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2024-12-09

日曜劇場「海に眠るダイヤモンド」7話までの考察

以前、こちらの増田を書いた者だ。

https://anond.hatelabo.jp/20241101181425

以下、7話までのネタバレが含まれるので、未視聴の方はTverU-NEXTで観てから読むのをおすすめする。

まず、澤田の正体についてから書き始めたい。

私の予想では、澤田=荒木まこと、そう、進平とリナの息子では無いかと予想している。

いづみは何らかの情報を頼りに、進平とリナの息子を探し続け、出会い秘書にしたのではなかろうか。

澤田は玲央の部屋の水道を修理した際、いづみに「私にも端島の話をしてください」というようなシーンがあった。

ということは、澤田は端島生活を知らない人間という事になるが、

進平とリナの息子であるならば、2歳前後でリナと島を出ているので端島生活を覚えている可能性はほぼない。

では、なぜ「荒木」姓でもなければ「日下」姓でもでもないのか?という事になる。

(※日下姓はリナの本名仮定した上での話だと思って読んでほしい)

以下から自分でも大胆過ぎる予想だと自覚の上で書くので当たらなかったら申し訳ない。

まず、リナは恐らく第二子を身篭った状態1話冒頭にあった夜の海を船で去る事になったのではないか

ではおそらく7話で行方不明もしくは死亡したと思われる進平の残した子なのか?と最初は思った。

しかし、公式サイト8話のあらすじに「鉄平の良からぬ噂も流れていて…」とある

予告編では、リナ、鉄平まことの3人が仲睦まじく過ごす描写がある。

さらに、鉄平の母ハル鉄平に「リナさんと一緒になり」と告げるシーンがある。

まり鉄平は表向きは朝子と付き合いながら、リナとも仲を深めるのではなかろうか。

そして、進平を亡くし悲しみに暮れるリナと一夜を共にする、

これが「鉄平の良からぬ噂」の正体なのではなかろうか。

鉄平の子を身篭ったリナは、これ以上荒木家を巻き込みたくないと思ったのか、

または「自分の愛した人が死んでしまう」呪いを断ち切るため、鉄平も殺さないために、

夜逃げするように端島を出たのではないかと考えている。

そして、リナが産んだ2人目の子女の子であり、彼女が玲央の母親なのではと予想している。

さて、澤田はなぜ「荒木」姓でも「日下」姓でも無いのか?という話に戻ろう。

おそらく本土で2人の子を抱えてリナが生きていくのは相当困難だったはずだ。

からまこと養子に出す事にしたのでは無いか

それが「澤田家」だったのではなかろうか。

しかすると、妹も養子に出したか施設に預けたかし、リナが育てることはなかったのかもしれない。

最後に、鉄平の話をしたい。

鉄平現代パートの「いづみ」が語るところによると、

行方不明

という事らしい。

初めは炭鉱火災行方不明になったと予想していたが、そうではなく、

朝子がいながらリナとの子供を作ってしまった自分を責め、

逃亡した・・・?のではないか

流石に現状の情報では鉄平行方不明になった経緯を正確に予想することは出来ない。

今日の時点で書けるのはここまでだ。

全く別の展開であればそれはそれで面白い

既に来月2度目の軍艦島ツアーを予約してある。

2024-10-10

小説 階伯(かいはく)つづき

百済亡命者たち――日本への道

百済滅亡の報せが朝鮮半島全土を駆け巡るとき、そこには絶望だけでなく、わずかな希望が残されていた。それは、百済の地を追われた者たちが、遥か倭の国――大和への亡命の道を選んだことだった。

百済の都泗沘(しひ)が炎に包まれ王族貴族、そして多くの百済の民が散り散りになって逃げる中、一握りの者たちは東へ、海を越えて大和へと渡ることを決断した。彼らにとって、倭はかつて同盟を結び、文化技術を共有してきた縁のある国だった。遠い異国ではあったが、そこに生き延びる希望があると信じていた。

渡海――苦難の旅

夜の海は静かだったが、波は冷たく、命の危機を感じさせた。百済から亡命者たちは、わずかな船団に身を寄せ合い、倭の地を目指した。彼らの目には、故郷を失った悲しみと、新しい土地での不安が浮かんでいた。

中でも、若き百済貴族、武珍(ムジン)は、家族と共に海を渡ることを決断した一人だった。彼はかつて百済王宮官職を務めていたが、新羅と唐の連合軍が攻め込むと、命からがら国を脱出した。彼の目の前には、父祖の地であった百済が失われ、愛した仲間や民が散り散りになっていく姿が浮かび続けていた。

「いつか…いつか、この地に戻ることができるのだろうか」と、武珍は呟いたが、その声は波音にかき消された。

やがて、彼らの船は倭の大地に辿り着いた。彼らを迎えたのは大和朝廷の役人たちだった。百済から亡命者たちが次々と上陸し、武珍もまたその一人として新たな生活を始めることとなる。だが、そこには異国の地での試練が待ち受けていた。

新天地大和

亡命者たちは大和王権に迎え入れられたものの、その生活は容易なものではなかった。彼らは、異国の地で自らの文化風習を持ち込む一方で、大和風土や習慣に馴染む必要があった。特に故郷を失った哀しみが胸に深く刻まれている者たちは、再び自らのアイデンティティを見つけるまでに長い時間がかかった。

武珍もその一人だった。彼は大阪南部に割り当てられた土地で、新しい生活を始めることとなった。この地には既に百済から移民が住み着いており、互いに助け合いながら新たなコミュニティを築いていた。大阪南部河内平野は肥沃な土地であり、農業が盛んだったが、何よりも彼らにとって特別ものは、地名の中に「百済」という故国の名を残せることだった。

「ここは、我々の新たな百済だ」と、武珍は言った。

大和王権の中での百済役割

百済から亡命者たちは、単に新天地生活を始めるだけではなかった。彼らは百済で培った高度な技術文化大和王権にもたらし、その地位を高めていった。特に天智天皇の治世において、亡命者たちは重要役割を果たすこととなる。

天智天皇大化の改新を主導した中大兄皇子)は、近江京を築いた際、百済から亡命者たちを積極的に受け入れた。天智天皇自身百済との強い同盟関係を保っていたため、亡命者たちの技術知識を利用して、近江の地を発展させることを狙っていたのである。武珍を含む百済貴族技術者たちは、天智天皇の招きに応じ、滋賀県周辺へと移住していった。

新羅に滅ぼされ、百済を失ったとしても、我々の技術文化がこの地で花を咲かせるなら、それが我々の新しい故郷となるだろう」と、武珍は自らを励ました。

百済技術者たちは、瓦や製陶技術金属加工、建築技術をもたらし、近江京の発展に寄与した。その中でも、仏教文化先進的な農業技術は、近江の人々にとって大いなる財産となった。百済から亡命者たちは、大和王権の一部として取り込まれながらも、独自文化を維持し続けた。そして、その痕跡は、現代滋賀県に残る渡来系遺伝子の多さにも反映されている。

亡命者たちの遺産

時が経つにつれて、百済から亡命者たちは日本列島に根を下ろしていった。大阪南部には「百済」や「加羅伽耶)」といった故国の名を冠する地名が残され、滋賀県には亡命者たちの末裔が多く住み着いた。彼らの遺伝子は、日本列島の中で異質な文化を生み出し、後の日本文化に大きな影響を与えた。

武珍も、かつての仲間たちと共に大阪南部で新たな百済を築き上げた。そして、彼の子孫たちは、百済の血を引き継ぎながらも大和王権に忠誠を誓い、その技術知識を後世に伝えた。

故郷は失われたが、我々の血は生き続ける。我々の文化は、この新しい土地で栄え続けるだろう」と、武珍は亡命者たちと共に夜空を見上げ、倭の地で新しい未来を夢見た。

こうして、百済亡命者たちの物語は、日本歴史の中に深く刻み込まれていった。朝鮮半島を追われた彼らは、決して故郷を忘れることなく、新しい大地でその魂と誇りを守り続けたのである

朝鮮半島奪還――日本宿命としての目標

天智天皇近江京を築いた時、百済から亡命者たちは日本の地に根を下ろし、新しい生活を始めた。しかし、彼らの胸には常に故郷である朝鮮半島への想いが宿り続けていた。日本という国がまだ形成されつつある時代、その根底には、失われた「伽耶」や「百済」を取り戻すという強い願望が隠されていた。

天智天皇は、ただ単に新しい京を築いただけではなかった。彼の統治の下で、大和王権は次第に「日本」という国としての形を整えていった。しかし、その目標の一つには、かつて倭人支配していた朝鮮半島南部――伽耶百済の地を再び日本の手中に取り戻すという、壮大な夢が秘められていた。

朝鮮半島に築かれた前方後円墳存在――それは倭人がその地を支配していたことを示す確かな証拠だ。前方後円墳日本発明された墓制であり、その巨大な墳墓が朝鮮半島南部にも点在している事実は、かつてその地が倭人にとっての故郷であったことを物語っている。

失われた故地の奪還――幾度かの挑戦

天智天皇時代を過ぎても、この「朝鮮半島奪還」という目標は、日本歴史の中で幾度となく浮上してきた。その後、豊臣秀吉時代には、それが現実のものとして動き始める。

豊臣秀吉朝鮮出兵文禄・慶長の役

秀吉は、天下統一を成し遂げた後、自らの野望を東アジア全域に広げようとした。その第一歩として選んだのが、朝鮮半島への侵攻だった。1592年、秀吉大軍を率いて朝鮮に進軍し、かつて倭人支配していた地を取り戻し、さらには中国大陸まで征服するという壮大な夢を抱いていた。

「我が倭の祖先の地、伽耶百済を取り戻す時が来た。朝鮮半島は、我々日本人の手に再び戻るべき土地である

秀吉のその言葉には、単なる領土拡張を超えた、失われた故郷を取り戻すという深い信念が込められていた。だが、朝鮮戦役は厳しい抵抗に遭い、秀吉計画は失敗に終わる。朝鮮半島の奪還は成し遂げられず、秀吉の死をもって日本軍は撤退余儀なくされた。

しかし、この「朝鮮奪還」の試みは、単なる軍事的野心の産物ではなかった。それは、古代から続く日本人の潜在的な願望――かつての倭人領土である朝鮮半島南部を再び自らの支配下に置くという、宿命的な思いの表れだったのだ。

倭寇――小規模な奪還の試み

大規模な侵攻が失敗に終わったとしても、歴史の中で日本朝鮮半島との間には、常に緊張と抗争が続いていた。その中で、倭寇(わこう)と呼ばれる海賊集団が、朝鮮半島沿岸部中国大陸沿岸を襲撃する形で、奪還の意図を示し続けていた。

倭寇の多くは、正規日本軍ではなく、小規模な武装集団だったが、彼らもまた、朝鮮半島南部をかつての倭人の地として捉え、そこに自らの足場を築こうとした。彼らの襲撃は、単なる略奪ではなく、失われた倭人故郷を再び支配するための小さな試みの一環だったと言えるだろう。

倭寇活動14世紀から16世紀にかけて活発化し、朝鮮中国を混乱に陥れた。特に朝鮮半島南部はその影響を強く受け、倭寇侵略によって多くの地域が荒廃した。これは小規模ながらも、日本朝鮮半島との長い歴史的な繋がりを象徴するものだった。

戦前日本朝鮮半島

そして、最も大規模で決定的な奪還の試みが行われたのは、20世紀初頭の戦前日本だった。明治維新を経て近代化を果たした日本は、軍事力を強化し、再び朝鮮半島に目を向けるようになった。1905年日露戦争勝利した日本は、朝鮮半島への影響力を強め、最終的には1910年朝鮮併合することに成功した。

これにより、ついに日本はその「歴史的な故地」を取り戻すかのように、朝鮮半島を自らの領土として統治することとなる。豊臣秀吉が夢見た「朝鮮半島奪還」の夢は、この時に現実のものとなったかのように思われた。

しかし、この支配もまた、長くは続かなかった。第二次世界大戦の敗北と共に、日本朝鮮半島から撤退せざるを得なくなり、再びその地は遠い存在となった。

朝鮮半島南部――倭人故郷としての歴史的意義

イスラエルユダヤ人にとって失われた故郷であったように、朝鮮半島南部倭人――すなわち日本人にとっての歴史的な故地であり、その奪還は、古代から目標であった。日本前方後円墳朝鮮半島南部に点在していることも、その歴史的なつながりを証明している。これらの墳墓は、単なる埋葬の場所ではなく、倭人がこの地に深く根を下ろしていた証拠だ。

天智天皇からまり豊臣秀吉戦前日本、そして小規模な倭寇――いずれも朝鮮半島南部を取り戻すという潜在的な思いを抱いて行動していた。この「奪還の夢」は、日本歴史の中で脈々と受け継がれてきた宿命とも言える。

現代においても、日本朝鮮半島関係は複雑でありながらも、歴史的な繋がりは消えることなく残っている。かつて倭人が歩んだ地、朝鮮半島南部――それは、日本にとって単なる隣国土地ではなく、彼らの魂が宿る場所であったのだ。

小説 階伯(かいはく)をAI生成してみた。朝鮮半島南部日本固有の領土

もう10年近く前になるでしょうか。テレビ善徳女王や階伯(ケベク)を見ていました。そこで気付いたのですが、全く史実考慮せず、ドラマを作っているところです。

両方のドラマに、階伯(ケベク)も金庾信も出てきますが、全く別人のような扱いです。それは当たり前で、記録が残っていないからです。階伯など日本書紀しか残っていないに等しいです。

また、花郎世紀という偽書可能性の高いものからドラマを作っているということも知りました。こんなことができるのなら、東日流外三郡誌大河ドラマができてしまます韓国ドラマのすごいところです。

そこで、なぜ日本では、善徳女王や階伯(ケベク)のようなドラマができないのかと考えました。まあたぶん、歴史ドラマは大きく史実から外れられないとか、「自虐史観」があるのかなと。

