原題:THE HELP 製作年度:2011年 製作国:アメリカ 上映時間:146分
また映画を観るスタイルに戻ってきた.好い作品がいっぱいある嬉しい状況だ.
本年45本目はキャスリン・ストケットの全米ベストセラーの映画化.
人種差別意識が根強く残る1960年代のアメリカ南部を舞台に、
勇気ある行動で世の中に大きな波紋を投げかけた作家志望の
若い白人女性とメイドとして働く黒人女性たちとの友情の軌跡を綴る.
主演はエマ・ストーン、共演にヴィオラ・デイヴィス、オクタヴィア・スペンサー、
ジェシカ・チャステイン、ブライス・ダラス・ハワード.
監督は原作者とは同じ南部出身の幼なじみで、これが長編2作目の新鋭テイ ト・テイラー.
アメリカ南部、ミシシッピ州ジャクソン.上流階級に生まれ、
黒人メイドに育てられた白人女性スキーター(エマ・ストーン).
作家志望の彼女は大学卒業後、地元の新聞社で
家事に関するコラムの代筆を担当することになる.
しかし家事に疎い彼女は、友人宅のベテラン黒人メイド、
エイビリーン(ヴィオラ・デイヴィス)に相談する.
話を聞くうち、彼女たちが置かれた立場に違和感を覚え始める.
そして、黒人メイドたちの証言を集めて本にしようと思い立つ.
ところがエイビリーンは、黒人が真実を口にするようなことがあれば、
この町では生きていけなくなると、取材を頑なに拒否する….
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まずは、このミシシッピ州の人種差別状況に唖然とさせられる.
南北戦争の時の話しではない.1960年代の背景なのだ.
60年代といったら副長小学生の頃.
選挙にいくと殴り殺され、映画館もレストランも有色人は差別され、
この作品で描かれるメイドも食事やトイレを家人(白人)と供には許されない.
そんな“差別”に立ち向かった黒人メイドたちと白人ヒロインの物語.
この地の黒人女性の仕事は裕福な白人家のメイド.
家事以外に育児も受け持つ.エイビリーンは延べ16人の育児をも過去に経験している.
当然、この育てられた子たちは黒人メイドを母親代わりに愛する…ようになる.
生みの親と育ての親と子の三角関係がいくつか描かれる.
特にヒロイン、スキーターのケースは育ての親の黒人メイドとの別れが悲しい.
そんな肌の色を超えた愛憎のエピソードがつづられ、描かれる.
笑わせ、怒らせ、そしてほろりとさせるエピソードで進行していく脚本は見事.
そしてつかみとる小さな勝利.でも失うものも多いのがこの世の常.
ほろ苦いようなエンディングも又一つの味わい.
いわばアメリカの自己反省文みたいな、味わいの作品.
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