映画「リトル・ジョー」
原題:Little Joe
制作国:オーストリア・イギリス・ドイツ合作 上映時間:105分
順序は相前後するが、木曜の父との面会の前に映画を1本観た.
Movie柏の葉で観たのはイギリス製の不気味なスリラーというかSF?
本年劇場鑑賞累積90本目.
幸せになる香りを放つという新種の植物がもたらす不安を描き、主演の
エミリー・ビーチャムが第72回カンヌ国際映画祭で主演女優賞を受賞した
異色のスリラー.
幸せになる香りを放つ新種の植物「リトル・ジョー」を開発した研究者で
シングルマザーのアリスは、ワーカホリックで息子のジョーときちんと向き
合えていないことに罪悪感を抱きながら、日々の研究にいそしんでいた.
息子のジョーへの贈り物として、彼女にとってもう1人の息子である
リトル・ジョーを自宅に持ち帰る.しかし、リトル・ジョーの香りを嗅いだ
ジョーが奇妙な行動をとり、花粉を吸い込んだアリスの助手クリスも
いつもとは違う様子を見せ始める.
監督はミヒャエル・ハネケの助手を務め、「ルルドの泉で」で注目された
気鋭の女性監督ジェシカ・ハウスナー.
以上は《映画.COM》から転載.
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ボタニカル・スリラーと称されるそう.遺伝子操作で作り上げた植物、
リトル・ジョー.人が嗅ぐと幸せになる香りを放つという機能を持つ.
なにやら意志を持っているような挙動がとても不気味.
温湿度管理された特殊ハウス内に咲きほこるその姿は不気味であり、
ある種の恐怖感を感じさせる.
この花に反感を持つ共同研究者がこのハウスに閉じ込められて、
その香りを強制的に?嗅がされてほうほうの体で逃げ出すシーンでは
明らかな植物の意志が感じられる….
この怪物を作り出したヒロイン、アリスにエミリー・ビーチャム.複雑な感情の
持ち主なのに、それを決して表に出さない独特の演技を見せる.
時としてこの女優さんの表情も怖いと感じる.
その研究助手クリス役になんとベン・ショー.奇妙な、そして曖昧なところもあり、
人当たりの良い近所の好青年みたいな雰囲気も持ちながら、どこか不吉さも
持っている研究者を見事に演ずる.
果たして今何を考えているのか、何を感じているのか思わず考えてしまうような、
クリスがやはりリトル・ジョーの香りを嗅いで、この花を支援するような動きをする.
もう一つ、本作で怖いもの、それは不穏なバックグラウンドの音楽.
海外の舞台、映画音楽で活躍した日本人作曲家、故・伊藤貞司の楽曲を使用.
尺八や和太鼓、琴など和楽器を用い、唐突で危い旋律、衝撃音が奏でられる.
しかも大音量なので、ビックリするのと、極めて不快な旋律で恐怖心を
震え上がらせる効果を最大限感じさせてくれる.これはもう不愉快(笑).
花の思惑?通りに研究所内のシンパは増えていき、所内のコンペティションも
勝ち抜いて、とうとう一般発売するという.一見ハッピーエンド風に見えるが、
この先、こんな花が世間一般に出回った時の怖さったら….
この後が怖いと感じさせた一流のスリラー.
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