紫式部なら創作もある程度許されるんでしょうかね。しかし、日本ドラマでは時代考証をある程度以上はやってます。階伯(ケベク)のように火薬が爆発したりしない。7世紀火薬があるのか?。

ダムの乱を起こしたピダム善徳女王が恋仲になるなんてシナリオが許されるのなら、階伯(かいはく)と金庾信が幼馴染でも問題ないですよね?w だって、記録無いし。

イスラエルユダヤの地だったら、朝鮮半島南部倭人の地のはずw。

生成にはGPT-4oを使用しましたが、下記の文章見出しを少し直し、はてな表記にしただけで、生成文そのままです。アメリカ等の歴史教科書では、朝鮮半島南部倭人が住んでいたということを認めているので、すんなり生成されたのだと考えています。本当は、倭人とういう朝鮮半島南部から九州北部あたりに分布している海洋民族がいただけなんじゃないかと思います。そして、その人らが大和政権に取り入れられ、日本という国が成立したんじゃないでしょうか。

ということで、日本側の見解としての階伯(かいはく)と金庾信の話を作ってみました。以下に本編です。

小説 階伯(かいはく)

現代日本東京 宮内庁

東京の秋の夜、薄い雲が月明かりをぼやかし、冷たい風が皇居の周囲を包んでいた。歴史学者、宮内敬一は、しなやかな動きで宮内庁の厳重な警備をかいくぐり、特定建物へと静かに忍び込んだ。彼の胸中には、ある確信があった――かつて日本に伝来し、その後散逸したとされる「百済本紀」が、ここに隠されているはずだ、と。

数年前、宮内韓国古書店で、偶然ある巻物の切れ端を目にしていた。その破片には「百済本紀」の名がかすかに読み取れ、彼の興味を大いにかき立てた。百済王国歴史を記したこ書物は、日本朝鮮半島との関係を解明する鍵となりうる、極めて貴重な歴史資料であるしかし、日本の記録にはどこにもその存在は記されていない。宮内は、この謎を解くべく独自調査を進め、ついにたどり着いたのが、ここ宮内庁だった。

彼の手元には、長年の研究から得た宮内庁内部の古文書倉庫レイアウトが詳細に記されているメモがあった。限られた時間の中で、どの棚にどの文書が保管されているのか、緻密に計算されていた。

暗い廊下を抜け、幾重にも鍵がかけられた古文書倉庫の扉の前にたどり着く。宮内は冷静に暗号を解き、精密な動作で鍵を解除した。倉庫の中はひんやりとした空気が漂い、古びた紙の匂いわずかに鼻をくすぐる。長い棚が並び、そこには時代ごとに整理された膨大な古文書が眠っている。

宮内目的の棚へとまっすぐに歩み寄る。近づくほどに心拍数が上がり、手の平にはじっとりと汗が滲む。ついにその時が来た。彼の手が、一冊の古びた箱に触れる。箱の表面には、薄れかけた文字で「百済本紀」と刻まれている。

慎重にその箱を開け、中の巻物を取り出すと、千年以上の時を超えてその姿を現した。封が施されていたはずの巻物は、思いのほか保存状態が良く、宮内の震える手の中でゆっくりと広げられていく。巻物に記された文字は、古代朝鮮半島漢字表記であり、間違いなく「百済本紀」だった。

宮内は息を呑み、震える声で「これが…ついに…」とつぶやいた。目の前に広がるのは、歴史が語りたがっていた物語だった。これまで失われたとされてきた百済の記録が、自らの手の中にあるという事実に、彼はただ打ち震えるばかりだった。

だが、その瞬間、背後で微かな音が響いた。宮内は瞬時に振り返り、身構えた。

宮内の背後で響いた音は、冷ややかな静寂を切り裂くかのようだった。警備員か、それとも何者か別の存在か――宮内心臓は、緊張のあまり大きく脈打った。

「誰だ?」宮内は小声で問いかけるが、返事はない。身を低くし、ゆっくり視線を巡らせた。そのとき、微かな足音が再び聞こえた。かすかな光が倉庫の奥から差し込み、宮内の視界に誰かが近づいてくるのがわかった。光に照らされたその姿は、想像していたような警備員ではなかった。

スーツ姿の男が、静かに歩を進めてきた。その目は鋭く、宮内を捉えて離さない。そして、男の口元にかすかな笑みが浮かんでいた。

「探していたものが見つかったようですね、宮内先生

その声には、明らかに宮内の行動を全て見透かしているかのような冷静さがあった。驚きと同時に、背筋に冷たいものが走る。

あなたは…誰だ?」宮内は巻物をそっと戻し、箱を再び閉じた。手は汗ばんでいたが、その目には確固たる決意が宿っていた。

男はゆっくりと近づきながら、まるで狩りを楽しむかのように言葉を続けた。「私の名前は名乗る必要はありません。ただ、あなたが何を求めてここにいるのかは、もう全て知っている。そして、それが公に出てはならないということも」

「公に出てはならない?」宮内は眉をひそめた。百済本紀発見が、なぜそれほどまでに秘匿されなければならないのか。宮内の中で、疑念と怒りが沸き上がった。「これは、歴史を明らかにするための重要資料だ。日本百済のつながりを示す、そして隠されてきた真実を照らす光だ。それを隠す理由がどこにある?」

男は薄く笑い、「それはあなたが決めることではない」と静かに言い放つ。「歴史は常に勝者が書くものだ。敗者の物語は、都合よく葬られることもある。あなたがこの巻物を公表することは、今の日本歴史観を揺るがすことになる。そう簡単はいかない」

宮内はその言葉に心の中で反発した。歴史真実でなければならない。たとえそれが現代価値観政治的意図にそぐわないものであったとしても。しかし、目の前の男は明らかにそれを理解しない、あるいは理解しようとしない。彼はただ、今の秩序を守るために動いている。

「では、どうするつもりだ?私をここで止めるのか?」宮内はあえて挑戦的な口調で尋ねた。

男は一瞬沈黙し、次に口を開いたとき、声は低く冷たかった。「あなたがどれだけの真実を知っていようと、我々はその真実を決して外に出すつもりはない。だから、これ以上深入りしない方が身のためだ、宮内先生

そう言いながら、男は静かに背を向けた。そして、出口に向かって歩き出す。彼が扉に手をかけた瞬間、ふと振り返り、「もしまだ、百済歴史に興味があるのなら…もう一度考え直すことだ。あなた研究も、命も、この国のために使えるはずだ」と含みのある口調で言い残し、倉庫から姿を消した。

宮内はその場に立ち尽くした。男の言葉意味を考えながら、再び視線を箱に向けた。手の中に収めた百済本紀は、歴史の失われたピースを埋める貴重な証拠だ。しかし、それを公開することが、彼の命を危険さら可能性があることも明白だった。

だが、宮内は一度決めたことを覆すつもりはなかった。彼は再び箱を手に取り、慎重にそれを自分のバッグに収めた。何があろうとも、この真実を守り抜く。それが、彼に与えられた使命だと確信していた。

倉庫を後にし、宮内は闇の中に静かに姿を消した。彼の手の中にある百済本紀が、これから日本朝鮮半島歴史をどう変えるのか――その答えは、まだ誰にもわからなかったが、確かに歴史は動き出していた。

宮内は暗い夜の中、宮内庁敷地を慎重に抜け出し、手に汗握るような緊張感を抱えながらも、自らの決意をさらに固めていた。背後で静かに扉が閉まる音を耳にし、彼は改めて周囲の安全確認した。振り返ることなく、冷たい秋の風に身を包まれながら、ゆっくりと歩を進めた。

百済本紀

百済本紀は、ついにその姿を現した。しかし、この発見は彼にとって、祝福されるものであるはずがなかった。目の前の謎めいた男が口にした警告は、無視できない現実として宮内脳裏にこびりついていた。彼は一つの歴史真実を見つけた。しかし、それがあまりに大きすぎる秘密であったために、彼は今、新たな危険さらされていることを知っていた。

「誰が…何を隠しているんだ…?」宮内は自らに問いかけながら、都心に戻る電車の中でじっと考え込んでいた。外の街の景色は、窓越しに次々と流れていく。煌々と輝くネオンと、高層ビルの明かりは東京の夜を彩っていたが、宮内の心の中は重苦しい暗雲が立ち込めていた。

彼は手元のカバン視線を落とした。カバンの中には、つい先ほど手に入れたばかりの「百済本紀」が眠っている。その重みが、今の彼にとっては異様に感じられた。歴史重要ピースを手に入れたにもかかわらず、その喜びはまるでなく、代わりに不安と恐怖が心を支配している。

「このままではいけない…」宮内は静かに呟いた。彼の頭には一つの考えが浮かんでいた。この文書を公開する前に、まず信頼できる誰かに相談し、協力を得る必要がある。単独で動くにはあまりリスクが大きい。だが、誰にこの話を持ちかけるべきか――それが問題だった。

彼の心にまず浮かんだのは、大学時代の友人であり、今や有名な考古学である佐伯真一の顔だった。佐伯日本国内外歴史的な発掘調査で多くの成果を上げており、特に日韓関係史の研究において第一人者とされている。彼なら、この資料重要性を正しく理解し、適切に扱ってくれるはずだ。宮内はすぐに佐伯との接触を決め、駅に降り立つとスマートフォンを手に取り、連絡を取った。

数回のコール音の後、佐伯電話に出た。

もしもし宮内か?久しぶりだな。こんな夜遅くにどうした?」

宮内は一瞬ためらったが、意を決して口を開いた。「佐伯、急ぎで話したいことがあるんだ。今すぐ会えるか?」

佐伯は少し驚いたような声で、「今か?何か大事なことか?」と尋ねた。

「…ああ、これまでの研究人生で一番大事発見をしたんだ。それも、とてつもない発見だ。今は詳しくは話せないが、どうしても君に見てもらいたいんだ」

佐伯はその異様な緊張感を察したのか、数秒の沈黙の後、「分かった。今すぐ都心カフェで会おう」と返事をくれた。

宮内カフェに着いたのは、電話からわずか30分後のことだった。深夜にもかかわらず、カフェは数名の客で賑わっていた。宮内は店内を見回し、奥の席で待っている佐伯の姿を見つけ、急いで席に向かった。

宮内、どうしたんだ?お前がそんなに慌てるなんて珍しいな」

佐伯心配そうな表情で宮内を見つめていたが、宮内は口を結び、静かにカバンから巻物の入った箱を取り出した。その瞬間、佐伯の目が一気に鋭くなった。

「これを見てくれ」宮内は低い声で言いながら、慎重に巻物をテーブルの上に広げた。薄暗いカフェの灯りに、古代文字が浮かび上がる。

佐伯は息を呑んだ。「これは…本物か?まさか、これが…」

「そうだ」宮内確信を込めて言った。「百済本紀だ。散逸したはずのものが、ここにある。そしてこれが、これまで語られてこなかった日本百済真実証明するものなんだ」

佐伯はしばらく無言でその巻物を見つめていたが、次第に表情が険しくなっていった。そして、静かに目を閉じると、ため息をついた。

宮内…お前、これがどれだけ危険ものか分かっているのか?」

宮内はその言葉に驚きながらも、佐伯に向き直った。「危険だと?これは歴史真実だ。それを明らかにすることが、なぜ危険なんだ?」

佐伯は低い声で答えた。「宮内、世の中には触れてはならない真実というものがあるんだ。この文書が公にされたら、ただ歴史教科書が書き換わるだけでは済まない。この国の根幹を揺るがすことになる。お前が巻き込まれたのは、単なる学問問題じゃない。もっと大きな、国家問題なんだ」

宮内驚愕し、言葉を失った。まさか、そこまでの影響があるとは想像もしていなかった。「そんな…一体どういうことだ?」

佐伯は再び巻物に目をやり、静かに言った。「これから先、お前がどう行動するかで、お前の運命も決まるだろう。だが、その前に…もう一度この文書を精査し、何が書かれているのかを完全に把握する必要がある。私も協力するから、一緒に慎重に進めよう」

宮内はその言葉に頷き、覚悟を決めた。「わかった、佐伯。まずは真実を解き明かそう」

二人は深夜のカフェで、百済本紀の解読に取り掛かることを決意した。しかし、外では彼らを見張る影が、静かに忍び寄っていたことに、まだ二人は気づいていなかった。

宮内佐伯と共に百済本紀の解読を進める中、ある一節に目を留めた。その古い漢字で書かれた文章は、これまでの日本朝鮮半島関係史を根底から覆すような内容を秘めていた。

佐伯、これを見てくれ」と、宮内は震える指先で指し示した。

そこにはこう記されていた。

百済国は、倭より来たりて、王を立て、その民を治む」

佐伯は眉をひそめ、しばらくそ文言を目で追った後、重々しい口調で言った。「まさか…これは、百済日本人――つまり倭人によって建てられた王朝だということを示唆しているのか?」

宮内ゆっくりと頷いた。「そうだ。そして、これが真実なら、朝鮮半島南部――百済領域は、かつての倭の支配下にあったということになる。竹島対馬どころか、済州島朝鮮半島の南半分までが、歴史的に日本領土であった可能性が出てくる」

佐伯はしばらく沈黙した後、深いため息をついた。「これは一筋縄はいかない話だな…。もしこの文書が公に出れば、歴史の再評価だけでなく、国際的領土問題にまで波及する可能性がある。サンフランシスコ講和条約定義された日本領土が、揺るぎかねない」

宮内焦燥感を抱えながら佐伯に問いかけた。「だが、どうしてこの『百済本紀』がここ日本で隠されていたんだ?なぜ誰も知らないんだ?」

佐伯は静かに考え込み、やがて低い声で話し始めた。「その答えは、戦後日本歴史にある。連合軍総司令部、つまりGHQが関与していた可能性が高い。特にマッカーサー日本の再建と国際関係の安定を図るために、歴史的な資料や記録を抹消または隠蔽したケースは少なくない。もし『百済本紀』に、日本朝鮮半島南部歴史的に支配していたという証拠が記されているとすれば…」

