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映画「今さら言えない小さな秘密」 (DVD観賞)


映画今さら言えない小さな秘密-01
原題:Raoul Taburin
制作年:2018年 制作国:フランス 上映時間:フランス




昨年の公開時、意識して見落として2番館(ギンレイホール)で観ようと
思っていた作品.ギンレイは目処絶たずで、フランス作品をDVD鑑賞.

フランスの国民的作家ジャン=ジャック・サンペの同名小説を、「アメリ」の
ギョーム・ローランによる共同脚本で映画化.

プロバンスの村で一番の自転車修理工ラウルは、愛する妻子に囲まれて
順風満帆な毎日を送っているかに見えたが、実は子どもの頃から誰にも
言えない秘密を抱えていた.

なんと彼は、自転車に乗ることができないのだ.自転車を愛し続けて生業
にまでした彼にとって、それは悲しく致命的なことで、時が経つほど誰にも
打ち明けることができなくなっていた.

そんなある日、村人を撮影する写真家が、ラウルが自転車に乗って坂道を
下る瞬間を撮影しようと言い出す.どうにか阻止しようと悪戦苦闘するラウル
だったが…….

主演は「神様メール」のブノワ・ポールブールド.共演に「わたしはロランス」の
スザンヌ・クレマン、「モリエール 恋こそ喜劇」のエドゥアール・ベア.

以上は《映画,COM》から転載.
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いかにも、フランス的なネタを扱った小品.好ましいこと限りなし.

フランスには4年間暮らしていたけど、つくづく自転車の位置付けが特殊な国.
ツール・ド.フランスに代表される競技用自転車の先端的発達部分と、
実用一点張りの業務用みたいな無骨な自転車の両極端.日本みたいにママ・
チャリみたいな中間部分はなくて、極端な2種しかない…と見えた.

そんな国の南に位置するのどかな地方村での有名自転車修理工の物語.
ラウル:ブノワ・ポールブールドは村の皆に尊敬されるほど、自転車修理に
長けている.されど自転車に乗れないという悩みをもつ.

しかも、周囲の人にそれを打ち明けられない.20歳の時に父に打ち明けたら、
その場で雷に打たれ父は亡くなってしまった.以降それがトラウマにもなり、
秘密を抱えたまま、結婚もして、子供も二人出来てしまった.

そんな有り様を、ラウルが子供時代からのいきさつを描いていく.
6歳、11歳、20歳、そして50歳代とラウルを4人の役者が演ずるのだけど
ちゃんと顔の出来が繫がっているのが嬉しい.

しかも、それぞれのラウルが自転車の練習での転び方が、みな同じで、
走り出すと右側にコテンって感じで思わず微笑みを誘う….
笑わそうとしてない真剣な人が、実はいちばんおもしろかったりする.
そんな人の様子をこっそりのぞいているかのような映画なのだ.

[[attached(1,center)]]映画今さら言えない小さな秘密-02


最後に愛する妻がふとした記憶をつないで、そんな秘密に気がついてしまう.
この妻マドレーヌを演ずるのがスザンヌ・クレマン.艶っぽい上品な色気の女優さん.
ラウル演ずるブノア・ポールブールドに良くお似合いだ.

他人には些細だけど本人にとっては重要な秘密を隠し通すおかしさ.
そんな人生の機微を突いたフランスらしいエスプリ.でもそれは全世界共通で
誰でも共感できることだと思う.

こういう品のあるコメディの小品はフランス映画の得意分野.と今さらながら
言ってしまう作品.原題はそっけないが、邦題も珍しく小洒落ていると思う.

最後に、今さら書けない副長の小さな秘密を.

実は副長も自転車に乗れなかったりします….
本作共感出来るところ多し、でした(笑).



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