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「ドガ展」@横浜美術館~わらわら…と、ナイトミュージアム!



勤めている会社が協賛しているというだけで、
閉館後の横浜美術館で「ドガ展」が観られるという恩恵が
会社のイントラネットで広報された.

なにより空いた美術館が大好きな副長、
仕事を終えて、いそいそとみなとみらい駅近くの横浜美術館へ.
映画にもあったけど、夜のミュージアムは一種独特の雰囲気.
たたずまい…がちょっと違う.

印象派を代表するエドガー・ドガ(1834-1917)の大回顧展.
オルセー美術館所蔵のドガの45点に、ボストン美術館、メトロポリタン美術館、
ポーラ美術館、ブリジストン美術館、ひろしま美術館…と
国内外のコレクションから選りすぐった作品が約120点.
これはまさに回顧展と呼ぶにふさわしいドガ漬けの展覧会.

長く生きた画家ゆえ、その画風は色々な変遷があるのだけれど
本展覧会はその初期から晩年にわたり作品を網羅している感があり、
その変遷が楽しめた. トップは今回の看板「エトワール」.
バレーの“踊り子”に集中していた絶頂期の作品.

「エトワール(星)」は、パリオペラ座でプリンシパル(主役を踊る踊り子)
のなかでも特に花形だけに与えられる称号.
スポットライトを浴びて踊るエトワールの一瞬の動きが浮かび上がるような筆致.
光の表現、幕裏を左上端に配置する大胆な構図、
当時のバレーの舞台をさもありなんと活き活きと魅せる.

ドガは印象派展に第1回から出品し、印象派の中心的な存在の位置づけにされるが、
初期はアングルの弟子に師事し古典派やルネッサンス画の模写から始まったらしい.
その表現力に裏打ちされた初期の肖像画に素晴らしいモノが多かった.




その一連の肖像画の一つ.
「ロレンソ・バガンとオーギュスト・ド・ガス」(1871).
当時人気のスペイン人の歌手ロレンソ・パガンと
音楽好きの父親オーギュスト・ド・ガスを描いている.

奏でるギターと切ない歌声が聴こえるよう.
後で聴き入る父親の真摯な顔つきの表現が秀逸.

今回の120点の中で副長一番のお気に入り.
音や空気感みたいな雰囲気がわき出るような作品が好き.






北九州美術館でしか観られない珍しい作品も着ていた.

友人関係にあったマネとその夫人を描いた
「マネとマネ夫人像」(1868).

不遜な態度のマネを良く描いてあるのだが、
この絵を贈られたマネは夫人の出来がよくないと
画の右端を切断してしまったいう曰く付きの作品.

自らはともかく、愛していたんですなぁ奥さんを….



閉館直後の18時に入館したので、比較的空いた状態での鑑賞に大満足.
その30分後以降はもう美術館の外にまで続く長蛇の列.
在京で何社も協賛しているし、その家族も同伴できるとあって
これじゃ平日の開演と何ら変わらない混雑ぶり.

人気の美術展を少ない観客環境で鑑賞というのはなかなか難しい.
金曜の夜遅くまでの開演の終業間際…というのが今のところベストかもしれない.





映画「マイ・ブラザー」~世界の果てをみた兄に、まだ声は届くだろうか


原題:BROTHERS 公開時期:2010年6月 上映時間:105分


ギンレイホールホールでの2本目は今も続くアフガン駐留が
米市民に与える傷跡の物語.本年94本目.

スザンネ・ビア監督の2004年のデンマーク映画「ある愛の風景」を
豪華キャストでハリウッド・リメイクしたヒューマン・ドラマ.
戦地での体験によって心に大きな傷を抱えて帰還した男の苦悩と、
それを受け止めようと葛藤する家族の姿を描く.

出演はトビー・マグワイア、ジェイク・ギレンホール、ナタリー・ ポートマン.
監督は「イン・アメリカ/三つの小さな願いごと」のジム・シェリダン.