佐伯は目を宮内に向け、厳しい表情を浮かべた。「GHQはそれを脅威と見なして、抹消を命じた可能性がある。サンフランシスコ講和条約日本固有の領土定義された際、その基盤に揺らぎが生じることを恐れたんだろう。もしこの文書が明らかになれば、国際社会において、日本朝鮮半島南部済州島領土として主張する正当性が浮上しかねない。それは、当時の冷戦構造の中で、極東の安定に重大な影響を与えたはずだ」

宮内はその言葉に打たれた。「つまり、これは単なる歴史の一資料ではない。戦後日本朝鮮半島領土問題、そして国際政治に直接関わる爆弾だということか…」

「その通りだ」と佐伯は冷静に応じた。「だからこそGHQは、この文書を表に出させなかった。百済倭人設立した王朝であったという事実が認められれば、日韓歴史認識や領土問題根本から覆されることになる。現代竹島を巡る領有権問題など、取るに足らないものに見えるほどの衝撃が走るだろう。済州島釜山、そして南半分の領有権を巡って、新たな国際的な論争が生じかねない」

宮内佐伯言葉に深く頷いたものの、その重みを改めて感じていた。この「百済本紀」は、ただの古文書ではない。それは、日本朝鮮半島領土問題を再燃させ、国際情勢に大きな波紋を広げかねない爆弾だ。

「だが、これは真実だ」と宮内は力を込めて言った。「歴史を捻じ曲げてはならない。これが隠されてきた理由が何であれ、私たちの使命は、真実を明らかにすることだ。たとえそれがどれほど大きな影響を及ぼそうとも」

佐伯は厳しい表情を保ったまま、静かに宮内の目を見据えた。「宮内、お前の決意は分かる。だが、この文書を公にすることで、国内外にどれだけの波紋が広がるか、お前自身理解しているはずだ。日本政府だけでなく、韓国政府も黙っていないだろう。いや、それどころか、国際社会全体がこの文書に注目し、外交的な大混乱を招くことになる」

宮内は一瞬言葉に詰まったが、再び口を開いた。「それでも、歴史真実であるべきだ。この文書を隠し続けることは、日本学問的誠実さをも裏切ることになる。それに、これまでの研究者たちが解き明かそうとしてきたことを、我々が踏みにじることになるんだ」

佐伯は深く息を吸い込み、しばらくの間、何かを考え込んでいた。そして、ゆっくりと口を開いた。「分かった。お前の信念を否定するつもりはない。ただし、慎重に動こう。急に世に出すのではなく、まずは信頼できる少数の専門家に見せ、段階的に議論を進めるべきだ。この資料が持つ意味を、慎重に検討しなければならない」

宮内はその提案に頷いた。「ああ、そうしよう。まずは、私たち知識経験でこの巻物を完全に解読し、それから信頼できる専門家に見せる」

二人はその場で、新たな行動計画を立てた。百済本紀の解読を進め、文書の真偽を確認した上で、専門家との協力を仰ぐ。そして、その真実を公にするための準備を進めることにした。

しかし、彼らがその場を立とうとした瞬間、外の窓に気配を感じた。宮内は一瞬、外を見やったが、何者かの姿がカフェの外にちらりと映った。黒い影――まるで監視するように、静かに彼らを見張っているようだった。

佐伯…」宮内不安そうに囁いた。「外に誰かいる。もしかすると、もう動き出しているのかもしれない…」

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2024-05-22

「トラペジウム」雑感

映画ブロガーみたいにちゃんと書けないけど重箱の隅を楊枝で洗うようなことなどを

テニス下手くそお嬢(ランコ)のスカウトシーン

 主人公が藤棚(花は咲いていない)の影におり、お嬢が日の当たるところに立っている。

記憶が定かではないが、藤棚の柱で画面が二分されていたかもしれない)

 これは主人公が陰の者である後藤ボッチ系)であるメタファー演出であろう。

 

主人公カメラ少年夜の海岸で決意表明告白をするところ

 要所要所で髪やヤシの葉が海風で揺れてエモーショナル空気出してるんだけど、突然髪の毛がピタッと動かなくなるところがあって「予算…」ってなった。

・萌袖の子、水中ロボット実験する時はもちろん、キータイピングしているときも袖まくりしないので、大丈夫なのか心配になった。

最後テレビ局で元ADハイタッチするシーンの背後にモブ業界人がいて、メガネアゴヒゲnotロン毛で新海誠を思い出した。

2024-04-01

まもって守護月天!を読み終えた その1


当方40代であるはてなユーザーでは平均ほどか。

数年前に父が亡くなり、半年前に母も亡くなった。ずっと実家暮らしで、会社仕事の合間に農業をやっていたが、そろそろこの家ともお別れである家族が俺一人になったので、土地建物を売りに出して、会社の近くにある空き家ハウスに引っ越すのである

相続が終わってから遺品整理屋とかリサイクル屋とか解体屋さんと話をすることが多くなった。処分すべき財産はあっという間に片付いたが、最後に残ったのが……西暦で言うと2000年頃に亡くなった実弟漫画だった。部屋を共有していたので、本棚には俺と弟の漫画が並んでいた。

その大半は、ブックオフでも1冊10円すらつかないモノだった。メルカリで売るにも手間がかかりそうだ。遺品整理屋も「今のご時世、紙のマンガは売れないんですよ」と引き取りを断った。ほかの価値のなさそうなモノは、タダ同然でも引き取ってもらえたのだが。

何か月か経って、今年の正月を過ぎた頃だった。

実家本棚にあった俺の漫画を何冊か、手に取って読んでみた。うーん、これは……「懐かしい」という感情が僅かにあった。一番好きだった漫画、『天使禁猟区』『スカイハイ』『クロマティ高校』を読んでみたが、いまいちピンとこない。楽しい思い出が蘇ってこない。お楽しみの記憶脳裏から消えてしまったのだ……。

ふとここで、亡き弟の漫画を手に取った。あいつは将来裁判官になりたいと言ってたっけ。『家栽の人』が本棚の目につくところに置いてあった。一番上の段だった。

そして、一番下の段に視線を移すと……ここで一番、ドーン!! と、当時の記憶が蘇った。それは、『まもって守護月天!』だった。弟が一番好きだった漫画

家族食卓を囲んでいる時も、旅行をしてる時の車内でも、何気ない団らんの瞬間でも、とにかく弟は、この漫画の話をしてることが多かった。

弟の死因は、自動車に轢かれた後の外傷から内臓の疾患にかかったことにある。交通事故の原因の半分は弟にあり、当時は自業自得だと冷たいことを思ってたけど、まさか亡くなるとは……。病院でお見舞いをしてる時にも、弟はこの漫画を繰り返し読んでいて、ずっとその話の内容とか喋ってるんだよ。どんだけ好きなんだよって思った。

確か、アニメも観たいって言ってたかな。病室にテレビはあったけど、ビデオ再生できるものがなかった。弟は泣いて悔しがっていた。

さて、当時の俺は高校生であり、ガンガンコミックス漫画を読むことはなかった。守護月天漫画を読んでみたことはあったが、すぐに読むのをやめた。「稚拙だな」と思ったのもあるし、「絵がちょっとな~」という思いもあった。当時の俺は、CLAMPが描くような、Xとか聖伝とか、ああい精緻な絵柄のエログロが好きだった。

とにかく弟は『まもって守護月天!』が好きだった。それを、この本棚を見ていて思い出した。この日は休日であり、時間がたくさんあった。せっかくなので、この日から一週間ほどかけて、全11巻を読んでみることにした。

読んでみた感想を、以下に綴っていこう。感想を交えつつ、各巻に1~2箇所ずつ、印象的だったところを抜き出して引用する。

ネタバレがあるように見えるけど、本当に大事なところは抜き出してない。隠してる。まあ、俺の人生で『まもって守護月天!』を取り上げるのはこれっきりなんだし、少しくらいは許してくれ……。

その前に、これはどういう漫画やねん、と気になった方はWikipediaでググってほしい。あらすじは、概ねこんな感じである

~ブックライブから引用

一人暮らしで寂しさを抱える少年と、ご主人様をあらゆる不幸から守る役目を持つ守護月天美少女とのファンタジーラブストーリー一人暮らし中学2年生・七梨太助(しちり・たすけ)は、中国を旅する父親から支天輪(してんりん)という八角の輪を送られる。


まり主人公の何気ない行動をきっかけとして、小璘(シャオリン)という女神様のようなものがやってくる。お互いに惹かれつつ、ラブコメディが進行していく。その中で、超えないといけない壁がいくつもあって、主人公である太助シャオにふさわしい男になるために奮闘する物語である

では、さっそく始める。



【第1巻】

読み始めは、正直キツかった。絵柄が古いのもあるし、漫画表現が昔風なのもあるし、ラブコメを読んだ経験がない人間には何がどう面白いのかわからない。

まり楽しめないのは、すでに四十を過ぎているからだろう。子どもの頃であれば、まだマシだったのかもしれない。ただ、まあ……コンセプトはいいと思う。すごく。

なんとなくだが、『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』という映画を思い出した。某グルメ漫画でいうと、「うん こういうのでいいんだよ こういうので」を地で行く。

シャオリンが「この平和時代に、どんなものからご主人様を守るか」を決めたシーン

太助様…」

「…え……」

「もし迷惑でなければ あなたの中にある「孤独」や「寂しさ」から あなたを守ってさしあげたいのですが それではいけませんか?」


シャオ歴代の主を守ってきた手段は、主に暴力である。星神を呼び出して使役し、主人を狙う者を撃退する日々を過ごしてきた。だが、平和現代でそんな行為需要があるはずもなく。シャオは、呼び出されてすぐにお役御免になってしまう。

ならば、主人である太助をどのように守ればいいのか――その答えが上記台詞である。命を狙う敵がいないのであれば、孤独や寂しさから主人を守るのだ。太助には家族が3人いるが、全員家を離れて放浪の旅をしている。ネグレクトに限りなく近いものがあるが、ラブコメの都合というものだ。



【第2巻】

このあたりは、まだだるかった。物語登場人物は揃いつつあるのだが、展開が退屈でなかなか話が進まない。この巻から、慶幸日天の汝昴(ルーアン)という主人公の恋路を邪魔する、まさにお邪魔キャラみたいな人が出てくる。

別に、なんということはない恋愛妨害工作なのだが、この時代ラブコメ高橋留美子の影響がまだ色濃いのだろうか、暴力性が強い。この巻以外にも「死ぬやろ……」というシーンがけっこうある。昔は気にならなかっただろうが、やはり時代というものか。

ルーアンの計略によりシャオ太助の元から離れようか迷っているシーン ※太助が駆けつける

「えーっと 今はうまく言えないけど… 俺はシャオにずっとここにいてほしいんだ ――それだけじゃここにいてもらう理由にならないかな……」

「…いいえ… ………あの 私…… 太助様がここに来てくれるの 待ってたかもしれないです」


ルーアンがそれっぽい発言をして、「シャオ現代には不要ではないか」という意見を伝える(あなたなんて いても邪魔なだけなのよ)。シャオは真に受けてしまって、支天輪に帰ろうとするのだが……すんでのところで太助がやってくる。そして、ふたりきりの状態で上のような会話をする。

この場面は気に入っている。シャオ気持ちも、太助気持ちリアルに描いていたからだ。ストレートさがいい。



【第3巻】

このあたりから恋愛路線に入ってくる。太助シャオ愛情意識する場面が出てくる。

ネタバレは避けるが、シャオには恋愛ができない事情がある。本人ですら認識できない事情が。

以下の山野辺というのは、最初の頃は万引きとかするキャラとして描かれていた。物語が進むにつれて応援キャラになっていく。

シャオ山野辺が一緒に温泉に入っているシーン

「なあ シャオ…」

「…………」

シャオ?」

はい?」

「なんか元気ないけど七梨と何かあったのか?」

翔子さん…………私 病気かもしれないです なんだか…ね 胸が苦しい… 太助様がルーアンさんと一緒にいると とっても胸が苦しくなります さっきなんか どうしてだか自分でもわからないけど そっけない態度とっちゃったし太助様が話しかけてくれたのに 太助様にきっと変に思われちゃった きっと悪い病気にかかっちゃったんです ――でも どうしたらいいのか わからなくて…」 

(へえ…精霊ってのも 人を好きになったりするんだあ…)


うん。女性作者が描いてるラブコメってさ。女性側の心理描写リアルだよな。女の子ってさ、好きな男性の目の前だと萎縮することがあるじゃん意中の人を目の前にすると、体がつい後ろに下がってしまうとか、廊下を走って逃げだす子とかいるよな。

なんかこう、恋愛感情に対して不安になった時の女性心理というか。リアルさが伝わってくる。子ども時代に読んでも全く認識はできなかったろう。



【第4巻】

この巻くらいになると、ストーリーの基本線が定まってくる。何らかの事件イベントが起こって、太助シャオが巻き込まれて、レギュラーキャラがそれぞれの立ち位置で動き回って、なんやかんかで解決して、ふたり(又はほかのキャラ同士)の間柄が深まって……という流れである

