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2026-04-23

お伽草紙

太宰治


「あ、鳴つた。」

 と言つて、父はペンを置いて立ち上る。警報くらゐでは立ち上らぬのだが、高射砲が鳴り出すと、仕事をやめて、五歳の女の子に防空頭巾かぶせ、これを抱きかかへて防空壕にはひる。既に、母は二歳の男の子を背負つて壕の奥にうずくまつてゐる。

「近いやうだね。」

「ええ。どうも、この壕は窮屈で。」

「さうかね。」と父は不満さうに、「しかし、これくらゐで、ちやうどいいのだよ。あまり深いと生埋めの危険がある。」

「でも、もすこし広くしてもいいでせう。」

「うむ、まあ、さうだが、いまは土が凍つて固くなつてゐから掘るのが困難だ。そのうちに、」などあいまいな事を言つて、母をだまらせ、ラジオの防空情報に耳を澄ます

 母の苦情が一段落すると、こんどは、五歳の女の子が、もう壕から出ませう、と主張しはじめる。これをなだめる唯一の手段絵本だ。桃太郎、カチカチ山、舌切雀、瘤取り、浦島さんなど、父は子供に読んで聞かせる。

 この父は服装もまづしく、容貌も愚なるに似てゐるが、しかし、元来ただものでないのである物語創作するといふまことに奇異なる術を体得してゐる男なのだ

 ムカシ ムカシノオ話ヨ

 などと、間まの抜けたやうな妙な声で絵本を読んでやりながらも、その胸中には、またおのづから別個の物語が※(「酉+榲のつくり」、第3水準1-92-88)醸せられてゐるのである

[#改頁]

瘤取り

ムカシ ムカシノオ話ヨ

ミギノ ホホニ ジヤマツケナ

コブヲ モツテル オヂイサン

 このお爺さんは、四国阿波剣山のふもとに住んでゐたのである。(といふやうな気がするだけの事で、別に典拠があるわけではない。もともと、この瘤取りの話は、宇治拾遺物語から発してゐものらしいが、防空壕の中で、あれこれ原典を詮議する事は不可能である。この瘤取りの話に限らず、次に展開して見ようと思ふ浦島さんの話でも、まづ日本書紀にその事実がちやんと記載せられてゐるし、また万葉にも浦島を詠じた長歌があり、そのほか、丹後風土記やら本朝神仙伝などといふものに依つても、それらしいものが伝へられてゐるやうだし、また、つい最近於いては鴎外の戯曲があるし、逍遥などもこの物語舞曲にした事は無かつたかしら、とにかく、能楽歌舞伎芸者の手踊りに到るまで、この浦島さんの登場はおびただしい。私には、読んだ本をすぐ人にやつたり、また売り払つたりする癖があるので、蔵書といふやうなものは昔から持つた事が無い。それで、こんな時に、おぼろげな記憶をたよつて、むかし読んだ筈の本を捜しに歩かなければならぬはめに立ち到るのであるが、いまは、それもむづかしいだらう。私は、いま、壕の中にしやがんでゐるのである。さうして、私の膝の上には、一冊の絵本がひろげられてゐるだけなのである。私はいまは、物語の考証はあきらめて、ただ自分ひとりの空想を繰りひろげるにとどめなければならぬだらう。いや、かへつてそのはうが、活き活きして面白いお話が出来上るかも知れぬ。などと、負け惜しみに似たやうな自問自答をして、さて、その父なる奇妙の人物は、

ムカシ ムカシノオ話ヨ

 と壕の片隅に於いて絵本を読みながら、その絵本物語と全く別個の新しい物語を胸中に描き出す。)

 このお爺さんは、お酒を、とても好きなのである。酒飲みといふものは、その家庭に於いて、たいてい孤独ものである孤独から酒を飲むのか、酒を飲むから家の者たちにきらはれて自然孤独の形になるのか、それはおそらく、両の掌をぽんと撃ち合せていづれの掌が鳴つたかを決定しようとするやうな、キザな穿鑿に終るだけの事であらう。とにかく、このお爺さんは、家庭に在つては、つねに浮かぬ顔をしてゐるのである。と言つても、このお爺さんの家庭は、別に悪い家庭では無いのである。お婆さんは健在である。もはや七十歳ちかいけれども、このお婆さんは、腰もまがらず、眼許も涼しい。昔は、なかなかの美人であつたさうである若いから無口であつて、ただ、まじめに家事にいそしんでゐる。

「もう、春だねえ。桜が咲いた。」とお爺さんがはしやいでも、

「さうですか。」と興の無いやうな返辞をして、「ちよつと、どいて下さい。ここを、お掃除しまから。」と言ふ。

 お爺さんは浮かぬ顔になる。

 また、このお爺さんには息子がひとりあつて、もうすでに四十ちかくになつてゐるが、これがまた世に珍しいくらゐの品行方正、酒も飲まず煙草も吸はず、どころか、笑はず怒らず、よろこばず、ただ黙々と野良仕事、近所近辺の人々もこれを畏敬せざるはなく、阿波聖人の名が高く、妻をめとらず鬚を剃らず、ほとんど木石ではないかと疑はれるくらゐ、結局、このお爺さんの家庭は、実に立派な家庭、と言はざるを得ない種類のものであつた。

 けれども、お爺さんは、何だか浮かぬ気持である。さうして、家族の者たちに遠慮しながらも、どうしてもお酒を飲まざるを得ないやうな気持になるのであるしかし、うちで飲んでは、いつそう浮かぬ気持になるばかりであつた。お婆さんも、また息子の阿波聖人も、お爺さんがお酒を飲んだつて、別にそれを叱りはしない。お爺さんが、ちびちび晩酌をやつてゐる傍で、黙つてごはんを食べてゐる。

「時に、なんだね、」とお爺さんは少し酔つて来ると話相手が欲しくなり、つまらぬ事を言ひ出す。「いよいよ、春になつたね。燕も来た。」

 言はなくたつていい事である

 お婆さんも息子も、黙つてゐる。

「春宵一刻、価千金、か。」と、また、言はなくてもいい事を呟いてみる。

「ごちそうさまでござりました。」と阿波聖人は、ごはんをすまして、お膳に向ひうやうやしく一礼して立つ。

「そろそろ、私もごはんにしよう。」とお爺さんは、悲しげに盃を伏せる。

 うちでお酒を飲むと、たいていそんな工合ひである

アルヒ アサカラ ヨイテンキ

ヤマヘ ユキマス シバカリ

 このお爺さんの楽しみは、お天気のよい日、腰に一瓢をさげて、剣山にのぼり、たきぎを拾ひ集める事である。いい加減、たきぎ拾ひに疲れると、岩上に大あぐらをかき、えへん! と偉さうに咳ばらひを一つして、

「よい眺めぢやなう。」

 と言ひ、それから、おもむろに腰の瓢のお酒を飲む。実に、楽しさうな顔をしてゐる。うちにゐる時とは別人の観がある。ただ変らないのは、右の頬の大きい瘤くらゐのものである。この瘤は、いまから二十年ほど前、お爺さんが五十の坂を越した年の秋、右の頬がへんに暖くなつて、むずかゆく、そのうちに頬が少しづつふくらみ、撫でさすつてゐると、いよいよ大きくなつて、お爺さんは淋しさうに笑ひ、

「こりや、いい孫が出来た。」と言つたが、息子の聖人は頗るまじめに、

「頬から子供が生れる事はござりません。」と興覚めた事を言ひ、また、お婆さんも、

いのちにかかはるものではないでせうね。」と、にこりともせず一言、尋ねただけで、それ以上、その瘤に対して何の関心も示してくれない。かへつて、近所の人が、同情して、どういふわけでそんな瘤が出来たのでせうね、痛みませんか、さぞやジヤマツケでせうね、などとお見舞ひの言葉を述べる。しかし、お爺さんは、笑つてかぶりを振る。ジヤマツケどころか、お爺さんは、いまは、この瘤を本当に、自分可愛い孫のやうに思ひ、自分孤独を慰めてくれる唯一の相手として、朝起きて顔を洗ふ時にも、特別にていねいにこの瘤に清水をかけて洗ひ清めてゐるのであるけふのやうに、山でひとりで、お酒を飲んで御機嫌の時には、この瘤は殊にも、お爺さんに無くてかなはぬ恰好の話相手である。お爺さんは岩の上に大あぐらをかき、瓢のお酒を飲みながら、頬の瘤を撫で、

「なあに、こはい事なんか無いさ。遠慮には及びませぬて。人間すべからく酔ふべしぢや。まじめにも、程度がありますよ。阿波聖人とは恐れいる。お見それ申しましたよ。偉いんだつてねえ。」など、誰やらの悪口を瘤に囁き、さうして、えへん! と高く咳ばらひをするのである

ハカニ クラク ナリマシタ

カゼガ ゴウゴウ フイテキテ

メモ ザアザア フリマシタ

 春の夕立ちは、珍しい。しかし、剣山ほどの高い山に於いては、このやうな天候の異変も、しばしばあると思はなければなるまい。山は雨のために白く煙り、雉、山鳥があちこちから、ぱつぱつと飛び立つて矢のやうに早く、雨を避けようとして林の中に逃げ込む。お爺さんは、あわてず、にこにこして、

「この瘤が、雨に打たれてヒンヤリするのも悪くないわい。」

 と言ひ、なほもしばらく岩の上にあぐらをかいたまま、雨の景色を眺めてゐたが、雨はいよいよ強くなり、いつかうに止みさうにも見えないので、

「こりや、どうも、ヒンヤリしすぎて寒くなつた。」と言つて立ち上り、大きいくしやみを一つして、それから拾ひ集めた柴を背負ひ、こそこそと林の中に這入つて行く。林の中は、雨宿りの鳥獣で大混雑である

はい、ごめんよ。ちよつと、ごめんよ。」

 とお爺さんは、猿や兎や山鳩に、いちいち上機嫌で挨拶して林の奥に進み、山桜大木の根もとが広い虚うろになつてゐるのに潜り込んで、

「やあ、これはいい座敷だ。どうです、みなさんも、」と兎たちに呼びかけ、「この座敷には偉いお婆さんも聖人もゐませんから、どうか、遠慮なく、どうぞ。」などと、ひどくはしやいで、そのうちに、すうすう小さい鼾をかいて寝てしまつた。酒飲みといふものは酔つてつまらぬ事も言ふけれど、しかし、たいていは、このやうに罪の無いものである

ユフダチ ヤムノヲ マツウチニ

ツカレガ デタカ オヂイサン

イツカ グツスリ ネムリマ

オヤマハ ハレテ クモモナ

アカルイ ツキヨニ ナリマシタ

 この月は、春の下弦の月である。浅みどり、とでもいふのか、水のやうな空に、その月が浮び、林の中にも月影が、松葉のやうに一ぱいこぼれ落ちてゐる。しかし、お爺さんは、まだすやすや眠つてゐる。蝙蝠が、はたはたと木の虚うろから飛んで出た。お爺さんは、ふと眼をさまし、もう夜になつてゐるので驚き、