妻グレースの良き夫であり、かわいい2人の娘の良き父である 米軍大尉のサム.
一方、その弟トミーは問題ばかりを起こす家族の厄介者.
彼が銀行強盗での服役から出所したばかりのある日、
入れ替わるようにサムがアフガ ニスタンの戦地へと出征する.

やがて、グレースのもとにサムの突然の訃報が届く.
悲嘆に暮れるグレースと娘たちを前に、心を入れ替え、
彼らの支えになろう と決意するトミー.
徐々にグレースとの距離も縮まっていくが、そんな時、
死んだと思われていたサムの生存が確認される.

そして、家族との感動の再会を果た したサムだったが….
まるで別人のように変ぼうした行動をとりはじめる….

兄を別人に変えてしまったのは、そう戦争.
アフガン戦地での悲惨な経験が人格までも変えてしまう.
へりが撃墜され九死に一生を得るが、
タリバンのテロリストたちに拉致されてしまう.

タリバンによる残虐な拷問の連続、そして最期には
決してあってはならない同士討ちの強制.
そして兄は壊れてしまう….

結局この残虐さの部分とそれを癒すはずの家族愛や
兄弟愛がうまく機能できないもどかしさを描きたかったのだろう.
が、脚本空回りの感がある.兄の変貌の理由は前半で披露しちゃうし
その後の家族や弟たちとの柔懐の落としどころがないままに
話が進行してしまう.

そして結末は題名にふさわしくない、夫婦愛による中途半端なエンデイング.

ハリウッドでは思い入れが強過ぎてアフガンネタは表しきれない?
配役が豪華というのはいいのだけどなぁ.
オリジナルののデンマーク映画「ある愛の風景」を観てみたくなった….



映画「新しい人生のはじめかた」…今を捨て明日に生きる、それもまた好し.


原題:LAST CHANCE HARVEY    初公開:2010年2月    上映時間:93分

敬老の日のギンレイホールは超満員.階段座布団組まで登場.
今年93本目は中年からの人生を考える作品.

アメリカとイギリスを代表する名優、ダスティン・ホフマンと
エマ・トンプソンの共演の大人の恋愛ストーリー.

人生の折り返し地点を過ぎ、それぞれに悩みを抱えた2人の男女が
ロンドンの街で偶然に出会い、一緒に過ごすひとときの中で
前向きな気持ちを取り戻していく姿を綴る.

監督は、 これがデビュー2作目となるイギリスの新鋭、ジョエル・ホプキンス.

離婚してニューヨークで気ままな一人暮らしをしているCM作曲家のハーヴェ イは、
イギリスに暮らす一人娘の結婚式のためロンドンへと向かう.
しかし仕事が気がかりで携帯を手放せず、親族の集まりの中でも疎外感を味わう.
おまけに娘からはバージンロードは義父と歩くと告げられ、気持ちはどん底に.

一方、気むずかしい母親を抱え、もはや人生に期待しないことでどうにか
自分を保って生きている孤独な女性、ケイト.
ある時、空港のバーでひとり静かに本を読んでいたケイトは、
やけ酒をあおっていたハーヴェイから声をかけられる….


主人公の二人は、どっちもかなりさえない.
風貌だけでなく、その生き方もだ.
あきらめや絶望が良く似合う世代.
自分の世代と良く認識はしている.

停滞感やマンネリに身をゆだねている方がずっと楽…と思いたい.
冒険、野望には臆する気持ちの方が先に立つ.
老いた親の世話だってあるし、子供はもう巣立ってしまう….

なんだか自らの立ち位置にえらく似ていることに苦笑せざるを得ない.

おひとり様の生活って気の持ちようで楽しめるもの.
自由勝手気ままとは言い過ぎだが、
同居人の制約がないのは、病みつきになる楽しみ.

父が一人生活をおくるのもなにより自由が欲しいから.
話し相手が欲しい、寂しいというのは一時の感情.
それを乗り越えると、あるいは適度に“騙せれば”、
四六時中の自由さがなによりも一番という.

