映画「さくら」

制作年:2020年 制作国:日本 上映時間:119分
遠征先?のMovixつくばで先週末公開されたばかりの邦画を鑑賞.
本年劇場観賞累積152本目.やはり家で観るより劇場につきる♪
直木賞作家・西加奈子が家族をテーマにつづった同名ベストセラーを、
「三月のライオン」の矢崎仁司監督が映画化.
長谷川家の次男・薫は、年末に実家へと向かう.兄の一(ハジメ)は
彼にとって幼い頃から憧れの存在だったが、2年前に事故で他界した.
ハジメの死をきっかけにバラバラになってしまった家族をつなぎ止めるかの
ように、薫は幼い頃の記憶を思い起こしていく.妹・美貴の誕生、 愛犬サクラ
との出会い、引っ越し、初めての恋と失恋など、長谷川家の5人とサクラが
過ごしたかけがえのない日々.
そして大みそか、壊れかけた家族をもう1度つなぐ奇跡のような出来事
が起こる.
平凡な次男・薫を「君の膵臓をたべたい」の北村匠海、 破天荒な長女・美貴を
「渇き。」の小松菜奈、人気者の長男・一を 「キングダム」の吉沢亮、
彼らの両親を寺島しのぶと永瀬正敏が それぞれ演じる.
以上は≪映画.COM≫から転載.
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西加奈子は好きな作家、されど本作の原書は未読. 性教育、LGBT、近親恋愛、
障害者自殺…とてんこ盛りのテーマが 盛り込まれているのだけど、一見の
様相は淡々とした家族ドラマ.
一番印象的なのは、美貴:小松菜奈の演技.たしか20代後半の女優と
認識していたが、本作ではなんと中学2年から18歳までを演じる.
若さ(幼さ)を強調する為か、いつもショートパンツ姿で、ことさら脚線美
を意識させる….
末っ子の娘として甘やかされ手育ち、我が強いというか他人の気持ちよりも
自己の気持ちに従って生きていくタイプに育ってしまっている.
長男一: 吉沢亮への偏愛が凄く、一の恋愛の邪魔をしたりして著しく偏った
行為を 続ける様を小松菜奈が演じ切っている.狂気一歩手前の演技だ.
美貴の高校の同級生にカオルという同性愛者が登場する.彼女は美貴を
卒業式の壇上で自分を否定しなかった素敵な人間で「好き」だと公言する.
美貴の偏見の無さは両親永瀬正敏と寺島しのぶの教育の成果かもしれない.

父:永瀬に女名サキ子の手紙が着き、母:寺島は逆上するが、その実態は
高校の同級生で、男子だった….おかまバーを営むサキ子の店を家族で訪問
するシーンから、この家族のブロードなLGBTに対する感覚がよく判る.
このサキ子:加藤雅也はこの家族にとってもかけがえのない人となる.
交通事故で車いす生活になった一の相談相手にもなるし、一の葬式で、
美貴が狂気の行動に出たり、失禁してしまうのを親の代わりに面倒を
みたりする包容力を見せる.
とにもかくにも美貴を演ずる小松菜奈の怪演の印象が一番の本作.
にこにこと笑いながらも繰り出す変質的な所業.あれほど好きだった
長男一が亡くなっても、涙を流すではなく、薄ら笑いをするような哀しみ方
を小松菜奈が演じてみせる.ムムム、ただ者ではない、この女….
主役のはずの北村匠海の演技は地味過ぎて埋没気味….
華が無いよなぁ、伊藤健太郎なんかに比べると.
音楽の担当はアダム・ジョージ、静かなピアノの曲が好ましかったが、
エンディングチューンは、なんと東京事変の「青のID」.
いい曲なのだけど、この最後の騒がしさは…場違い感あり(汗).
犬の映画は観ないと決めていたが、はからずも題名は「さくら」、
メスの飼い犬の名前であったことに観てから気づいた(苦笑).
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