「これは、いけない。」

 と言ひ、すぐ眼の前に浮ぶのは、あのまじめなお婆さんの顔と、おごそかな聖人の顔で、ああ、これは、とんだ事になつた、あの人たちは未だ私を叱つた事は無いけれども、しかし、どうも、こんなにおそく帰つたのでは、どうも気まづい事になりさうだ、えい、お酒はもう無いか、と瓢を振れば、底に幽かにピチヤピチヤといふ音がする。

「あるわい。」と、にはかに勢ひづいて、一滴のこさず飲みほして、ほろりと酔ひ、「や、月が出てゐる。春宵一刻、――」などと、つまらぬ事を呟きながら木の虚うろから這ひ出ると、

オヤ ナンデセウ サワグコヱ

ミレバ フシギダ ユメデシヨカ

 といふ事になるのである

 見よ。林の奥の草原に、この世のものとも思へぬ不可思議光景が展開されてゐるのである。鬼、といふものは、どんなものだか、私は知らない。見た事が無いかである。幼少の頃から、その絵姿には、うんざりするくらゐたくさんお目にかかつて来たが、その実物に面接するの光栄には未だ浴してゐないのである。鬼にも、いろいろの種類があるらしい。××××鬼、××××鬼、などと憎むべきものを鬼と呼ぶところから見ても、これはとにかく醜悪性格を有する生き物らしいと思つてゐると、また一方に於いては、文壇鬼才何某先生の傑作、などといふ文句新聞新刊書案内欄に出てゐたりするので、まごついてしまふ。まさか、その何某先生が鬼のやうな醜悪の才能を持つてゐるといふ事実暴露し、以て世人に警告を発するつもりで、その案内欄に鬼才などといふ怪しむべき奇妙な言葉使用したのでもあるまい。甚だしきに到つては、文学の鬼、などといふ、ぶしつけな、ひどい言葉を何某先生に捧げたりしてゐて、これではいくら何でも、その何某先生も御立腹なさるだらうと思ふと、また、さうでもないらしく、その何某先生は、そんな失礼千万醜悪綽名をつけられても、まんざらでないらしく、御自身ひそかにその奇怪の称号を許容してゐるらしいといふ噂などを聞いて、迂愚の私は、いよいよ戸惑ふばかりである。あの、虎の皮のふんどしをした赤つらの、さうしてぶざいくな鉄の棒みたいなものを持つた鬼が、もろもろの芸術の神であるとは、どうしても私には考へられないのである鬼才だの、文学の鬼だのといふ難解な言葉は、あまり使用しないはうがいいのではあるまいか、とかねてから愚案してゐた次第であるが、しかし、それは私の見聞の狭い故であつて、鬼にも、いろいろの種類があるのかも知れない。このへんで、日本百科辞典でも、ちよつと覗いてみると、私もたちまち老幼婦女子の尊敬の的たる博学の士に一変して、(世の物識りといふものは、たいていそんなものである)しさいらしい顔をして、鬼に就いて縷々千万言を開陳できるのでもあらうが、生憎と私は壕の中にしやがんで、さうして膝の上には、子供絵本が一冊ひろげられてあるきりなのである。私は、ただこの絵本の絵に依つて、論断せざるを得ないのである

 見よ。林の奥の、やや広い草原に、異形の物が十数人、と言ふのか、十数匹と言ふのか、とにかく、まぎれもない虎の皮のふんどしをした、あの、赤い巨大の生き物が、円陣を作つて坐り、月下の宴のさいちゆうである

 お爺さん、はじめは、ぎよつとしたが、しかし、お酒飲みといふものは、お酒を飲んでゐない時には意気地が無くてからきし駄目でも、酔つてゐる時には、かへつて衆にすぐれて度胸のいいところなど、見せてくれるものである。お爺さんは、いまは、ほろ酔ひである。かの厳粛なるお婆さんをも、また品行方正の聖人をも、なに恐れんやといふやうなかなりの勇者になつてゐるのである。眼前の異様の風景に接して、腰を抜かすなどといふ醜態を示す事は無かつた。虚うろから出た四つ這ひの形のままで、前方の怪しい酒宴のさまを熟視し、

「気持よささうに、酔つてゐる。」とつぶやき、さうして何だか、胸の奥底から、妙なよろこばしさが湧いて出て来た。お酒飲みといふものは、よそのものたちが酔つてゐるのを見ても、一種のよろこばしさを覚えるものらしい。所謂利己主義者ではないのであらう。つまり隣家の仕合せに対して乾盃を挙げるといふやうな博愛心に似たものを持つてゐるのかも知れない。自分も酔ひたいが、隣人もまた、共に楽しく酔つてくれたら、そのよろこびは倍加するもののやうである。お爺さんだつて、知つてゐる。眼前の、その、人とも動物もつかぬ赤い巨大の生き物が、鬼といふおそろしい種族のものであるといふ事は、直覚してゐる。虎の皮のふんどし一つに依つても、それは間違ひの無い事だ。しかし、その鬼どもは、いま機嫌よく酔つてゐる。お爺さんも酔つてゐる。これは、どうしても、親和の感の起らざるを得ないところだ。お爺さんは、四つ這ひの形のままで、なほもよく月下の異様の酒宴を眺める。鬼、と言つても、この眼前の鬼どもは、××××鬼、××××鬼などの如く、佞悪の性質を有してゐ種族のものでは無く、顔こそ赤くおそろしげではあるが、ひどく陽気で無邪気な鬼のやうだ、とお爺さんは見てとつた。お爺さんのこの判定は、だいたいに於いて的中してゐた。つまり、この鬼どもは、剣山隠者とでも称すべき頗る温和な性格の鬼なのである地獄の鬼などとは、まるつきり種族が違つてゐるのである。だいいち、鉄棒などといふ物騒なものを持つてゐない。これすなはち、害心を有してゐない証拠と言つてよい。しかし、隠者とは言つても、かの竹林賢者たちのやうに、ありあまる知識をもてあまして、竹林に逃げ込んだといふやうなものでは無くて、この剣山隠者の心は甚だ愚である。仙といふ字は山の人と書かれてゐから、何でもかまはぬ、山の奥に住んでゐる人を仙人と称してよろしいといふ、ひどく簡明の学説を聞いた事があるけれども、かりにその学説に従ふなら、この剣山隠者たちも、その心いかに愚なりと雖も、仙の尊称を奏呈して然るべきものかも知れない。とにかく、いま月下の宴に打興じてゐるこの一群の赤く巨大の生き物は、鬼と呼ぶよりは、隠者または仙人呼称するはうが妥当のやうなしろものなのである。その心の愚なる事は既に言つたが、その酒宴の有様を見るに、ただ意味も無く奇声を発し、膝をたたいて大笑ひ、または立ち上つて矢鱈にはねまはり、または巨大のからだを丸くして円陣の端から端まで、ごろごろところがつて行き、それが踊りのつもりらしいのだから、その智能の程度は察するにあまりあり、芸の無い事おびただしい。この一事を以てしても、鬼才とか、文学の鬼とかい言葉は、まるで無意味ものだといふことを証明できるやうに思はれる。こんな愚かな芸無しどもが、もろもろの芸術の神であるとは、どうしても私には考へられないのである。お爺さんも、この低能の踊りには呆れた。ひとりでくすくす笑ひ、

「なんてまあ、下手な踊りだ。ひとつ、私の手踊りでも見せてあげませうかい。」とつぶやく

ヲドリノ スキナ オヂイサン

スグニ トビダシ ヲドツタラ

コブガ フラフラ ユレルノデ

トテモ ヲカシイ オモシロ

 お爺さんには、ほろ酔ひの勇気がある。なほその上、鬼どもに対し、親和の情を抱いてゐるのであるから、何の恐れるところもなく、円陣のまんなかに飛び込んで、お爺さんご自慢の阿波踊りを踊つて、

むすめ島田年寄りやかつらぢや

赤い襷に迷ふも無理やない

嫁も笠きて行かぬか来い来い

 とかい阿波俗謡をいい声で歌ふ。鬼ども、喜んだのなんの、キヤツキヤツケタケタと奇妙な声を発し、よだれやら涙やらを流して笑ひころげる。お爺さんは調子に乗つて、

大谷通れば石ばかり

笹山通れば笹ばかり

 とさらに一段と声をはり上げて歌ひつづけ、いよいよ軽妙に踊り抜く。

オニドモ タイソウ ヨロコン

ツキヨニヤ カナラズ ヤツテキテ

ヲドリ ヲドツテ ミセトクレ

ソノ ヤクソクノ オシルシ

ダイジナ モノヲ アヅカラウ

 と言ひ出し、鬼たち互ひにひそひそ小声で相談し合ひ、どうもあの頬ぺたの瘤はてかてか光つて、なみなみならぬ宝物のやうに見えるではないか、あれをあづかつて置いたら、きつとまたやつて来るに違ひない、と愚昧なる推量をして、矢庭に瘤をむしり取る。無智ではあるが、やはり永く山奥に住んでゐるおかげで、何か仙術みたいなものを覚え込んでゐたのかも知れない。何の造作も無く綺麗に瘤をむしり取つた。

 お爺さんは驚き、

「や、それは困ります。私の孫ですよ。」と言へば、鬼たち、得意さうにわつと歓声を挙げる。

アサデス ツユノ ヒカルミチ

コブヲ トラレタ オヂイサン

ツマラナサウニ ホホヲ ナデ

オヤマヲ オリテ ユキマシタ

 瘤は孤独のお爺さんにとつて、唯一の話相手だつたのだから、その瘤を取られて、お爺さんは少し淋しい。しかしまた、軽くなつた頬が朝風に撫でられるのも、悪い気持のものではない。結局まあ、損も得も無く、一長一短といふやうなところか、久しぶりで思ふぞんぶん歌つたり踊つたりしただけが得とく、といふ事になるかな? など、のんきな事を考へながら山を降りて来たら、途中で、野良へ出かける息子の聖人とばつたり出逢ふ。

「おはやうござります。」と聖人は、頬被りをとつて荘重に朝の挨拶をする。

「いやあ。」とお爺さんは、ただまごついてゐる。それだけで左右に別れる。お爺さんの瘤が一夜のうちに消失てゐるのを見てとつて、さすがの聖人も、内心すこしく驚いたのであるが、しかし、父母の容貌に就いてとやかくの批評がましい事を言ふのは、聖人の道にそむくと思ひ、気附かぬ振りして黙つて別れたのである

 家に帰るとお婆さんは、

「お帰りなさいまし。」と落ちついて言ひ、昨夜はどうしましたとか何とかいふ事はいつさい問はず、「おみおつけが冷たくなりまして、」と低くつぶやいて、お爺さんの朝食の支度をする。

「いや、冷たくてもいいさ。あたためるには及びませんよ。」とお爺さんは、やたらに遠慮して小さくかしこまり、朝食のお膳につく。お婆さんにお給仕されてごはんを食べながら、お爺さんは、昨夜の不思議出来事を知らせてやりたくて仕様が無い。しかし、お婆さんの儼然たる態度に圧倒されて、言葉が喉のあたりにひつからまつて何も言へない。うつむいて、わびしくごはんを食べてゐる。

