なんだ言っても、熱烈なジブリファンの副長.
やはり初日に観に行ってしまった…本年72本目.
とある古い家の床下に暮らす小人一家と人間の交流を描 いた
スタジオジブリ製作のファンタジー・アニメ.
原作は1952年にイギリスで出版された
メアリー・ノートンの児童文学『床下の小人たち』.
舞台をイ ギリスから日本に移し、小人の少女アリエッティと
人間の少年のひと夏の触れ合いを綴る.
監督は「千と千尋の神隠し」や「崖の上のポニョ」などで原画を担当 し、
本作で初メガホンに抜擢された米林宏昌.
声優は良く注意しないと聞き落としちゃうが、
超豪華な俳優陣をそろえる.
主役に志田未来.共演に神木隆之介、大竹しのぶ、竹下景子
藤原竜也、三浦友和、そしてお手伝いさん役に樹木希林.
古い家の台所の下に住み、暮らしに必要なものはすべて
床の上の人間から借りてくる借りぐらしの小人たち.
そんな小人一家の14歳、アリエッティは、
好奇心 と伸びやかな感性を持つ少女.
人間に見られないよう、目立たないよう、
つつましさと用心深さを求められる毎日を送っていた….
アリエッティが言う「“かり”って楽しいね.」
狩りでは無くって、「借り」だったのだね.
声優:志田未来のイントネーションもちょっとね….
必要最低限の量と中身を借りて、
あとは自給自足でひっそりと暮らす、小人たちの生活.
借りたら返すのが当たり前、じゃぁ小人たちは人間に
何を返しているんだ…という素朴な疑問を持ってしまう.
“どこかに小人が住んでいる”という夢を人に与えるだけが
本来の人間と小人の接点であるべきなのに、
アリエッティは姿を見られてしまうことから物語が始まる.
あいかわらずのジブリの手作りアニメははいつもの品質.
カラーリングやトーンは「耳をすませば」や「トトロ」に近い.
おそらく原作をそんなに逸脱はしていないのだろう、
あっけない結末や起伏のないストーリーはたぶん
多くの観客は不満だろうなぁ.まして子供向けでは無いと思う.
アリエッティの14歳らしい描き方も含め好きな作品.
細かい部分にジブリ、いや宮崎駿らしいこだわりや表現が
随所にみられる.あぁ、またやってる…みたいなネ.
薄い水色の左ハンドルの古くさいメルセデス.
古くさいシートベルトに前かがみのおばあちゃんの運転.
開きにくい窓枠、隙間のある網戸、丸っちい大型の外国製冷蔵庫.
英国製の素晴らしい出来のドールハウス…はアリエッティの住み家
の素敵さとある意味で好い対比を示す.彼らは最後にどちらも失うのだけど.
動物の描き方もいかにも宮崎駿、といっても
監督は子飼いのアニメーター出身の米林宏昌なのだけど、
宮崎の影響(口出しとも言う)はありありと見られる.
だんご虫のカップルの愛情交換なんて、かなり新鮮(笑).
ゴキブリやネズミ、後半はタヌキまででてくるのはいかにも
東京都下の多摩を舞台に選んだだけはある.
動物の中でも一番の秀逸さはやはり…ネコ
“ニーヤ”という名の薄茶のブタネコ.
最初にアリエッティを発見するのも彼だし、
最後に重要な役もしっかり演ずる.
ネコ好きのジブリらしい大事なキャラ.
声優的には、樹木希林しか印象に残らない.
抜群の存在感はその役、お手伝いさんハルの役柄が
まさに樹木希林のイメージそのものだから.
また好きになっちゃった、樹木希林(笑).
聞けば、この作品の監督はまだ37歳、「耳をすませば」に
あこがれてジブリに入社したそう.ジブリの新世代だ.
他の重要なスタッフもみな30,40代、
宮崎、高畑が直接手をくださなくてもきちんとした
ジブリの伝統が引き継がれた作品が出てくることに少し安心.
ポニョやハウルよりもこういうテイストのジブリが好き.
ケルト・ミュージック好きの副長には音楽担当の仏人
セシル・コルベルのハープの音は耳にここち良かった.
これはこっそり、あとでDVDを買おうと思っている.
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