自らの立場に当てはめてもやはりそう.
独り身に戻ってから周囲からは、活き活きしてるだの
表情が明るくなっただの、とよく言われる.

映画の話に戻ると、ヒロインは父に逃げられた母の過干渉に悩む.
しきりとかかってくる携帯電話.全くもってして不便な道具だ.
主人公は仕事で負け、娘の結婚式も義理の父親が取り仕切る…
気持ちは滅入るばかりの哀しい独身中年のどん底状態.

そんな二人が巡り会い、一緒に旅立とうとする.
今の生活を崩したくない….今後の幸せは確約は出来ない….

でも一緒に居たい、これからの人生を共に過ごしたい….
そんな熱情にほだされたエンディング.

今後自分にもそんな事が…あるのかな?(笑).

本作品のコピーは
“人生の曲がり角の先には、きっと──素晴らしい冒険が待っている.”

そんなコピー通りの気持ちにさせられる佳作.
一生の記憶に残るほどの名作じゃないが、
一年間くらいは記憶に残りそうだ.



街中のネコシリーズ(上野の3ニャンズ)



アヴァンギャルドな画を楽しんだ後は上野の森を散策.
ジャグラーやケーナ演奏、はては津軽三味線まで
ストリート・パフォーマーが人だかりを作っている.

そんなの楽しみながらも、副長は常に猫勘を研ぎ澄ます….

いたいた….通りの木陰で休む縞トラ.
にらまれちゃった(笑).

耳の端がカットされているのは避妊手術の層別マーク.



近くにはもう一匹.
似た模様だから
兄弟か?

タヌキみたいなシッポだ、
と笑ったら、
またもこの猫にも
にらまれてしまった(笑).










ふと、老年のオッサンが近づく.
この人、いつぞやも、
樹上の猫をひょいと
もちさったおっさんだね.

ホームレスにしては
キチンとした身なり.

上野公園のネコ管理官??

猫たちも慣れた様子.








気がつけば、隣の木の切り株に
もう一匹の縞ネコ.

木の葉っぱで顔が見えないね.

おとなしくおじさんと他のネコとの
触れ合いをを眺めてる….









上野の森の縞ネコ3兄弟 & おじさんの競演でした.


シャガール展―ロシア・アヴァンギャルドとの出会い~交錯する夢と前衛~



久々に上野の森へ絵画鑑賞.
東京都美術館が大幅改修に入って少し活気が一息ついたような印象.

パリのポンピドー・センターが所蔵するシャガールの代表作と
ロシア・アヴァンギャルドの巨匠ナターリヤ・ゴンチャローワと
ミハイル・ラリオーノフのコレクション、
さらに同時代に活躍したマレーヴィチ、プー ニー、カンディンスキーら
ロシア出身の巨匠たちの作品も観られるという貴重な美術展.

トップはロシアをテーマにしたシャガールの作《ロシアとロバとその他のものに》

シャガールは好きな画家で展覧会が開かれると各地まで出かけるほど.
今回はポンピドー・センターからの約70点が出展.
特にメトロポリタン劇場での“魔笛”の舞台美術や衣装デザインデッサンが
日本初出で新鮮な印象を受けた.絵画とはひと味違うラフさがいい.






日本では初公開の
ナターリヤ・ゴンチャローワ.
明るい色彩と大胆な構図が興味深い.

ロシアの画家とは思えない
“南”の太陽を感じさせる色使い.






もう一つの驚き.
抽象画の印象しかないカンディンスキーの初期の風景画.
6点ほどの小品ばかりだが、
キッチリとした構図に明るい色彩の風景画.
聞けば結婚直後の幸福絶頂期の作とか.
さもありなん.



東京芸術大学美術館は小さく狭く、地下2階と地上3階が展示場という
特殊な作りの美術館.エレベーターでの移動とか、
途中にホテルオークラ経営のカフェレストランが存在してたり、
まっこと見づらい美術館.いつ来ても戸惑う….