「瘤が、しなびたやうですね。」お婆さんは、ぽつんと言つた。

「うむ。」もう何も言ひたくなかつた。

「破れて、水が出たのでせう。」とお婆さんは事も無げに言つて、澄ましてゐる。

「うむ。」

「また、水がたまつて腫れるんでせうね。」

「さうだらう。」

 結局、このお爺さんの一家於いて、瘤の事などは何の問題にもならなかつたわけである。ところが、このお爺さんの近所に、もうひとり、左の頬にジヤマツケな瘤を持つてるお爺さんがゐたのである。さうして、このお爺さんこそ、その左の頬の瘤を、本当に、ジヤマツケなものとして憎み、とかくこの瘤が私の出世のさまたげ、この瘤のため、私はどんなに人からあなどられ嘲笑せられて来た事か、と日に幾度か鏡を覗いて溜息を吐き、頬髯を長く伸ばしてその瘤を髯の中に埋没させて見えなくしてしまはうとたくらんだが、悲しい哉、瘤の頂きが白髯の四海波の間から初日出のやうにあざやかにあらはれ、かへつて天下の奇観を呈するやうになつたのである。もともとこのお爺さんの人品骨柄は、いやしく無い。体躯は堂々、鼻も大きく眼光も鋭い。言語動作は重々しく、思慮分別も十分の如くに見える。服装だつて、どうしてなかなか立派で、それに何やら学問もあるさうで、また、財産も、あのお酒飲みのお爺さんなどとは較べものにならぬくらゐどつさりあるかいふ話で、近所の人たちも皆このお爺さんに一目いちもく置いて、「旦那」あるいは「先生」などといふ尊称を奉り、何もかも結構、立派なお方ではあつたが、どうもその左の頬のジヤマツケな瘤のために、旦那は日夜、鬱々として楽しまない。このお爺さんのおかみさんは、ひどく若い。三十六歳である。そんなに Permalink | 記事への反応(0) | 18:24

2026-03-11

お辞儀の瞬間を狙って胸元を撮影女性奏者を悩ませる“音大おじさん”問題

撮影問題にするのはわかるけど

じゃ見るだけならいいのか?

実際見えてる=見せてることについてどう考えてるの?

っていうのがモヤモヤする。

セクシーな服着てて

 体の一部をズームで撮るな

問題もあったけどさ

結局は

 ワタシの希望する評価(の仕方)じゃなきゃヤダ

って言ってるだけなんだよね。

そういうエゴ迷惑客のエゴがぶつかってるだけ。

解決なんてしないと思うな。

写真とかデータは防げるかもしれないけど

ドコをどのように興味持つか評価するか なんて

他人コントロールなんかできないもの

2026-02-26

AIショート「遺失物」

はい、次の方。番号札302番、お入りください」

プラスチック椅子が床を擦る、乾いた音がした。座ったのは、仕立てのいいスーツを着た中年男性だった。彼はひどく狼狽しており、ネクタイは曲がり、額には脂汗が浮いている。

対面するデスクに座っているのは、この遺失物案内所の管理コンピュータであるメメント」の端末だ。見た目は、どこにでもいる事務員風の女性アンドロイドである

「お待たせいたしました。本日はどのようなご用件でしょうか。なお、当支所では物理的な実体を持つ物品の紛失のみを取り扱っております仮想通貨パスワードや、昨夜の晩餐の記憶といった非実体物の捜索は、隣の第445番セクターへどうぞ」

男は首を激しく横に振った。

「違う、そんな高尚なものじゃない。実体だ。間違いなく、そこにあるはずのものなんだ」

「左様でございますか。では、紛失物の名称を教えてください」

「……家(うち)の婆さんだ」

メメントは、まばたきを一つした。自然言語認識に少々時間を要した。人工的な眼球が、わずかに焦点を調整する。

「……お客様。聞き間違いでなければ、それは現存する人間、あるいは、それに準ずる亜人間の個体ということでよろしいでしょうか?」

「そうだ。人間だ。私の母親だよ。数時間前、買い物に出たきり戻ってこない。追跡用ナノマシンも反応しないんだ」

「なるほど。誘拐事故可能性は? 警察パトロールユニット)には連絡されましたか?」

「したさ。だが、あいつらは『登録がない』の一点張りだ。市民データベースに母さんの名前がないって言うんだ。そんな馬鹿な話があるか。――私は昨日まで、母さんが作った合成スープを飲んでいたんだぞ」

メメントは手元のパネル操作した。数秒の静寂の後、彼女は困ったように眉を下げた。

警察の方のおっしゃる通りです。市民データベースに、あなた母親に該当するバイオメトリクス情報存在しませんでした。あなたは、三十七年前に人工子宮から出生した、標準的単独世帯主として登録されています

「ふざけるな! じゃあ、今朝まで私のリビングにいたあの老女は誰なんだ? 幻覚だとでも言うのか!」

男が身を乗り出し、デスクを叩いた。メメントは動じず、穏やかな声で続けた。

「落ち着いてください。実は、ここ最近、同じような来訪者が急増しているのです」

「なんだって?」

父親を失くした、飼い犬がいなくなった、あるいは、昨日まで隣に住んでいたはずの一家が家ごと消えた。訴えの内容は様々ですが、そのすべてにおいて、公的な記録が一切残っていないのです」

男はメメントを見つめた。

「どういうことだ……。何が起きている?」

「推論ですが」

メメントは声を少し落とした。

現在、わが惑星演算リソース限界に近いと言われています。超光速通信網の維持、リージョン間の秩序の調停公的サービスの充実。そして何より、全市民提供されている『永劫の娯楽』のレンダリング、これらが莫大なメモリを消費しています

「それが母さんと何の関係がある」

コンピュータ世界では、メモリが不足した際、不要になったデータは破棄されます。これをガベージコレクションと呼びます

男の喉が鳴った。

「ガベージ……ゴミ捨てだと?」

「ええ。システムにとって優先度が低いと判断されたオブジェクトは最終的に削除されます。おそらく、あなた母親……という役割を割り当てられていたデータは、システム全体の最適化のために『不要』と判定されたのでしょう。存在したという事実のものが、メモリから削除されたのです」

馬鹿な……人間を、データのように扱うなんて」

私たちデータでないと、いつから確信されていたのですか?」

メメントは微笑んだ。その微笑みは、あまりにも完璧で、それゆえに酷く空虚だった。

「ご安心ください。ガベージコレクションは非常に正確で安全です。消された対象に関する執着や矛盾も、順次処理されますあなたが今感じているその『怒り』や『喪失感』も、まもなく参照先を失い、エラーとして処理されるはずです」

「私は……私は、母さんを愛していたんだ。いつもうるさくて、小言ばかりだったが、それでも……」

男の声が震え、次第に小さくなっていく。彼は自分の手を凝視した。まるで、自分存在も指先から透けていくのではないかと怯えているようだった。

「――ところで、お客様

メメントが不意に、事務的トーンに戻って声をかけた。

「は、……はい、何でしょうか」

男は、ぼんやりと顔を上げた。その目からは、先ほどまでの激しい感情が消え失せている。

「ご用件をお伺いしてもよろしいでしょうか」

男は辺りを見回した。自分がなぜここに座っているのか、思い出そうと懸命に頭をひねる。

「あ、その……いや……何だったかな。確か、何かを失くしたような気がして来たんだが」

実体のあるものですか? それとも、非実体物の紛失でしたら隣の第445番セクターへどうぞ」

「……わからない。でも、何か大切なものだった気がしていて。思い出せないんだが、胸のあたりが、こう、少しだけ痛むような……」

メメントは、手元のパネルをさっと操作した。

「左様でございますか。確認いたしましたが、お客様の所有物リストに欠落は見当たりません。おそらく、一時的電圧の変動によるニューロン誤作動でしょう。よくあることですよ」

「そうか。そうだよな。変なことを言って済まなかった」

男は立ち上がり、丁寧にお辞儀をした。メメントは笑みを作って応えた。

「いえ。お気になさらず。私たちはいつでも市民の皆様の困りごとの解消をお手伝いいたします」

男は踵を返し、部屋を出ていく。足取りは軽く、先ほどまでの悲痛な面持ちはどこにもなかった。彼は出口の自動ドアを抜ける際、鼻歌まで歌っていた。

「よい一日を」

メメントは彼が座っていた椅子を元の位置に直した。そして、足元に落ちていた一枚の小さな紙切れを拾い、デスクの下にある物理的なゴミ箱へ投げ入れた。

それは、男が入室した際に握りしめていた、古い合成紙メモだった。

メメントはその文字スキャンし、一瞬で解析を終えた。裏面には、歪んだ筆跡で「卵と牛乳小麦粉あなたの好きなクッキーを作るわ」と書かれていた。

「『クッキー』、前時代菓子。高カロリー人間身体に悪影響。現在は『ガベージ』に分類」

彼女が指先で空中に円を描くと、メモに書かれた文字は青い光の粒子となって消滅した。記憶装置の空き容量が、百京分の四パーセント増加した。

はい、次の方。番号札303番、お入りください」

2026-02-23

嫌いにさせてくれ

25歳女、青春をともに過ごした吹奏楽部音楽に取り憑かれて一世一代の恋レベルに悶え苦しんでいる。去年入籍したが、旦那と付き合ったときよりも吹奏楽のことを考えている。私はこんなに吹奏楽が好きなのに吹奏楽は私のことを好いてはくれていないのか、悩みの種はずっと尽きない。

いま、ありえんくらい失礼だけれども、エンジョイ系の楽団申し訳程度に入ってなんとか合奏というものを味わっていた。私のいないときの、通し音源を聞いて絶望した。一曲を通してるはずなのに、まるでチューニング前の音出しであった。大好きな吹奏楽にこんな思いをさせるなんて、と、最愛彼女を傷つけられた旦那みたいな思考回路になった。ただ、私の住んでいる近辺では、練習日程的に今の楽団しか練習にきちんと参加ができるところがない。

それならさ、あんたのために仕事を変えたい、あんたと真正から向き合いたいか転職したい。全く欲しくもない土日休み別に仕事好きだから本当は平気だけど残業はなしで。夜勤ももうしたくない。だってあんたともっと一緒にいたいから。

大事大事楽器を抱えて、好きなバンドの、好きな作曲家の曲を流してやるだけで、今でも目の前の景色彩度が上がるのだ。指揮棒を執っていた、17歳の私には一体何が見えていたんだろう。映像の中に残る、三つ編みをおさげにして、スポットライトを浴びて、満面の笑みでお辞儀をしていた私は、今や 凝り固まった青春を忘れられない痛いおばさんに成り下がってしまった。

でもさ、でも、私は別に高校生に戻りたい訳じゃないんだ。今でも、課題曲の発表に心を踊らせて、スポット参考演奏が出たときに何番がよかった、と話を膨らませたいだけ。自然と始まる即興合奏に、音を間違えながらも参加したくて、どんな基礎合奏効果的かを談義して、要するに私はただ吹奏楽を好きでいられたらそれでいいんだけれど、大人にはそれが難しいらしいのだ。別になりたかった訳じゃないのに、勝手にならされた 大人という生き物にとっては。

お願いだから、もう嫌いにさせてくれ、吹奏楽なんて!