基本は、太助シャオ関係性がメインだ。この作品うまいところは、ふたりばかりを推すのではなく、ほかのキャラクター間の友情とか愛情ガッツリ描いてる。

この巻だと、2つの場面が印象に残っている。いずれも、ルーアンふたりの仲を妨害するための工作を試みて、やってしまった結果である

④-1太助高速道路自転車走行中にタイヤバースト、そして前方車両(トラック)と自転車を括っていたロープが取れて転倒した後のシーン

「………え 太助様!? 太助太助様!! 太…助様あ… ……う…」

「あ…あの小璘さん…」

「どうしよう…どうしようどうしよう ルーアンさん! ――太助様が 死んじゃったらどうしよう!!」

「あ…いや まさかそんなあ」

「どうして支天輪を車に乗せちゃったりしたんですか 私……太助様に何かあったら ルーアンさんのこと絶対さない!!」

「…………」

太助様に…太助様に何かあったら… 太助様… 太助様早く帰って来てください」

「小璘…………あんた」

④-2保健室で、シャオがベッドに横たわって寝ているシーン

「なあ…ルーアン

はい!?」

「…俺シャオのこと 好きにならない方がいいのかな…」

「………… あんたあのおじょちゃんになんか言われたでしょ ――じゃあひとつ聞くけどなんでそう思うの?」

「――…」

「小璘が人間じゃないから?」

「…………」

「………俺とシャオって絶対結ばれないのかなって…」

「…ねえ たー様 あたしは たー様のこと好きよ 考えれば悩みなんていくらでも出てくるけど 一番大切なのは自分気持ちでしょ だからあたしはあんたみたいに悩まない 悩んでも変わらない想いなら 悩むだけ損だと思わない?」


気持ち、とでもいうのかな。かの有名な『BLEACH』でいうと、ウルキオラ・シファーの名台詞ひとつである



心か



みたいな感じだ。登場人物の心境がさ、わかるんだよな。喜んでるのもわかるし、苦しんでるのもわかる。そんな中でキャラクターが足掻いている姿が印象に残った。

漫画を読む前に下調べはしなかった。今も一切してない。よって推測になるんだけど、この作者である桜野みねねっていう人は、この時(1998頃?)は大学生かそこらの年齢なんだよな。作者あとがきを読むと、若いんだなというのは伝わってくる。

俺が二十代前半の頃は、地面から出てきたばかりのカブトムシの如き勢いでスポーツをするか、水道工事現場であくせく働くか、盛りのついた獣のように女を口説いて、年間に何人とセックスたか記録を付けるとか……同じ会社女の子と無理やりそういうことをした後でも、最後にベッドの上で「愛してるよ」と言ったら許されるから大丈夫とか、そんなことしか考えてなかった。人間性が動物レベルだった。

でも、この桜野みねねという人は、そんなどす黒い人間の対極を行く感性がある。この作者は凄い……と、いい年になったおっさんは感じた。※私個人と作者の年齢差は、干支0.5周り分ほどと思われる。



【第5巻】

20年以上前漫画なので、さすがに創作でも……というシチュエーションが生じることがある。作品内では、たまに登場人物がみんなで旅行とか海とか温泉に行くのだが、メインキャラがほぼ中学生で、20才以上は大変少ない。無理があるし違和感がある。

しかし、旅行とかでないと表現できないラブコメ的なシチュエーションもあると思うので……そこが創作の難しいところである。いや、文学作品創作とかしたこといからわかんないけどさ。

⑤仲間と海に来ていて、ようやく夜の海岸で二人で話ができたシーン

「なんだかね………私 太助様ととってもお話たかったです 別にお話したいことがあるわけじゃないの… でも… 太助様とお話してるととっても落ち着くから…」

「……シャオ

だってお話してるってことは 一緒にいるってことでしょ? だから…」

(だから… きっとこんなに 安心できるのね)


太助シャオは、何度もこういうシチュエーションになっている。が、恋愛が進む気配はない。事情はあるのだが、あまり絶望的な事情なのだ

あと、文章量の都合で載せなかったが、クラス演劇(かぐや姫)の数話分も大変よかった。ルーアンと、ほぼサブキャラの乎一郎が主体の話なのだが、中学校の学芸会かぐや姫をやることを通じて、「離れていても心は繋がってる」という要素を表現している。

この回は、大人ながらにしみじみときた。気になる人は、是非5巻を読んでほしい(ダイレクトマーケティング決行)。

大まかな流れを言うと、ラストのお別れシーンでかぐや姫役のルーアン台本にないセリフを言う → 月の使者役のシャオがお迎えを中止発言 → 乎一郎がそれを制止 → その後の会話のやりとりで、離れていても心は繋がっていることを示唆~といった具合である

ここまで五千字以上は書いている。一旦切ることにする。



文量の都合で2分割。

次に続きます

https://anond.hatelabo.jp/20240401122023

2023-08-30

雷ってすごいな

今、夜の海を見てるんだけど、はるか彼方で雷がめっちゃ鳴ってる。

真っ暗だけど光った瞬間地平線がはっきり見えるくらい明るくなるの。

すげえわ。とんでもないエネルギーだ。

しかもあの音がここまで聞こえてくるんだよ。

あんな、どれだけ遠くかもよく分からないのに、ゴロゴロ聞こえてくる。

とんでもないわ。

夜の海の雷ってすごく強さを感じるわ。

2023-07-24

anond:20230724142716

 オーストラリアシドニー出身ティム・シャドックさん(51歳)は、1人で船に乗って旅をしている途中、メキシコで犬と出会った。

 ベラと名付けられたそのメス犬は、シャドックさんから離れようとしなかったという。ベラに家族を見つけようとしたシャドックさんだが、ベラは彼が船に乗るたびについてくる。

 そこで彼はそのままベラを乗せ、4月メキシコラパスを出航し、5000km以上離れたフランス領ポリネシアに到達しようとしていた。

 ところが、航海開始から数週間後、嵐に見舞われ、船が座礁した。

漂流生活2か月後、奇跡的に救出される

 電子機器通信システムが損傷したため、シャドックさんは助けを求める連絡をすることができず、ベラと共に太平洋漂流していた。

 それから2か月後の7月12日メキシコを出航してから実に3か月後に、奇跡が起こった。

 メキシコマグロ船「マーシャ・デリア」を監視していたヘリコプターが、シャドックさんとベラが乗っている船を発見したのだ。

 ついに、漁船グルマール社員たちに救助されたシャドックさんは、痩せ細って髭が伸びていたが、船の上で立ち上がることもでき、救助隊の質問に答える気力はまだ残されていた。

 しかし、食糧も不足していて危険状態にあったため、メキシコマナジージョ市に搬送される前に、乗組員が食事と水分補給、そして治療提供した。

サバイバル技術を活かして生魚と雨水でしのいでいた

 太平洋大海原で犬と漂い続けていたシャドックさんは、生魚を食べ、雨水を飲み、小さな船の天蓋の下で太陽を避けて、これまで生き延びてきたという。

 釣り道具やサバイバル用品を船に積んでいたことが、命を繋ぐ結果になったと思われる。

 海洋サバイバル専門家マイクティプトンさんは、このように話している。

シャドックさんの持久力は運とサバイバル技術の組み合わせによるものです。

また、彼は日中暑い時には自分の身を守る必要があることも知っています。なぜなら、脱水症状の危険さらされているときに一番避けたいのは、発汗することだからです。

シャドックさんは、気候と立地のおかげで新鮮な水の供給を確保できたのでしょう。

このような長い航海は、歴史を振り返ると暖かい環境太平洋で行われることが多いです。万が一座礁した場合寒い環境だと生き延びる確率はより低くなるからです。

とはいえ、シャドックさんが助かったのは奇跡で、「干し草の山の中の針」を見つけたようなものです。

人々はこの船がいかに小さいか、そして太平洋いかに広大であるかを理解する必要があります遭難者が見つかる可能性は、かなり低いです。

さらに、窮地をシェアするベラがいたことが、違いをもたらしたかもしれません。

座礁となると、その日その日を懸命に生きる必要があり、試練を乗り越え、諦めないためには、非常に前向きな精神的態度を持たなければなりません。夜の海の暗さを想像してみてください。

何が起こるかわからない長期航海には、計画を立てて水と食料を十分配給することが、生き延びる秘訣なのです。

漂流中は相棒のベラが大きな慰めになっていた

 友人の話によると、シドニーIT業界で働いていたシャドックさんは、その後退職し、新たな挑戦を探していたそうだ。

 大腸がんを克服したこともあり、旅に出て航海を決意したのだろう。旅の途中のメキシコ出会ったベラは、シャドックさんのよき仲間となっていたようだ。

 太平洋漂流していた数か月の間も、ベラはシャドックさんの大きな励みになっていたことで、生き延びる気持ちを持つことができたのかもしれない。

 後のメディア取材で、シャドックさんはベラの存在にとても救われたと語っている。・ベラとの別れを余儀なくされる

 しかし救助後、シャドックさんとベラは別れることを余儀なくされた。

 健康状態を完全に回復させるために、シャドックさんは家族の待つオーストラリアへ帰ることになったのだ。

私は、ベラとメキシコ出会ったとき、ベラのために飼い主を見つけようとしました。でも、ベラは何度も私の側を離れることを拒否しました。

私を飼い主に選んでくれたベラに応じて、一緒に旅を続けようと思いました。(シャドックさん)

 漁船の乗組員が救助に近付いたときも、ベラはボートから離れようとしなかったそうだ。

 ともに窮地を乗り越えた仲間であるにもかかわらず、ベラと離れ離れになってしまうことはシャドックさんにとってもベラにとっても辛い。

 だが、国外ペットオーストラリアに持ち込むために必要手続きは複雑かつ厳格で、かなりの費用がかかる。シャドックさんはベラと別れる決断を強いられたのだろう。

 犬は「承認国」から入国を完全に許可される前に、ワクチン接種やマイクロチップの装着、検疫での隔離期間を受けなければならない。

 残念ながら、メキシコオーストラリアへのペット輸入が承認されている国のリストに載っていないため、ベラを連れて行くのはより一層の困難を伴うことになるのだ。・ベラはすぐにメキシコ漁船乗組員に引き取られる

 結果、ベラはメキシコに戻ったマグロ漁船の乗組員ヘナロ・ロザレスさんに引き取られたという。

 シャドックさんはベラを大切にしてくれることを条件に、ロザレスさんに引き渡したようだ。

 ボート乗組員たちは、すぐにベラを気に入り、「素晴らしい」と評した。また、口々に「この犬は私よりもずっと勇敢だ、それは確かだ」とベラを称賛した。

 シャドックさんは、疲れた表情だったが、救助されたことに大きな感謝言葉を口にし、このように語った。

ベラは美しく、特別な犬です。ベラが生きていることにただ感謝しています

私を救助してくれた船長漁業会社の人たちには、感謝してもしきれません。私は今生きていますが、本当に生き延びることができるとは思っていませんでした。

しばらくの間、健康状態がかなり悪かったので辛かったです。 かなり空腹だったし、嵐を乗り越えられるとは思いませんでした。

漂流中は、何かを修理して時間を過ごし、「ただ水の中を楽しむ」ために海に入って前向きに過ごしました。

海にいるのは本当に楽しかったし、外にいるのも楽しかった。だが、状況が厳しいときはただ生き残ることだけを考えなければならない。

そして救われると、再び生きたいと思えるようになる。救助されたことに、とても感謝しています

今は、とても気分がいいです。頑張ったと自分でも思います

シャドックさんを診断した医師によると、厳しい試練の中にいたにもかかわらず、彼の健康状態は良好だそうだ。

 とはいえ、究極の状況にあったシャドックさんは、ゆっくりと正常な状態に戻る必要があり、数か月は経過観察をしながら、必要に応じてさらなる治療を受ける予定だということだ。

 ちなみに、シャドックさんを発見した漁業会社グルポマー社のアントニオスアレス社長は、同社での船団を近代化していて、同船は最小で50年以上経過しているため、これがマリアデリア号の最後の航海になる可能性があると述べた。

 もしそうなら、それは「人命を救った船としての、素晴らしいお別れになるだろう」と、スアレス氏は語っている。

2023-01-22

自然の怖いところが好きな節がある

安全場所から眺める自然、という今を生きる愚者体現中。

家の中から見る雷は多分共感する人いそう。

夜の海が好き。

夜景キラキラしてるとこ、海があるところからバツンと容赦なく真っ暗闇なのが好き。一寸先は闇でヒェってなる。

原生林ツアー行った時もヤバかった。原生林って意外に木同士の隙間があって歩きやすい、けど秒で方角を見失った。そもそも来た道(?)を振り返ってみても同じように見えない、どこからでもこの場に来れそうな気がする恐怖。ヒェってなった。

あとごくごくたまに太陽見ながら、ここにあれだけの熱を届ける太陽温度とやらを想像しようとして背筋が寒くなる。たまーにやる。無意識にやってる人が太陽見てくしゃみするのかなと思う。

なお水害は台風で川氾濫の危機だったので楽しむ余裕はない。

安全場所から、というのが特急愚者だなぁと思う。グランピング絶対楽しいだろうな、自分馬鹿にするスイッチを切って楽しみたみ。

自然の脅威から生活を守るように発展させてきてくれた先人の皆様ありがとう謳歌してます

2022-12-16

子育ての一番おいしいところどり

コロナのずっと前の話。会社忘年会があった。

その年はクルーズで、家族も連れてきていいことになっていた。

先輩が、お子さん二人を連れてきていた。小学1年生と幼稚園くらいかな?

