが多く、ペラペラ良く喋る主人公を演ずる.
比してオーソン・ウェルズは言葉少ないが、核心を突く一言で周囲を唸らせるような
迫力のセリフ回しだったことが印象深い.
最後、クレジットに名前を載せないという契約をひるがえして名を載せたことに
よって獲得したオスカーを手にしたマンク満面の笑顔が眩しかった.
「市民ケーン」の偉大さを知っていればもっと楽しめたかもしれない残念な作品.
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