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映画「チェ 39歳 別れの手紙」




今週末は映画の新作ラッシュ.選ぶのも悩ましい.
そうはいっても、ABBAものや漫画原作ものはねえ….

やはり、血と魂系…、チェ・ゲバラを描く2部作の後編、
「チェ 39歳別れの手紙」を早速観てみる.本年10本目.

監督は当然前作と同じスティーヴン・ソダーバーグ.
ベニチオ・デル・トロがゲバラを引き続き演ずる.

チェ・ゲバラがフィデル・カストロと袂を分かち、
新天地ボリビアで再び革命の戦いへ身を投じた末に
劇的な最期を迎えるまでを描く。

冒頭はカストロがチェの“別れの手紙”を読み上げるシーンから始まる.
手紙には、地位や名誉、キューバ市民としての立場も捨て、
自分を必要とする場所へ身を投じる…という決意を述べているだけ….

その後もカストロとの不仲の様子やその後向かったコンゴでの
活動はいっさい描かれない.

結局、この信念に貫かれた後半の人生が淡々と
ドキュメンタリーの様に描かれる.
そういう意味では前編のドラマチックさとは別な作風の作品.
二つの作品に分けた監督の意図は正しいかも.

喘息に悩まされ、部下の落伍や農民の裏切りに
落胆し、疲れ果てて行く様は痛々しく、
政府軍に追いつめられる後半は思わず、
我が身をその場に置くような気持ちになる….

ベニチオ・デル・トロの演技も幽気迫るものがある.
信念に憑かれた、とでも言いたいものがある.

そして最後の銃殺のシーン….
農民の窮状を訴え、その農民に裏切られた事を悔やみ、
自らの死をもって、その農民たちの眼が開く事を渇望する….

その革命への志の原動力は…という疑問に
明確に答えは作品中に出てこない.
が、観る人に必ずその答えが伝わる2時間の英雄のドラマ.

フィデル(カストロ)への別れの手紙は単に決意の表明だけだが、
家族、子供に残した手紙にはその信念が書き表されている.

 子供たちへ
 
 この手紙を読まねばならないとき、
 お父さんはそばにいられないでしょう.
 世界のどこかで誰かが不正な目にあっているとき、
 いたみを感じることが出来るようになりなさい.
 これが革命家において、最も美しい資質です.
 子供たちよ、いつまでもお前たちに会いたいと思っている.
 だが今は、大きなキスを送り、抱きしめよう.

 お父さんより

 (チェ・ゲバラ 1965年 子供たちへの最後の手紙)


いつまでもチェが偉大な英雄、カリスマであることを実感した作品.
会員割引¥1600で丁度かな.


コメント

非公開コメント

No title

観たい映画なので本文は読まずにいます。

でも、冒頭の「ABBAものや漫画原作物」ってクダリに笑ってしまいました。

No title

ぴいしゃま.
まあ、それらも観ないわけでもないけど…、好きなモノから観ていく、というスタンスなんです今年はネ.

No title

喘息とたたかい、喘息がもとで耳の病気とたたかっていますが、それ以上に誰かの為にはなってない私です。
まぁかろうじて主婦として家族の為にご飯作ってます。

No title

reiさん.
え~、十二分にブログで世の中の皆さんを楽しませてくれてるじゃないですか~.かく言う副長も恩恵をバッチリ受けてますよー.
映画の中のチェの胸、喉が『ヒュー、ヒュー』いう音が忘れられません.苦しみを味わった人にしか判らない哀しい音ですよね….

No title

ありがとう~(*^.^*)
たぶんチェさんの喘息はひどかったんでしょうね。
私も死ぬ時はこれかと思った事があったけど、たぶん長生きタイプじゃないかと…それも。。

No title

ソダーバーグらしい作品ですが、革命だけに絞られていたので、ちょっと見にくかったですね。
での脚を撃たれたときと最後のシーンは素晴らしかったです。
そうなのですか エンドロールに照明ついてしまったのですね・・
TBさせてください。

No title

reiさん.
喘息の薬を切らしたチェは悲壮そのものでした.発作を起こした人を見るとそのまま呼吸が止まってしまうのではとドキドキしちゃいます….
reiさんは美人長命タイプ?

No title

Cartoucheさん.
好きな撮り方の作品です.エンドロールの素敵な曲の後の静寂…観客の大半が味わっていたのに、音だけをモニタしていた係が終わったと判断して照明をつけてしまいました….数十秒後またも消灯したのですが、シラケた空気が充満したのは言うまでもありません.初日に観に行くとこんなトラブルもあるのですねえ.

No title

その音 聞いただけで こちらも つられて発作を起しちゃいます
辛いです 娘が小さい時喘息で一緒に苦しかったけど
娘を優先に治療してて 死に掛けたっけ~って
今は馬鹿な思い出話です^^;

No title

野良さん.
甥が二十代後半ですが、未だに喘息で苦しんでます.ヒューヒュー、ゼイゼイ….悪夢のような音ですよね.映画でのチェのこの音もけっこうリアルなんですよ.甥の苦しみがまざまざと甦って…自分も苦しかったです.

No title

憎まれっ子世にはばかるタイプです。
発作止めのシュッっていう気管支拡張剤がいつもポケットに入っているので大丈夫なんです。
殺しても死なないタイプだと?

No title

後編は・・・前編のような希望や喜び、一体感などはなく絶望的な暗い雰囲気が続く133分。
空回りの連続が続く中・・・最後の最後まで高潔な理想を捨てなかったチェ・ゲバラが印象的。
マット・デイモンのカメオ出演ちょっと嬉しかったです。 トロも素晴らし演技でした!

No title

reiさん.
ネブライザー…って言いましたっけ.甥も常時携帯してました.
命を救う薬だな…って思いましたよ.苦しみの世界から引き戻してくれる薬なんだもの.なんだかシュワちゃんみたいなタフなイメージがreiさんに…(笑).

No title

くるみさん.
殺されるいまわの時でも「それでも、人間を信じたい…」.熱いですよねえ、ゲバラの想い….良い映画でした.マット・デイモン…不覚にも気づきませんでした(苦笑).どこに居たんだろ??