途中の催しものとして、プロマジシャンが登場し

の子どもたちがマジックに参加することに。

にのせた水の入ったカップから水が消えたり、

からなんかでてきたり、とそんなようなやつ。

マジック成功し、会場も盛り上がる。

役目を果たしたお子さんが、上気した顔で

母親である先輩のもとに駆け寄る。

「よくやったな!」みたいな感じで、先輩が

お子さんの頭にぽんと手を置いた。

それを見たとき

その役をやりたい!と思った。

いいな、うらやましいな。

その後、わたし会社退職し、先輩とは今でも

Facebookでつながっている。

時折、投稿される家族の様子。

小さかったお子さんも、もう高校生

昔ほど素直じゃないけど、たまに車でドライブして

夜の海に行ったりしていて、やっぱりその役うらやましいなと

思う。

子育ての一番おいしいところどりだけしたい。

2022-08-09

ちょっとした遊び

夜の海に来てしばらくボーとした後、帰るときに猫を見つけた。

最初は気が付かなかったが、あっちから近づいてきたのだ。

ここには何度か来ていて、その猫にも見覚えがある。

あっちも慣れてきたのかもしれない。

そして、別の猫も自分の前を通り過ぎようとしていた。

さっきの猫は近くに座りくつろいでいる。

目の前を通り過ぎようとしている猫は、座っている猫に気づかれないよう後ろからゆっくり近づこうとしている。

そして無事に近づくことに成功し、ゆっくりかに座っている猫の尻尾を後ろから近づいた猫は触った。

座っている猫は驚きつつ後ろを振り返り、触った猫と顔を見合わせていた。

そして、その二匹の猫は一緒にどこかに行った。

そんな二匹の猫のやりとりを見て満足し、自分もそこを後にした。

2022-07-12

夜の海

オレンジ色の街灯に照らされる黒い海

波風と波の音だけがある

遠くのうっすらと見える島の影

しばらくして自転車で帰る

少しの時間だが、ゆっくりとした時間

2021-10-31

V6オタクのおかげで生き延びた話

あの日死ぬつもりだった

準備はできていた

とっくに自分は生きることに絶望していたし死ぬ為に生きていた

叶わない恋を血液の隅々まで行き渡らせて腐らせた挙げ句の果てに

彼女の生まれ故郷で死のうと思った

もし万が一自分の死がニュースになれば彼女自分存在を知るかもしれないと思った

それくらいに浅はかで人生を占めた恋だった

いざ死のうと思って誰もいない海岸に座っていた

死ぬ為に用意した方法は具体的には伏せる

自分は大失敗したが万が一真似しようと思う人がいたら困るから

とにかく2〜3個の死ねる手立てを用意して海岸に座っていた

奇しくもその日は自分の生まれた日の前日であり、

もう少しでV6新譜フラゲ日という日であった

そうだ私の母親V6が昔から好きだった

学校へ行こう!を見て生まれ育ったし

私の笑いの基本はよしもとではなくイノッチ

ニコニコトレスされまくる前から修学旅行は擦り切れるほど見た

初恋の人は岡田准一だった

そんな母から誕生日おめでとう」というメッセージが届いた

それだけだったらきっと死ぬことを思いとどまることはなかっただろう

だけど、私はオタクだった

その当時V6は既に2年に1度新曲を出せばいいほどの活動量に落ち着いていた

そしてその新曲フラゲ日前でもわかるほどものすごく、良かった

自分が死んだら、母は一生この曲を楽しく聴けなくなってしまうだろう

そのことは容易に想像できた

オタクからこそ久しぶりに出る推しグループ新曲の重みがわかってしまったのだ 

いや、私が死ぬことよりもV6への愛が上回るならそれでよい

だけど私は自惚れか気の迷いか、私が死ぬことで母はV6新譜を楽しめないと思ったのだった

そのことは私の中のオタクとしての理性を呼び覚ました

夜の海は冷たく暗く、飲み込んだ海水は苦く塩辛かったけれど、

それでも、オタクとしての本能が「母のフラゲ邪魔してはいけない」と叫んだのである

これ以上細かく描写すると怖いので伏せるが、

色々な親切をもとにびしょ濡れの私は見事に生還した

母はきっとこのことを知らない

知らないままV6解散を見届けるだろう

私はもうフラゲ日心配も、私の死がそれを妨害することを心配することもない

私のことを母がどれくらい愛しているのか、

そんなことよりも確かなことは

V6というグループが確かに存在し、

存在したことだけで1人の人間の命を救っていたということだ

それだけを今、ここに残したかった

26年、本当にお疲れ様でした

どうかみんな幸せ

2021-08-13

ブルーアーカイブ ヒナ水着) 絆ストーリー 03 書き起こし

委員長と夏の夜に

ふう……これで、今日やらなきゃいけない仕事は全部終わったはず……?

はあ、めんどくさかった……。

早起きたからか、まだこんな時間なのにもう疲れた……。午後の約束まで、少し休んでおいた方が良いかもしれない……。

無理をして、また先生を困らせるわけにはいかないし……。

少しだ、け……

(ん……)

(んんっ……ふぁ……)

身体が重い……思ったより、疲労が溜まってるのかも……)

(んっ……ふぅ。でも、久しぶりによく寝た……えっと、この後は……)

(今、そもそも何時……?)

(午後6時……お昼、食べそびれた……)

(まあそれは良いけど……この後の予定は……っ!?

っ!!先生との……っ!

"あ、おはようヒナ。よく眠れた?"

……。

……?

……!?

せ、先生!?どっ、どうして先生がここに……!?

それにっ、どうして起こさなかったの……!?もう時間が……!

"ヒナ気持ちよく眠れてそうだったから。"

先生……。

……。

今日約束……私から、一緒にって誘ったのに……。

本当に、ごめん……。

せっかく先生と海に行けると思ったのに、私のせいで……。

先生だって、忙しいはずなのに……。

……?

う、うん。確かに最近は少し、睡眠時間が短かったかも……?

今日特に、その……。

で、でも、それは私が自分で進んでしたことで……!

それとこれとは話が別。これは、私の体調管理問題で……!

言い訳には、ならない……。

本当にごめん、先生。今からじゃ海に行く時間も無いし……私のせいで、先生時間無駄にして……。

私、私……。

……?せ、先生……?

な、何?急に手を握って……。

"まだ終わってないよ。海はすぐそこにあるんだし。"

すぐそこに、って……。

あっ……そういえばここのホテルテラスから海が見下ろせるって……。

合宿には要らないから、出入り禁止にしてたけど……。

"行こう!"

……どうして、先生はそんなに優しいの?

…………。

……ううん、何でもない。

先生は、いつもそうだった。そうやって、いっつも私に……。

……うん、先生がそう言うなら、行こう。今からでも。

じゃあ、えっと……

あ、んっ……。

へくしゅっ……!

な、何……?私だってくしゃみくらいする。

……大丈夫風邪とかじゃない。これは、今起きたばっかりだから——

これ……カーディガン?わざわざ持ってきてくれたの?

……ううん、ありがとう

(いつもこうやって、気を遣ってくれるから、私は……)

……なら、遠慮なく。

それじゃあ、先生が自信満々に綺麗だって言ってた海、見に行こう。

——何でもんな、そんなに海が好きなんだろう……って、

——ずっとそう思ってた。

——みんなは楽しそうだけど、

——私はどうしても好きになれなくて……

——水の中はよく見えないし、足がつかないと不安だし……

——先生も、そう思ったことない?

——特に夜の海は、まるで暗闇みたいに不気味で……

——見てるだけで吸い込まれそうで、好きになれなかったけど……

——でも……今は、みんなの気持ちが少しだけ分かった気がする。

——海って、こんなに綺麗だったのね。

——不思議……今まで、こんな風に思ったことなかったのに。

——ありがとう先生。一緒にいてくれて……

——色んなことを、教えてくれて。

(そうやって二人で一緒に、夕日が沈むまで、きらきら夕焼けを反射して輝く海を見つめていた)

2021-06-28

「豊かな時間」に向いてない

俺は中学生くらいの頃からぼんやりと雲を眺める」とか「山の中で何もせずに過ごす」とか「海をただ眺めて帰る」みたいな行為に憧れを覚えていて、実際そういう類のことをときどきやってみるんだが、ちょっとびっくりするくらいすぐ飽きる

たとえば家の近くの川沿いを歩いて、河川敷下り階段の途中に座ってみる

薮がすげえ繁ってるんで川面は見えないんだが、せせらぎは聞こえるし、ウグイスはいい感じに鳴いてるし、ふと横を見るとサワガニもいたりして、大変よろしい感じがする

人も通らないし、存分にもの想いにふけれる

実際にふけるんだ

そんで、ああもう十分堪能したぞ、これは30分くらい経ってますねえ!と思って立ち上がり、時計を見てみるんだ

7分しか経ってない

マジでびっくりするんですよ 俺、豊かな気持ちになってたつもりで、7分で飽きてんじゃん!

いつもそうなんだ

都会にいた頃、夜に散歩してて、デカ幹線道路にかかった歩道橋を見つけ、なんとなく上ってみたら、下を通っていく大量の車をみるのが思いのほか楽しかった、なんてことがある

道路都市の血管や!俺はい都市の脈動を感じている!もう1時間くらい見てるんじゃないか?今回は景色に動きがあるし、少なくとも30分は見てますねえ!

そう思いながら一応時計をみたら15分も経ってなかった

万事その調子

「豊かな人間になりたい」って動機ありきで形から入ろうとしてるのがまずよくないんだろうし、よく考えるとそもそも雲を眺めるみたいな行為への憧れのもとがNARUTOシカマルな気すらする

戦う前から負けてるのかもしれないし、そもそも何と戦ってるんだ

というようなことを、焚火増田をみて思いました

俺は夜の海に行って焚き火してる人がいても、カップルがいても、「ゲッ人おるやんけ!まあええわ」くらいのことしかわず、多分15分もしないで帰るんだろうな

貧しい人生ですこと!

2021-06-27

anond:20210627210031

現実的申し訳ないが、夜の海なりでかい湖・川なりってのは落ち着くんだよ

異性関係にかぎらず友人同士でも何時間言葉少なに座ってたりすることある

2021-04-30

震災10年目のシン・エヴァンゲリオン

シン・エヴァンゲリオン

震災モチーフリアリティに驚いた。

たぶん私は第三村に行ったことがある。

リアス式海岸漁村は平地が少ない。

海側の居住地が壊滅し、新たに山あいに細長い集落を作った。

おんなじ形のコンテナを並べてできた仮設住宅団地

その風景がかつて数年通ったあの村にそっくりだった。うん。そっくりさんだ。

港は壊滅的なダメージを受けていた。コンクリート建物がごろりごろりと転がっている。

電車も車も船も、そこかしこに転がりのっかり、刺さっている。

海に向かって破壊された巨大なケージのような建物があった。漁船に氷を積み込む基地だったという。

そこから見る海はどこまでも澄んでいた。漁師のお爺さんもこったら綺麗なのはたことがねえという。

夜の海は真っ暗で、星が海面に映って宇宙にいるみたいだった。

木造の古い小学校を、病院役所集会所として活用していた。

わずかに残された古い家に何家族も集まっていた。

集落から離れて、ぼろぼろのガレージで暮らす人もいたなあ。。。

慣れた土地から離されてくしゃくしゃに集められ、無理やり仲良く暮らしていた。

そこに訪ねていくと、大人子供津波がどんなだったか・・・を話し続けるのだった。

僕のせいで津波が来た、私のせいで街が壊れたという子供がいた。

何人もいた。なぜかそのように強く信じているんだ。

津波ごっこにキャアキャアと全力疾走で遊んで、ふと俺のせいなんだっていう。

何もしゃべらない人もいた。

田植えは楽しかった。おやつお茶をもって田んぼに集合!

どろだらけになって植えていった。さすがに機械だったけど、はじっこの方は手で植えた。

水と風の青いにおい。ずーっとおしゃべりしながら笑いながら。

そして疲れるとおにぎりやおかずを山盛りにして食べ、昼寝をした。

ただ何度かおじゃましただけの村。

今はもう解体されてない村。

2021-03-22

シグナ

「ガタンコガタンコ、シュウフッフッ、

  さそりの赤眼あかめが 見えたころ、

  四時から今朝けさも やって来た。

  遠野とおのの盆地ぼんちは まっくらで、

  つめたい水の 声ばかり。

 ガタンコガタンコ、シュウフッフッ、

  凍こごえた砂利じゃりに 湯ゆげを吐はき、

  火花を闇やみに まきながら、

  蛇紋岩サアペンテインの 崖がけに来て、

  やっと東が 燃もえだした。

 ガタンコガタンコ、シュウフッフッ、

  鳥がなきだし 木は光り、

  青々川は ながれたが、

  丘おかもはざまも いちめんに、

  まぶしい霜しもを 載のせていた。

 ガタンコガタンコ、シュウフッフッ、

  やっぱりかけると あったかだ、

  僕ぼくはほうほう 汗あせが出る。

  もう七、八里り はせたいな、

  今日も一日 霜ぐもり。

 ガタンタン、ギー、シュウシュウ

 軽便鉄道けいべんてつどうの東からの一番列車れっしゃが少しあわてたように、こう歌いながらやって来てとまりました。機関車きかんしゃの下からは、力のない湯ゆげが逃にげ出して行き、ほそ長いおかしな形の煙突えんとつからは青いけむりが、ほんの少うし立ちました。

 そこで軽便鉄道づきの電信柱でんしんばしらどもは、やっと安心あんしんしたように、ぶんぶんとうなり、シグナルの柱はかたんと白い腕木うできを上げました。このまっすぐなシグナルの柱は、シグナレスでした。

 シグナレスはほっと小さなため息いきをついて空を見上げました。空にはうすい雲が縞しまになっていっぱいに充みち、それはつめたい白光しろびかりを凍こおった地面じめんに降ふらせながら、しずかに東に流ながれていたのです。

 シグナレスはじっとその雲の行ゆく方えをながめました。それからやさしい腕木を思い切りそっちの方へ延のばしながら、ほんのかすかにひとりごとを言いいました。

「今朝けさは伯母おばさんたちもきっとこっちの方を見ていらっしゃるわ」

 シグナレスはいつまでもいつまでも、そっちに気をとられておりました。

カタン

 うしろの方のしずかな空で、いきなり音がしましたのでシグナレスは急いそいでそっちをふり向むきました。ずうっと積つまれた黒い枕木まくらぎの向こうに、あの立派りっぱな本線ほんせんのシグナル柱ばしらが、今はるかの南から、かがやく白けむりをあげてやって来る列車れっしゃを迎むかえるために、その上の硬かたい腕うでを下げたところでした。

お早う今朝は暖あたたかですね」本線のシグナル柱は、キチンと兵隊へいたいのように立ちながら、いやにまじめくさってあいさつしました。

お早うございますシグナレスはふし目になって、声を落おとして答こたえました。

「若わかさま、いけません。これからあんものにやたらに声を、おかけなさらないようにねがいます」本線のシグナルに夜電気を送おくる太ふとい電信柱でんしんばしらがさももったいぶって申もうしました。