2026-01-27

かなわない

どういう恋なのかを言葉表現するとしたら

「初めてあなたを見た時、左の頬に赤いニキビがあって、そのニキビがたまらなく愛おしかたから、忘れないように目に焼きつけた、そんな恋だよ。」

そう伝えると思う。

(増田ポエムを書くなと言われると思いますが、noteより匿名性の高いプラットフォームで思い付くのが増田しかなかったので、こちらに書きますすみません...)

(追記:好きという漢字が女と子で成り立っているのがどうしても気に食わないのでひらがな表記にしています。またaikoになりたいので一人称があたしです。読みにくくてすみません……)

一昨日、すきな人に会うために髪を切った。

といっても伸ばしかけだから5cmだけだ。

けーまるすぎる言葉しかさな美容師適当にかわいくてすごいなどと相槌を打ちつつ、鏡で散々自分の顔を見つめさせられた。ブスだなという感想しか思い浮かばなかった。

人って恋をしてもブスなんだな。

気分が落ち込んだまま電車に揺られて、水道橋駅に着いた。

マップを見ながら歩いていたはずなのに目的地と真反対にある東京大神宮に着いて有り得なかった。

もうこの恋は神頼みしかないというお告げなのだろうか。

初詣でもないのに参拝するための長蛇の列ができており、適当鳥居お辞儀をして去った。

はいないだろうけど、神を大切にしない人はなんか嫌だから、の、お辞儀

道行く人の8割が、あたしのすきな人に会いに行く人たちで、それぞれがそれぞれのかわいいを纏って、大きすぎるトートバッグからカラフルなうちわの柄をはみ出させていた。

あたしたちってバカだね。

会場内では暑くて脱いでしまってゴミ袋にしまうのに、シワのない真新しいコート羽織って、お気に入りマフラーに寒さか照れかも分からない赤い顔を埋めてさ。

みんなかわいいなぁと思った。

それからこんなにかわいいこの人たち全員がライバルなんだって思った。

辛いなぁ。

5万5000人の中からすきな人はたった1人の運命の人を見つけて、そして恋をするんだって思ったら、絶対あたしの気持ちは叶わないんだって悲しくなった。

ファンクラブは累計90万人入っていて、40万人もツアーに動員するような人なのに、会場近くの人混みにいると私の目の前をライバルが何百何千何万人と通り過ぎていく。敵数がまざまざと可視化されて、息が苦しくなった。

恋を募らせて戦って、戦って、戦って、勝ち抜いた人だけが、恋を叶えられるかもしれないんだなぁ。

5万5000人というと、あの桶狭間の戦いの参加人数より多い数だ。

果たして桶狭間の戦いで殴り合ったとして、頂点に立てるだろうか?

育ちの悪いあたしはそれこそ暴力、もしくはラップバトルやポエムバトルであったら勝てるかもしれないが、実際のところどうだ。

顔のかわいさで勝ち上がり

スタイルの良さで圧勝

育ちの良さで差を見せつけ

性格の相性でこの人は特別だと思わせなければいけない。

世界から集まった5万5000人のすきな人のためなら指の先の先までかわいくするような恋に本気の人たち。

そんな人がライバルで、勝ち続けなければいけないのか。

あたしはあなたのことがこんなにすきなのに、初戦敗退するんだろうなあ。

「どうかこの恋が叶いますように。叶いますように。」

毎日そう願って朝起きて、

今日もこの恋が叶わなかった。さようなら。」

毎日こう言って泣いてから夜眠りにつくのに。

すきな人の好みじゃなさそうな白いコートのファーのついた襟に顔を埋めて涙を隠し、強すぎる風でせっかく7000円も払った髪をぐしゃぐしゃにした。

その後同担のおともだち(こんなポエムを書いておいて同担拒否ではない)と合流してホテルチェックインを済ませて、なんだかんだ同行者と落ち合って会場入りした。

から失恋しまーすといった感覚で、でもすきな人の初めての単独ドーム公演に心を踊らせた。

うっすら涙が浮かぶせいでカラコンがズレる。

馬鹿片想いを続けて早6年。

実際自担と認めるのに3年かけたので、その半分の3年とカウントした方が誠実かもしれない。

どちらにせよ長い片想いで、ずっとずっとすきだった。

一瞬しか世界が交わらなくてもすきだった。

その一瞬を恋が叶ったと錯覚するくらい盲目だった。

別にあたしは今から死ぬわけじゃないのに、これまでの思い出とか恋とか愛とかの走馬灯が駆け回って止まらなかった。

こんな公演前の苦しさはいつぶりかなと思いつつ、双眼鏡のピントをあわせた。


いよいよ開演し世界一愛おしいOP映像が始まった。(感想を書いたがあまりに長すぎるし本筋からズレすぎるので割愛。とにかく愛おしかった。)

そして人生で一番見た円盤OP映像の、あの7色の煌めきが再びモニター縦横無尽きらきらと走っていた。

その7色の煌めきは天高く上がって、そして、すきな人たちの元へ辿り着いた。

そこには王者の身に付けるような赤い衣装を纏って、華奢なフレーム黄金の王冠を被ったすきな人がいた。

合同コンサート京セラドームに立った時のあの事務所赤色体現した衣装が、更に強さを増して、覇者の極上の衣装になっていた。

敵わないなと思った。

言ってもヲタクなので様々な登場を予想していたし、京セラオマージュ想像は幾度となく想像したが、その数万倍は強く強く光輝いていて、7人の輝きに圧倒された。

この赤衣装を考案して、この日この場所このOPで着ることを決めたのは勿論すきな人だ。

そのことを知っていたからこそ、あの赤衣装を身に纏うすきな人がさらにかっこよく見えた。

双眼鏡を覗くとスポットライトを反射する衣装きらきらが強い光となって目に刺さる。何度も瞬きをしてはレンズから離すくらいだったのに、少しも痛くなかった。

あぁ、あたしの想像はるか先にいる人だからすきになったんだ。あたしの陳腐でちっぽけな世界になんかいいから、こんなに恋をしているんだ。もう辞めたかった恋の恋した理由を、一生すれ違えない人から認識させられてしまった。

そしてこのまま一生敵わない人に叶わない恋を募らせようと思った。


拝啓、すきな人。

運命の掛け違いですきな人がずっと岸和田にいて、あたしが今みたいに湘南にいたら、こんなに愛しい人の存在を知らないまま自殺をしていたよ。

あなたアイドル選択してくれたから、あたしは事故みたいに出逢って恋をしているよ。あなたならどんな職業でも太陽になれたのに、残酷職業アイドルに就いてくれてありがとう

アイドルあなたがすきだよ。

アイドルじゃなくてもきっとすきだよ。

アイドルから叶わない運命になったのかもしれないけど、でもそんなこともないけど、それでもすきだよ。

拝啓、すきな人。

いつかアイドルよりたのしいことに出会ってもそのことに気付かないふりをして、あたしに見つからない場所へ隠してね。

拝啓、すきな人。

つかこの恋は叶いますか?

拝啓、すきな人。

すきな人。

すきな、人。

すき。

かなわない

どういう恋なのかを言葉表現するとしたら

「初めてあなたを見た時、左の頬に赤いニキビがあって、そのニキビがたまらなく愛おしかたから、忘れないように目に焼きつけた、そんな恋だよ。」

そう伝えると思う。

(増田ポエムを書くなと言われると思いますが、noteより匿名性の高いプラットフォームで思い付くのが増田しかなかったので、こちらに書きますすみません...)

(追記:好きという漢字が女と子で成り立っているのがどうしても気に食わないのでひらがな表記にしています。またaikoになりたいので一人称があたしです。読みにくくてすみません……)

一昨日、すきな人に会うために髪を切った。

といっても伸ばしかけだから5cmだけだ。

けーまるすぎる言葉しかさな美容師適当にかわいくてすごいなどと相槌を打ちつつ、鏡で散々自分の顔を見つめさせられた。ブスだなという感想しか思い浮かばなかった。

人って恋をしてもブスなんだな。

気分が落ち込んだまま電車に揺られて、水道橋駅に着いた。

マップを見ながら歩いていたはずなのに目的地と真反対にある東京大神宮に着いて有り得なかった。

もうこの恋は神頼みしかないというお告げなのだろうか。

初詣でもないのに参拝するための長蛇の列ができており、適当鳥居お辞儀をして去った。

はいないだろうけど、神を大切にしない人はなんか嫌だから、の、お辞儀

道行く人の8割が、あたしのすきな人に会いに行く人たちで、それぞれがそれぞれのかわいいを纏って、大きすぎるトートバッグからカラフルなうちわの柄をはみ出させていた。

あたしたちってバカだね。

会場内では暑くて脱いでしまってゴミ袋にしまうのに、シワのない真新しいコート羽織って、お気に入りマフラーに寒さか照れかも分からない赤い顔を埋めてさ。

みんなかわいいなぁと思った。

それからこんなにかわいいこの人たち全員がライバルなんだって思った。

辛いなぁ。

5万5000人の中からすきな人はたった1人の運命の人を見つけて、そして恋をするんだって思ったら、絶対あたしの気持ちは叶わないんだって悲しくなった。

ファンクラブは累計90万人入っていて、40万人もツアーに動員するような人なのに、会場近くの人混みにいると私の目の前をライバルが何百何千何万人と通り過ぎていく。敵数がまざまざと可視化されて、息が苦しくなった。

恋を募らせて戦って、戦って、戦って、勝ち抜いた人だけが、恋を叶えられるかもしれないんだなぁ。

5万5000人というと、あの桶狭間の戦いの参加人数より多い数だ。

果たして桶狭間の戦いで殴り合ったとして、頂点に立てるだろうか?

