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映画「利休にたずねよ」…茶の本質はおもてなし.


製作年度:2013年 製作国:日本   上映時間:123分


日曜の夕方は“邦画を1000円で楽しむ会”の定例会.
珍しく渋谷の映画館で観たのは海老蔵目当ての163本目.

茶聖と称えられ、侘び茶を極めた希代の茶人、千利休.
その人物像に新たな解釈を示し、美に対する尋常ならざる執念と
その原点に迫った山本兼一の第140 回直木賞受賞作を映画化.

前作で同じ山本兼一原作「火天の城」を手がけた田中光敏監督が
「一命」の市川海老蔵を主演に迎えて描く.
共演は中谷美紀、大森南朋、伊勢谷友介、成海瑠子、柄本明、伊武雅人.

また、2013年2月に惜しくもこの世を去った市川團十郎が利休の師匠役で
特別出演し、スクリーン上での最初で最後の父子共演が実現した.


1591年(天正19年)、天下人・豊臣秀吉によって切腹を命じられた茶人・千利休.
かつては織田信長に茶頭として仕え、その研ぎ澄まされた美意識で名を馳せると、
信長落命後は秀吉の庇護のもと、“天下一の宗匠”として不動の名声を獲得した.

そして、妻・宗恩が見守る中、自らの腹に刃を立てようとしていた利休の脳裏に、
若かりし時代の記憶が甦る.青年時代、放蕩を重ねていた利休は、
高麗からさらわれてきた女と出会う.

後に師匠となる茶人・武野紹の言いつけにより彼女の世話をすることになった利休は、
次第に女と心を通わせていくが….

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場内は中高年の女性やカップルが多く、あきらかに海老さまファン群.
思えば映画「一命」の時もそうだったなぁ….
実際の歌舞伎の現場を観たことは無いのだけど、シネ歌舞伎なんかでも
圧倒的な存在感を示す海老蔵が演ずる利休をしかと見せてもらった.

時制は利休の切腹の日から始まり、さかのぼっていく….年代のクレジットも入り、
判りにくいことは微塵もないが、海老蔵が綺麗過ぎて?年代を表しにくいのが難点.
地の肌つやが良すぎて、メーキャップによる年齢効果が少ない感じ.

美への探求心に他に譲るものはなく、時の権力者にもへつらうことをしない利休は
自らの死に追い込まれるのだが、その美、茶の湯の傾倒ぶりには驚かされる.

茶の心はおもてなし、時に茶でなく粥までだしてしまう、そのもてなしの配慮や
相手の状況、心境を読み取る洞察力の凄さは筆舌もの.
茶の世界を通して、“人”の世界を読み透かす…のだ.


歌舞伎の見栄を切ったりはないのだけど、やはり海老蔵のメリハリのある演技はさすがだ.
後半の秀吉を演ずる大森南朋との演技のぶつかり合いは硬軟両極端同士で
見応えのあるモノとなった.

それに良かったのは利休の妻役の中谷美紀.利休に寄り添い、尽くしながらも
利休の想いが過去の高麗の女に有ることに嫉妬の炎を燃やす、静かで燃える女を演ずる.
「清須会議」の時の秀吉の妻役のノリの良さとは180度違う方向の演技に感心.

利休の娘役にあの成海瑠子…、「武士の献立」ほどは酷くない演技ではあったが、
やはり時代劇には向いていないんじゃないかと思う.現代劇は好いよね♪

音楽は、又も岩代太郎.ピアノ中心のオーケストレーションは
ちとエモーショナルだが、好印象のバック音楽.

やはり主役の海老蔵の演技がキッチリしているので締まった印象の作品.





コメント

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1・・・(*゚▽゚*)

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クラゲさん.
おはようございます.
初コメ&2ナイス!ありがとうございます.

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こんにちは。
面白そうですね。ポチ

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あるくさん.
表、裏千家総動員の後援でした…(´∀`)。
ポチッありがとうございます。

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時代劇はよいわね~
親子共演が話題になった映画ですね

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きみちゃん.
ここに写っていた人が今はもういないなんて不思議な気持ちにになります…。ナイス!ありがとうございます。

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お久しぶりですが、この映画は、観ました。
昔は、時代劇を心配なく観られたのに、最近は中々安心して観られませんね。
これは、所作やいいまわしがちゃんとできている人が多くて良かったです。
中谷美紀も、良かったですね。

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scabiosaさん.
ご無沙汰してます.これはやっぱり海老蔵の牽引力でしょうか….
見応えのある作品でした.

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あまり老けメイクをしなかったのは、ワザとなんですかね。演技力も含め若いまんまの利休という感じでした。でも将来性を感じる俳優だと思います。
TBお願いします。

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映画を観るまでは、利休のイメージじゃないんだよな、海老蔵さんは、と思っていました。
濃い顔立ちと云い、バラエティ等で垣間見えるオレ様感などがネックになって。
実際には、さすがの所作のなめらかさに、伝統芸能のいい意味での重さも加わった演技に、海老蔵さんをキャスティングしたわけが納得出来ました。
・・・・老けメイクが物足りなかったんですが。老利休の味が出せていたとはとても・・・・。
あとでTBさせてください。

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atts1964さん.
腹を切る頃はけっこうな歳のはずなのに、若かったですね(笑).
でも、たしかに好い役者でありますっ.トラバありがとうございます.

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やまねんさん.
濃い端正な利休でしたね.若い頃を演じたシーンが活き活きしてみえました.その分歳老いてからの容姿はちと不自然…まっ、いい男だからいいか(笑)トラバ待ってマス.

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そうそう、静かな前半にくらべ、後半で放蕩息子な利休のシーンが始まったとたん、画面(物語)に躍動感が生まれました。
後半贔屓な記事ですが、TBさせてください。

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やまねんさん.
やはり海老蔵がまだ“若い”証拠とも言えますね.これから息の長い役者になりますねぇ….トラバありがとうございます.