 本線のシグナルはきまり悪わるそうに、もじもじしてだまってしまいました。気の弱いシグナレスはまるでもう消きえてしまうか飛とんでしまうかしたいと思いました。けれどもどうにもしかたがありませんでしたから、やっぱりじっと立っていたのです。

 雲の縞しまは薄うすい琥珀こはくの板いたのようにうるみ、かすかなかすかな日光が降ふって来ましたので、本線シグナルつきの電信柱はうれしがって、向こうの野原のはらを行く小さな荷馬車にばしゃを見ながら低ひくい調子ちょうしはずれの歌をやりました。

「ゴゴン、ゴーゴー、

 うすいから

 酒さけが降ふりだす、

 酒の中から

 霜しもがながれる。

 ゴゴン、ゴーゴー、

 ゴゴン、ゴーゴー、

 霜がとければ、

 つちはまっくろ。

 馬はふんごみ

 人もぺちゃぺちゃ。

 ゴゴン、ゴーゴー」

 それからもっともっとつづけざまに、わけのわからないことを歌いました。

 その間に本線ほんせんのシグナル柱ばしらが、そっと西風にたのんでこう言いいました。

「どうか気にかけないでください。こいつはもうまるで野蛮やばんなんです。礼式れいしきも何も知らないのです。実際じっさい私はいつでも困こまってるんですよ」

 軽便鉄道けいべんてつどうのシグナレスは、まるでどぎまぎしてうつむきながら低ひくく、

「あら、そんなことございませんわ」と言いいましたがなにぶん風下かざしもでしたから本線ほんせんのシグナルまで聞こえませんでした。

「許ゆるしてくださるんですか。本当を言ったら、僕ぼくなんかあなたに怒おこられたら生きているかいもないんですからね」

あらあら、そんなこと」軽便鉄道の木でつくったシグナレスは、まるで困こまったというように肩かたをすぼめましたが、実じつはその少しうつむいた顔は、うれしさにぽっと白光しろびかりを出していました。

シグナレスさん、どうかまじめで聞いてください。僕あなたのためなら、次つぎの十時の汽車が来る時腕うでを下げないで、じっとがんばり通してでも見せますよ」わずかばかりヒュウヒュウ言いっていた風が、この時ぴたりとやみました。

「あら、そんな事こといけませんわ」

「もちろんいけないですよ。汽車が来る時、腕を下げないでがんばるなんて、そんなことあなたのためにも僕のためにもならないから僕はやりはしませんよ。けれどもそんなことでもしようと言いうんです。僕あなたくらい大事だいじなもの世界中かいじゅうないんです。どうか僕を愛あいしてください」

 シグナレスは、じっと下の方を見て黙だまって立っていました。本線シグナルつきのせいの低ひくい電信柱でんしんばしらは、まだでたらめの歌をやっています

「ゴゴンゴーゴー、

 やまのいわやで、

 熊くまが火をたき、

 あまりけむくて、

 ほらを逃にげ出す。ゴゴンゴー、

 田螺にしはのろのろ。

 うう、田螺はのろのろ。

 田螺のしゃっぽは、

 羅紗ラシャの上等じょうとう、ゴゴンゴーゴー」

 本線ほんせんのシグナルはせっかちでしたから、シグナレスの返事へんじのないのに、まるであわててしまいました。

シグナレスさん、あなたはお返事をしてくださらないんですか。ああ僕ぼくはもうまるでくらやみだ。目の前がまるでまっ黒な淵ふちのようだ。ああ雷かみなりが落おちて来て、一ぺんに僕のからだをくだけ。足もとから噴火ふんかが起おこって、僕を空の遠くにほうりなげろ。もうなにもかもみんなおしまいだ。雷が落ちて来て一ぺんに僕のからだを砕くだけ。足もと……」

「いや若様わかさま、雷が参まいりました節せつは手前てまえ一身いっしんにおんわざわいをちょうだいいたします。どうかご安心あんしんをねがいとう存ぞんじます

 シグナルつきの電信柱でんしんばしらが、いつかでたらめの歌をやめて、頭の上のはりがねの槍やりをぴんと立てながら眼めをパチパチさせていました。

「えい。お前なんか何を言いうんだ。僕ぼくはそれどこじゃないんだ」

「それはまたどうしたことでござりまする。ちょっとやつがれまでお申もうし聞きけになりとう存ぞんじます

「いいよ、お前はだまっておいで」

 シグナルは高く叫さけびました。しかシグナルも、もうだまってしまいました。雲がだんだん薄うすくなって柔やわらかな陽ひが射さして参まいりました。

 五日の月が、西の山脈さんみゃくの上の黒い横雲よこぐもから、もう一ぺん顔を出して、山に沈しずむ前のほんのしばらくを、鈍にぶい鉛なまりのような光で、そこらをいっぱいにしました。冬がれの木や、つみ重かさねられた黒い枕木まくらぎはもちろんのこと、電信柱でんしんばしらまでみんな眠ねむってしまいました。遠くの遠くの風の音か水の音がごうと鳴るだけです。

「ああ、僕ぼくはもう生きてるかいもないんだ。汽車が来るたびに腕うでを下げたり、青い眼鏡めがねをかけたりいったいなんのためにこんなことをするんだ。もうなんにもおもしろくない。ああ死しのう。けれどもどうして死ぬ。やっぱり雷かみなり噴火ふんかだ」

 本線ほんせんのシグナルは、今夜も眠ねむられませんでした。非常ひじょうなはんもんでした。けれどもそれはシグナルばかりではありません。枕木の向こうに青白くしょんぼり立って、赤い火をかかげている軽便鉄道けいべんてつどうのシグナル、すなわちシグナレスとても全まったくそのとおりでした。

「ああ、シグナルさんもあんまりだわ、あたしが言いえないでお返事へんじもできないのを、すぐあんなに怒おこっておしまいになるなんて。あたしもう何もかもみんなおしまいだわ。おお神様かみさまシグナルさんに雷かみなりを落おとす時、いっしょに私にもお落としくださいませ」

 こう言いって、しきりに星空に祈いのっているのでした。ところがその声が、かすかにシグナルの耳にはいりました。シグナルはぎょっとしたように胸むねを張はって、しばらく考えていましたが、やがてガタガタふるえだしました。

 ふるえながら言いました。

シグナレスさん。あなたは何なにを祈っておられますか」

「あたし存ぞんじませんわ」シグナレスは声を落として答えました。

シグナレスさん、それはあんまりひどいお言葉ことばでしょう。僕ぼくはもう今すぐでもお雷らいさんにつぶされて、または噴火ふんかを足もとから引っぱり出して、またはいさぎよく風に倒たおされて、またはノア洪水こうずいをひっかぶって、死しんでしまおうと言うんですよ。それだのに、あなたはちっとも同情どうじょうしてくださらないんですか」

「あら、その噴火洪水こうずいを。あたしのお祈りはそれよ」シグナレスは思い切って言いました。シグナルはもううれしくて、うれしくて、なおさらガタガタガタガタふるえました。

 その赤い眼鏡めがねもゆれたのです。

シグナレスさん、なぜあなたは死ななけぁならないんですか。ね。僕ぼくへお話しください。ね。僕へお話しください。きっと、僕はそのいけないやつを追おっぱらってしまますから、いったいどうしたんですね」

だってあなたあんなにお怒おこりなさるんですもの

「ふふん。ああ、そのことですか。ふん。いいえ。そのことならばご心配しんぱいありません。大丈夫だいじょうぶです。僕ちっとも怒ってなんかいしませんからね。僕、もうあなたのためなら、眼鏡めがねをみんな取とられて、腕うでをみんなひっぱなされて、それから沼ぬまの底そこへたたき込こまれたって、あなたをうらみはしませんよ」

「あら、ほんとう。うれしいわ」

「だから僕を愛あいしてください。さあ僕を愛するって言いってください」

 五日のお月さまは、この時雲と山の端はとのちょうどまん中にいました。シグナルはもうまるで顔色を変かえて灰色はいいろの幽霊ゆうれいみたいになって言いました。

「またあなたはだまってしまったんですね。やっぱり僕がきらいなんでしょう。もういいや、どうせ僕なんか噴火ふんかか洪水こうずいかかにやられるにきまってるんだ」

「あら、ちがいますわ」

「そんならどうですどうです、どうです」

「あたし、もう大昔おおむかしかあなたのことばかり考えていましたわ」

「本当ですか、本当ですか、本当ですか」

「ええ」

「そんならいいでしょう。結婚けっこんの約束くそくをしてください」

「でも」

「でもなんですか、僕ぼくたちは春になったらつばめにたのんで、みんなにも知らせて結婚けっこんの式しきをあげましょう。どうか約束くそくしてください」

だってあたしはこんなつまらないんですわ」

「わかってますよ。僕にはそのつまらないところが尊とうといんです」

 すると、さあ、シグナレスはあらんかぎりの勇気ゆうきを出して言いい出しました。

「でもあなたは金でできてるでしょう。新式でしょう。赤青眼鏡あかあおめがねを二組みも持もっていらっしゃるわ、夜も電燈でんとうでしょう。あたしは夜だってランプですわ、眼鏡もただ一つきり、それに木ですわ」

「わかってますよ。だから僕はすきなんです」

「あら、ほんとう。うれしいわ。あたしお約束くそくするわ」

「え、ありがとう、うれしいなあ、僕もお約束しますよ。あなたはきっと、私の未来みらいの妻つまだ」

「ええ、そうよ、あたし決けっして変かわらないわ」

結婚指環エンゲージリングをあげますよ、そら、ね、あすこの四つならんだ青い星ね」

「ええ」

「あのいちばん下の脚あしもとに小さな環わが見えるでしょう、環状星雲フィッシュマウスネビュラですよ。あの光の環ね、あれを受うけ取とってください。僕のまごころです」

「ええ。ありがとういただきますわ」

「ワッハッハ。大笑おおわらいだ。うまくやってやがるぜ」

 突然とつぜん向むこうのまっ黒な倉庫そうこが、空にもはばかるような声でどなりました。二人はまるでしんとなってしまいました。

 ところが倉庫がまた言いいました。

「いや心配しんぱいしなさんな。この事ことは決けっしてほかへはもらしませんぞ。わしがしっかりのみ込こみました」

 その時です、お月さまがカブンと山へおはいりになって、あたりがポカッと、うすぐらくなったのは。

 今は風があんまり強いので電信柱でんしんばしらどもは、本線ほんせんの方も、軽便鉄道けいべんてつどうの方もまるで気が気でなく、ぐうん ぐうん ひゅうひゅう と独楽こまのようにうなっておりました。それでも空はまっ青さおに晴れていました。

 本線シグナルつきの太ふとっちょの電信柱も、もうでたらめの歌をやるどころの話ではありません。できるだけからだをちぢめて眼めを細ほそくして、ひとなみに、ブウウ、ブウウとうなってごまかしておりました。

 シグナレスはこの時、東のぐらぐらするくらい強い青びかりの中を、びっこをひくようにして走って行く雲を見ておりましたが、それからチラッとシグナルの方を見ました。シグナルは、今日巡査じゅんさのようにしゃんと立っていましたが、風が強くて太っちょの電柱でんちゅうに聞こえないのをいいことにして、シグナレスに話しかけました。

「どうもひどい風ですね。あなた頭がほてって痛いたみはしませんか。どうも僕ぼくは少しくらくらしますね。いろいろお話しまからあなたただ頭をふってうなずいてだけいてください。どうせお返事へんじをしたって僕ぼくのところへ届とどきはしませんからそれから僕の話でおもしろくないことがあったら横よこの方に頭を振ふってください。これは、本当は、ヨーロッパの方のやり方なんですよ。向むこうでは、僕たちのように仲なかのいいものがほかの人に知れないようにお話をする時は、みんなこうするんですよ。僕それを向こうの雑誌ざっしで見たんです。ね、あの倉庫そうこのやつめ、おかしなやつですね、いきなり僕たちの話してるところへ口を出して、引き受うけたのなんのって言いうんですものあいつはずいぶん太ふとってますね、今日も眼めをパチパチやらかしますよ、僕のあなたに物を言ってるのはわかっていても、何を言ってるのか風でいっこう聞こえないんですよ、けれども全体ぜんたい、あなたに聞こえてるんですか、聞こえてるなら頭を振ってください、ええそう、聞こえるでしょうね。僕たち早く結婚けっこんしたいもんですね、早く春になれぁいいんですね、僕のところのぶっきりこに少しも知らせないでおきましょう。そしておいて、いきなり、ウヘン! ああ風でのどがぜいぜいする。ああひどい。ちょっとお話をやめますよ。僕のどが痛いたくなったんです。わかりましたか、じゃちょっとさようなら

 それからシグナルは、ううううと言いながら眼をぱちぱちさせて、しばらくの間だまっていました。

 シグナレスもおとなしく、シグナルののどのなおるのを待まっていました。電信柱でんしんばしらどもはブンブンゴンゴンと鳴り、風はひゅうひゅうとやりました。

 シグナルはつばをのみこんだり、ええ、ええとせきばらいをしたりしていましたが、やっとのどの痛いたいのがなおったらしく、もう一ぺんシグナレスに話しかけました。けれどもこの時は、風がまるで熊くまのように吼ほえ、まわりの電信柱でんしんばしらどもは、山いっぱいの蜂はちの巣すをいっぺんにこわしでもしたように、ぐゎんぐゎんとうなっていましたので、せっかくのその声も、半分ばかりしかシグナレスに届とどきませんでした。

