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映画「イーダ」…モノクロが切り出す過去は?


原題:IDA - FORMERLY SISTER OF MERCY
制作年:2013年 製作国:ポーランド 上映時間:80分


ギンレイホールでの2本目はポーランド作品.あらためてユダヤを考える作品.
本年47品目の鑑賞.

60年代初頭のポーランドを舞台に、孤児として修道院で育った少女が、
修道女の誓いを立てる前に自らの出自を知る旅に出て、やがてユダヤ人を巡る
歴史の深い闇と向き合う姿を静謐なモノクロ映像で描き出すドラマ.

主演は新人のアガタ・チュシェブホフスカ.
監督は「マイ・サマー・オブ・ラブ」「イリュージョン」のパヴェウ・パヴリコフスキ.
本作はワルシャワ生ま れのパヴリコフスキ監督が初めて母国で撮り上げた作品.

1962年、ポーランド.戦争孤児として田舎の修道院で育てられた見習い尼僧アンナ.
ある日、院長から唯一の肉親である叔母ヴァンダの存在を知らされ、
修道女になる前に一度会うことを勧められる.

さっそくヴァンダのもとを訪ねたアンナ.するとヴァンダから“あなたはユダヤ人で
本当の名前はイーダよ”と思いも寄らぬ事実を告げられる.

やがて彼女はヴァンダとともに、自らの過去と亡き両親の最期を探る旅へと出るのだったが….

以上は<allcinema>から転載.
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端正な顔付きの少女主人公.ジッと固定カメラでしかもモノクロで撮ってある.
みずみずしい感性の構図、粋な撮影力を感じた.

淡白に主人公の行動を追っていく…その悩み、苦しみ、そして喜びさえも.
この描写力は素晴らしい.

当初はアンナと呼ばれた少女が実は“イーダ”と判る.ユダヤの名だ.
訪ねていった唯一の叔母ヴァンダと数日のショートトリップに出る.

イーダの両親が命を奪われた経緯を探りにいく旅.
無垢で信仰心の厚い少女と、シニカルで無神論者の中年女のコンビのロードムービー.
求めるものは過去の真実か、信仰か、それとも苦痛からの開放か….

モノクロの美しい構図の画面は眼を離すことを禁ずる.
ジッと見入ってしまう美しさ…ただ者ではないこの監督.

最後に少しの幸せを見出したイーダの表情だけでなく、その画調の
暗かったトーンは少し明るさを帯びて見えた.

ポーランドの今を知るのに過去へ遡ったその構成に拍手.







コメント

非公開コメント

No title

学生の時、ユダヤ人とアウシュビッツについて論文を書いた事が有る。
あれ以来、その事に触れたくなくなっている(-_-;)・・
でもあえて、そろそろ見た方が良いような・・これ。考えてみような。

No title

> 小梅と小麦と小豆さん
今、この時期に至ってもポーランドではこのテーマの作品が作られる事実にある種の感慨を持ちます.過去の過ちを謝罪しようとしないどこぞの総理大臣の頭をむんずと捕まえて、頭にたたき込んで見せたい作品でした.ナイスありがとうございます.