企画や展示作品だけでアピール出来る時代では無いと思うのだけど、
これでも国立、なんとかして欲しい.




つまらないことアラカルト(墓参りで汗する)




今日も30℃を越えたけど朝夕は涼しくて、やはり初秋の気配.
“暑さ寒さも彼岸まで”と言うしね.

チバラキ自宅のムクゲがまだ咲いている.
業者にバッサリと5m近くあった丈を2m位に切られ、
もうしばらくは花は見られないかと観念していたが、
あにはからんや、例年は7月で咲き終わる花がまだ咲いている.
その生命力の強さに感心.隣国韓国の国花だそうな.



一方庭の方は
又も草ボウボウ状態….
この前抜いたのに.
この夏の暑さに打ち勝つた
雑草の生命力にもヘキヘキ.
来週は草取りか….



バッサリ切られたはずの
野ばらからも、
もう棘が成長している….
うーん、勘弁して~!!



高速が込み始める前に早朝から関越道を通って、
埼玉越生の霊園へ.母の眠る墓参り.


車のアンテナには
トンボが….
やはり秋の気配ひしひし.



草を刈るべく
ハサミは用意したが、
刃を研ぎ忘れた….
全く切れず、炎天下1時間半も
大苦闘。しかも出来はマダラ坊主(笑).
次回は電動バリカンを持参しよう.


帰りは混雑を迂回して川崎のアパートへ
チビ嬢のご機嫌伺い.
トイレを掃除して、エサと水をたっぷり.



帰りの首都高で
今日のスカイツリー.
また伸びてきた….


チバラキに帰り、義母の墓参りも.
誰かが直前に着たらしく、花一輪とまだ煙たなびく線香が.
誰か気にしてくれる事は嬉しい.

さて…、明日は好きなことして過ごしてみよう.
観たい美術展もあるし、ギンレイホールにも行かなくっちゃ….


映画「パーフェクト・ブルー」…加藤ローザって濃い顔だなぁ.



公開年度:2010年9月     上映時間:120分

この3連休(そうじゃない人にはごめんなさい)は敬老の日もあるので、
父へ叉も日本酒(定番の“土佐鶴”だ)と長崎カステラなんぞを持参してご機嫌伺い.
どこで仕入れたか来週末公開の映画「十三人の刺客」を話題にする.

公開時期どころか上映館まで調べている….
そう、要は連れていけ、ということですな(笑)

ということで来週末の鑑賞作品は決まってしまった….
そんなやり取りの前に観た本年92本目の邦画.

「理由」「長い長い殺人」に続くWOWOWのドラマによる
宮部みゆき作品の映像化第3弾.彼女の長編デビュー作を基に、
高校球児殺害事件の裏に秘めら れた意外な真相を加藤ローサと
中村蒼主演で描く.監督は「SHINOBI」の下山天.

将来を嘱望されていた高校野球界のスーパースターが殺害される.
たまたま被害者の弟・進也の捜索依頼を受けていた探偵事務所の加代子は、
進也への疑いを晴らそうと真相究明に乗り出す.
一方、製薬 会社大手の三友製薬では“パーフェクト・ブルー”と呼ばれる
謎の新薬を巡って強請をかけてきた男・結城の対応に追われていた.
やがて2つの事件は、思い も寄らぬ形で交差していく….

今年の2月にWOWWOWで放映されたドラマの映画化だそうだが、
やはり2時間ドラマそのものの出来.CMが無いだけいいか…という印象.

主役がいない…、脚本ちゃんとしろよな~(怒).
どの役者もピリッとしてないしね.

このWOWWOWシリーズは今後、観ないこととした.


美味しいモノ倶楽部9月の定例会

昨夜は千葉県、柏のフレンチイタリアンレストランで
副長主宰の“美味しいモノ倶楽部”も定例会.

いつものメンバー、40~50代の男女7人なのだけど、
一人だけ急遽の北米出張で欠席.代わりにニューカマーとして
昔、副長と一緒に働いていた柏で勤務の女性をお招きした.