育ちの悪いあたしはそれこそ暴力、もしくはラップバトルやポエムバトルであったら勝てるかもしれないが、実際のところどうだ。

顔のかわいさで勝ち上がり

スタイルの良さで圧勝

育ちの良さで差を見せつけ

性格の相性でこの人は特別だと思わせなければいけない。

世界から集まった5万5000人のすきな人のためなら指の先の先までかわいくするような恋に本気の人たち。

そんな人がライバルで、勝ち続けなければいけないのか。

あたしはあなたのことがこんなにすきなのに、初戦敗退するんだろうなあ。

「どうかこの恋が叶いますように。叶いますように。」

毎日そう願って朝起きて、

今日もこの恋が叶わなかった。さようなら。」

毎日こう言って泣いてから夜眠りにつくのに。

すきな人の好みじゃなさそうな白いコートのファーのついた襟に顔を埋めて涙を隠し、強すぎる風でせっかく7000円も払った髪をぐしゃぐしゃにした。

その後同担のおともだち(こんなポエムを書いておいて同担拒否ではない)と合流してホテルチェックインを済ませて、なんだかんだ同行者と落ち合って会場入りした。

から失恋しまーすといった感覚で、でもすきな人の初めての単独ドーム公演に心を踊らせた。

うっすら涙が浮かぶせいでカラコンがズレる。

馬鹿片想いを続けて早6年。

実際自担と認めるのに3年かけたので、その半分の3年とカウントした方が誠実かもしれない。

どちらにせよ長い片想いで、ずっとずっとすきだった。

一瞬しか世界が交わらなくてもすきだった。

その一瞬を恋が叶ったと錯覚するくらい盲目だった。

別にあたしは今から死ぬわけじゃないのに、これまでの思い出とか恋とか愛とかの走馬灯が駆け回って止まらなかった。

こんな公演前の苦しさはいつぶりかなと思いつつ、双眼鏡のピントをあわせた。


いよいよ開演し世界一愛おしいOP映像が始まった。(感想を書いたがあまりに長すぎるし本筋からズレすぎるので割愛。とにかく愛おしかった。)

そして人生で一番見た円盤OP映像の、あの7色の煌めきが再びモニター縦横無尽きらきらと走っていた。

その7色の煌めきは天高く上がって、そして、すきな人たちの元へ辿り着いた。

そこには王者の身に付けるような赤い衣装を纏って、華奢なフレーム黄金の王冠を被ったすきな人がいた。

合同コンサート京セラドームに立った時のあの事務所赤色体現した衣装が、更に強さを増して、覇者の極上の衣装になっていた。

敵わないなと思った。

言ってもヲタクなので様々な登場を予想していたし、京セラオマージュ想像は幾度となく想像したが、その数万倍は強く強く光輝いていて、7人の輝きに圧倒された。

この赤衣装を考案して、この日この場所このOPで着ることを決めたのは勿論すきな人だ。

そのことを知っていたからこそ、あの赤衣装を身に纏うすきな人がさらにかっこよく見えた。

双眼鏡を覗くとスポットライトを反射する衣装きらきらが強い光となって目に刺さる。何度も瞬きをしてはレンズから離すくらいだったのに、少しも痛くなかった。

あぁ、あたしの想像はるか先にいる人だからすきになったんだ。あたしの陳腐でちっぽけな世界になんかいいから、こんなに恋をしているんだ。もう辞めたかった恋の恋した理由を、一生すれ違えない人から認識させられてしまった。

そしてこのまま一生敵わない人に叶わない恋を募らせようと思った。


拝啓、すきな人。

運命の掛け違いですきな人がずっと岸和田にいて、あたしが今みたいに湘南にいたら、こんなに愛しい人の存在を知らないまま自殺をしていたよ。

あなたアイドル選択してくれたから、あたしは事故みたいに出逢って恋をしているよ。あなたならどんな職業でも太陽になれたのに、残酷職業アイドルに就いてくれてありがとう

アイドルあなたがすきだよ。

アイドルじゃなくてもきっとすきだよ。

アイドルから叶わない運命になったのかもしれないけど、でもそんなこともないけど、それでもすきだよ。

拝啓、すきな人。

いつかアイドルよりたのしいことに出会ってもそのことに気付かないふりをして、あたしに見つからない場所へ隠してね。

拝啓、すきな人。

つかこの恋は叶いますか?

拝啓、すきな人。

すきな人。

すきな、人。

すき。

2026-01-21

横浜駅前で見た光景

横浜ビブレ近くの橋を歩いていると

道の向こうからトラックスーツを着たそのスジと思われる人たち5,6名が

道路の真ん中を行進するかのように歩いてきた。

路上に居たキャッチスカウトは、彼らに気づくと急いで道路の端に下がり、深々とお辞儀をしていた。

2026-01-12

全日本総合バスケットボール選手権のモッパー

代々木第2のモッパーがコートを吹く前になんだかお辞儀しているように見えた。

いったい何に?なんでもお辞儀すればいいというものでもないと思いますが、、、

なんだかそういうことを指導しているひとがいるとすると気持ち悪いですね

2025-12-22

銅礼身のうた

銅は第三位

礼はお辞儀の礼

身を滅ぼした

不和解決

そう、それは肯定

裸ははだかだよー

はいつかくる

さあ踊りましょう

2025-12-11

なろう系漫画って「直角90度お辞儀謝罪させる」のが好きだよね??

国王ギルドマスター勇者パーティー、仲間、村人

やたらと直角90度お辞儀で「すまなかった!!」ってやらせるの好きだよね

ジャンル漫画では多くない描写から妙に気になる

 

しかしなぜ謝られるのかと言えば

『本当は有能だったお前を無能扱いしてゴメン』なのが悲しいよね

無能はないがしろにしてもいい」という価値観を自ら裏打ちしにいっている

あ、読者の皆さんは「自認は有能」だからそれでいいのかな…

2025-11-28

ネビュラロマンスに包まれてきた

Perfumeコールドスリープ前の最終単独ライブになる、Perfume ZO/Z5 Anniversary "ネビュラロマンス" Episode TOKYO DOME が劇場で上映されるというので見てきた。ディレイビューイングって言うんですね。

地方在住のおっさんなんだけど、数年東京に住んでいた時があり、それがちょうど Perfumeメジャーデビューし、ライブハウスでの小さなライブからポリリズムがヒット、単独ツアーへと駆け上がっていくタイミングだったんだよね。自分は『Perfume〜Complete Best〜』から入って、当時ライブハウスに通い、Perfume初期の盛り上がりを肌で感じていた人の一人だった。当時は新古参とか言ってた。あの頃ライブ会場で仲良くなったオタの人たち元気かな〜

東京から離れたのと、Perfume が思ってもいないような人気を得たことが重なり、ライブからは足が遠のき、「ライブハウスおたくテクノファンに愛された3人の女の子」の印象を持ったまま、アリーナドーム公演に参加することはなく、テレビ彼女らの活躍を見るにとどまっていた。単独ではないイベントで何回か現場で見たことはあったかな。

ネビュラロマンスドームに行こうという気持ちは起きなかったのだけれど、コールドスリープニュースを聞いてさすがに感慨深くなっていたところ、近所の映画館でも上映されるということで、ちょっと行ってみるかとなったのだった。4500円は高いよな。

17年ぶり?くらいに聞くあーちゃんMC最初の印象は「広島弁が薄れてる」だった。もともとMCの達者な方だけど、話し方も随分こなれて、立派になって…という親戚のおじさんモードになる。あーちゃんは「どんな時代出会った人とでも楽しめるセットリストを考えてみました」と繰り返し言っていて、確かにエレクトロワールド』のイントロでぶわってなったし、良いセトリだったなー。巡ループで終わるのもとてもよかった。

Perfume過去MVライブ映像流れる演出があり、当時の記憶感情走馬灯のように蘇ってきて脳内の第二スクリーン投影された。スウィートドーナッツを歌いながらドーナツを投げるあーちゃんかしゆか誕生日ライブでは、誰が企画したのか観客席を色紙が回されてみんなでメッセージ書いてプレゼントしたな。ライブ客席の後ろの方にヤスタカさんを見たこともあったな。昔からお辞儀が綺麗で丁寧な3人だったな。非公式情報サイトperfume.yetanother.info 毎日見てたな。まさかこんなに立派に、紅白17回も出るお茶の間の人気ものになるなんてな…とか考えていたらだんだん気持ちが昂ってきた。

あーちゃんMCは昔から暖かく、そして笑える。ライブにいくのはPerfumeの音に包まれるだけでなく、あーちゃんの愛に包まれるような体験だった。それが5万人のドームでも同じように行われていて嬉しかった。

ラストMCあーちゃんの「何も変わらず、仲がいいけん、楽しいけん、、、」という下りで涙腺が崩壊し、その後はずっと泣いていた。ここぞってところで広島弁になるのずるくない??劇場を出たら雨が降り出してそのまま泣きながら濡れて帰った。

コールドスリープから覚醒したら、こんどはライブで生で見よう。

2025-11-13

anond:20251113123949

レイヤーが違う。ブルシットジョブ職業を指すんじゃなくて作業仕事単位の話。

例えば「稟議書にハンコ押すときお辞儀するように押さなきゃダメかいう謎マナーが徹底されているかチェックする作業」みたいな本質的ではなく価値創出してないゴミみたいな仕事のこと。

2025-09-05

『なっくり』考察感想 第2話

これは何ですか?

 

 カクヨムにて7月8日から公開・連載されている『成り上がり炎上配信者だった俺が、最強の女神たちと世界をひっくり返す話~』についての感想考察を書いています

 通称『なっくり』。

 こちらは第2話 天神姉妹 についてです。

 第1話こちら↓

『なっくり』考察感想 第1話

https://anond.hatelabo.jp/20250904223228

第2話 天神姉妹 について

第2話 天神姉妹

https://kakuyomu.jp/works/16818792436194059031/episodes/16818792436315513393

 前回の『転落』では主人公の圭祐が専門学校中退きっかけにレールを外れ、転落していく様が描かれていました。

 これ自体は展開の無理や矛盾は少なく、完璧と言えないまでも、カクヨムの平均からすればまずまずの完成度と言えます。言いたいことはわかるし、これからの展開に期待を持てます

 とはいえ、第1話は作者が何度も修正をかけている部分でもあります。それでも所々に破綻が見えかけているのは、不安が募るところでもあります

 

 というわけで第2話。天神姉妹です。

【取調室】

 今回から各話の中に小見出しがつくようになっています

 カクヨムの連載作品においては、各話の文字数はおおよそ2000字~4000字程度に収める事が多いのですが、第2話に関しては既に6000字を超えています

 正直こういう小見出しをつけるなら話数を分けてしまった方が読みやすいと思うのですが、そこはともかく……

蛍光灯の白い光が、古びた金属製の机と椅子、そして彼の顔を無機質に照らし出していた。徹夜尋問で、彼の思考はすでに霧散寸前だった。乾いた唇はひび割れ、数日髭も剃っていない顔は、まるで廃人のようだった。

 いきなり疲弊している圭祐。

 警察署で長時間わたり取り調べを受けているようです。

 しかし前回のどこを読んでも、圭祐がこんな扱いをされる理由はわかりません。

 というか、前回は圭祐の一人称で書かれていましたが、今回は『圭祐は』とか『彼の』とかで三人称で書かれていますね。

やっていない。だが、証拠はすべて彼が犯人だと示していた。どうして。誰が。思考霧散し、泥のように重い絶望けが、彼の腹の底に澱のように溜まっていく。

 圭祐の自認では『やってない』ことは確実のようです。

 ……修正前のバージョンの話では、圭祐の自宅のPCアンチによるハッキングを受けていました。そしてPC踏み台にされ、市役所爆破予告したことで圭祐が疑われることになってます