「ね、僕ぼくはもうあなたのためなら、次つぎの汽車の来る時、がんばって腕うでを下げないことでも、なんでもするんですからね、わかったでしょう。あなたもそのくらいの決心けっしんはあるでしょうね。あなたはほんとうに美うつくしいんです、ね、世界かいの中うちにだっておれたちの仲間なかまはいくらもあるんでしょう。その半分はまあ女の人でしょうがねえ、その中であなたはいちばん美しいんです。もっともほかの女の人僕よく知らないんですけれどね、きっとそうだと思うんですよ、どうです聞こえますか。僕たちのまわりにいるやつはみんなばかですね、のろまですね、僕のとこのぶっきりこが僕が何をあなたに言ってるのかと思って、そらごらんなさい、一生けん命めい、目をパチパチやってますよ、こいつときたら全まったくチョークよりも形がわるいんですからね、そら、こんどはあんなに口を曲まげていますよ。あきれたばかですねえ、僕の話聞こえますか、僕の……」

「若わかさま、さっきから何をべちゃべちゃ言いっていらっしゃるのです。しかシグナレス風情ふぜいと、いったい何をにやけていらっしゃるんです」

 いきなり本線ほんせんシグナルつきの電信柱でんしんばしらが、むしゃくしゃまぎれに、ごうごうの音の中を途方とほうもない声でどなったもんですからシグナルはもちろんシグナレスも、まっ青さおになってぴたっとこっちへ曲げていたからだを、まっすぐに直なおしました。

「若わかさま、さあおっしゃい。役目やくめとして承うけたまわらなければなりません」

 シグナルは、やっと元気を取り直なおしました。そしてどうせ風のために何を言いっても同じことなのをいいことにして、

「ばか、僕ぼくはシグナレスさんと結婚けっこんして幸福こうふくになって、それからお前にチョークのお嫁よめさんをくれてやるよ」と、こうまじめな顔で言ったのでした。その声は風下かざしものシグナレスにはすぐ聞こえましたので、シグナレスはこわいながら思わず笑わらってしまいました。さあそれを見た本線ほんせんシグナルつきの電信柱の怒おこりようと言ったらありません。さっそくブルブルッとふるえあがり、青白く逆上のぼせてしまい唇くちびるをきっとかみながらすぐひどく手をまわして、すなわち一ぺん東京まで手をまわして風下かざしもにいる軽便鉄道けいべんてつどうの電信柱に、シグナルとシグナレス対話たいわがいったいなんだったか、今シグナレスが笑ったことは、どんなことだったかたずねてやりました。

 ああ、シグナルは一生の失策しっさくをしたのでした。シグナレスよりも少し風下にすてきに耳のいい長い長い電信柱がいて、知らん顔をしてすまして空の方を見ながらさっきからの話をみんな聞いていたのです。そこでさっそく、それを東京を経へて本線シグナルつきの電信柱に返事へんじをしてやりました。本線ほんせんシグナルつきの電信柱でんしんばしらはキリキリ歯はがみをしながら聞いていましたが、すっかり聞いてしまうと、さあ、まるでばかのようになってどなりました。

くそっ、えいっ。いまいましい。あんまりだ。犬畜生いぬちくしょうあんまりだ。犬畜生、ええ、若わかさま、わたしだって男ですぜ。こんなにひどくばかにされてだまっているとお考えですか。結婚けっこんだなんてやれるならやってごらんなさい。電信柱の仲間なかまはもうみんな反対はんたいです。シグナル柱の人たちだって鉄道長てつどうちょうの命令めいれいにそむけるもんですか。そして鉄道長はわたし叔父おじですぜ。結婚なりなんなりやってごらんなさい。えい、犬畜生いぬちくしょうめ、えい」

 本線シグナルつきの電信柱は、すぐ四方電報でんぽうをかけました。それからしばらく顔色を変かえて、みんなの返事へんじをきいていました。確たしかにみんなから反対はんたいの約束くそくをもらったらしいのでした。それからきっと叔父のその鉄道長とかにもうまく頼たのんだにちがいありません。シグナルもシグナレスも、あまりのことに今さらカンとしてあきれていました。本線シグナルつきの電信柱は、すっかり反対の準備じゅんびができると、こんどは急きゅうに泣なき声で言いいました。

「あああ、八年の間、夜ひる寝ねないでめんどうを見てやってそのお礼れいがこれか。ああ情なさけない、もう世の中はみだれてしまった。ああもうおしまいだ。なさけない、メリケン国のエジソンさまもこのあさましい世界かいをお見すてなされたか。オンオンオンオン、ゴゴンゴーゴーゴゴンゴー」

 風はますます吹ふきつのり、西の空が変へんに白くぼんやりなって、どうもあやしいと思っているうちに、チラチラチラチラとうとう雪がやって参まいりました。

 シグナルは力を落おとして青白く立ち、そっとよこ眼めでやさしいシグナレスの方を見ました。シグナレスはしくしく泣なきながら、ちょうどやって来る二時の汽車を迎むかえるためにしょんぼりと腕うでをさげ、そのいじらしいなで肩がたはかすかにかすかにふるえておりました。空では風がフイウ、涙なみだを知らない電信柱どもはゴゴンゴーゴーゴゴンゴーゴー。

 さあ今度こんどは夜ですよ。Permalink | 記事への反応(0) | 22:29

2021-03-16

ラップを外してにおいを嗅ぐご老人

その方が売り場を移動するとすかさず店員ラップの外された精肉を回収する

しばらくして値下げ時間帯でもないのに半額シールの貼られた精肉が数点ならぶ

それが今夜の海チキンライスである

2021-03-10

震災10年目のシン・エヴァンゲリオン

シン・エヴァンゲリオン

震災モチーフリアリティに驚いた。

たぶん私は第三村に行ったことがある。

リアス式海岸漁村は平地が少ない。

海側の居住地が壊滅し、新たに山あいに細長い集落を作った。

おんなじ形のコンテナを並べてできた仮設住宅団地

その風景がかつて数年通ったあの村にそっくりだった。うん。そっくりさんだ。

港は壊滅的なダメージを受けていた。コンクリート建物がごろりごろりと転がっている。

電車も車も船も、そこかしこに転がりのっかり、刺さっている。

海に向かって破壊された巨大なケージのような建物があった。漁船に氷を積み込む基地だったという。

そこから見る海はどこまでも澄んでいた。漁師のお爺さんもこったら綺麗なのはたことがねえという。

夜の海は真っ暗で、星が海面に映って宇宙にいるみたいだった。

木造の古い小学校を、病院役所集会所として活用していた。

わずかに残された古い家に何家族も集まっていた。

集落から離れて、ぼろぼろのガレージで暮らす人もいたなあ。。。

慣れた土地から離されてくしゃくしゃに集められ、無理やり仲良く暮らしていた。

そこに訪ねていくと、大人子供津波がどんなだったか・・・を話し続けるのだった。

僕のせいで津波が来た、私のせいで街が壊れたという子供がいた。

何人もいた。なぜかそのように強く信じているんだ。

津波ごっこにキャアキャアと全力疾走で遊んで、ふと俺のせいなんだっていう。

何もしゃべらない人もいた。

田植えは楽しかった。おやつお茶をもって田んぼに集合!

どろだらけになって植えていった。さすがに機械だったけど、はじっこの方は手で植えた。

水と風の青いにおい。ずーっとおしゃべりしながら笑いながら。

そして疲れるとおにぎりやおかずを山盛りにして食べ、昼寝をした。

ただ何度かおじゃましただけの村。

今はもう解体されてない村。

震災10年目のシン・エヴァンゲリオン

シン・エヴァンゲリオン

震災モチーフリアリティに驚いた。

たぶん私は第三村に行ったことがある。

リアス式海岸漁村は平地が少ない。

海側の居住地が壊滅し、新たに山あいに細長い集落を作った。

おんなじ形のコンテナを並べてできた仮設住宅団地

その風景がかつて数年通ったあの村にそっくりだった。うん。そっくりさんだ。

港は壊滅的なダメージを受けていた。コンクリート建物がごろりごろりと転がっている。

電車も車も船も、そこかしこに転がりのっかり、刺さっている。

海に向かって破壊された巨大なケージのような建物があった。漁船に氷を積み込む基地だったという。

そこから見る海はどこまでも澄んでいた。漁師のお爺さんもこったら綺麗なのはたことがねえという。

夜の海は真っ暗で、星が海面に映って宇宙にいるみたいだった。

木造の古い小学校を、病院役所集会所として活用していた。

わずかに残された古い家に何家族も集まっていた。

集落から離れて、ぼろぼろのガレージで暮らす人もいたなあ。。。

慣れた土地から離されてくしゃくしゃに集められ、無理やり仲良く暮らしていた。

そこに訪ねていくと、大人子供津波がどんなだったか・・・を話し続けるのだった。

僕のせいで津波が来た、私のせいで街が壊れたという子供がいた。

何人もいた。なぜかそのように強く信じているんだ。

津波ごっこにキャアキャアと全力疾走で遊んで、ふと俺のせいなんだっていう。

何もしゃべらない人もいた。

田植えは楽しかった。おやつお茶をもって田んぼに集合!

どろだらけになって植えていった。さすがに機械だったけど、はじっこの方は手で植えた。

水と風の青いにおい。ずーっとおしゃべりしながら笑いながら。

そして疲れるとおにぎりやおかずを山盛りにして食べ、昼寝をした。

ただ何度かおじゃましただけの村。

今はもう解体されてない村。

2020-08-26

自分があつまれどうぶつの森をやめた3つの理由

自分は、DSのおいでよ、3DSのとびだせとプレイしてきた程度の、シリーズではまだまだ新参プレイヤーだ。

2作とも猿のようにプレイしたものの、通年プレイは一度も達成していないので、元々飽きっぽい性格だとは思う。

それでも、あつ森の発売はめちゃめちゃ楽しみにしていたのだ。

発売日当日、Amazonから届いたソフト本体差し込み、ワクワクしながら起動した。

そして、その一ヶ月後には既に飽きてしまっていた。

我ながらかなりショックで、シリーズ最速で飽きた原因は何だろう……と、今に至るまでダラダラと考え続けていた。

一時は、あつ森の広告CMを見るだけで「童心を忘れたつまんねぇ大人になりやがって」と言われている気がして辛くなる程だった。

こんな気持ちいつまでも引き摺りたくない……

幸い考えがある程度まとまってきたので、しょーもない罪悪感を吹っ切るべく、あつ森のどこが自分に合わなかったのか、3つの主な理由を述べたいと思う。

これは自分いかにあつ森と相性が悪かったかを延々語る記事です。

ゲーム一方的disってるつもりはないですが、特に誉めたりもしてません。

当たり前だけど、今もあつ森楽しくプレイしてるよ!って人は読まない方がいいです。

1.ロードが一々長い

理由の90%がこれ。堪え性の無い大人になってしま申し訳ない……。

だが正直、仕事で疲れて帰ってきて、寝るまで1時間くらいやるか〜って思った時に、のっけからロードで1分以上持っていかれるのは辛い。

待ってる間に歯磨きすっか〜→戻ってきて朝の放送をA連打、またロード……もしんどい

ロードを待つ間にやれることといえば、真っ暗になったSwitchのツヤッツヤの画面に映る、ツヤなんて欠片も無い自分のフケ顔を眺めるだけ。現実を突き付けてくるのやめて。

しゃーないかスマホツイッターとかしつつ待ってると、今度はそっちに夢中になっちゃって、ロードが終わってもゲームに戻れない。

てかアッチちょこちょこコッチちょこちょこって、どっちにも集中できなくて逆にストレス溜まる。頼むからもっとどう森世界に没入させて。フローさせて。

DS時代は朝起きて真っ先にどう森を起動し、早朝の穏やかなBGMに包まれプレイしながら、徐々に脳に血流を送るのが習慣だったこともあったが、あつ森でコレやろうとしたらロード中に二度寝してしまい無理だった。

2.魚のポップ数が少なすぎる

どうぶつの森の要素で何が一番好きか?と聞かれたら、自分「魚釣りです!」と即答する。

慎重に海岸線を歩き、ルアーを投げ入れ、心を落ち着けて音に集中し、ここだ!と引き上げる。そしてまた海岸を往復し……気付けば持ち物がいっぱいで、店に売りに行き……そうやって無心になれる時間が大好きだ。

あつ森は釣りで無心になれない。なぜなら魚が全然出てこないからだ。

外に家具を置くために描画数の上限が厳しいのか?それともマップが広くなり魚が全体に散らばってしまっているのか?素人には分からない。

とにかく、片方の海岸線を端から端まで歩いて、一匹しか釣れなかったということもザラにある。

釣り時間の大部分は、暗い夜の海に目を凝らし、必死に魚を探している時間だ。

丸一日パソコンの画面とニラメッコして酷使した、私の眼精疲労トドメを刺すのはやめてくれ……。

撒き餌?徒労感が激しすぎるので勘弁してください……。作るのにあんなに時間かかって使い切るのは一瞬って、まるで無課金ソシャゲガチャじゃないですか……。海岸家具置き始めるとアサリ掘り辛い罠もあるし。

3.SNSスクショプレイ動画で満足してしまった

そんなこんなで、予想以上にあつ森に飽きるのが早くて焦っていた4月末。

発売されたら猿のようにプレイして、今度こそどう森世界精神移住完遂するつもりだったのに……!これはマズい。外部からの刺激でモチベを回復せねば。

そこで、島クリに本気出してる人達ツイ垢を片っ端からフォローすることにした。

自分欲求は、それで満たされてしまった。

だって、島クリエイター自分でやろうと思ったら凄まじい労力がかかるんだもの……。

最初から完成形がある程度頭に浮かんで、その通りにモリモリ作っていけるタイプの人なら、あの作業はなかなか中毒性があって楽しいかもしれない。

しか自分のように、チラ裏設計図試行錯誤で一つずつゲーム画面で試しては崩し……をひたすら繰り返すタイプ人間には、あの高度な操作性を要求される島クリの作業は8割方苦行でしかない。

そうやって何となく形になったかな〜と思った作品を、SNSハイセンスな人々は容易く飛び越えていく。

じゃあ、そっち見てた方が、楽しいじゃん!