川崎の事業所を17:10に飛び出し、18:50には柏のレストランの座席で
ビールを飲んでいた.短時間移動の新記録かもしれない.
なにせ武蔵小杉でも乗り換えの新橋でも上野でも、走り通し…だった.

いきなり、本日のお勧め…と言うので“馬刺し”なんぞを.
お腹も空いていたので、写真も撮り忘れてしまう(苦笑)


フワフワさつま揚げ
白身魚をすりつぶし、
サラっと揚げてある.
山芋も入っているのだろう、
食感が抜群の柔らかさ.
醤油以外でも合うかも?



白身魚のフライ.
あっさり揚がっているのだけど、
注目はソース.
生クリームをホイップして
カレー粉+αを加えた
特製ソース.
プラスαが何かは最後まで
教えてくれなかった.
企業秘密だそうな….



和風オムライス.
あんかけソースに埋まった
オムライスはフワフワ.
中のお米は醤油味の
チャーハン風.
モヤシネギをかけて
熱々でいただく….



デザート3点盛り.
テイラミス.
チーズスフレ.
胡麻味のケーキ.
それぞれはけっこう、
あっさり気味の甘さ.
小さいので、別腹でいただける.


このメンバーで26年前に泊まりがけで
尾瀬に行った事…なんぞが話題になり、
盛り上がりっぱなしで深夜まで宴会が続く.

グラスのプレミアム・モルツがいつの間にか
白のイタリアワインに代わり、そして最後には
フランス製の赤ワインで杯を酌み交わす….

気の合う仲間と美味しい食べ物と美味しい酒….
至福の時間を過ごして深夜のご帰宅.

もちろんチバラキの自宅へ帰還した.

次回はまたもバーベキューだそうな.
かなり…楽しみ(笑).


映画「ミレニアム2 火と戯れる女」



原題: FLICKAN SOM LEKTE MED ELDEN/THE GIRL WHO PLAYED WITH FIRE    
制作:スエーデン・デンマーク・ドイツ      製作年度: 2009年


前作「ミレニアム ドラゴンタトゥーの女」の魅力に打ちのめされた副長、
続編の、2と3が同時公開されると知り狂気乱舞.
早速、その“2”を本年91本目に鑑賞.

全世界でセンセーションを巻き起こしたスティーグ・ラーソンの『ミレニアム』
3部作を映画化した北欧発のミステリー巨編、その第2弾.
ある事件に巻き込まれ、殺人者の濡れ衣を着せられ逃亡を余儀なくされたヒロイン、
リスベットの孤独な戦いと、前作で友人となったミカエルはじめ彼女の無実を信じて
独自に行動を開始した男たちの奮闘を描く.

主演は前作に引き続きノオミ・ラパスと ミカエル・ニクヴィスト.
監督は新たに「刑事マルティン・ベック」シリーズのダニエル・アルフレッドソン.

前作の少女失踪(しっそう)事件解決から1年後、社会派雑誌「ミレニアム」で
少女売春組織に迫った特集の準備を進めていた担当ジャーナリストが殺害される.
現場にリスベット(ノオミ・ラパス)の指紋のついた銃が残されていたことから、
彼女は容疑者として指名手配されてしまう.
リスベットの無実を信じるミカエル(ミカエル・ニクヴィスト)は独自に調査を進めていく…….


やはりスエーデン発信の原作とその映像、作風はハリウッド作品とは趣が異なり、新鮮に感ずる.
鼻ピアスに背中にドラゴンタトゥーの華奢な天才 ハッカー、リスベットは
前作では事件に巻き込まれたミカエルを助けたが、今回は自らが容疑者にされてしまう.

過去のトラウマから誰も信じることのできないリスベットは、
警察の追跡をかわしながら、たった一人で犯人と対決する道を選ぶ.
今回はハッカーとしての活躍より肉体的な戦いを続ける.
リスベットはボクサーの経験も在ったことが今回明らかに.