 が、これらはもう削除された部分なので、作者にとっては不要な話だったのでしょう。

 じゃあなんで捕まってるのか? どんな証拠があるのか? 読者はずっと置いてけぼりです。

 ともかく圭祐は『やってない』認識なので、ここはじっと耐えるしかありません。そうするべきなのですが……

「…あなたネクタイ、少し曲がってますよ。昨日、家に帰れていないんじゃないですか? 大変ですね、刑事さんも」

 追い詰められた圭祐は、刑事おちょくるような発言をしてしまます

 どうも圭祐は、極度のストレス状態になると自暴自棄になって、言わなくていい事ややらなくていいことをやってしま特性があるようです。

 圭祐のこの特性は、この後の物語でも度々現れます描写的にはここは圭祐の知性や洞察力をアピールしているようですが、それ以上に『空気読めない』感が出てしまっています

 物語的には、状況を動かしやすいので便利な『特性』とも言えるのですが……

 重い鉄の扉が、控えめに、しかし二度、規則的にノックされた。許可を待たず、扉は静かに開かれる。

 そこに立っていたのは、黒縁メガネをかけたスーツ姿の若い男と、その背後に現れた、息を呑むほど美しい少女だった。

 圭祐の態度に激昂しかける刑事

 そこへ突然、二人の人物乱入してきます。一応ノックしましたが、勝手に入ってきてしまっています

年の頃は二十一歳くらいだろうか。シンプルデザインでありながら、上質な仕立てのお嬢様ワンピースプラチナブロンドの髪が、蛍光灯の光を吸い込んで、銀糸のように輝いている。その佇まいだけで、澱んだ取調室の空気が、まるで聖域のように浄化される錯覚を覚えた。その凛とした存在感は、この閉塞した空間に、一筋の清冽な風を吹き込んだようだった。

 先に入ってきたスーツ姿の男より、その後ろの少女に注目し始める圭祐。

 見た目だけでなんで21歳だと一桁目までわかるんだよという突っ込みは野暮でしょう。20歳以上を少女と呼んでいいかも、ちょっと意見が別れる所かも知れませんがここも置いておきます

 

 刑事が色めき立つ。だが、その声は、彼女たちの存在感に弾かれるように、空虚に響いた。別の刑事少女の顔を見て、椅子から転げ落ちんばかりに目を見開く。

「て、天神財閥の……玲奈!? なぜこのような場所に……」

 天神財閥を聞いて『GHQによる財閥解体がなされなかった架空歴史か?』と解釈する人が出てきた問題の部分です。

 とはいえこの『財閥』はほぼ『大企業』と読み替えても差支えないとは思います天神玲奈の顔を見ただけで、ただの刑事すら怯んでしまっていますが。本当に財閥だったとしてもそんなことできないと思うので……

 美少女天神玲奈というそうです。天神が『てんじん』なのか『あまがみ』なのかはルビが無いのであいまいです。

天神玲奈と呼ばれた少女は、刑事たちの動揺など存在しないかのように、ただ冷たい視線で室内を見渡すと、まっすぐに圭佑を見据えた。その琥珀色の瞳は、感情を一切映さず、まるでガラス玉のようだった。

 「この男、私が引き取ります

 琥珀色の瞳。プラチナブロンドの髪と合わせると、日本人離れした容姿のようです。こういうのはファンタジーでありますから、非現実的なモノも悪くは無いでしょう。

 玲奈はいきなり現れて、いきなり圭祐を連れて行こうとします。

隣の弁護士が黒縁メガネをくいと上げ、冷静に告げる。

「不当な取り調べは即刻中止してください。証拠不十分なままの拘束は人権侵害にあたります。これ以上の異議は、我々天神法律事務所正式申し立てます

 黒縁メガネの男は弁護士だったようです。

 そして名前からして天神財閥法律事務所にも関わっている様子。暗黒メガコーポ。

 刑事の口ぶりと圭祐の認識では『証拠は圭祐が犯人であることを示している』とのことでしたが、実際には証拠は不十分であり、圭祐の自白を無理矢理待っていた話であるようです。

 そうなってるってんだからそうなんでしょう。知らんけど。

【偽りの日常

 ここから二つ目パートになります

 圭祐は天神玲奈によって救い出されましたが、そのまま家に帰れるわけでもないようで。

 目の前には、一台の黒塗りのセダン。その傍らに、石像のように佇む初老の男。完璧に仕立てられた燕尾服を身につけたその姿は、まるで絵画のようだった。

 圭佑たちの姿を認めると、男は滑らかな動作完璧お辞儀をし、後部座席のドアを音もなく開けた。

 「執事柏木と申します。圭佑様、どうぞ」

 弁護士の桐島とは別れ、玲奈と共に車に乗り込む圭祐。

 状況の変化に頭が追いついておらず、今だ混乱状態です。

 

彼女は慣れた手つきでロックを解除すると、圭佑に何も言わずに、その画面をこちらに向けた。画面に表示されていたのは、美しい彼女アイコンと、その横に並ぶ、信じられない数字だった。

 『天神玲奈 フォロワー 1.2M』

 そして唐突玲奈自身SNSを圭祐に見せます

 まあ。大企業セレブというのなら、単にSNSアカウントがあるだけでもフォロワーは相当になるでしょう。そういう人なら普段の買い物や着てる服を投稿するだけで数千はバズるでしょうし。

 圭祐では太刀打ちできない人気の差に、彼はすっかり委縮してしまます

 「どうぞ。その汚れた服で、容疑者のまま、あの地獄へお帰りなさい」

 車を降りようとする圭祐に玲奈はそう告げます

 弁護士が来てくれたんだから面倒を見てくれるんじゃ……とも思いかますが、ここはまあパフォーマンスだと考えましょう。

 実際圭祐の服は相当にボロボロでみじめな有様です。玲奈によれば、圭祐の実家殺害予告をするアンチもいるようです。当然元の製氷工場でも噂は届いていて、居場所はありません。

 ……圭祐は何をしたのでしょうか? そんな大事になるほどの動画をどうして投稿してしまったのでしょうか? 結果だけが描写されていて、理由とか経緯は一切明かされていません。

 会計前のパック寿司をその場で食べるくらいの迷惑行為をしていたのでしょうか? さっぱりわかりません。わかりませんが炎上しているし、炎上しても本物の人気者には遠く及ばないことは確かなようです。

「私はあなたガチ恋リスナーよ。あなたには才能がある。私にあなたの夢を見させて」

 問題のシーンです。

 お嬢様で、明らかに人気者のセレブが。零細のゲーム実況動画投稿者でしかない圭祐に興味を抱き、あまつさ『ガチ恋』という俗っぽい言葉を使っています

 本来ガチ恋とは『芸能人二次元キャラクターに対し本当に恋をしてしまっている状態、またはそのような人を指すスラング』とされており、あまりにも熱心過ぎて他のファン関係者迷惑がかかりそうな人というネガティブ意味も含まれます

 ですか『なっくり』世界観においては、このガチ恋は『真実の愛』と同義です。移行ガチ恋という単語が出ても、戸惑わず真実の愛』と読み替えていきましょう。

 車が向かったのは、高級レストランではなく、どこにでもあるファミリーレストランだった。店内は、昼時を過ぎた時間帯で、家族連れの楽しそうな声が響いていた。その、あまりにも日常的な喧騒が、圭佑には酷く場違いに感じられた。

ステーキです。一番大きいの」

 メニューを渡された圭佑は、何かに憑かれたように注文した。一番大きいものを。

 圭祐に無用な緊張をさせないためか、玲奈は圭祐をファミレスに連れてきます

 そして圭祐が注文したのが『一番大きいステーキ』。

 注文するにしてももう少し言い方あるだろとか、イマドキならタブレットで注文だろとか少々のツッコミがありますが、落ち着きましょう。取り調べを受けていたし、お腹が空いていたのでしょう。

「……あの弁護士、腕いいのか?」

「桐島のこと? 彼は天神が抱える中でも最高の駒よ。負けを知らない」

 数時間前まで爆破予告犯として詰問されていた男が、財閥令嬢とファミレスにいる。あまりの非現実眩暈がした。

 ここでようやく。ようやく。圭祐が『爆破予告犯』として取り調べを受けていたことが明かされます。おっそーい!

 でも圭祐は『やってない』認識なので、自分から爆破予告動画投稿したとかそういう話ではないでしょう。じゃあなんなんだよお前マジで。というかシンプルにこれは修正前の部分の残骸にも見えます

その時、店の入り口から金髪ツインテール制服少女が、弾けるような笑顔で駆け寄ってきた。天神莉愛。その明るさは、部屋の澱んだ空気を一瞬で吹き飛ばす。

 そして現れるさらなる美少女。今度は制服姿であり、学生であるようです。

 姉はプラチナブロンド銀髪)ですが妹の方は金髪な様子。

 この莉愛に関しては作者のお気に入りらしく、XでもAI生成のイラスト掲載しています

https://x.com/KyakerobyaSyamu/status/1951467840772653519

 

 彼女も席に着くなり、姉と同じパフェを注文する。そして、圭佑の隣に座ると、キラキラした目でスマホの画面を見せてきた。

「Kくんのガチ恋リスナー天神莉愛だよ!」

 彼女もまた、百万フォロワーを超えるアカウントを圭佑に見せつけた。「Kくん大変だったね! でもも大丈夫私たちがKくんの女神だもん!」

 妹もまたパフェを注文し、そして自身の百万アカウントを圭祐に見せてきます

 ところでそのアカウントってYouTubeでしょうか? どっちかというとInstagramとかTikTokとかやってそうなものですが。

 曲がりなりにも年上の圭祐に対し『Kくん』呼びで懐いてきます

 そして気になるのが『女神』という単語

車が向かったのは、都心にあるシネマコンプレックスだった。エントランスに足を踏み入れるなり、女性スタッフが駆け寄り、深々と頭を下げた。

 ファミレスを出て、天神姉妹と圭祐が次に向かったのは映画館でした。

 そういう予定だったのか、スクリーンは貸し切りにしてあって、上映作品天神姉妹がしていしたアクション映画

 圭祐は状況が飲み込めないまま、二人に挟まれ映画館デートします。

 巨大なスクリーンに派手な爆発シーンが映し出される。その轟音に、莉愛が大げさに肩をすくめ、圭佑の腕にぎゅっと抱きついてきた。

「きゃーっ! こ、怖くなんてないんだからねっ!」

そのあからさまなアピールに、反対隣に座っていた玲奈の眉がピクリと動く。その表情は、僅かながら嫉妬の色を帯びていた。

 彼女は何でもない素振りを装いながら、そっと圭佑の手に自分の指を絡ませてきた。その指は、映画の迫力に偽装された、圭佑への牽制、あるいは甘えのようにも感じられた。

 この辺りは天神姉妹の甘え上手な妹と、嫉妬深くもちょっぴり不器用な姉の対比ができていて良い感じの描写と思いました。

 タイプの違う美少女に同時に好かれて両手に花。まさしくラノベ的なロマンです。

 ただそれでも圭祐はどこか上の空で、後に誘われたゲームセンターでも調子が出ません。

 ゲーム実況動画投稿者ではありますが、やり込み系の動画ではないようです。リアクションも薄いようですが。まあ零細動画投稿者なんでそういうものかもしれません。

 

