映画「オフィシャル・シークレット」
原題:Official Secrets
制作年:2019年 制作国:イギリス・アメリカ合作 上映時間:112分
キネ旬での次の作品は、似たような女性による情報流出事件を扱った作品.
舞台はやはりイギリス.時代はイラク戦争.そして演ずるは今度は
キーラ・ナイトレイ!!本年度劇場鑑賞累積137本目.
イラク戦争開戦前夜に英米政府を揺るがせた告発事件を、キーラ・ナイトレイ
主演で映画化したポリティカルサスペンス.
2003年、イギリスの諜報機関GCHQで働くキャサリン・ガンは、アメリカの
諜報機関NSAから驚きのメールを受け取る.イラクを攻撃するための
違法な工作活動を要請するその内容に強い憤りを感じた彼女は、マスコミへの
リークを決意.
2週間後、オブザーバー紙の記者マーティン・ブライトにより、メールの内容が
記事化される.キャサリンは自分がリークしたことを名乗り出るが、告発も
空しくイラク侵攻は開始され、彼女は起訴されてしまう.
キャサリンを救うため、人権派弁護士ベン・エマーソンらが立ち上がるが…….
弁護士エマーソン役に名優レイフ・ファインズ、記者ブライト役にテレビシリーズ
「ドクター・フー」のマット・スミス.
監督は「アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場」のギャビン・フッド.
以上は≪映画.COM≫から転載.
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今回の掟破りの張本人は、色仕掛けは抜き、純粋に義憤に駆られての行動.
諜報機関の一介の翻訳エージェントであるキャサリン:キーラ・ナイトレイは
モスリムの夫をもち、夫の正式移民化を待ち受ける身であった.
ある日アメリカの諜報機関NSAからメールを上司から転送を受け取る.
国連の非常任国の弱小国の情報を収集し、国連でイラクを攻撃するための
違法な工作活動を要請する内容だった.
ちょうどイラクでの大量殺戮兵器の所在をめぐって、アメリカのブッシュ共和党
政権が躍起になってイラクへの戦争をしかかけようとしていた時期だ.
当時の英国首相はブレア、ブッシュ擁護派だった.
キャサリンはメール内容を上司に確認する.イギリス政府の意思なのかと.
間髪入れず上司は、イエスと答え、指示に従い仕事をしろと.
諜報機関に席が有るからといっても全員がガチガチの保守派であるわけがない.
思想的なリベラル派だっているであろう.
当時の世界情勢をつゆつゆ思い出すに、イラクにその大量殺戮兵器の
存在は無いのにブッシュが一方的に仕掛けている印象しか無かった.
一般世論もそうだったと記憶している.
キャサリンは米ブッシュの暴挙の片棒かつぎはまっぴら御免とばかりに、
その メールをオフラインで印刷し、持ち帰り、知己の反戦派記者にゆだねる.
その記者はいくつか断られながらも、オブザーバー紙に繋ぐことができた.
戦争賛成派だったオブザーバー紙の内部の混乱が面白い. 社旨に背いても、
スクープの味は忘れられない…かくして公の目に晒される.
そして始まる諜報機関GCHQ内でのリーク犯の捜索. キャサリンは面接官との
一巡目の面談では切り抜けるが、二巡目からは うそ発見器まで使われて…
観念して自白する.
キャサリンは起訴され、弁護士エマーソン:レイフ・ファインズの登場♪
レイフ・ファインズらしい演技が堪能できる.検察側上部の知己を使い、
バーベキューの場や釣りの場での場外乱闘(笑)の様がいかにも彼らしい.
鼻薬の効かせ方というのが学べる貴重な演技なのだ.
そして迎える第一回目の公判、意外な結果が….
印象的だったのは、その保守派オブザーバー紙がちゃんと記者をイラク
派遣して、大量殺戮兵器がどこにも探せない事まで自ら確認していたこと.
これがマスコミのあるべき姿であろう.
小さなリーク、ほころびでもきちんと拾いあげ、きちんと公に曝す.
そして自らの眼で観たことをきちんと読者に伝える…それがマスコミの使命
と思うのだが.
さて日本のマスコミは如何?
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