前作で自らの父親を焼き殺したトラウマとばかり思っていたが、
実は父親はまだ生きており、今回の事件の大きな鍵を握っていた….
と、段々と主人公のトラウマの謎が明らかになってきたと思ったら…、
3に続いてしまった.

今週末から“3 眠れる女と狂卓の騎士”も上映開始.
こりゃ、すぐっ観ないとね.
たぶん、DVDになって1,2,3と一気観が楽しいかもしれないなぁ.




映画「悪人」…誰が本当の“悪人”なのか?


初公開:2010年09月     上映時間:138分


賞をとったから観るというのはすごく嫌いで、
この作品も上映開始から放置していたのだけど、
munchさんのブログ記事を読んだら、
http://blogs.yahoo.co.jp/munch_munchjp/60296569.html
作品の現場が長崎佐賀とありとたんに興味をもってしまった.
そう、長崎が生まれ故郷だから….
本年90本目は故郷の訛りを聴きに観た.

朝日新聞夕刊に連載、毎日出版文化賞と大佛次郎賞を受賞した
吉田修一の原作を映画化した犯罪ドラマ.
九州のとある峠で起きた殺人事件をきっかけに、 偶然に出会う男女が
繰り広げる逃避行と愛を息苦しくなるほどリアルに描く.

罪を犯してしまう肉体労働者を大河ドラマ「天地人」の妻夫木聡.
その彼と行動をとも にする女性を『女の子ものがたり』の深津絵里が演じる.
共演は満島ひかり、岡田将生、樹木 希林、柄本明.
監督は「フラガール」の李相日.

よく鍛錬された役者たちのしゃべる北九州の言葉は
私には違和感がない自然なものだった.
エンドクレジットには長崎弁指導、佐賀弁指導、福岡弁指導
と3名もの名前が連なっていたが、その差がわからないのは
東京生活が40年も続いたからからか?

言葉だけではなく、役者の熱演を感じた.
なんたら主演女優賞を獲った深津絵里は37歳のほとんど素ッピンを
さらして犯罪者を愛する哀しい女を切なく演ずる.

それを上回る熱演は犯人役の妻夫木聡.
似合わないちんちちくりんの金髪、病弱な祖父の面倒をみる
海辺の町で暮らす、親戚の廃屋解体業を手伝う若者.

暗い、さびしげな、かなしい目の演技が良く似合う….
性の悪い若い娘と出会い系サイトで出会い、ひょんなことから
殺人まで犯してしまう男の悲しみと苦悩そして深津への愛…を、
セリフは少ないが良く表現する.これは妻夫木の代表作だね.

助演の樹木希林と柄本明もまたいい演技を魅せる.
樹木希林は犯人の祖母役、柄本は被害者の父親役.立場は全く逆なのに、
ともに背負ってしまった不幸のやりどころの無さと無力感、脱力感を
よく表す.この二人にだって助演演技賞をあげたくなるな.

被害者の保険会社員の若い娘(満島ひかり)は救いようのない女、
が、殺されてしまえばそれは“被害者”として悪くは言われない.
どんな悪い人間でも人の命は尊い.それを奪うのはやはり重い罪.

この殺人のきっかけを作ったチャラチャラした大学生(岡田将生)を
被害者の父(柄本明)はモンキーレンチで殴りかかろうとする.
が、思いとどまる….一時の激情で人を殺めた妻夫木、
その被害者の父はすんでの所で人を殺めるのを留まる.
この差が「悪人」の差だろうか?この作品は問いかける….


なにもない閉塞的な長崎の海辺の町風景…副長が生まれた町に
よく似た海辺の町.ふと原体験が頭の隅をよぎる.
粗めの映像がこの作品のテーマによくマッチする.

ていねいな役者の演技としっかりした脚本、そして飾らない映像の
三本柱がこの作品を記憶にのこるものにしている、
それはとにもかくにも、監督の手腕なのだろう.