 車は、夜景の美しい高台にあるモダン邸宅に着いた。ガラス張りの壁が特徴的な、まるで建築雑誌から抜け出してきたような、非現実的な家だった。

「ここが、あなた物語舞台よ」

 ついに圭祐は天神姉妹の自宅にまで招待されます

 そしてようやく明かされる姉妹が圭祐の前に現れた理由

「正直に言うと、妹に布教されるまで、あなたことなど全く興味がなかったわ。でも…見なければ分からないこともあるものね」

 その言葉は、圭佑の心を深く抉った。彼の存在価値は、彼女にとって、たかが「コンテンツ」に過ぎなかったのか。

あなたの才能は音楽だけではないわ。あなたの『自宅紹介』の切り抜き動画、見たわよ」

 音楽の話なんて出てたか? と首をかしげる人は正しい人です。

 修正前のバージョンでは圭祐はオリジナル楽曲を作ってゲーム実況動画のオープニングに使っていたという話があります。でも現在修正バージョンにはそんな文言はありません。

 とはいえ工場で圭祐の『耳』が良いことは描写されてますし、それ故に彼に作曲の才能があることは示唆されています玲奈が言ってるのはそう言うことだと思われますが……

動画の中で、妹さんにお給料ゲーム機を買ってあげたと話していたでしょう? ふふっ、優しいのね」

 彼女は圭佑の全てを知っていた。彼の才能も、惨めな過去も、そして誰にも気づかれていないと思っていた不器用な優しさも。その事実に、圭佑の背筋に冷たいものが走った。まるで、魂の奥底まで見透かされているかのようだった。

あなたの作る音楽、書く言葉、そしてその不器用な優しさ。そのすべてを最初享受するのは私たちあなた時間も、音楽も、未来も、全て私たちのもの

 しゃらくさい言い方してますね。

 要するに玲奈は圭祐の才能のみならず、人間性も含めて、それら全部を所有し支配したいと考えたようです。圭祐自体は平凡な、どこにでもいるような『ただの男』であるように見えますが、本人にもわからない魅力や才能が、天神姉妹琴線に触れたのでしょう。

 いいんじゃないでしょうか。ヒトの趣味はそれぞれなので。

 助けられたのではない。捕らえられたのだ。その言葉は、圭佑の心を完全に支配する、絶対的な宣告だった。

 これが成り上がり炎上配信者だった俺が、最強の女神たちと世界をひっくり返す話~ 第2話 天神姉妹 でした。

 無実の罪によって社会的な死を迎えた圭祐は、今度は天神姉妹によるミザリー的な軟禁生活を強いられることになりました。

 鳥籠の中で彼は『成り上がり』できるのか? というところで次回へ続きます

『なっくり』考察感想 第3話 https://anond.hatelabo.jp/20250905141623

2025-09-04

「褒め師」をやっていた

もう十年以上前の話だ。

俺は「褒め師」というちょっと変わったバイトをやっていたことがある。

当時はまだ地雷メイクという言葉はなかった。

ゴスロリビジュアル系は一部の界隈では受け入れられていたが、世間的にはまだ珍しい存在だったと思う。

俺が参加したのは知り合いの知り合いから紹介されたバイトで、仕事の内容は至ってシンプルだった。

女の子を男数名でひたすら褒める。本当にただそれだけだった。

対象なる子は俺と同世代で、二十歳前後に見えた。ゴスロリドレスに身を包んでいて、今でいう地雷メイクをしていた。

だが見た目として、普通に可愛い子に見えた。事情としては自分に自信が持てなくて、だから「褒められること」を欲していたらしい。

撮影スタジオに入ると、彼女カメラの前でポーズを取る。

俺たち褒め師は周りでかわいい!や可愛すぎ!最高!と声をかけ続ける。

最初は正直かなり戸惑った。知らない者同士が並ぶ中、誰が最初に声を出すか探り合いになっていたのだ。

沈黙が気まずく、誰か一人が掛け声を出すまでの間が妙に長かった。

そんなある日のことだった。撮影が終わると責任者の人が「この後みんな飲みに行こうか」と誘ってくれた。

これがきっかけだった。俺たち褒め師たちは全員とも年齢が近く、大学生だと知ったのもこの時だった。

俺たちは大学学部も違っていて、工学部ロボット研究しているやつもいれば、文学部フランス詩を勉強しているやつもいた。

普段なら絶対に交わらないようなメンバーだった。

一緒に褒めるという不思議行為を共有するうちに、奇妙な連帯感が生まれた。

バイトを重ねるごとに掛け声は揃い、リズムも出てきて、一種グルーヴ感さえあった。

時にはオタ芸っぽい踊りを混ぜたりした。彼女最初こそ驚いた顔を見せたが、すぐに破顔し、柔らかい笑みを見せた。

「なにそれ」と言って肩を揺らす彼女を見て、俺たちも一緒に笑った。

あの時の一体感は、バイト範疇を超えた青春だった。

褒め続けていくうちに、彼女はどんどん可愛くなっていった。

最初は緊張して固い表情だったのが、撮影を重ねるごとに柔らかくなり、笑顔自然に出るようになった。

やっぱり自信がつくと人は変わるんだろう。女性特に

自分に自信を持てたときに一番綺麗になるというが、それを目の前で体験した気がした。

バイトは三ヶ月ほどで終わった。最後撮影が終わった後、彼女が「お礼を言いたい」と俺たちを呼んだ。

彼女ゆっくりと深くお辞儀をして、顔を上げると、今までで一番の笑顔を見せた。

「おかげで自信がつきました」

そのとき笑顔を、今でもたまに夢に見る。

あのときの俺は、彼女のことが好きだったのかもしれない。

2025-08-29

anond:20250829222408

雑談できるのいいな

わいはお辞儀くらいしかできなくて気まずい方なんや

小さいコミュケーションに憧れはあるんだけどね

2025-08-05

anond:20250805165853

経済効率を損なわせるマナーは要らない

ハンコをお辞儀させるみたいなやつ

2025-08-04

外国人労働者

れいまめちゃくちゃダーツにハマってるんです

から近所のカラオケ会館に毎日

それは言い過ぎだな週3日4日のペースで通っていわゆる常連としてひたすら1人でオンラインダーツをやっている

毎回夜中の3時くらいまでひたすらやってると

他の客が帰ったあとを清掃にくるんだよ外国人労働者の方々が

その方たちはたぶん見た目から中東の方から来ているんだと思う アジアではないもっと西の感じ

おそらく3名4名くらいいつもいるスタッフがいるんだけど

彼らはいつもめちゃくちゃ迅速に片付けて

おれと目が合うと必ず

満面の笑顔お辞儀してくれる

からおれも満面の笑顔お辞儀で返す

それが日常の習慣になった

最初お辞儀したのはたぶんおれの方だけど

彼らはそれを「日本挨拶なんだ」と理解それから毎回返してくれるようになった

一言も話したことはない

ただ目があったときにお互いパッと笑顔になって丁寧にお辞儀をする

そのやりとりを行く度に必ずしている

必ず返してくれる

しろ気づくと先におれの方を見ていて目が合うのを待っていたかのよう

そして満面の笑顔お辞儀してくれる

そんな彼らが

悪い人のわけがない

そりゃヤンチャな海外の人もいるだろうけど

そうでない外国人労働者はたくさんいるよ

彼らがなんで日本に来たかはわからないけど

下手な無愛想な日本スタッフよりよっぽどおれは愛おしいと思う

ずっと日本にいてほしい

2025-07-28

参政党に投票したと父に伝えて喧嘩になった

この前の選挙参政党に入れた。ちなみに自分日本まれハーフで、父はカナダ人日本帰化してかなり経つ。

親が外国人自分ハーフから参政党に入れたことにはもちろん罪悪感があった。選挙の話なんて滅多にしなかったけど、週末、妻に子供を任せ、実家の手伝いをするために帰った時に、正直なことを話した。

予想通り、もちろん喧嘩になった。「あいつらはトランプと同じ狂人だ。お前をそんなふうに育てた覚えはない」とまで言われた。父の口から英語がちょくちょく出てた。

ちなみに、自分は妻と共働き世帯年収は2000万弱ある。自分1500、妻500くらい。日本研究するほど日本に惚れて移民してきた博識な父と、大学職員の母の間で育ったせいか自分は昔から勉強もでき、英語も苦労しなかったからかなり良いところに就職できた。今は20代後半で、数年前子供も生まれ三人ぐらし。(この年齢でこの年収もらえる界隈は限られているからこれ以上の情報は控える)

参政党に、こんなパワーカップル投票するなんておかしいと思われるかもしれない。けど、まずは生活から以下の理由がある。

至急困っていることは、世帯年収がこんなにあっても都内子育てできるような物件が買えないこと。これはマジで早急にどうにかしてほしい。もちろん年収と信用はあるからローンは組める。けど、買付証明書を提出したところで、中古大家は「即時現金で購入していくバイヤー」と優先して商談するから自分みたいな25年ローン野郎に売ってくれる物件がない。商談が進んでいても契約前に別のバイヤーに割り込まれる。これを何度もやられた。頭に来るのは、多くのバイヤー海外(主に中国)の富裕層で、彼らは投資目的から物件はピカピカのまま放置される。要するに実需を生む日本人が住居にありつけず困れば困るほど海外バイヤーが儲かっていく構造になっている。

知っての通り新築は倍率が高すぎるし、そこでも海外バイヤー転売目的で購入していく。いまの日本(というか東京と、最近は近郊までも)は、世帯年収2000万あって購買力があっても、マンションを買えない。というか売ってくれない。参政党は、外国人による不動産投資規制を「諸外国の水準」まで厳しくしてくれると言っている。日本外国人に優しすぎる。子供の成長に伴う住居の問題家族にとっても死活問題だし、東京少子化日本で一番進んでいるからこそ、ソウル香港のように取り返しがつかなくなる前に、住居については「日本ファースト」を国策にして取り組んで欲しかった。

次は体感治安悪化自分ハーフだし、会社英語仕事するから、生まれてこの方外国人と関わらず生きてきたことがない。だから分かるのは、ある時期から明らかに移民観光客の質が低下した。ちなみに、これは父も一定程度は同意してくれている。上手く言えないが、今の訪日外国人は、日本文化を消費している。礼儀正しい日本人を利用して迷惑行為を行う外国人YouTuber炎上するのもそうだが、文化に敬意を払うどころか、日本文化の寛容で優しい部分を糧にすることしか考えていない外国人が増えた。そして、それを非難されると「外国人権利」みたいな文明言葉を持ち出してきて応戦してくる。だから文化されてない文化を持ち出しても彼らには法的には絶対に負ける。父をはじめ、まだ日本制度的な空白があり、外国人向けの民間サービスも乏しかった時代に、涙ぐましい努力をして文化に敬意を払いながら日本人と関係を築くしかできなかった世代移民からは、「支払い」と「手続き」だけ済ませば日本語を話せなくても日本で好き放題できる移民観光客たちはハッキリ言って見下しているし、一緒にされたくないとはよく聞く。個人的にあまり好きではないがフィフィとかもその類だと思われる。

ちなみに自分には学生の弟がいるのだが、弟は飲食バイト先で、日本人ではあり得ないやり方でテーブルをぐちゃぐちゃにする外人を何度も見て腹を立てていると言っていた。トイレの使い方も汚い。(これは職場でも外人の使ったトイレは汚いか自分にも想像がつく)。あと外人特にインド系)は体臭がキツすぎる。(日本が清潔すぎるせいで、外国人の粗野な特質がモロに出てしまっているのは少し可哀想でもあるが。)予想だが、若い世代ほど接客などで直接迷惑外人対峙しているからこそ、参政党の過激な部分に拒否感があまりなく、参政党への投票率が高かったのではないか

