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映画「アジャストメント」…運命にさからう愛?


原題: THE ADJUSTMENT BUREAU
製作年度: 2011年  製作国: アメリカ    上映時間: 106分


土曜の午後、父との待ち合わせまでに観た洋画は本年58本目.

人気SF作家フィリップ・K・ディックの短編小説をマット・デイモン主演で映画化したSF.
人々 の運命が超自然的な存在“アジャストメント・ビューロー(運命調整局)”によって
管理されていることを知った主人公が、その得体の知れない巨大な 力に反撃していくさまを描く.

共演は「ヴィクトリア女王 世紀の愛」のエミリー・ブラント.アンソニー・マッキー.
本作が監督デビューとなるジョージ・ノルフィ.

将来を嘱望されていた若手政治家デヴィッドはある日、美しい女性エリースと出会 い心惹かれる.
しかし、彼女との仲が深まり始めた矢先、彼は突如現われた黒ずくめの男たちに拉致されてしまう.
彼らは“アジャストメント・ビューロー(運命調整局)”という謎の組織に所属し、人間たちが
あらかじめ決められた運命から逸脱しないよう、超人的な能力で監視・調整を行う集団だった.

そしてデ ヴィッドに、本来出会う運命にはなかったエリースとは今後決して再会しないよう
強引に従わせようとするのだったが….

大好きなSF作家、フィリップ.K.ディックの短編「調整班」(1954年) に基を置く映画化.
ディックと言ったら、「アンドロイドは電気羊の夢をみるか?」…そう、かの有名な
「ブレード・ランナー」ですな.副長が愛してやまない名作SF.
他に「トータル・リコール」、「マイノリティ・リポート」、「ペイ・チェック」…と
SF映画の名作に枚挙がつきない.

そのディック原作、マット・ディモン主演じゃ観に行かないわけはないと…勇んで観賞.
ちょいひねたSFを期待していたが、見事にラブ・ロマンスに転換されていた.
確かに運命調整局(Adjustment Bureau)と主人公マット・ディモンとの闘いが主題だが、
そのモチーフの基になるのは、運命にたがあう愛の力の強さ、あるいは自ら愛に生き、
運命を切り開く人間のさまである.

最期は運命調整局の長 “議長” までが情にほだされて、運命のたがを外すくだりなんぞは
極めて人間くさく、判官びいきな印象で、ディックの持ち味が薄れている印象がする.

この調整班の存在が、神なのか異星人なのかは明確にされないが、
必ず帽子を被らないと異次元ドア(ドラえもんのどこでもドアそのものだ)を使えなかったり、
居眠りこいて失敗するさまは、とても人間くさい(笑).

マット・ディモンはちょっとふっくらして若手政治家の雰囲気をよくまとう.
転じて、ヒロイン、エミリー・ブラントは細さの中に強さを潜ませるダンサー役に似合う.
この二人がすれ違いそうで、出会ってしまう…反“君の名は”症状(笑).古いか(爆笑).
わくわくドキドキしながら二人のロマンスを見とれていると
後半は、めまぐるしい“どこでもドア大会”が繰り広げられる.

SFティストのラブロマンス作品としてなら十分ゆるせる佳作.

きらいじゃないよ、こういうのだって.



コメント

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運命調整局の正体はなんなんでしょうね。未来から来た人かしら。
どこでもドアだしね。
私はアンソニー・マッキーにやられちゃいました♪
TBさせてくださいね。ポチ☆

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きゅさん.
P.K.ディック流では…哲学的に“神”という解釈なのかもしれませんが、あんなドジな部下ばかりではねぇ(笑).トラバありがとうございます.

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自動車保険には事故車を見積もるアジャスターと言う係りがいます その人が見積もったのには逆らえない(´・ω・`)
人生はそう簡単にアジャストメントされてたまるもんですかね~^^
すれ違いの恋愛物語 はぁ~遠い昔の御伽噺だわ~

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きみちゃん.
そのアジャスターはまさにこの映画の“調整局”と同じ機能ですね.「逆らえない…」ことに反発できる力の源はやはり「愛」だそうです.
まだまだっ、遠い昔話しにしませぬように♪!(笑).

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あ、ディックの作品だったんですね。これは知りませんでした。
予告編を観た時も、ちょっと面白そうだなとは思いましたが、副長さんのレビューを読んで、本格的に興味が湧いてきました!
エミリー・ブラントも好きな女優さんだし、これ、観たいなぁ♡

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やまねんさん.
お好きですよね、ディック!.そうだと思ってた(笑).エミリー・ブラントの描き方がとっても魅力的で、マットが恋に落ちるのもさもありなん…なんです.SFからは離れるかもしれませんが思えば、ブレード・ランナーだって…、オススめかも.

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そうですね。見事に恋愛映画になってましたが
原作ファンの方々も好意的な感想書いてますね。
私は政治家の妻としての常識を破るお話とも受け取れました。
TBさせてくださいね。

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Cartoucheさん.
古い原作を上手く現代風にアレンジしてあって、ディックファンにも受け入れているのかもしれません。トラバありがとうございます。

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ディックってことで、魅力的だわ。。。今風になってるのね。来週は水曜日がおやすみだから、行ってみようかしら。。。

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めーちゃん。
うん、これお勧め.良い感じの出来になっている.マット・ディモンが魅力的な、自分に素直な政治家を演じてます.こんな若者の政治家が日本にも欲しい….

No title

今年2本目がこの映画でした。
たくさん見ていた頃は、はずれてもいいや!と思って気軽に行けたけど
半年で2本となると、躊躇するんですよね。
で、マットデイモン信じてるんで(笑)きっと大丈夫だろうと。
ディックの短編?ということで、やっぱりそれなりというのが感想でした。
恋愛ものにするしか広げようがなかったのかも。
ちょっと期待しすぎたのかも。

No title

セニャさん.
ケチな副長は、沢山観ても、安く観ても、“ハズレ”は許しません(笑).ディックの原作は短編で、そのテイストは上手く生かされていますが、やはり恋愛もの仕立て….でも好きな仕上がりだと思ってます.