嫉妬とか挫折じゃなくて。

カントリー島、和風島、ヨーロピアン島、都会島、日本田舎島、廃墟島……一人のプレイヤーでは到底全ては実現できない、あらゆるアイディアが形になった島を日々大量に見られるSNS。最高。

なに?加工しまくりの画像一枚じゃゲームの楽しさは全然伝わらないだって

そこでプレイ動画の登場ですよ。

住民との面白い会話、ダイジェスト気持ちよくまとまった日々の作業風景、そして苦労して完成した島の一区画を歩き回る喜び。

それがコンパクトに、ストレスフルな場面は適度にカットされて、見やすくまとまっている。

正直、自分プレイするよりずーーーっと面白いです……。

なんか今作あつまれどうぶつの森は、

やれることの範囲が狭いので、皆1日のルーティンは大体同じだし、

プレイヤーの個性を出しやす家具レイアウトも、家具が少ないから大体似通った感じにしかならないし、

その割には実際プレイしようとしたら時間ばっかり取られて、

自分でもやってみたい!」という気持ちになりにくいんだよね……。


以上が、自分なりに考えたあつ森に早々に飽きてしまった理由だ。

自分現在の楽しみ方は「あつ森を楽しくプレイしている人々ありき」のものなので、あつ森自体を貶めたり、今も楽しくプレイしている方々を馬鹿にする気持ちは毛頭ない。

あつ森、いいゲームだと思いますプレイヤーの皆様、本当に尊敬しています。いつもありがとうございます


こうやってお気持ち供養することで、「ものの一ヶ月でドロップアウトしちまった……自分はもうダメだ……」とかい意味不明な罪悪感から解放されて、アプデなんかをキッカケに軽い気持ちで「ちょっと久々に起動してみるかな〜」って思えるといいな……と、期待している。

おしまい

2020-07-24

無趣味と言う増田住まう糸ミュシム(回文

おはようございます

よくさ、

趣味は?って質問に、

無趣味なんです!って言う人いるじゃない、

逆にあなた趣味は何ですか?って逆質問もされたらされたで鬱陶しいけど

あれさ、

本当に無趣味なのかしらって、

ニュートラル自分表現する手っ取り早い一番の方法かもしれないけど、

でもさ

趣味聞かれてって言われたら、

みんな困っちゃうのかしらね

でも私は見逃さないわよ。

そこになんか滲み含ませたアイデンティティを詰め込ませようとしてる感を!

まるでスポンジに水を吸わせるようにね。

そう言う私は無趣味なんだけど!

ほら、

なんか賢そうに見えない?

アイデンティティ含ませた感を感じない?

いまわたしからアイデンティティ風が出たはずよ。

そんなことよりさ、

昨日のテレビでやってたマジック手品チャンネル

すごいのよ。

マイケルジェニファーの二人組で、

必ず冒頭でマイケルがいいニュースと悪いニュースを持ってきて

いちいちどっちから聞きたいのかいジェニファーって言うの。

そんでジェニファーは全然マイケルの話聞いてないの。

ジェニファはいつも脈略もなく今回の手品マジックアイテム刃物を持ち出すわけ。

いきなり刃物ジェニファーが持ち出すから

マイケルは慌てちゃって「ジェニファー早まるな!俺が悪かったぜ!」って言うところまでが毎回ワンセットになってる、

お茶茶番で濁す感じを沸かして飲んで煎じたい爪の垢ってところよ。

いつも冒頭のマイケルジェニファーのやり取りが面白くって。

そんで今回は刃物マジック

切れにくくなった刃物を、

その手品ネタ装置に通せば何でも切れちゃうようになるの!

ジェニファーこのナイフまったく切れないぜ!嫌になっちまうよ!って言ってる。

マイケルは俺のジョークは切れっ切れだけどな!って言ってるけどジェニファーは無視

ジェニファーがその装置で刃を研ぐと、

硬いレンガでも太っとい電気ケーブルでも何でも切れちゃうのよ。

もう刃物というか刀の名人剣士からすれば、

抜刀するに及ばぬわ!っていいそうだけど、

それは流石に抜刀はしないとだめよねって。

それでね、

その手品装置がすごいのは、

刃がついていないバターナイフをその装置に通したら、

一瞬で刃物になるという、

クリビツギョウテンイタオドロ!を地で行くような感じで、

そのバターナイフ

レンガや電源ケーブルやそして革靴まで切っちゃうのよ!

刃がなかったバターナイフがよ!

そんでジェニファーはマイケルと別れたがってるって設定があって、

いつも毎回ネタアイテムを使って私達もこのナイフみたいに縁切りね!って別れようとするところをマイケルが追いかけるところで終わるところまでが、

またワンセットになってるの。

毎回よ。

それでその手品番組が終わる寸前に、

この手品装置がお特に買えます!って言うじゃない

まるで深夜の海通販番組みたいな手品チャンネル番組面白かったわ!

ついつい夜更しちゃんよ。

うふふ。


今日朝ご飯

ピッツアトーストよ。

1枚ぺろりんちょと食べちゃったわ。

具だくさんで具がこぼれ落ちちゃいそうなほど。

からご馳走ね。

デトックスウォーター

緑茶の水出しウォーラー

水出しはお茶甘味マックスライドオン!

とても美味しいわ。

時間があるときは水出し緑茶ね。


すいすいすいようび~

今日も頑張りましょう!

2020-02-11

[]政治的OKらしいが北欧選民意識ヤベェな映画

小島秀夫も絶賛していたらしい、スウェーデン映画ボーダー (Gräns)』

取り替え子 (Changeling)・・・トロールなどの子どもと人間の子どもが交換されるヨーロッパ伝承モチーフにした話で

森で暮らすヒロインすごーーく醜いって設定

たぶん増田はてなミニシアター映画は観ないと思うので以下完全にネタバレ

 

 

ストーリー(ネタバレ)

ヒロインティーナは不美人だが、人間感情を嗅ぎ取り読み取ることが出来る特殊能力を持つ

彼女税関職員としてその力を遺憾なく発揮し、日々密輸やその他の悪事完璧摘発する


しか彼女はどこか不安げで覇気がない


醜い容姿から、幼少期は虐められ、大人になり職を得た現在も不躾な視線は一向に無くならず、

疲れ果て、森の自宅へ戻っても、いるのは働かない上に浮気を隠す気がない同居人と襲いかかってくる犬

愛してくれた父親は森の自宅を出て今は老人ホーム

父親を見舞いに行けば「あの家はお前のものなんだぞ」とは言われるものの、

「彼は優しい。わたしは一緒にいてくれる人が欲しいだけ」と彼女は答えるしかない


そんなある日、税関自分と似たような外見と不可解な匂いのする大男を見つける

不可解な匂いの原因を徹底的に調べるも犯罪要素は見つからない

それどころか、どうみても大男なのに女性器を持ち更には手術痕すらないという

なんやかんやあったのち彼女自分と似たような男(?)ヴォーレを森の自宅の離れに住まわす

働かない上に浮気を隠す気がない同居人は『シリアルキラーあいつは?なぜ僕に無断で決めたんだ』とおこだったがティーナはシカトした

そしてなんやかんやあったのち、自分人間ではなくトロールであったことを知る

醜かったわけではなく単純に種族が違っただけだったのだ。彼女は生まれながらに完璧で出来損ないなんかではなかったのだ

人間世界では疎外感を感じるのでヴォーレと一緒にトロール同族を探し、同族と共に暮らすと申し出るも、

「キミは人間世界適応出来ている。辞めとけ」と言われてしま


ティーナは色々とモヤモヤしつつも、

浮気を隠す気がない働かない同居人を追い出したり、

同族出会えた解放感でヒャッハーしたり、

ちんこ生やして女性器を持つヴォーレとセックスしたり、

なんやかんや充実している生活を送る中、

税関児童ポルノビデオ摘発した能力を買われ、児童ポルノビデオ制作している住所を探し出して欲しいと依頼される

遺憾くそ能力を発揮し、見事犯人どもを一網打尽にする

完全にティーナに追い風が吹いてきてるのだが、ここで落とし穴


なんとこの児童ポルノ制作にヴォーレが関わっていたのだ


ヴォーレは人間赤ちゃんを攫っては自分の生み落とした赤ちゃん(無精で出産出来る)と交換し、

人間赤ちゃん児童ポルノなど闇組織に売り払い、人間たちへの復讐フィンランドにいるらしいトロール同族探しの資金としていたのだ

しかも、ティーナのご近所の赤ちゃんまで攫っていた


ティーナはトロール人間にどんな目にあわされたかはヴォーレから聞いている

トロール人体実験をされ刻まれ精神病院へ閉じ込められ、その殆どは生き残ることは出来なかった

運良く生き延びられたティーナも尻尾を切られ、人間から酷い虐めを受け、今もなお不躾な視線を向けられ続けているし、

森の家を残してくれた父親にしたって、本当の両親(トロール)のことについて尋ねれば、人間の犯した罪と向き合わず、怒鳴り散らすだけだ

先日摘発した児童ポルノ制作犯人たちにしたって普通人間夫婦一見はまともなご家庭風だった


それでもティーナは知っている。そんな人間ばかりでは無いと

誰かを傷つけ残酷振る舞うことで得られる物は何も無いと


ティーナはトロール同族探しの旅への同行は断り、ヴォーレに警察差し向ける

ヴォーレは武装した警察官に囲まれるとフェリーから飛び降り夜の海へ消えた


浮気を隠すつもりも働くつもりも襲う犬を躾ける気も無いがとりあえずティーナと一緒にはいてくれた同居人は追い出したし、

トロール同族だったヴォーレは外道だった上に海に消えたしで、

森の自宅でひとりで過ごすティーナの元に老人ホームから父親がやってくる


ティーナの本当の両親(トロール)について話す気になったのだ


トロール人体実験を行なっていた精神病院警備員として勤めていた父親子宝に恵まれず子を欲していた

そしてトロール夫婦に話を持ちかけティーナを譲り受けたのだ

もちろん、トロール夫婦は多くのトロールと同様に人体実験の末、病院の裏に人知れず埋められたが、

それについて父親から発せられる言葉は何も無い

ティーナはトロールの両親に名付けられた本当の名前を知る

しか父親ティーナの本当の名を伝えてもなおトロールの名で彼女を呼ばず、人間がしてきたこ自分傍観してきたことに向き合わない

ティーナは父親を拒絶した


完全にひとりになったティーナの元に小包みが届く。その中にはトロール赤ちゃんフィンランド絵葉書

優しくトロール赤ちゃんを抱き上げエンド

 

 

ティーナのご近所の攫われた赤ちゃん結局どうなった?以外は問題なくない?

あるぞ

ヒロイントロール故に人間美的価値観からしたら醜いって設定なんだけど

どう見てもモンゴロイドです、ありがとうございました

白人でもああいうおばちゃんいる
特に寒冷地域に住んでるモンゴロイドの血が入る地域だとね
サーミでもモンゴロイドの血が強くでりゃああなるけど政治的OKなのかスウェーデンよ?

あと、人間との違い(不気味さ)を出す演出に『虫』を食べるがあったが、

虫を食べる民族普通におるのだが?それは?


北欧って怖いところだなって思いました、まる



 

追記ボーダー見る気がある人は見終わるまでは下記は読まないでね


陸続きなんで血が混ざり合うのは当たり前っちゃ当たり前の話なんですが

ブクマカ見てるとそう思い至らない人たちもいらっしゃるようなので追記するよ


(なお、差別は国や特定人種では無く、個人パーソナリティだと予め書いておきます

奴隷解放宣言前の19世紀教会宗派まで変えてジョン万次郎を受け入れてくれたホイットフィールド船長然り、

同じく、奴隷解放前に、白人でないばかりか結合双生児のチャン&エン・ブンカー兄弟(シャム双子)を受け入れた人たち然り、

厳しい時代においても差別しない人は差別しません。その逆にダイバーシティを謳う時代でも差別する人は残念ながらいます)


人間も寒くて暗いところは、アルビノ化して大型化して目もパッチリするのですが、

北欧北米は一重まぶた(内眼角贅皮)で目が小さい小柄な人もそこそこいます

これは単純に中頻度でモンゴロイド系の遺伝子が見られるからです


そうして起こることは、A:見るからコーカソイド、B:薄顔のコーカソイド、C:見るからモンゴロイド、この3パターンの出現です


Aは問題無いでしょう、

Bは微妙ラインですがビョークサーミの血のヒロインあたりの感じですかね、

Cはあからさまに異端、でも当たり前ですが生まれます

どうみても冷寒対応したモンゴロイドの他に、コーカソイドの血が入っているので眉骨が出た感じの人も生まれます

おでこ(正確には眉骨)が突き出て(目が窪んで)るが、目鼻は小さく丸顔でどう見てもコーカソイドではない、のっぺ〜っとした『なにか』となります

この『なにか』が残念なことに、ブクマカ言葉を借りればいわゆる亜人顔だったりするし、Mongolian idiocy(蒙古症)=ダウン顔だったりする


たくさんの血が混じり合う地域でその血の出方によって差別が発生するのはインドカースト然り珍しいことではありませんが、

ダイバーシティ現代において、北欧発で今さらあんものを見せられるとは思いもしなかったというのが正直な感想です

あと虫を食べるのは奇異な行動ではありません。不気味さ(人間ではない)演出に使わないでください

東南アジアでは近代化されてもなお伝統食や風変わりなスナックとして虫を食べますし、

なんだったら食料危機を救う食材として研究もされてます(もちろん現代的でクリーン環境培養養殖されたもの)


トリーチャーコリンズ症候群が原因で顔の形が変形した少年主人公児童文学ワンダー 君は太陽 (原題:Wonder)』の方が

100億倍正しいと思いました。感動ポルノとか言われてるけどね

黒人セレブの肌のホワイトニングブリーチとかもこういう背景から来るのかな・・・

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