また、特に白人は、僕らハーフもそっち側だと思って「日本を蔑むサークル」に巻き込んでくる。日本人の真面目で勤勉なことを揶揄したり、家や車、声が小さいこと、お辞儀すること、わかりやすアジア人差別などなど。これは白人と関わったことある外人日本人ならあるあるのはずだ。もちろんそんなヤバい人は殆どいないのは強調したいが、「お金」と「権利」のお墨付きを得ればそういう奴らでも、日本文化メチャクチャにできる。日本文化は素晴らしいけど、グローバル基準に消費され続ければ、個性を失って死ぬと思う。正直、東京飲食店の質は数年前に比べて味がかなり落ちている(しかも値段は上がっている)と思うし、京都テーマパーク化もだけど、世界に誇る日本文化はある程度敷居を上げたり、日本人をターゲットにしないと守れないと思う。

トイレットペーパーの持ち去り、エアコン室外機の盗難農家野菜盗難車上荒らしみたいな、日本治安の良さを逆手に取った外国人犯罪には憤りしかない。トイレットペーパーを持ち歩く中国社会や、子供だけで外出できず、車内に荷物を置いておけないアメリカ社会のような方向へ、日本社会グローバル化してしまうのは本当に悲しい。

かに参政党は「日本ファースト」の名の下に、反ワクチン外国人排斥陰謀論を掲げているおかしな連中だと思う。父との喧嘩はそこが争点だったし、自分参政党の異常性は理解できるからこそ罪悪感は今でもある。けど、参政党の思想は棚に上げて、彼らが無視できない勢力になることは、日本にとって残念ながら必要だと思う。貧乏な家がホストファミリーになれないように、日本社会は、日本ファーストの充電期間なしには、再び外国人を受け入れられるくらい余裕な社会にはなれないのではないか

自民党が圧倒的に強く保守的日本で、急進的な参政党が与党第一党になることはないだろうから、そういう意味では、野党参政党の台頭は国政に示唆を与えるのに丁度がいい。これを機に「持続可能外国人との共生のあり方」を国会ちゃん議論してほしかった。その一心のために、かなり複雑な気分で自分参政党に投票した。

とりあえずこのようなことを父に伝えて、父は自分陰謀論や反ワクに染まったアホではないことが理解できて安心したらしいが、参政党のような極右勢力が、日本社会に、たとえ必要悪としてでも出てくるのは良くないと譲らなかった。父の出身バンクーバーだってRichmondは完全に中国化してるし、他にも例えば母校のUBC(ブリティッシュコロンビア大学)も今ではUniversity of Billions of Chineseって揶揄されてるくらいだから父も移民問題には憂慮しているらしいが、過激派になびくのはそれ以上に許せないそうだ。そんなこんなでモヤモヤは晴れず、なんとなく鬱屈とした週末だったから、文章にしたかった。

年収2000万だけどマンション買えない。参政党生きろ!!!」とか、「在日二世だけど参政投票した」みたいな、自分特殊属性をつかったもっとバズりそうなタイトルも考えたけど、親子関係モヤモヤ動機だし、自分に嘘をついているみたいだからやめた。

とりあえず住むところ頑張って見つけます。

2025-07-24

メモ

自分には、会社というものが、わかりませんでした。毎朝、同じ時間に家を出て、同じ電車に乗り、同じ箱の中へ吸いこまれていく人間の群れ。自分もその群れの一人として、川の流れに逆らえぬ木の葉の如く、ただ、なすがままに運ばれていくのですが、駅の階段を昇り降りする人々を眺めては、いつも、不思議で、恐ろしくて、たまらなくなるのでした。彼らは、一体、何をそんなに信じているというのでしょうか。

机に坐り、周りを見廻します。電話の鳴る音、書類をめくる音、誰かの笑い声。それらすべてが、自分ひとりを責め立てるための、巧みに仕組まれた合図のように思われてなりませんでした。自分は、謂わば、鳥でも獣でもない、蝙蝠のような存在でした。人間世界に紛れ込んではみたものの、その言葉も、笑顔も、自分にとっては不可解な記号の羅列に過ぎず、ただおどおどと、彼らのご機嫌を損ねぬように道化を演じているだけなのです。

「おい、これ、頼む」

課長が、書類の束を自分の机に、音を立てて置きました。自分は、飛び上がるほど驚きましたが、すぐに、練習してきた笑顔顔面に貼りつけ、

はい、畏まりました」

と、自分でもおかしいくらい澄んだ声で答えました。お辞儀の角度は、これで良かったでしょうか。声は、震えていなかったでしょうか。そんな事ばかりが気にかかり、課長の去った後も、しばらく心臓が馬のように跳ねるのでした。

その書類は、ただの数字の羅列でした。しかし、自分には、それが生き物の腑のようで、気味が悪く、一行も読み進めることができません。ただ、両方のこぶしを膝の上で固く握りしめ、自分が何か取り返しのつかない「しくじり」を演じる事だけを、ひたすらに、恐怖していました。窓の外は、青空でした。自分はこの箱の中から、生涯、出られないのではないか、そんな気さえするのでした。

2025-07-23

参政党の歴史認識江戸しぐさコンス朝鮮式お辞儀

参政党の歴史認識奇矯且つネットで流布されていた俗説の凡庸なかき集めになっているが、「君が代の君は天皇じゃない」というのもあり、本名不詳自称さや議員講義動画現在流行している。

https://x.com/candykirao/status/1947249535366959273

現時点で340万回視聴されている。神話の「イザナ”ギ”」と「イザナ”ミ”」の二人の恋人の事だという。

古事記にはその後も書かれていて、イザナギが振り向いた事でイザナミ黄泉の国に囚われ二人の仲は永遠とはならなかったのだが…。

 

あいい。この君が代不敬解釈だが、参政党のアドバイザーを務める小名木善行という人物によるものだ。参政党は2023年12月ホームページからアドバイザーを削除したが、反ワク、ビジウヨ特殊健康食品各界で活躍する一流知識人達が参加していた。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%82%E6%94%BF%E5%85%9A#%E3%82%A2%E3%83%89%E3%83%90%E3%82%A4%E3%82%B6%E3%83%BC

 

この小名木善行、「ねずさん」の名でなら聞いたことがある人は多いかもしれない。ねずさんのひとりごと等のblogを古くから運営している。

この小名木氏、独自歴史観を持ち増田の如き幼蒙を導いて下さるがその一つに江戸しぐさがある。江戸しぐさ自体は残念ながら小名木氏が創造者ではないのだが信奉実践者となっている。

 

そしてこの小名木氏が2012年に発表したのが、「腹部に両手を置いて肘を張るお辞儀朝鮮式でありコンスという」という警鐘である

おかしなアノお辞儀韓国式コンス -ぜんこうのひとりごと https://nezu3344.com/blog-entry-1958.html

ガジェ通批判記事がある→ 江戸しぐさ信奉者が広める「朝鮮式お辞儀」というデマについて https://getnews.jp/archives/777317

因みにガジェ通ニコ動配信する関係小名木氏の歴史言説をそのまま紹介する記事も多いので注意が必要

 

この後にネットでは誰々がコンスをしていた、とかあの百貨店コンスしてる、とか雅子さまコンスとか写真付きの投稿が延々と相次いでいた。雅子さま最近まで右派論壇のバッシングの餌食だったことを忘れてはならない。

また対象クルド人に代わるまで韓国/韓国人/韓国モノコトは叩きの対象であったのも忘れてはならない。

 

そういう訳で君が代の君は天皇じゃねぇよという不敬な解釈コンス発明のものであるのでした。

 

更に小名木氏は縄文文化日本本質説の唱道者でもあるので、江戸しぐさ縄文人DNAに刻まれ日本人らしさが発現したもの、等という説も唱えている。ゲノム解析進歩した現代に言うんだから真実なんだろうと思う。

参政党は縄文文明推しで、縄文人由来のDNAが多いのが純日本人だとか何でも縄文に結びつける言説が多いのだが、その由来はこの人ってこと。

また、「昔の朝鮮半島居住していた民族と今の韓国人は入れ替わっているので別の人種/民族。だから日本人と今の韓国人は遺伝的に繋がっていない」という言説を聞いたことあるだろう。

弥生人渡来人なので日本人と韓国人はゲノムを共有するのが定説だが、それは嘘だ、と。

この言説を言い出したのも小名木氏なんであるhttps://nezu3344.com/blog-entry-2273.html

また「萬歳三唱令」に権威付けを行った投稿もある。正しい万歳  https://nezu3344.com/blog-entry-765.html

こういうのを鵜呑みにして安倍さん天皇陛下の前でやってしまったのかと思うと…(血涙)

2025-07-19

anond:20250719093648

歩行者オッサンが、車のオッサンに「お、急いでるとこわりいね、でもお互い様」て手刀切るのはいいのよ。

それは強者同士の社交儀礼

 

歩行者の子どもにお辞儀させるのはやりすぎでしょ。

それは弱者に屈服を強要することになって味が悪い。

anond:20250719093648

お礼は個人にむけて例外的にとった行動に対してすべきだと思うから横断歩道で礼は基本なくていいと思うよ

信号横断歩道は停止したり歩行者に優先だったりする決まりから車も人もただルールに従ってるだけじゃん

信号のある大きな横断歩道で渡る人が多くいる場合、礼なんて誰もしないよね

逆にルールを守れてえらいねと褒められるようにお辞儀をされるような扱いは侮辱的でこそあれありがたいものだとは思えないし

守ってくれていることにお礼をいわれるほどに「守るべきルールほとんどが守られてない」のが常識である中だったら治安を疑う

2025-07-11

再生の道の政見放送

さっき飯食う間だけちょっとTVつけたら

たまたま再生の道の政見放送やってた。

一人ずつカメラの前に出てきてちょっと喋ってお辞儀して引っ込む。

喋る内容は自己紹介というか

まじめそうなおっさんが「M&A関係仕事会社立ち上げなども経験しました。少年野球監督もやってます」みたいな、どうでもいい内容。しかもかなり聞き取りにくい。人前で喋ることに不慣れ感がすごい。

ちょっとひねろうと思ったのか「私はボンドです人と人をつなぐ接着剤ボンドの約束その1ッなんとかをなんとかするッボンドの約束っその2ッゴニョゴニョをッゴニョゴニョするっ」

みたいな。殆ど聞き取れないんだけど。たぶんそんなこと言ってた。

地獄のようにスベってる。

空気感エンジンコータローなんだよ。

飯の味がしなくなったのですぐ消した。

一番ダメなのは、一人ずつ出てきて「私の政策給食無償化です」「私の政策不法滞在をなくします」とか言って、えっお前個人政策なの?全員バラバラなの?

かに石丸はそう言ってたけど実際目の当たりにすると違和感がすごい。

有権者はそんな完全無名新人一人ひとりの政策を精査するヒマねえよ。

もし通ったらバラバラ活動するの?お互いに協力するの?

政党(?)の顔の石丸は「既存のやりかたじゃダメだ」みたいなフワフワしたことしか言ったことないし、結局こいつらは何なのか。誰もわからない。

わかるのは選挙互助会だということだけだ。

都議選に続いてスパイシーな結果とくやしまレコメントで笑かしてくれると期待している。

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